[家電]店頭のシェアを維持し直近の売上前年比109%を達成!<35年続くラウンド組織の秘訣とは>
A社様が製造している家電消耗品カテゴリーは、どのメーカーのスペックもほとんど変わらず、差別化が難しい商品です。また、環境要因に大きく左右されるため、需要があるときに買い物客の目に留まるように露出を増やせることが重要です。そのような中で、A社様は、ラウンド組織を活用することで売上の維持・拡大に成功しています。
ご支援させていただいてから約35年経った今も、棚割どおりの売り場づくり、本部決定事項の具現化、クロスMD(クロス・マーチャンダイジング)展開を行い続けることで店頭のシェアを維持し、そして直近の販売実績では売上前年比109%を達成することができました。
1.クライアントの課題、問題点
A社様とのお取引が開始したのは35年以上前でした。
A社様は、当時、本部商談で決定すれば、店頭も本部商談どおりになっているとお考えでした。そこで、当社が店頭調査をした結果、店頭が棚割どおりになっていない、本部商談で採用になった商品・企画が店頭で具現化されていないという事実が明らかになりました。
また、A社の営業様は自社製品全般を担当しているため、家電消耗品までなかなか手が回る状況ではありませんでした。
2.FMSに依頼を決めた理由 <時代を先取りした提案力>
店頭調査の結果から、店舗巡回による本部決定事項の具現化が必要であることをご理解いただけました。その時代はまだ店頭マーケティングは注目されていませんでした。その中で、当社がフィールドマーケティングの草分けであり、専門企業であったため当社にご依頼いただくことになりました。
3.成功のポイント
1.ラウンダーの役割の明確化
家電消耗品のみの担当とすることで、店頭活動にも充分な時間をさくことができ、個店商談による多箇所展開、クロスMDの実現に取り組むことができています。
2.競合に負けない売り場をつくるための棚替え業務
改装応援や棚替えでつくった棚が、その後の売り場のベースとなります。
つまり、優位な売り場をつくるためには、最初が肝心となります。
棚割表がベースとなるものの、現場での調整で陳列が決定することも多いため、その場で売り場づくりについてきちんと主張できることが重要となります。
そのため当社では、ラウンダーだけでなくスーパーバイザー(SV)も現場に同行し、売り場交渉を行うことで、競合に負けない理想の売り場を実現することができています。現場のフォロー役であるスーパーバイザーが、ラウンダー だけでは実現できない交渉にも力を発揮しています。
3.本部決定事項を一括配信する専用システム
専用システムを介して、本部商談の決定事項をラウンダーに共有しています。
迅速かつ正確に情報が共有できるため、ラウンダーは現場で判断を迷わず、本部決定事項の具現化を実現しています。
4.クロスMD の実現率を高めるマーケティングカレンダー
A社様の商品は、関連する商品の近くに陳列し、使用シーンを訴求することが売上に繋がります。マーケティングカレンダーは、関連カテゴリーの販促カレンダーに、自社商品・販促物の情報を組み合わせた提案用のツールです(※2)。
このマーケティングカレンダーを用いて、関連する他カテゴリーの需要に合わせた展開提案を行うことは、小売店様も売上拡大をイメージしやすく、また、それを視覚的に見ていただくことで、忙しい店舗担当者様への説得力を上げることができています。
5. 「実績」と「エリア効率」を考慮した巡回店舗の見直し
店舗毎の店頭販売実績とエリア効率から、ラウンダーの巡回対象店舗・巡回頻度を定期的に見直しています。
下記は、巡回店舗と巡回頻度の変更が、その後3ヶ月間の店頭販売実績にどの様な変化を与えたかを表したグラフです。ラウンダーによる訪問を中止すると、実績の落ち幅が大きくなっていることからも、店舗巡回による店頭フォローの貢献度はかなり高いと考えられます。
表1
成功のポイントはスーパーバイザーによる現場力の強化
上記の取り組みで欠かせないのは、スーパーバイザーの存在です。
依頼事項の実現率を高めるために、ラウンダーへの業務の落とし込みのほか、同行による実地での活動フォロー、他店での成功事例の共有を行います。また時には、ラウンダーでは実現できない提案・交渉業務などをスーパーバイザーが代替えで行うなど、現場のラウンダー支援の柱となっています。
4.当社担当者より
A社様は35年以上にわたり、ご支援をさせていただいております。
現在では他商材のフィールドスタッフも別部隊として組織化され、数百名規模で全国の家電量販店、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター、ディスカウントストアをカバーしています。
A社様から評価いただいているのは以下の4点です。
1.A社の営業担当者様の手が回らない商材の細やかなフォロー
2.改装や棚替え時の競合に負けない売り場の獲得
3.本部決定事項・クロスMDの具現化率を高めるスーパーバイザーの体制
4.全国のラウンダーの機動力
全国にラウンダーがいるため、業務内容によっては、全国規模の企画の一斉立ち上げを2、3日で完遂することが可能 です。全国をまんべんなくカバーし、本部決定事項の具現化を行うラウンダーと、その活動を細やかにフォローするスーパーバイザーの存在が、本活動を成功に導いていると考えています。