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在留カードを紛失した場合は?再発行の手続き方法や必要書類を解説

在留カードを紛失した場合は?再発行の手続き方法や必要書類を解説

外国人社員から「在留カードを紛失した」と報告を受けたら、企業はどう対応すべきでしょうか。在留カードは、日本に中長期滞在する外国人の身分を証明する重要なものです。紛失を放置すると、外国人本人だけでなく企業側にも罰則が科されるリスクがあります。

本記事では、在留カードを紛失した際の企業の初動対応から、具体的な再発行手続き、必要書類、注意点までを網羅的に解説。海外で紛失した場合の対処法や、トラブルを未然に防ぐための予防策も紹介します。突然のトラブルにも冷静に対応できるよう、企業の危機管理マニュアルとしてご一読ください。

在留カードを紛失した際の企業の初動対応

在留カードを紛失した際の企業の初動対応
外国人社員から在留カードの紛失報告を受けた場合、企業は迅速かつ適切な対応が求められます。在留カードは外国人にとって日本での適法な滞在を証明する重要な身分証明書であり、紛失による影響は本人の生活や就労に大きく関わります。

企業の人事担当者は、外国人社員の不安を理解し、法的な要件を満たすための具体的なサポートを提供する必要があります。

外国人社員から紛失の報告を受けた時の確認事項

外国人社員から在留カード紛失の報告を受けた際は、まず落ち着いて状況を整理することが重要です。多くの外国人が焦ってパニックに陥りがちですが、企業担当者が冷静に対応することで、適切な手続きへと導けます。

紛失の状況確認では、いつ、どこで、どのような状況で紛失したかを詳しく聞き取ります。財布と一緒に紛失したのか、単独で紛失したのか、盗難の可能性があるのかなど、警察への届け出に必要な情報を整理しましょう。

再発行手続きに必要な情報として、パスポートの所持状況、在留期限、現在の在留資格、住所などを確認します。これらの情報は地方出入国在留管理官署での申請時に必要となるため、事前に整理しておくことで手続きをスムーズに進められます。

14日以内の再発行手続きの重要性と罰則リスク

在留カードの再発行は、入管法第十九条の十二に基づき、紛失の事実を知った日から14日以内に申請しなければなりません。この期限を守らなかった場合、重大な法的リスクが生じます。

期限を過ぎた場合の罰則として、1年以下の懲役または20万円以下の罰金が科される可能性があります。これは単なる行政上の手続きではなく、刑罰の対象となる重要な義務であることを認識する必要があります。

在留カード関連の罰則一覧

違反内容 罰則 根拠法令
在留カードを携帯していなかった場合 20万円以下の罰金 入管法第七十五条
在留カードの提示に応じなかった場合 1年以下の懲役または20万円以下の罰金 入管法第七十五条
紛失後14日以内に再交付申請をしなかった場合 1年以下の懲役または20万円以下の罰金 入管法第七十五条

参考:e-GOV法令検索|出入国管理及び難民認定法 第七十五条

処分情報は記録され、在留資格の次回更新時に影響が出る可能性もあるため、必ず期限内に手続きを完了させることが重要です。

企業が知っておくべき在留カード管理の法的責任

企業は在留カードを預かってはいけないという法的責任があります。外国人社員から取り上げることはもちろん、好意で預かることも違法行為に該当する可能性があります。

技能実習生の旅券や在留カードの取り上げは、出入国在留管理庁に摘発される不正行為となります。実際に、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律第48条第1項では、技能実習関係者が技能実習生の旅券や在留カードを保管することを明確に禁止しています。

参考:e-GOV法令検索|外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律 第四十八条

在留カード再交付手続きの実務的な流れ

在留カード再交付手続きの実務的な流れ
在留カードの再交付手続きは、警察署での遺失届出から始まり、地方出入国在留管理官署での申請まで複数のステップが必要です。企業の人事担当者は、外国人社員がスムーズに手続きを進められるよう、各段階での必要書類や手順を把握しておく必要があります。

本人による申請が原則ですが、状況によっては代理人による申請も可能であり、企業としては申請取次承認を受けた担当者の配置や専門家への委託も検討できます。

在留カード再交付申請に必要な書類一覧

必要書類 備考
在留カード再交付申請書 出入国在留管理庁HPからダウンロード可能
顔写真 新しい在留カード用
所持を失ったことを証する資料 遺失届出証明書、盗難届出証明書、罹災証明書等
旅券(パスポート) 提示できない場合は理由書が必要
在留カード漢字氏名表記申出書 漢字氏名の併記を希望する場合のみ

