ベトナム人の特徴と性格|国民性や仕事観・日本人との違いを徹底解説
日本の労働現場でベトナム人の存在感はいまだ非常に高い状況となっております。勤勉で真面目な国民性は日本人と共通する一方、家族優先の価値観や給与への敏感さ、残業に対する考え方には大きな違いがあります。これらの違いを理解せずに雇用すると、早期離職やコミュニケーション不全を招くリスクがあります。
本記事では、ベトナム人の特徴や仕事観、日本人との文化的相違点を解説し、採用から定着まで成功させるための実践的なポイントをお伝えします。
日本で急増するベトナム人労働者とその背景

現在、日本で働くベトナム人労働者数は、57万人(2024年10月末時点)を超え、外国人労働者全体の約4分の1を占めるまでになりました。
この背景には、日本の人手不足とベトナムの経済発展意欲という両国の事情が絡み合っています。ベトナム人材を効果的に採用・定着させるには、彼らの国民性や仕事観を正しく理解することが欠かせません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 面積 | 32万9,241平方キロメートル |
| 人口 | 約1億30万人(2023年) |
| 首都 | ハノイ |
| 民族 | キン族(越人)約86%、他に53の少数民族 |
| 言語 | ベトナム語 |
| 宗教 | 仏教、カトリック、カオダイ教他 |
なぜベトナム人労働者が日本で増えたのか
ベトナム人労働者が日本で増加している最大の理由は、日本の深刻な人手不足とベトナムの経済成長意欲という両国のニーズが合致したことにあります。日本では少子高齢化による労働力不足が進む一方、ベトナムでは若年層の人口が多く、海外での就労機会を求める人材が豊富です。
この流れを後押ししたのが、1993年に制度化された技能実習制度です。2017年には介護職の追加や実習期間の延長など制度が拡充され、受け入れ枠が広がりました。さらに2008年に日本政府が発表した「留学生30万人計画」により、ベトナムからの留学生が大幅に増加しました。
加えて、ベトナムの平均月収が約4万9千円であるのに対し、日本は約33万6千円と大きな賃金格差があることも、出稼ぎの重要な動機となっています。
在留資格から見るベトナム人の就労実態
ベトナム人労働者の在留資格を見ると、「技能実習」が最も多く約22万人で、次いで「専門的・技術的分野の在留資格」が約19万6千人となっています。特に後者は前年比22.6%増と大幅に伸びており、専門職での採用が進んでいることがわかります。
業界別では製造業が全体の38.8%を占め、建設業、介護業と続きます。また、留学生が資格外活動許可を得て週28時間までアルバイトをし、卒業後に日本企業へ就職するというキャリアパスも一般的になっています。2019年には留学生受け入れが31万人を超え、この流れがベトナム人材の日本定着を加速させています。
日本人と似ている?ベトナム人の国民性と人柄の多面性

「ベトナム人は陽気でおおらか」という一般的なイメージとは裏腹に、実際の国民性は日本人と驚くほど共通点があります。勤勉で真面目な性格、礼儀を重んじる姿勢、責任感の強さなど、多くの日本企業がベトナム人材を高く評価する理由がここにあります。
ただし、南北に細長いベトナムの地形は、地域によって異なる文化や気質を育んできました。加えて、何よりも家族を大切にする価値観は、日本の職場文化とは異なる配慮が必要です。
「勤勉で真面目」は本当?ベトナム人の基本的な気質
ベトナム人は勤勉で真面目に働く人がほとんどであり、この点は日本人との大きな共通点となっています。初対面ではシャイで恥ずかしがり屋な一面を見せますが、一度打ち解けると笑顔が絶えない親しみやすい人柄へと変わります。職場では責任感が強く、与えられた仕事に真摯に取り組む姿勢が多くの企業から高く評価されています。
また、伝統的に縫製や刺繍などの工芸品製造が盛んな文化背景から、手先が器用という特徴も持ち合わせています。この器用さは製造業における精密作業や細かい組み立て工程など、高度な技術を要する業務において大きな強みとなっています。
南北で異なる人柄:地域性が育む国民性の違い
ベトナムは南北に細長い国土を持つため、地域によって気候や文化が大きく異なり、それぞれの地域で育まれた国民性にも違いが見られます。
| 地域 | 中心都市 | 気候・文化 | 性格・気質の傾向 | 仕事での特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 北部 | ハノイ | 四季があり保守的、政治の中心 | 勤勉、真面目、計画的、規律を重んじる | 慎重な判断、上司に忠実、品質管理や事務処理が得意 |
| 中部 | フエ、ダナン | 文化的中心、挑戦的 | 努力家、忍耐強い、職人気質 | 技術習得意欲が高い、粘り強い、品質向上へのこだわり |
| 南部 | ホーチミン | 熱帯気候で開放的、経済の中心 | 楽天的、フレンドリー、開放的、楽観的 | コミュニケーション能力が高い、柔軟、接客や営業が得意 |
首都ハノイを中心とする北部の出身者は、規則や手順を重視する保守的な傾向があり、貯蓄を好む堅実な性格の持ち主が多くいます。一方、経済都市ホーチミンを中心とする南部の出身者は、より開放的で楽天的な気質を持ち、消費志向が強い傾向にあります。
家族を最優先する文化と強い絆
ベトナム人にとって家族は何よりも重要な存在であり、時には仕事よりも優先されることがあります。家族にイベントがあるときや病気になったときは、仕事を休んで側にいることが当然の行為として認識されています。
とりわけ旧正月「テト」は一年で最も重要な行事であり、家族が一堂に会するこの時期の長期休暇取得は非常に重要な意味を持ちます。
多くのベトナム人労働者にとって、日本で働く最大の目的は家族の生活向上にあります。故郷の家族への仕送りや子どもの教育費の確保といった明確な経済的目標を持って働いており、この家族を支えたいという強い思いが高い労働意欲の源泉となっているのです。
ベトナム人の働き方|仕事で重視する価値観と日本との相違点

