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技能実習生とは?制度の目的や受け入れ方法、今後の見通しを解説

投稿日投稿日 2026.02.12
更新日更新日 2026.02.12
技能実習生とは?制度の目的や受け入れ方法、今後の見通しを解説

技能実習制度は、開発途上国への技能移転を目的として1993年に創設された制度です。しかし、制度の目的と実態の乖離や人権侵害などの課題が指摘され、2027年4月1日に新制度「育成就労制度」へ移行することが決定しています。

本記事では、技能実習制度の基本的な仕組みから受け入れ方法、人数枠、監理団体の役割、そして今後の見通しまで、企業が技能実習生を適切に受け入れるために必要な知識を解説します。

目次

外国人技能実習制度の目的と仕組み

外国人技能実習制度は1993年に創設され、日本で培われた技能や技術を開発途上国へ移転することで、その国の経済発展を担う「人づくり」に貢献することを目的としています。2017年11月には技能実習法が施行され、技能実習生の保護と制度の適正化を図る新たな仕組みがスタートしました。

制度の本来の目的:国際貢献としての技能移転

技能実習制度の第一の目的は、日本で培われた技能や技術を開発途上国へ移転し、その国の経済発展を担う「人づくり」に貢献することです。

この制度は国際協力の推進を目指しており、1993年の創設以来、この目的は一貫して変わっていません。技能実習法では基本理念として「労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と明確に規定されており、安価な労働力の確保を目的とする制度ではないことが法律で定められています。

2017年施行の技能実習法による新制度のポイント

2017年11月に施行された技能実習法により、技能実習生の保護と制度の適正化が図られました。

主な変更点は以下の3点です。

  • 技能実習の適正な実施:技能実習計画の認定制、監理団体の許可制の導入
  • 技能実習生の保護:人権侵害行為への罰則整備や、技能実習生からの申告制度の新設
  • 制度の拡充:優良な監理団体・実習実施者における実習期間の延長(最長5年)や受け入れ人数枠の拡大

これらの変更を監督する機関として「外国人技能実習機構」が新設されています。

技能実習生の在留資格と実習期間

技能実習制度では、入国後の経過年数と技能レベルに応じて、第1号から第3号までの3つの区分が設けられています。各段階は1年目の技能修得、2・3年目の習熟、4・5年目の熟達と目的が異なり、それぞれに対応する在留資格が定められています。次の段階へ進むには、技能検定や技能実習評価試験への合格が必要です。

技能実習1号・2号・3号の区分とそれぞれの内容

技能実習は、実習生の技能レベルに応じて3つの段階に分けられています。第1号技能実習では入国後1年目に技能等の修得を目指し、第2号技能実習では2・3年目にその技能等の習熟を図ります。さらに、第3号技能実習では4・5年目に技能等の熟達を目指すことになります。

各区分の詳細は以下の表のとおりです。

区分目的期間在留資格
第1号技能実習技能等の修得入国後1年目技能実習第1号イ / 技能実習第1号ロ
第2号技能実習技能等の習熟2・3年目技能実習第2号イ / 技能実習第2号ロ
第3号技能実習技能等の熟達4・5年目技能実習第3号イ / 技能実習第3号ロ

※「イ」は企業単独型、「ロ」は団体監理型を指します。

なお、第3号技能実習へ移行する際には、原則として第3号開始前または開始後1年以内に1ヶ月以上の一時帰国が必要とされています。

次の段階へ移行するための要件

各段階への移行には、技能実習生本人が所定の試験に合格する必要があります。第1号から第2号への移行では、技能検定基礎級または技能実習評価試験の学科試験と実技試験の両方に合格しなければなりません。第2号から第3号への移行では、技能検定3級または技能実習評価試験の実技試験に合格することが求められます。

特に第3号技能実習については、技能検定合格率などの基準で高い水準を満たした「優良」な監理団体および実習実施者のみが実施できることになっています。この優良要件への適合が、実習期間を最長5年まで延長できる条件となっています。