参考:法務省 出入国在留管理庁|紛失等による在留カードの再交付申請

警察署での遺失届出証明書の取得方法

在留カード紛失の際は、まず最寄りの警察署または交番で遺失届を提出する必要があります。この手続きにより発行される遺失届出証明書は、地方出入国在留管理官署での再交付申請時に必要となる重要な書類です。

警視庁では「警視庁行政手続オンライン」サイトを利用したオンライン申請も可能で、警察から電話で連絡を受けて書類の受け取り日を調整できます。本人以外が届出を行う場合は委任状が必要となるため、代理人による手続きの際は事前に準備しておきましょう。

地方出入国在留管理官署での申請手順

全国には出入国在留管理局8箇所、支局7箇所、入国管理センター2箇所が設置されており、住居地を管轄する官署で申請手続きを行います。各本局には出張所が設けられているため、管轄する出張所であればどこでも手続きが可能です。

受付時間は基本的に9時から16時で、地域によっては12時から13時が対応不可の場合があります。3月頃は入学や入社手続きが増える繁忙期となるため、窓口が混み合う可能性があり、時間に余裕を持って向かうことが重要です。

参考:法務省 出入国在留管理庁|地方出入国在留管理官署

代理人による申請が可能なケースと注意点

本人以外でも在留カードの再交付申請を行うことが可能です。

代理人申請には、本人との関係を証明する住民票や診断書などの追加書類が必要となる場合があります。

在留カード再交付申請の代理人一覧

代理人の種類 必要な追加書類 備考
本人と同居する16歳以上の親族 申請人との関係を証明する資料(住民票等)、診断書等 本人が16歳未満または疾病等の場合
取次行政書士・弁護士 地方出入国在留管理局長への届出が必要
申請人本人の法定代理人
申請取次の承認を受けている企業の担当者 申請等取次研修会の受講が必要

参考:法務省 出入国在留管理庁|紛失等による在留カードの再交付申請

申請取次承認を受けた企業担当者による代理申請

企業担当者が申請取次者になるためには、公益財団法人入管協会主催の「申請等取次研修会」への参加と資格取得が必要です。研修を受講し承認を得た担当者は、外国人社員に代わって在留カードの再交付申請を行えます。

企業として申請取次者を配置するメリットは、緊急時に迅速な対応が可能となることですが、適切な手続きを行う責任も伴います。申請取次者は外国人社員の重要な手続きを代行するため、正確な知識と責任感を持って業務に取り組む必要があります。

行政書士・弁護士への委託時の留意事項

取次行政書士や弁護士に委託する場合の費用は数万円程度が相場となります。申請から受領まで全ての手続きを任せられるため、確実に再交付を受けたい場合に適しています。在留カードを一時的に預ける際は、行政書士から預かり証の発行を受けることで安心して委託できます。

専門家選定時は、入管手続きの経験が豊富で信頼できる事務所を選ぶことが重要です。委託により外国人社員の負担を軽減できる一方、費用が発生するため事前に予算を検討しておく必要があります。

海外出張中の在留カード紛失への対処法

海外出張中の在留カード紛失への対処法

海外出張中に在留カードを紛失した場合、日本国内での紛失とは異なる特別な対応が必要となります。現地での警察手続きから始まり、日本への再入国に向けた準備まで、複数のステップを踏む必要があります。

企業の人事担当者は、海外にいる外国人社員をサポートするため、現地での手続き方法や日本国内での代理手続きについて理解しておく必要があります。

特にVISA免除国以外の国籍者については、搭乗拒否のリスクがあるため、事前の準備がより重要となります。

現地警察での手続きと必要書類の準備

海外で在留カードを紛失した場合、まず現地の警察署で紛失届または盗難届を提出する必要があります。この手続きにより発行される証明書は、日本帰国後の在留カード再交付申請時に必要となる重要な書類です。

現地警察が発行する証明書の形式は国や地域によって異なりますが、在留カードを紛失したことを証明する公的な書類であることが求められます。証明書は日本での再交付申請時と再入国許可期限証明書の取得時の両方で必要となるため、コピーを複数部保管しておくことが重要です。

