在留カード確認方法を企業向けに手順で解説し不安を解消
外国人従業員を採用するとき、在留カードの確認方法が分からず不安を感じている人事・採用担当者の方は少なくありません。確認不足のまま雇用すると、企業が不法就労助長罪に問われるおそれもあります。この記事では、在留カードで確認すべき項目と具体的な手順を、初めて外国人採用を担当する方にも分かりやすく解説します。
企業が在留カードで確認すべき4つのチェック項目

外国人従業員を採用・雇用継続するとき、企業が在留カードで確認すべき項目は大きく4つあります。在留資格の種類、在留期限、就労制限の有無、カードの真偽です。それぞれの見方を順番に見ていきましょう。
①在留資格の種類(就労できる資格かどうか)
在留カードの表面には「在留資格」欄があり、その方がどのような活動を許可されているかが記載されています。永住者や技術・人文知識・国際業務などは就労が認められていますが、留学や家族滞在は本来就労を目的とした資格ではありません。就労資格でない外国人を働かせることはできないため、可否を確認する必要があります。自社が任せたい業務内容が、在留資格で認められた活動範囲に収まっているかを必ず照らし合わせましょう。本人が「働ける」と話していても、範囲外の業務をさせると不法就労にあたるおそれがあります。
②在留期限(有効期間内かどうか)
在留カード表面の下段には「在留期限(満了日)」が記載されています。まずはこの日付が過ぎていないかを確認しましょう。なお、在留期間満了日までに在留資格変更許可か在留期間更新許可の申請をした場合、入管から申請の結果が来ない限り、表面の在留期間の満了日から2カ月を経過する日まで有効となります。これを特例期間と呼びます。特例期間を知らずに「期限切れだから」と判断してしまうと、逆にトラブルの原因になることもあるため、裏面の記載も合わせて確認する姿勢が大切です。なお、オンライン申請の場合は在留カード裏面に「申請中」の記載がされません。そのため、入管から送付される申請受付番号等が記載された受付完了メールが、申請中であることを証明する書類となります。在留期限を過ぎた雇用継続はオーバーステイや不法就労に直結するため、次に解説する就労制限の確認と合わせて必ずチェックしましょう。
③就労制限の有無(働ける業種・時間の制限)
在留カード表面には「就労制限の有無」欄があり、「就労制限の制限なし」の記載がある場合には雇用することができます。「就労不可」の記載があると原則として雇用することはできませんが、裏面の「資格外活動許可」欄に許可の記載がある場合には、その内容に応じた就労をさせることができます。具体的には資格外活動許可がある場合、週28時間、風俗営業を除く仕事はできますので、裏面を見落とさないようにしましょう。この欄の確認漏れは、そのまま不法就労助長罪のリスクにつながります。
④カードの真偽(偽造・変造されていないか)
近年、券面の偽造技術が精巧化しており、有効な在留カード番号を悪用した偽変造カードの作成事案が増加しています。在留カードには「MOJ」の透かし文字やホログラムなど複数の偽変造防止技術が施されていますが、ホログラムなど偽造の在留カードでも似たものを付けることは可能とされており、目視だけでは本物と見分けがつかないケースも出てきているのが実情です。目視確認だけに頼らず、次章で紹介する読取アプリや失効情報照会と組み合わせることが、確実な確認につながります。
なぜ企業が在留カードを確認しなければならないのか

前章で紹介したチェック項目を怠ると、企業は入管法上の責任を問われる可能性があります。ここでは在留カード確認を軽視できない理由を、法的リスクの面から解説します。
確認を怠ると「不法就労助長罪」に問われるリスクがある
外国人に不法就労をさせた事業主は、入管法第73条の2に基づく不法就労助長罪に問われます。現在の罰則は3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科ですが、2024年6月公布の改正入管法により、2027年4月1日からは5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその併科に引き上げられます。不法就労助長罪には両罰規定があり、違反した従業員本人だけでなく法人自体にも罰金刑が科される可能性があります。派遣で外国人を受け入れている場合も油断はできません。派遣会社から送られてきた外国人が不法就労だった場合でも、受け入れ先企業が明らかに不自然な状況を黙認したと判断されれば、助長罪に問われることがあります。
「知らなかった」では免責されない
不法就労助長罪の怖いところは、故意でなくても処罰の対象になる点です。外国人が不法就労にあたることを知らなかったとしても、確認を怠った過失があれば処罰を免れないと規定されています。実際に、従業員の在留期間が切れていることに気づかず就労を継続させ、在留カード現物の確認を怠ったとして法人と代表者双方が書類送検され、罰金刑が科された事例も報告されています。「本人が更新したと言っていたから」という思い込みは通用しません。だからこそ、日頃から在留カードを確認する社内体制を整えておくことが欠かせないのです。
在留カードの確認手順【ステップごとに解説】

