業務分業によりMRの１/3のコストで採用率8％UPを実現！医療施設専門ラウンダー組織化のポイントとは？

事例概要

取り組み前の課題

すでに全国のクリニックや調剤薬局に対しMRが営業活動を行っている製薬メーカー様でしたが、下記2点の課題を解決するために新しい営業体制の構築を必要とされていました。

・上市から数年が経過した既存製品において、情報提供の必要性が少なくなりつつあるが、定期的にフォローしないと競合製品に切り替えられるリスクがある
・しかし、MRは高コスト構造に加え、新薬や成長製品の営業など、よりコアな業務へ傾注させたい

取り組み内容

MRと業務分業を行い、MR資格がなくてもできる業務をアウトソーシング

MR資格がないとできない業務・できる業務を仕分けし、MR資格を持たないが医療施設を巡回するラウンダースタッフを当社で組織化し、新しい営業体制を構築しました。

医療施設専門ラウンダーを育成するための独自の研修

コンプライアンスを遵守するため、活動開始前には約2週間に及ぶ事前研修を実施。
クリニックや調剤薬局を訪問する際に守るべき巡回ルールやマナーはもちろん、医師や薬剤師を想定したコミュニケーション、説明スキルの研修を実施し、医療施設ラウンダーを育成します。研修は机上だけではなく、当社マネージャーが現場同行によるOJTも行いながらスタッフを育て上げます。

MR資格を持たないラウダースタッフの活動内容

「対象訪問先のカバー率」「医師との面談率」をKPIとして設定し、クリニックと調剤薬局を1日平均15件巡回。
MR資格を持たないため、製品のプロモーションは一切行わず、疾患啓発資材や患者指導箋などの専用の資材の提供・説明、製薬メーカーに対しての要望や意見のヒアリングを実施します。こうした活動を通じて、医師、薬剤師との信頼関係構築を行いました。

顧客満足度を上げるためのスキルアップを継続的に実施

ラウンダーの活動開始後も当社マネージャーが定期的に同行を実施し、顧客満足度を高めるためのスキルの育成、指導を行いました。
具体的には、
・立ち振る舞いの客観的な確認と指導（表情、声の大きさ、会話のスピード、簡潔な会話）
・院内でのマナーの確認と指導
・コンプライアンス上の問題が無いかの行動チェックと指導
・応酬話法

活動の結果

MRの約1/3のコストで医療施設巡回が実現

当社ラウンダー1名あたり、MRの約1/3のコストで医療施設巡回を実現。医療施設専門ラウンダーを組織化したことで、MRよりも低コストでターゲットカバーのすそ野を広げることを実現し、MR社員の業務効率化（コア業務への傾注）に成功しました。

新製品（剤形追加）採用率が未巡回施設と比較し、約8%上回る結果に

既存製品の剤形追加という形で新製品が上市された際、当社ラウンダーが巡回する医療施設での採用率が未巡回施設と比較し、約8%上回るという結果となりました。
既存製品の導入施設に上市前から訪問し認知活動を展開したことで剤形選択につながりやすかったこと、定期巡回によって医師、薬剤師との関係構築がされ、MRの採用提案もスムーズに進められたことが要因としてあげられます。

約50%の薬局で患者指導用の資材活用に成功

対医療従事者に特化したコミュニケーションスキルの指導を継続的に実施。
その結果、既存製品に関連した患者指導用の資材を全担当薬局に配布して活用を促したところ、約半数の薬剤師が製薬メーカー様の意図した通りに、新患の患者に手渡しで資材を活用していただけました。
また、顧客満足度アンケートでも巡回先の医師や薬剤師から高評価をいただけました。

ここがポイント

資格を持たないラウンダースタッフでもMRと明確に業務分業を行うことで、コンプライアンスを遵守しながら医療従事者との関係性強化を実現する、新しい営業体制を構築。
製品のライフサイクルに応じた戦略として、MRのプロモーションが必要なくなった製品のシェア維持、アップに貢献しました。

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