知っておきたいフィールドマーケティングの基礎(後編)
前回は、フィールドマーケティングの成功に必要な3つの要素のうち、「STEP1:仮説立案に基づく業務設計」について解説しました。
今回は、その仮説(目標達成のための理想の売り場)を店頭で実行します。
STEP2:ラウンダーの行動マネジメント
店頭における実現率を上げるコツは、2つあります。
1:業務依頼書の精度
2:本部と店頭の連動
[業務依頼書の精度]
ひとつ目のコツは、ラウンダー(フィールドスタッフ)への業務依頼書が具体的であることです。
いつ(When)、誰が(Who)、どこの店舗で(Where)、どの商品と販促物を使って(What)、どのように展開するのか(How)、その企画を具現化するためにどうやって店舗の担当者を説得するかがわかるように作りこみます。
フィールドマーケティングに成功している会社は、「小学生でもわかる」レベルの依頼書をもとに、ラウンダー(フィールドスタッフ)が迷いなく買い場の構築に専念することができるようになっています。
業務依頼書は、チェーン本部ごとに作成し、本部商談のサイクルに合わせて更新されるのが理想です。
[本部と店頭の連動]
もうひとつのコツは、営業(本部)とラウンダー(店頭)の連携です。
メーカーのチェーン本部営業担当が実施する本部商談を具現化させるためには、各店舗の状況に合わせた対応が必要となります。店舗担当者の特徴に合わせた説得材料やコツ、販促物やプロモーションに関する店舗からの要望などの報告をラウンダー(フィールドスタッフ)から受け取り、可能な限り早めの対応を行います。
逆に、ラウンダー(フィールドスタッフ)は店頭で得た情報をいち早く営業(本部)に共有し、本部商談に活かします。
時には一緒に店頭を訪問することもあります。双方協力体制を築くことが重要です。
社員ができないことを専門会社に外注したところで、成功は望めません。フィールドマーケティングのアウトソース化は、しっかりと計画された業務を的確に実施するという条件下で貢献できるサービスだからです。
STEP3:ラウンダーの組織マネジメント
ラウンダー(フィールドスタッフ)ひとりひとりの行動のマネジメントと両輪をなすのが、組織のマネジメントです。
ラウンダーの組織マネジメントは3つの要素で成果を期待できるように設計します。
1:エリア効率
2:稼働時間
3:業務委託契約化
[エリア効率]
1人のラウンダーの巡回エリアを狭く設定することで、移動時間を減らします(エリアにもよりますが、自宅から半径50km以内が理想です)。仮に1日に訪問する店舗数を3店舗から5店舗に増やすことができれば、費用対効果は約1.7倍になります。
[稼働時間]
店舗での作業時間を10時~16時に集中させます。
この時間帯は店舗の朝の品出し作業も終わっているころで、且つお客様も比較的少ないため、店舗担当の方に待たされることがありません。
店舗担当者との良好な関係も期待でき、効率よく買い場の構築ができます。
[業務委託化]
専門会社への外注、直接契約のどちらに関しても、業務委託化することにより、「変動費化」と「改正労働契約法(改正労働契約法「5年ルール」とは?)への対応」の2つのメリットがあります。
人的資源の変動費化が実現できれば、万が一プロジェクトが終了することになったとしても、ラウンダー(フィールドスタッフ)にかかっていた費用も圧縮することができるため、結果的に損益分岐点を下げることが可能です。また、あまり知られていないことですが、専門会社との契約と同じ様に、ラウンダー(フィールドスタッフ)個人とも直接業務委託契約を締結することが可能です。
雇用の場合は例え有期雇用であっても、5年を超えて継続雇用した場合は、労働者が望めば無期雇用に転換しなければならなくなりましたが、業務委託ではそのような制限はありません。
フィールドマーケティングの基礎
今回は、「専門会社に外注すれば成功すると勘違いしてはいけない」という観点でフィールドマーケティングの基礎をお伝えしました。
FMSでは、クライアント企業様専用の事務局を構え、上流から下流まで工程全体を俯瞰した業務設計支援を行っています。創業からこれまでの成功実績を基にした、ノウハウや知見が、少しでも貴社のビジネスのお手伝いになれば幸いです。
次回は、内製化と外注化のメリットデメリットをお伝えします。