技能実習生を受け入れるための具体的な方法と流れ

技能実習生の受け入れには2つの方式があります。中小企業の多くは、監理団体を通じた団体監理型を利用しており、受け入れには技能実習計画の認定申請や在留資格の取得など、複数のステップを経る必要があります。

受け入れ方式の種類:企業単独型と団体監理型

技能実習生の受け入れには以下の2つの方式があります。

  • 企業単独型:日本の企業が海外の現地法人や取引先企業の職員を直接受け入れる方式。海外に拠点を持つ大企業などが対象となる。
  • 団体監理型:事業協同組合や商工会などの非営利団体(監理団体)が実習生を受け入れ、傘下の企業で実習を実施する方式。中小企業の多くがこの方式を利用している。

2025年6月末時点では、在留者数ベースで団体監理型が98.4%を占めており、圧倒的多数の企業がこの方式を活用しています。

団体監理型における受け入れのステップ

団体監理型での技能実習生受け入れは、以下のステップで進みます。

1. 監理団体への申し込み:受け入れ企業が監理団体に希望する人数や職種を伝える。

2. 実習生の選考:海外の送出機関が候補者を募集・選考し、企業が面接などを行って採用を決定する。

3. 雇用契約の締結:企業と技能実習生候補者が雇用契約を結ぶ。

4. 技能実習計画の作成・認定申請:企業は監理団体の指導のもと、実習生ごとの技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構に認定を申請する。

5. 在留資格の申請:計画認定後、地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書の交付を申請する。

6. 入国・講習・実習開始:査証(ビザ)が発給され入国後、日本語や法的保護に関する講習を受け、各企業での実習を開始する。

これらの手続きには数ヶ月を要するため、計画的な準備が必要です。

技能実習生の受け入れ人数枠と企業の要件

技能実習生の受け入れには、企業の常勤職員数に応じた人数制限が設けられています。また、第3号技能実習の実施や受け入れ人数枠の拡大といった優遇措置を受けるには、技能検定合格率や法令遵守状況などの基準を満たし、「優良な実習実施者」として認定される必要があります。

常勤職員数に応じた受け入れ人数の上限

実習実施者が受け入れられる技能実習生の数には、常勤職員数に応じた上限が定められています。団体監理型における基本人数枠は以下のとおりです。

実習実施者の常勤職員総数基本人数枠(第1号技能実習生)
30人以下3人
31人~40人4人
41人~50人5人
51人~100人6人
101人~200人10人
201人~300人15人
301人以上常勤職員総数の20分の1

なお、第2号技能実習生は基本人数枠の2倍まで受け入れが可能です。優良な実習実施者として認定された場合は、第1号が基本人数枠の2倍、第2号が4倍、第3号が6倍まで拡大されます。

優良な実習実施者と認定されるための基準

第3号技能実習の実施や受け入れ人数枠の拡大を受けるには、「優良な実習実施者」として認定される必要があります。優良認定は、技能等の修得実績や法令違反の状況、技能実習生への待遇などを点数化し、合計点が満点の6割以上であることが基準です。

主な評価項目は以下のとおりです。

  • 過去の技能検定等の合格率
  • 技能実習指導員や生活指導員の講習受講歴
  • 技能実習生の賃金や昇給率、住環境への配慮
  • 法令違反の有無や失踪者の割合
  • 母国語での相談体制の整備

これらの項目を総合的に評価し、高い水準を満たした企業のみが優良認定を受けられます。

制度を支える監理団体と送出機関の役割

技能実習制度の適正な運用には、日本国内の監理団体と送出し国の送出機関が重要な役割を果たしています。監理団体は企業への監査や技能実習生の相談対応を通じて実習全体を監督し、送出機関は母国での人材募集や選考、日本語教育などを担います。両機関の質が技能実習の成果を左右するため、適切な機関の選定が欠かせません。

