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外国人の社会保険加入義務とは?不安を解消して正しく手続き

投稿日投稿日 2026.08.05
更新日更新日 2026.08.05
外国人の社会保険加入義務とは?不安を解消して正しく手続き
目次

「外国人を採用したけれど、社会保険はどう扱えばいいの?」初めて外国人を雇用する人事・労務担当者さまから、こうしたご相談をよくいただきます。結論からお伝えすると、外国人従業員も在留資格の種類にかかわらず社会保険への加入義務があります。本記事では加入条件や手続き、未加入時のリスクまで実務目線でわかりやすく解説します。

外国人を雇用したら社会保険への加入は必要?結論からわかりやすく解説

外国人を雇用したら社会保険への加入は必要?結論からわかりやすく解説

結論として、外国人従業員を雇用した場合でも、日本人と同様に、労働時間・雇用形態などの加入要件を満たす場合には、国籍にかかわらず健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険への加入が原則必須です。初めて外国人を採用する担当者さまが抱きやすい不安に寄り添いながら、まずは基本ルールを押さえていきましょう。

基本ルール:在留資格に関係なく加入義務がある

外国人労働者は、技能実習・特定技能・技術・人文知識・国際業務など在留資格の種類にかかわらず、加入条件を満たせば社会保険への加入義務が生じます。これは事業主や本人の希望で自由に選べるものではなく、法律で定められた強制加入の制度です。

実際に、厚生労働省のパンフレットでも労働・社会保険に係る法令の定めるところに従い、被保険者に該当する外国人労働者に係る適用手続等必要な手続をとることが事業主に求められています。「外国人だから加入は不要」「本人が希望しないから見送る」といった判断は認められないため、日本人従業員と同じ物差しで加入要否を確認する必要があります。

特に技能実習生についても、社会保険加入の要件に該当すれば、加入することになるとされており、在留資格の種類による例外は基本的にありません。まずはこの原則を社内で共有しておくことが、トラブル防止の第一歩になります。

日本人と異なる点はどこか

健康保険・厚生年金・雇用保険の基本的な加入条件そのものは、日本人従業員とまったく同じです。ただし外国人特有の手続きとして、在留カード情報の記載、ローマ字氏名届、外国人雇用状況の届出などが追加で必要になる点は押さえておきましょう。

さらに、脱退一時金や社会保障協定といった、外国人労働者だけに関わる独自の制度も存在します。これらは日本人雇用の実務では登場しない概念のため、初めて外国人を採用する担当者さまがつまずきやすいポイントです。次の章から、保険の種類ごとに加入条件を詳しく見ていきましょう。

外国人が加入すべき社会保険の種類と加入条件

外国人が加入すべき社会保険の種類と加入条件

外国人労働者に関係する主要な社会保険は、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険の4種類です(このうち健康保険・厚生年金保険は狭義の「社会保険」、雇用保険・労災保険は「労働保険」として区別されますが、本記事では便宜上まとめて社会保険として扱います。なお40歳以上で健康保険に加入している場合は、介護保険第2号被保険者として介護保険も関連します)。いずれも国籍を問わず、原則として国籍ではなく、事業所の適用関係や労働時間・労働日数といった労働実態に基づいて加入要否が判断されますが、短期滞在や外交などの一部の在留資格については、原則として健康保険・厚生年金保険の適用対象外となる例外もあります。それぞれの条件を具体的に見ていきましょう。

健康保険・厚生年金保険(社会保険)

健康保険と厚生年金保険はセットで加入するもので、外国人であっても日本人と同様の基準、つまり事業所が適用対象かどうか、労働時間・労働日数の要件を満たすかどうかで加入対象が決まります。国籍による特別扱いは一切ありません。

そのため、まずは自社の事業所が加入義務のある「強制適用事業所」に該当するかを確認し、そのうえで対象となる従業員の働き方をチェックする、という2段階の判断が必要になります。以下のh4で、事業所の種類とパート・アルバイトの扱いを詳しく解説します。

加入が必要な事業所の種類

健康保険・厚生年金保険には「強制適用事業所」と「任意適用事業所」の2種類があります。法人の場合は原則としてすべての事業所が強制適用事業所となり、従業員が1人でも社会保険への加入義務が生じます。

個人事業の場合は、法定17業種(製造業、土木建築業、鉱業、電気ガス事業、運送業、清掃業、物品販売業、金融保険業、保管賃貸業、教育研究調査業、医療保健業、通信報道業、法律会計事務など)に該当し、かつ常時5人以上の従業員を使用する場合に強制適用となります。これに当てはまらない個人事業は任意適用事業所となり、従業員の半数以上の同意と厚生労働大臣の認可があれば加入できる仕組みです。

