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宿泊業の外国人材活用ガイド 制度理解と定着の秘訣

投稿日投稿日 2026.08.05
更新日更新日 2026.08.05
宿泊業の外国人材活用ガイド 制度理解と定着の秘訣
目次

「求人を出しても応募がない」「日本人スタッフだけでは繁忙期を乗り切れない」——そんな悩みを抱える旅館・ホテルの経営者さま、採用担当者さまへ。この記事では、宿泊業における外国人材活用の基礎知識として、特定技能で任せられる業務範囲や語学対応の工夫、受け入れによるメリットまでわかりやすくご紹介します。

宿泊業で外国人材を活用するとはどういうことか

宿泊業で外国人材を活用するとはどういうことか

宿泊業における外国人材活用とは、特定技能の在留資格を持つ外国人スタッフに、フロント業務や接客対応など宿泊サービス提供に関わる主たる業務を任せることです。特定技能の場合、客室清掃は付随的に担当できる業務であり、専ら清掃のみに従事させることはできません。人手不足に悩む旅館・ホテルが活用できる制度の全体像と、担当できる業務範囲を以下で説明します。

「特定技能」とは何か:宿泊業で使える在留資格をざっくり理解する

特定技能は、国内での人材確保が難しい分野において即戦力となる外国人を受け入れるために創設された在留資格です。特定技能で、宿泊業が認められた背景として、宿泊業での人手不足の深刻化があげられます。特定技能が創設される前の2017年において、宿泊分野に係る職業の有効求人倍率は6.15倍となっています。

在留資格には1号と2号があり、1号は受け入れ分野で即戦力として活動するために必要な知識または経験を有する人材が対象、2号は受け入れ分野で熟練した技能を有する人材が対象とされています。これまで、特定技能2号は建設業と造船・舶用工業の2分野のみでしたが、2023年に対象分野が拡大しており、宿泊分野も2号の対象です。

似た制度に「技術・人文知識・国際業務(技人国)」がありますが、技人国は専門的な技術や知識が必要な業務に従事するためのビザで、単純労働は認められていないのが特徴です。一方で特定技能は、宿泊サービス業務を幅広く従事できて、さらには単純作業も付随的におこなうことができる点が大きな違いといえるでしょう。

外国人材が担える業務範囲:フロント・客室清掃・レストランサービスなど

特定技能「宿泊」の外国人材は、宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の宿泊サービスの提供に係る業務を幅広く担当できます。主な業務は以下のとおりです。

業務カテゴリ具体的な内容
フロント業務チェックイン・チェックアウト、観光地情報の案内、電話対応など
企画・広報業務キャンペーンの立案、館内案内チラシの作成、ウェブサイトやSNSでの情報発信など
接客業務館内案内、宿泊客からの問い合わせ対応など
レストランサービス業務注文への応対、配膳・片付け、料理の下ごしらえや盛りつけなど

一方、客室清掃やベッドメイキングは主たる業務には含まれておらず、客室清掃は主たる業務に従事する日本人が通常従事するものであると考えられ、付随的業務であると考えられます。そのため、主たる業務においても「幅広く従事」する必要があるとされており、客室清掃だけをすることは認められないとされている点に注意しましょう。

なぜ今、宿泊業で外国人材の活用が広がっているのか

なぜ今、宿泊業で外国人材の活用が広がっているのか

宿泊業で外国人材の活用が広がっている背景には、慢性的な人手不足と、訪日外国人の急増によるインバウンド需要の回復という2つの要因が重なっていることがあります。それぞれの現状を詳しく見ていきましょう。

深刻な人手不足とインバウンド需要回復が重なる宿泊業界の現状

正社員不足としたホテル・旅館業は2023年1月で全体の77.8%から少し緩和がされつつあるものの、2025年1月でも60.2%のホテル・旅館が正社員が不足していると回答しています。同様に非正社員に関しても、50%のホテル・旅館が不足していると考えています。特にホテル業界の正社員不足率は72.6%と、全産業の中でも特に深刻となっています。