ベトナム人は将来的なキャリアアップよりも、現時点での給与額を重視する「目先の利益」を優先する傾向があります。求人を選ぶ際も「5年後の昇給可能性」よりも「今の給与がいくらか」が判断基準となることが多く、この実利主義的な思考が日本人との大きな違いとなっています。加えて給与や待遇に対して非常に敏感であり、同じ職場で国籍や経験による給与格差がある場合、強い不満を抱きやすくなります。
不透明な給与体系や不公平な扱いは、すぐに離職の原因につながるため注意が必要です。長期雇用を実現するには、透明性のある給与体系と、努力が正当に評価される公平な制度の構築が欠かせません。
給与や待遇に敏感な実利主義的な思考
ベトナム人は将来的なキャリアアップよりも、現時点での給与額を重視する「目先の利益」を優先する傾向があります。求人を選ぶ際も「5年後の昇給可能性」よりも「今の給与がいくらか」が判断基準となることが多く、この実利主義的な思考が日本人との大きな違いとなっています。
加えて給与や待遇に対して非常に敏感であり、同じ職場で国籍や経験による給与格差がある場合、強い不満を抱きやすくなります。
不透明な給与体系や不公平な扱いは、すぐに離職の原因につながるため注意が必要です。長期雇用を実現するには、透明性のある給与体系と、努力が正当に評価される公平な制度の構築が欠かせません。
残業に対する考え方と日本の働き方とのギャップ
ベトナムにはサービス残業という文化がなく、基本的に定時で帰ることが当たり前という労働観があります。昼休みが長く昼寝をする習慣もあり、残業自体がほとんど発生しない働き方が一般的です。定時になると速やかに帰宅する姿勢は、残業を暗黙の了解で強いる日本の職場文化とは大きく異なります。
しかし一方で、目的が明確に示され、正当な残業代が支払われる場合には、稼ぐために積極的に応じるベトナム人は多くいます。「残業は多いですか」という質問は、実は「稼げる機会があるか」という意味合いで尋ねていることも少なくありません。
ただし、家族との時間を何より大切にする価値観から、過度な残業や付き合い残業には理解を得にくいという点には配慮が必要です。
キャリア形成における日本との価値観の違い
ベトナム人は一般的に転職のサイクルが早く、より良い給与や待遇を求めて転職することへの抵抗が少ない傾向にあります。日本人のような会社への忠誠心よりも、自分や家族のために良い条件の仕事を求める実利的な考え方を持っています。
一方で、会社の将来性や自身の成長機会を重視し、明確なキャリアパスが提示されることを強く求めています。技能レベルの段階的な向上目標や昇進条件、研修機会などを具体的に示すことが、モチベーション維持と人材定着につながります。
また、特定技能制度における上位資格への挑戦支援や業界特有の資格取得支援など、スキルアップへの意欲も高いことが特徴です。特に日本語学習環境の整備は高く評価され、定着率向上に直結します。
職場での共存|ベトナム人雇用を成功に導くコミュニケーション術