外国人労働者を雇う事業所がどちらに該当するかによって、加入義務の有無が変わってくるため、まずは自社の事業形態を確認しておきましょう。

パート・アルバイトの外国人が加入するケース

パート・アルバイトとして働く外国人であっても、正社員の4分の3以上の勤務時間・日数がある場合は、フルタイムの社員と同様に社会保険への加入対象となります。

また、4分の3未満の勤務であっても、週20時間以上・月額賃金8.8万円以上・雇用期間2か月超の見込み・学生でないことなど、いわゆる短時間労働者要件を満たせば加入対象です。この基準は企業規模によって適用範囲が変わるため、自社が該当するかどうかを確認しておく必要があります。

一方、資格外活動許可を得て働く留学生は、学生であることを理由に厚生年金・健康保険の適用除外となるケースが多く見られます。ただし雇用保険や労災保険は別の基準で判断されるため、まとめて「学生だから加入不要」と判断せず、保険ごとに個別確認することが大切です。

雇用保険

雇用保険は国籍を問わず、週20時間以上の所定労働時間と31日以上の雇用見込みという要件を満たせば加入対象となります。この基準は日本人と外国人でまったく同じです。

加入手続きにおいては、雇用保険被保険者資格取得届に氏名・在留期間・国籍地域・在留資格・在留カード番号などの記載が必要になる点が、日本人従業員の手続きとの大きな違いです。在留資格「特定技能」の場合は分野まで、「特定活動」の場合は活動類型まで記載が求められるため、在留カードの記載内容を正確に確認しながら手続きを進めましょう。

加入が不要となる例外ケース

雇用保険にはいくつかの適用除外ケースがあります。代表的なのは、学校教育法上の学校に通う昼間学生です。また、在留資格「経営・管理」で自ら事業を経営する立場にある人や、「特定活動(ワーキングホリデー)」で就労する外国人も適用除外となります。

ワーキングホリデーは日本に在留する目的が「休暇」であって「就労」ではないため、雇用保険の被保険者とはならないとされています。ただし、ワーキングホリデーの在留資格を持つ外国人でも労災保険は必ず適用される点には注意が必要です。

なお、雇用保険の適用除外に該当する場合でも、外国人雇用状況の届出は別途必要です。この届出は雇入れ・離職の翌月末日までに行う必要があり、提出を怠ると30万円以下の罰金が科される可能性があるため、加入の有無にかかわらず必ず対応しましょう。

労災保険

労災保険は、在留資格の有無や不法就労かどうかにかかわらず、労働者を1人でも雇用すれば全額事業主負担で強制的に適用される保険です。日本への不法入国者や在留期限の切れた就労者、就労資格に適合しない就労者であっても、労災の給付の対象となり、労災保険は適用されるとされています。

これは「在留資格を正しく持っているかどうか」と「労災保険が適用されるかどうか」が別の問題として扱われているためです。アルバイトや短時間勤務の外国人であっても例外なく対象となり、事業主が保険料の全額を負担する仕組みになっています。療養補償給付や休業補償給付、遺族補償給付など、万一の事故や病気の際に従業員を守るための重要なセーフティネットですので、雇用形態を問わず必ず適用対象であることを覚えておきましょう。

外国人の社会保険手続きの進め方

外国人の社会保険手続きの進め方

採用時・退職時それぞれで必要な社会保険手続きの全体像を押さえておくと、実務がスムーズに進みます。社会保険手続きの基本的な流れ(加入要件・提出すべき主な届出書の種類・提出先等)は日本人と共通しており、国籍による手続き上の大きな差異はありません。ただし、雇用保険における外国人雇用状況届出や在留カード情報の記載など、外国人を対象とした追加的な記載事項・届出が求められる場面があります。

採用時に必要な手続きと提出書類

外国人従業員を採用した際は、まず在留カードを確認し、氏名・在留資格・在留期間・就労制限の有無などを正確に把握することから始めます。就労が認められる在留資格かどうかは、雇用の入り口で必ずチェックすべきポイントです。

健康保険・厚生年金保険については「被保険者資格取得届」を年金事務所または加入している健康保険組合へ提出します。マイナンバーを持っていない、またはマイナンバーと基礎年金番号が紐づいていない場合には、アルファベット氏名とカタカナ氏名を紐付ける「ローマ字氏名届」の提出も必要です。