さらに、新型コロナ前の2017年の宿泊業分野における有効求人倍率は6.15倍と極めて高い水準となっていました。加えて、2025年の訪日外国人旅行者数(年間推計値)は、累計4268万3600人となり、初めて4000万人を突破した。過去最高だった2024年(3687万148人)を15.8%上回り、過去最高を更新した。需要の回復スピードに、現場の人員体制が追いついていないのが実情です。

日本人採用だけでは補えない繁忙期の人員確保という課題

宿泊業・飲食サービス業の平均賃金は全産業のなかで最も低く月収25.9万円で、全体平均の31.8万よりも大きく下回っています。賃金水準の低さは、日本人求職者が他業種を選ぶ要因のひとつになっていると考えられます。

また、2025年6月時点の宿泊業・飲食サービス業(接客・給仕職業従事者)の有効求人倍率は2.53倍と依然として高めです。求人があっても人材が集まらない「未充足求人」がある事業所の割合は…宿泊業・飲食サービス業は67%と、全産業の中でも上位に位置しています。繁忙期と閑散期の差が大きい宿泊業特有の事情もあり、日本人採用だけに頼る体制には限界が見えてきています。

特定技能外国人を受け入れるための基本的な手順

特定技能外国人を受け入れるための基本的な手順

特定技能外国人の受け入れには、要件確認から在留資格申請まで、複数の手続きが必要です。初めて外国人材を受け入れる場合でも迷わないよう、流れと必要な要件を順番に見ていきましょう。

受け入れまでの流れを5ステップで確認する

特定技能外国人の受け入れは、大きく分けて次の5つのステップで進みます。

  1. 自社が対象分野の要件を満たしているかを確認する
  2. 求人を出し、書類選考や面接で候補者を選ぶ
  3. 候補者が技能試験と日本語試験(JLPT N4以上など)に合格していることを確認する
  4. 義務的支援10項目を含む支援計画を策定する
  5. 出入国在留管理庁へ在留資格の申請を行う

すでに国内に在留している人材を採用する場合は在留資格変更許可申請、海外から新たに呼び寄せる場合は在留資格認定証明書交付申請となり、必要な手続きや期間が異なります。求人は自社での募集のほか人材紹介会社を利用する方法もあり、その場合の紹介手数料は30万〜50万円程度が相場です。支援計画の策定を登録支援機関に委託する場合は、外国人1人あたり月額2万〜4万円程度の費用が一般的とされています。

受け入れ企業が満たすべき主な要件

宿泊分野で特定技能外国人を受け入れるには、いくつかの要件を満たす必要があります。

  • 住宅宿泊事業法に基づく民泊は対象外です。旅館業法に基づく営業許可が必要です。
  • 分野別協議会の加入は必須です。2024年6月15日以降、在留資格の申請前に加入を完了しておく必要があります。
  • フルタイム・直接雇用:派遣は農業と漁業のみ認められています。
  • 日本人と同等以上の報酬:同じ業務に従事する日本人と比較して、同等以上の報酬条件であること。

これらの要件をひとつでも満たしていないと、外国人が特定技能の在留資格を申請する時、以下の条件を受入機関が満たしていないと不許可となってしまいます。受け入れ前に自社の体制を丁寧に確認しておきましょう。

語学スキルが心配なときの実践的な対処法

語学スキルが心配なときの実践的な対処法

「日本語が話せないと困るのでは」という不安は、外国人材の採用を検討する経営者さまからよく聞かれる声です。実は、テクノロジーと工夫を組み合わせれば、語学面の不安はかなり和らげられます。具体的な対処法を見ていきましょう。

フロント業務での多言語対応はどうすればいいか

フロント業務は宿泊客と直接やり取りする場面が多く、語学力への不安を感じやすい業務です。ポケトークのようなAI翻訳機や、タブレットを使った通訳サービスを導入すれば、細かなニュアンスの伝達もしやすくなります。

さらに、多言語対応のチャットボットをウェブサイトや館内タブレットに設置すれば、よくある質問への対応をある程度自動化できます。外国人スタッフ自身の母国語対応力と、こうした翻訳機・通訳サービスを組み合わせる「テクノロジー+人」のハイブリッドな体制を整えれば、日本語力に不安があるスタッフでも安心して接客に臨みやすくなるでしょう。