ベトナム人材の能力を最大限に引き出し、長期的な定着を実現するには、適切なコミュニケーションが不可欠です。言語の違いだけでなく、文化的背景による考え方やコミュニケーションスタイルの違いを理解しないまま接すると、互いの意図が正しく伝わらず、思わぬトラブルや早期離職を招くことがあります。
特にベトナム人は相手への配慮から本音を隠す傾向があり、日本人が当然と考える「察する文化」や「空気を読む」対応が通用しにくい面があります。
「大丈夫」の裏にある本音の汲み取り方
ベトナム人は相手への配慮から、問題があっても「大丈夫です」と答える傾向があります。この言葉を額面通りに受け取ると、実際には理解できていなかったり困っていたりする状況を見逃すことになり、後で大きな問題に発展する危険性があります。
また、直接的な批判や否定を避ける文化があるため、日本企業で重視される「報告・連絡・相談」が機能しにくく、トラブルが表面化するまで把握できないケースも少なくありません。このような文化的背景を踏まえ、定期的な1on1ミーティングを設けて進捗や困りごとを丁寧に確認したり、安心して質問や相談ができる環境を整えたりすることが、問題の早期発見と解決に繋がります。
明確な指示と具体的なフィードバックの重要性
ベトナム人は一般的に明確な指示を好み、「空気を読む」「察する」といった日本特有のコミュニケーション文化が通用しにくい傾向があります。日本の職場では状況から求められていることを汲み取る対応が期待されますが、曖昧な指示は混乱を招き、ミスや認識の齟齬に繋がります。
指示を出す際は、複雑な敬語や専門用語を避けて基本的な日本語を用い、一度に多くの情報を伝えるのではなく段階的に説明することが重要です。さらに、図や写真、ベトナム語に翻訳したマニュアルなど視覚的な情報を活用することで、理解度を大きく向上させることができます。
また、ベトナム人は努力に対する正当な評価を強く求めるため、定期的で具体的なフィードバックを行うことがモチベーション維持に直結します。
やってはいけないNG行動と信頼を損なう言動
ベトナム人との信頼関係を築く上で、絶対に避けるべき行動がいくつかあります。最も深刻なのが家族を軽視する発言や対応です。家族を何よりも大切にするベトナム人の価値観を理解せず、家族の事情による休暇申請を頭ごなしに否定することは、決定的な信頼喪失に繋がります。
次に注意すべきは、国籍や文化の違いを理由にした差別的な扱いです。人前での厳しい叱責や人格を否定するような言動は、深刻な関係悪化を招きます。さらに、昇給や昇進に関する約束、研修機会の提供など、一度した約束を守らないことも重大な問題です。
口約束であっても、ベトナム人はそれを真剣に受け止めており、約束の不履行は決定的な信頼失墜となり、離職の大きな要因となります。
相互理解が鍵|ベトナム人と共に働く未来

ベトナム人労働者の採用成功には、彼らの文化的背景と価値観を深く理解し、それに基づいた職場環境と支援体制の構築が不可欠です。単に採用するだけでなく、受け入れ体制を整え、長期的なキャリア支援を行うことで、企業の生産性向上と人材の成長を同時に実現する関係を築くことができます。
以下では、採用から定着、さらなる成長まで、ベトナム人材との良好な関係構築に必要な具体的なポイントを解説します。
採用成功のための受け入れ体制のポイント
採用を成功させるには、面接時から丁寧なコミュニケーションを心がけることが重要です。通訳を介して給与や業務内容について詳しく説明し、互いの期待値を擦り合わせることで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。
入社後は、先輩ベトナム人従業員によるメンター制度を導入したり、ベトナム人同士の情報共有の場を設けたりすることで、新入社員の不安を軽減し、早期定着を図ることが可能です。
さらに、文化的背景に配慮した環境づくりも欠かせません。テト期間中の特別休暇制度の導入、ベトナム語での安全教育資料や動画の提供など、彼らの文化や習慣を尊重した職場環境を整備することが、従業員満足度を高め、長期的な雇用関係の基盤となります。
長期的な関係を築くためのキャリア支援
長期的な雇用を実現するには、日本語能力の向上支援が不可欠です。業務時間内での日本語研修の実施、日本語能力試験の受験費用補助、eラーニングシステムの導入など、多様な学習支援を提供することで、従業員のスキルアップと業務効率の向上を同時に達成できます。
また、ベトナム人は自身の成長と将来性を重視するため、明確なキャリアパスの提示が重要となります。技能レベルの段階的な向上目標や昇進のための具体的な条件、研修や資格取得の機会など、長期的な成長の道筋を示すことで、高いモチベーションの維持と優秀な人材の定着につながります。
特定技能制度における上位資格への挑戦支援や業界特有の資格取得に向けた研修提供など、スキルアップの機会を積極的に提供することが、双方にとってメリットのある関係を築く鍵となります。
まとめ
ベトナム人労働者との良好な関係構築は、企業の持続的成長を実現する重要な鍵となります。日本の労働力不足が深刻化する中、勤勉で真面目なベトナム人材は貴重な戦力です。しかし、給与への敏感さ、家族優先の価値観、残業に対する考え方など、日本人とは異なる文化的背景を理解せずに雇用すると、早期離職やトラブルにつながります。彼らの国民性や仕事観を正しく理解し、明確な指示やキャリア支援、文化への配慮を行うことで、企業の生産性向上と人材の成長を同時に実現できるでしょう。