雇用保険については「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しますが、氏名・在留期間・国籍地域・在留資格・在留カード番号・資格外活動許可の有無などの記載が求められます。雇用保険の手続きを行う場合、この届出が外国人雇用状況の届出を兼ねることができますが、雇用保険未加入の場合は別途「外国人雇用状況届出書」の提出が必要です。提出期限は、雇用保険被保険者資格取得届が雇入れ月の翌月10日まで、雇用保険の被保険者とならない外国人の外国人雇用状況届出書は翌月末日までとなっているため、スケジュール管理を徹底しましょう。

退職時に必要な手続き

外国人従業員が退職・解雇に至った場合も、基本的な手続きは日本人従業員と同様です。「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出します。雇用保険の被保険者は資格喪失届で外国人雇用状況の届出を兼ねます。被保険者でない場合は、別途、外国人雇用状況届出書を提出します。

日本人と共通する手続きに加え、外国人特有の届出として離職時の外国人雇用状況の届出があり、雇用保険の被保険者は離職日の翌日から10日以内、被保険者でない外国人は離職月の翌月末日までに届け出ます。解雇の場合は、解雇に至るまでの記録や内容もしっかりと残しておくことが必要になるでしょう。特に外国人従業員の場合、言葉の違いから理解の齟齬が生まれやすく、解雇は在留資格の維持にも直結する重大事項であるため、丁寧な説明と記録管理を心がけたいところです。

厚生年金の脱退一時金制度とは

帰国する外国人が厚生年金保険料の一部払い戻しを受けられる制度が「脱退一時金」です。日本に短期滞在する外国人労働者は、保険料を支払って年金制度に加入しても老齢年金を受け取れないケースが多く、掛け捨てを防ぐために設けられた制度です。

支給を受けるには、厚生年金の被保険者期間が6か月以上あること、老齢年金の受給資格期間(10年)を満たしていないこと、日本国内に住所がないことなど、複数の要件をすべて満たす必要があります。請求できる期限は、日本国内に住所を有しなくなった日から2年以内と定められています。

支給額は被保険者期間に応じて計算され、2021年4月の改正により上限が36か月(3年)から60か月(5年)に引き上げられました。なお、厚生年金の脱退一時金は課税対象で、支給時に20.42%の所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。「退職所得の選択課税」による申告を行うことで還付を受けられる場合がありますが、その際は納税管理人の届出が必要になる点も、退職前に本人へ説明しておくとよいでしょう。

出典:脱退一時金の制度|日本年金機構

知っておきたい2つの特例ルール

知っておきたい2つの特例ルール

外国人雇用の実務では、日本人雇用に比べて特に問題化しやすい論点が2つあります。ひとつは二重加入を防ぐ社会保障協定、もうひとつは未加入が発覚した場合のリスクという、実務上押さえておきたい論点です。どちらも見落としがちなポイントなので、しっかり押さえておきましょう。

社会保障協定:二重加入を避けるための国際ルール

海外派遣者などが日本と母国の年金制度に二重に加入し、保険料を二重払いしてしまう事態を防ぐために設けられているのが社会保障協定です。日本では主要諸外国と年金に関する社会保障協定を締結しており、条件に該当する場合は協定相手国の保障制度を選択できます。

ただし、この仕組みは協定相手国の事業所からの派遣によるものに限られ、日本での現地採用の場合は日本の社会保障制度が適用される点に注意が必要です。派遣元の国で「適用証明書」の交付を受け、日本の勤務先に提出したうえで年金事務所に届け出ることで、日本の厚生年金保険への加入が免除されます。

この制度を知らずに協定締結国からの派遣者を受け入れ、長期間にわたり自国と日本の両方で保険料を支払い続けてしまうケースもあるため、初めて協定締結国出身の外国人を受け入れる際は、事前に年金事務所へ確認しておくと安心です。

社会保険未加入・加入漏れが発覚した場合のリスク

社会保険の未加入が発覚すると、年金事務所の調査などにより強制加入となり、過去2年分の保険料を一括で徴収されるおそれがあります。これは会社にとって資金繰りを大きく圧迫するリスクであり、退職済みで連絡が取れない従業員がいる場合は、本人負担分も含めて会社が全額負担せざるを得ないケースもあります。

さらに悪質なケースと判断された場合は、健康保険法・厚生年金保険法により6か月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が科される可能性があります。雇用保険・労災保険についても、未加入が発覚すれば過去2年分の保険料に加えて追徴金が徴収されるうえ、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となる場合があります。