監理団体の役割と許可基準

監理団体は、技能実習計画作成の指導、3ヶ月に1回以上の企業への定期監査、技能実習生からの相談対応など、実習全体を監督・支援する役割を担っています。監理事業を行うには主務大臣の許可が必要であり、営利を目的としない法人であることや、定期監査を適切に実施できる体制を整えていることなどが許可基準となっています。

しかし、法律で定められた定期監査を実施しない監理団体も存在するため、企業は監理団体を選ぶ際に注意が必要です。監理団体の質によって実習の成果が大きく左右されるため、定期監査の実施状況や相談への対応姿勢を確認し、法令を遵守して手厚いサポートを行う優良な団体を選ぶことが重要です。

送出機関の役割と二国間取決め

送出機関は、技能実習生の母国において、日本で働きたい希望者の募集、選考、日本語教育、送出手続きなどを行う機関です。従来、悪質な送出機関による保証金の徴収や違約金契約などの問題があったため、日本政府と送出し国政府との間で「二国間取決め」を作成しています。

この取決めに基づき、送出し国政府が自国の送出機関の適格性を個別に審査し、適正な送出機関のみを認定する仕組みが構築されました。認定基準には、制度の趣旨を理解した人材の選定、帰国者への就職支援、保証金の徴収や違約金契約の禁止、人権侵害の防止などが含まれています。現在は、送出し国政府が認定した送出機関からのみ技能実習生を受け入れることになっています。

技能実習制度が抱える課題と今後の見通し

技能実習制度は長年にわたり運用されてきましたが、制度の目的と実態の乖離や人権侵害の問題など、さまざまな課題が指摘されてきました。こうした問題を受けて、政府の有識者会議で技能実習制度の廃止が提言され、2024年6月に新制度「育成就労制度」への移行を定めた関連法が可決・成立しました。

制度が抱える主な問題点

技能実習制度の最大の問題は、「国際貢献のための技能移転」という建前と、「人手不足解消のための労働力確保」という実態との乖離です。技能実習法では「労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と規定されていますが、実際には多くの企業が労働力として技能実習生を活用しており、この矛盾が多くの問題を引き起こしています。

低賃金や長時間労働、人権侵害といった劣悪な労働環境が原因で、技能実習生が失踪するケースが後を絶ちません。送出機関による高額な手数料の徴収や違約金契約、監理団体による不適切な監査や虚偽報告といった制度運用上の問題も指摘されており、これらが技能実習生の権利を脅かす要因となっています。

新制度「育成就労制度」への移行

これらの問題点を受けて、2023年11月に政府の有識者会議で技能実習制度の廃止が提言され、2024年6月に新制度「育成就労制度」への移行を定めた関連法が可決・成立しました。新制度は、従来の「国際貢献のための人づくり」という目的から、「特定技能1号水準の人材育成」と「人材確保」を明確な目的とする制度へと転換されます。

転職(転籍)についても、従来は原則として認められていませんでしたが、育成就労制度では就労開始から一定期間経過後に本人の意向による転籍が可能となります。転籍制限期間は1年を目指しつつも、当分の間は産業分野ごとに業務内容等を踏まえて1年から2年の範囲内で設定されることになっており、技能実習生の権利保護が強化される方向で見直しが進められています。育成就労制度は2027年4月1日から施行されることが決定しており、段階的に移行が進められる見通しです。

まとめ

技能実習制度を適切に活用するためには、制度の目的や仕組みを正しく理解することが不可欠です。国際貢献としての技能移転という本来の趣旨を踏まえつつ、受け入れ手続きや人数枠、監理団体の選定など、実務面での要件を把握することで、適法かつ効果的な外国人材の受け入れが実現できます。

現在、制度は育成就労制度への移行が進められており、転籍の緩和など技能実習生の権利保護が強化される方向にあります。こうした変化を先取りし、適切な準備を進めることで、企業は持続可能な人材確保と円滑な制度移行を実現できるでしょう。

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