日常業務でのコミュニケーションを円滑にする工夫

清掃や調理といったフロント以外の現場でも、日々の指示や引き継ぎがスムーズにいくかどうかは気になるところでしょう。まず取り入れやすいのが「やさしい日本語」の活用で、短い文で結論を先に伝えるだけでも伝わりやすさが変わってきます。

業務マニュアルを多言語化したり、写真やイラストで手順を示す図解マニュアルにしたりするのも効果的です。加えて、入社後に日本語研修の機会を用意しておくと、スタッフ自身の言語力向上にもつながり、長く安心して働いてもらいやすくなるでしょう。

外国人材を活用して得られる3つのメリット

外国人材を活用して得られる3つのメリット

宿泊業では、外国人材の活用が人手不足の補完に加え、訪日客対応や多様性の向上に寄与する場合があります。人手不足の解消だけでなく、インバウンド対応力の強化や、職場のグローバル化による効果も期待できます。まずは代表的な観点から見ていきましょう。

人手不足の解消だけではない:インバウンド対応力の強化にもつながる

2025年の訪日外国人旅行者数は累計4268万3600人となり、初めて4000万人を突破し過去最高を更新しました。訪日客との円滑なコミュニケーションは、いまや宿泊施設にとって欠かせないテーマになっています。

外国人スタッフが自身の母国語で対応できれば、同じ国や地域から訪れるお客さまに安心感を与えやすく、満足度やリピート率の向上にもつながる可能性があります。また、外国人材が加わることで職場に多様な文化背景が生まれ、接客の視点や発想の幅が広がる効果も期待できるでしょう。人手不足の解消という直接的な効果に加え、インバウンド対応力の強化や職場全体のグローバル化まで見据えて、外国人材の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

まとめ

宿泊業では、人手不足や訪日需要の回復が指摘されているとされ、外国人材の活用は現実的な選択肢の一つとなっています。特定技能をはじめとする在留資格ごとに担当できる業務範囲は異なり、宿泊分野ではフロント、企画・広報、接客、レストランサービスなどの宿泊サービス提供業務が主な業務となり、清掃や調理は主業務に付随する範囲で認められる形です。

語学面の不安は、翻訳機やチャットボットといったテクノロジーと、やさしい日本語やマニュアル整備の工夫を組み合わせることでコミュニケーション負荷を下げることができます。受け入れの手順や要件は複雑に感じられることも多いため、外国人採用の実績を持つ支援サービスに相談しながら、自社に合った形で無理なく受け入れを進めていくことをおすすめします。

宿泊業 外国人材 活用についてよくある質問

宿泊業 外国人材 活用についてよくある質問

ここでは、宿泊業の外国人材活用を検討する際によく寄せられる質問について、簡潔にお答えします。

特定技能「宿泊」の外国人材に、客室清掃だけを担当してもらうことはできますか?

できません。客室清掃は付随的な「関連業務」という位置づけのため、フロントや接客など主たる業務を幅広く担当しながら、付随的に清掃を行う形にする必要があります。

日本語があまり得意でない人材でも採用できますか?

特定技能の在留資格を取得するには日本語能力試験(JLPT)N4以上などへの合格が必要なため、一定の日本語力は備わっています。ただし細かなニュアンスの伝達には不安が残る場合もあるため、翻訳機やチャットボットの導入、やさしい日本語の活用などで補う工夫がおすすめです。

特定技能外国人の受け入れ人数に上限はありますか?

分野や時期によって受け入れの見込数が設けられる場合がありますが、詳細な人数枠は変わることがあるため、申請前に最新の情報を確認することをおすすめします。

登録支援機関への委託は必須ですか?

委託は必須ではありませんが、自社に支援体制がない場合は登録支援機関へ委託するのが一般的です。委託費用の相場は、外国人1人あたり月額2万〜4万円程度です。

特定技能と技能実習の違いは何ですか?

技能実習は母国への技術移転を目的とした制度であるのに対し、特定技能は人手不足解消のための即戦力人材受け入れを目的としています。特定技能のほうが業務の範囲が幅広く、宿泊業では清掃や配膳なども任せやすいのが特徴です。

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