企業側のリスクに加えて見逃せないのが、外国人従業員本人への影響です。出入国在留管理庁の在留資格審査では、社会保険の加入状況が確認されるケースがあり、未加入や滞納があると次回のビザ更新に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。さらに、政府は国民健康保険料や国民年金保険料を滞納している外国人に対し、在留資格の更新や変更を原則として認めない仕組みを2027年6月から導入する方針を固めています。この新制度ではすべての在留資格の更新・変更が対象となる見込みで、勤務先の社会保険加入状況が従業員のキャリアに直結する時代がすぐそこまで来ています。加入漏れは「気づいた時点で速やかに是正する」ことが、企業と従業員双方を守る最善策といえるでしょう。

出典:社会保険に未加入だと違法?罰則?発覚時の対応や加入条件も解説|社労士クラウド

まとめ

まとめ

外国人従業員も、在留資格の種類にかかわらず日本人と同じ基準で健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険への加入義務が生じます。加入条件は労働時間や事業所の形態によって判断され、パート・アルバイトであっても要件を満たせば対象となる点がポイントです。

さらに、脱退一時金や社会保障協定といった外国人特有の制度、未加入時の遡及徴収や罰則、在留資格更新への影響といったリスクも押さえておく必要があります。手続きは複雑で法改正も多いため、不安な場合は社会保険労務士や外国人採用支援サービスなど専門家の力を借りながら、確実に法令遵守した対応を進めていきましょう。

外国人 社会保険 加入義務についてよくある質問

外国人 社会保険 加入義務についてよくある質問

外国人 社会保険 加入義務についてよくある質問

ここでは、外国人雇用の社会保険加入義務について、担当者さまからよく寄せられる質問にお答えします。実務で迷いやすいポイントをまとめましたので、ぜひご確認ください。

留学生アルバイトも社会保険は必要ですか?

労働時間や雇用形態によって異なります。健康保険・厚生年金の適用は、原則として「通常の労働者の4分の3以上」の労働時間・労働日数があるか、あるいは短時間労働者の要件(週20時間以上、賃金月額8.8万円以上、2か月超の雇用見込み、学生でないことなど)に該当するかで判断されます。なお、「週28時間以内」は資格外活動の在留資格上の就労時間制限であり、社会保険の加入要件そのものではありません。社会保険への加入は労働時間・労働日数・雇用形態・事業所の状況などの要件で判断されるため、資格外活動の時間制限内で働く留学生アルバイトであっても、事業所の通常の労働者の所定労働時間が短い場合など、条件によっては学生であっても加入義務が生じる可能性があり、個別の労働条件(正社員の所定労働時間・日数)に基づく判断が必要です。雇用保険は原則として週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあることが加入要件となり、昼間学生である留学生は原則適用除外とされていますが、通信制・定時制・夜間学生などは例外的に対象となる場合があります。一方、労災保険は国籍や在留資格にかかわらず、労働者を一人でも使用する事業場で原則として適用されます。留学生アルバイトについても、これらの法定要件に基づいて判断する必要があります。

未加入のまま在留資格は更新できますか?

在留資格の更新・変更審査において、社会保険や税の納付状況が確認される場合があり、未加入や長期滞納が審査上の懸念材料となる可能性があります。保険料滞納に対する審査が厳格化しているとする解説もあるため、早めの加入手続きが重要です。

脱退一時金はいつ、誰が申請しますか?

日本国内に住所を有しなくなった日から2年以内に、老齢年金を受ける権利がないことや一定の加入期間があることなどの要件を満たす外国人従業員本人が、日本年金機構に請求する制度です。請求者はあくまで本人であり、必要な書類や手続き(署名押印の要否等)は最新の手続案内に沿って確認する必要があります。実務上、会社が書類作成のサポートや郵送代行を行うことはあるため、退職前に案内しておくとスムーズです。

技能実習生や特定技能の外国人も社会保険は同じ扱いですか?

はい。技能実習や特定技能などの在留資格で働く外国人も、健康保険・厚生年金・労災保険については日本人と同様に、要件を満たせば加入義務が生じます。一方、雇用保険については在留資格というより「学生かどうか」による適用除外があり、昼間学生(留学等)は原則として雇用保険の適用対象外です(通信制・定時制・夜間学生などは例外的に対象となる場合があります)。在留資格の種類だけで社会保険の適用が決まるわけではない点に留意が必要です。

社会保険未加入が発覚した場合、いつまで遡って保険料を払う必要がありますか?

社会保険(健康保険・厚生年金保険)の保険料については、原則として徴収に時効があり、一般に2年分が問題となります。未加入期間が遡及適用された場合、事業主は事業主負担分だけでなく、元従業員分の保険料についても一時的に立替納付を求められる場合があります。その後、本人分については労働者に請求・精算する余地はありますが、既に退職している場合は回収が困難となるケースが多いため、結果として会社が実質負担する可能性があります。早期の是正が望まれます。

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