再入国許可期限証明書の取得と送付方法

VISA免除国以外の国籍者が在留カードなしで日本への搭乗を試みる場合、搭乗拒否される可能性があるため、再入国許可期限証明書が必要となります。この証明書は日本にいる親族や企業担当者が代理で取得し、海外にいる外国人社員に送付する必要があります。

取得手順としては、本人の住居地を管轄する入管に出向いて申請を行い、発行された証明書を国際郵便で本人宛てに郵送します。緊急時には電子データでの提供も有効であり、メールやFAXで送付することで迅速な対応が可能となります。

VISA免除国以外の国籍者への特別な配慮

VISA免除国以外の国籍者は、日本への入国にビザが必要となるため、在留カードなしでの搭乗時に特別な注意が必要です。航空会社は入国要件を満たさない乗客の搭乗を拒否する場合があり、出発空港で搭乗拒否となる可能性があります。このリスクを回避するため、事前に再入国許可期限証明書の取得が必要となります。

証明書取得に必要な委任状は、海外から日本へメールやFAXで送付する方法が一般的です。企業担当者は、外国人社員の国籍を把握し、必要に応じて迅速にサポート体制を整えることが重要です。

在留カードの紛失トラブルを防ぐための予防策

在留カードの紛失トラブルを防ぐための予防策

在留カードの紛失は外国人社員と企業の両方にとって大きな負担となるため、事前の予防策が重要です。企業は外国人社員への適切な教育と管理体制の整備により、紛失リスクを最小限に抑えることができます。

予防策には、採用時からの継続的な教育、適切な情報管理体制の構築、そして紛失時の迅速な対応を可能にするマニュアルの整備が含まれます。これらの予防策を講じることで、万が一の事態にも冷静かつ効率的に対応できる体制を構築できます。

外国人社員への事前教育と周知徹底

外国人社員への事前教育は、在留カードの紛失防止において最も重要な予防策です。企業は採用時や入社オリエンテーションにおいて、在留カードの携帯義務と紛失時のリスクを明確に説明する必要があります。

採用面接時に「在留カードを無くして再交付申請中」という状況が判明した場合は、雇用前に再発行された在留カードの提示を求めることが重要です。外国人社員が在留カードの重要性を正しく理解し、適切に管理できるよう、継続的な周知徹底を図ることで紛失リスクを大幅に軽減できます。

在留カード情報の適切な記録と管理

企業における在留カード情報の管理において最も重要なのは、在留カードを預かってはいけないという法的制約を理解することです。企業は外国人社員から在留カードを取り上げることはもちろん、好意で預かることも違法行為に該当する可能性があります。

外国人社員から保管を依頼された場合も同様で、知らずにうっかり預かってしまうケースもあるため注意が必要です。技能実習生の旅券や在留カードの取り上げが不正行為として出入国在留管理庁に摘発された事例もあることから、企業は適切な管理体制を構築し、法的責任を十分に理解しておく必要があります。

紛失時の対応マニュアルの整備

企業担当者は外国人社員と同様に正しい知識を学び、不測の事態に対応できるよう事前準備を行うことが重要です。在留カード紛失時の対応には、警察署での遺失届出から地方出入国在留管理官署での再交付申請まで複数のステップがあるため、手順を明確にしておく必要があります。

緊急時の連絡先として、最寄りの警察署、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署、必要に応じて取次行政書士や弁護士の情報をリスト化しておくことで迅速な対応が可能となります。雇用している外国人社員に用心するよう伝えていても直面する問題であるため、組織的な対応体制の整備が不可欠です。

まとめ

在留カードの紛失は、外国人社員と企業の双方に深刻なリスクをもたらす可能性があります。14日以内の再発行手続きを怠れば罰則の対象となり、企業の信頼性や外国人社員の在留資格にも影響を及ぼしかねません。迅速かつ適切な対応を行うことで、法的リスクを回避し、外国人社員の安心感を確保できます。さらに、事前の予防策と対応マニュアルの整備により、紛失トラブルを最小限に抑えることが可能です。在留カード管理の重要性を認識し、組織的な管理体制を構築することで、外国人社員が安心して働ける環境を実現できるでしょう。

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