ここからは、採用時や雇用継続時に実際に行うべき確認作業を、実務上の整理として5つのステップで解説します。目視確認からアプリ・オンライン照会、記録管理まで、順番に進めれば迷わず対応できます。
ステップ1:目視でカードの真偽を確認する
まずは在留カードの原本を受け取り、目視でできる偽変造防止対策を確認します。顔写真中段のホログラムはカードを左右に傾けると3D的に動き、カード左端は上下に傾けると色が変化します。暗い場所で表面から強い光を当てると、MOJの透かし文字が浮かび上がります。写真の貼付状態に不自然な浮きやズレがないかも合わせて見ておきましょう。ただし前章で触れたとおり目視だけでは巧妙な偽造を見抜けないこともあるため、次のステップと必ずセットで行うようにしてください。
ステップ2:在留カード等読取アプリで偽造チェックをする
出入国在留管理庁は「在留カード等読取アプリケーション」を無料で提供しています。入手先はWindowsがMicrosoft Store、MacがMac App Store、AndroidがGoogle Play、iOSがApp Storeです。スマートフォンの場合はNFC機能を使い、カードをかざすだけでICチップ内のデータを読み取れます。ICチップを読み取り、券面の記載内容と照合することで偽変造の有無を簡単に確認でき、雇用契約時など身分確認が必要な場面で活用できます。利用には本人の同意が必要です。読み取った情報と券面の氏名・在留資格などが一致しているかを一つずつ照らし合わせましょう。
ステップ3:出入国在留管理庁のサイトでカード番号の失効を確認する
続いて、公式サイトの「在留カード等番号失効情報照会」を利用します。失効した在留カード等の番号及び有効期間の満了日を入力することで、当該番号が失効していないか確認できるサービスです。入力する情報は原本に基づいて確認し、カード表面右上の12桁の番号と有効期間満了日を正確に入力します。誰が、いつ、どの番号を照会したかという履歴や記録は残らず、匿名で何度でも利用できます。ただし問合せ結果は在留カード等自体の有効性を証明するものではなく、在留カード券面の偽変造の有無の確認のため、読取アプリケーションとの併用が推奨されています。
ステップ4:在留資格と就労制限の内容を確認する
アプリとオンライン照会でカードの真正性と有効性を確認したら、改めて在留資格欄・就労制限の有無欄・資格外活動許可欄を見比べます。読み取ったICチップの情報と券面の記載(氏名・在留資格・在留期間など)が一致しているか、顔写真が本人と一致しているかを確認します。不一致がある場合は偽造や書き換えの可能性があるため、採用手続を進めず関係機関へ相談してください。自社の業務内容が、就労可能な範囲に収まっているかをこの段階で最終確認しましょう。
ステップ5:在留期限をカレンダーに記録し定期的に再確認する
確認作業は採用時だけで終わりではありません。企業は従業員の在留期限を把握し、更新手続きを適切に管理する責任があります。確認を怠ったがために不法就労を助長しないよう、在留カードの有効期限は必ず把握しておかなければなりません。従業員ごとの満了日をカレンダーや台帳で管理し、更新時期が近づいたら早めに本人へ声をかける運用が安心です。在留期間更新後にカードが新しくなった場合や、長期雇用中に更新があった場合は、その都度確認することで不法就労リスクを避けられます。更新後は失効情報照会とアプリ読取を再び行い、記録を更新しておきましょう。
確認時に覚えておきたい注意点

確認手順を実践するうえで、見落とされがちなポイントが2つあります。原本確認の徹底と、偽造・不備が見つかったときの対応です。日々の運用で陥りやすいミスを防ぐために押さえておきましょう。
必ず原本を直接確認する(コピーは不可)
コピーやスキャン画像では偽造や改ざんを見抜けないため、原本の確認を厳守してください。写真データやPDFで済ませてしまうと、加工の痕跡を見落とすおそれがあります。外国人を採用することになった場合は、必ず原本を確認し、在留カードのコピーをとっておきましょう。原本確認の際は、顔写真と本人の顔立ちが一致しているかも忘れずに見比べてください。他人の在留カードを借りて使う「なりすまし」を防ぐためにも欠かせない工程です。
偽造・不備を発見したときの対応
確認の結果、偽造の疑いや在留期限切れなどの不備が見つかった場合は、慌てずに手順を踏みましょう。まず本人へ事実確認を行い、雇用契約は一時保留にします。確認不足で不法就労の外国人を雇用してしまったことが判明した場合、そのまま雇用し続けると雇用主が不法就労助長罪に問われます。判明したら即時就労停止・自宅待機とし、専門家に相談しましょう。偽変造が疑われる在留カード等を発見した場合には、お近くの地方出入国在留管理官署にお問い合わせください。悪質性が疑われる場合は警察署への相談も検討し、慎重かつ迅速に対応することが企業を守ることにつながります。
まとめ

外国人従業員を雇用するときは、在留カードの在留資格・在留期限・就労制限・真偽という4点を確認しましょう。あわせて出入国在留管理庁の読取アプリと失効情報照会を活用すれば、偽造や失効の見落としを防げます。確認を怠ると不法就労助長罪に問われるおそれがあります。知らなかったでは済まされません。採用時だけでなく雇用継続中も定期的にチェックする体制を整えましょう。そのうえで、安心して外国人材と働ける環境をつくっていきましょう。
在留カード 確認方法 企業についてよくある質問

在留カードはコピーやスマートフォンの写真データで確認しても良いですか?
コピーやスキャン画像、写真データでは原本確認に比べて偽造確認が難しいため、原本での確認が推奨されます。原本を対面で確認し、必要に応じて記録を残す運用が推奨されます。
在留カード等番号失効情報照会を使うと、照会した記録は残りますか?
一般利用者向けには、誰が、いつ、どの番号を照会したかという照会履歴は表示・保存されないと案内されています。無料で利用でき、必要に応じて繰り返し照会できます。
面接時に外国人応募者が在留カードを提示してくれない場合はどうすれば良いですか?
提示がなければ在留資格や就労制限を確認できないため、採用判断は保留にしましょう。原本の提示を条件として説明し、それでも提示が難しい場合は理由を確認したうえで、必要に応じて地方出入国在留管理官署へ相談することをおすすめします。
派遣社員として受け入れる外国人の在留カード確認は、派遣元・派遣先のどちらが行うべきですか?
派遣元だけに任せきりにするのは危険です。派遣先企業も、派遣元から送られてきた外国人の不法就労の疑いを見過ごさないよう確認が必要です。受け入れ企業側でも原本確認を行う習慣をつけましょう。
読取アプリで問題がなければ、失効情報照会は省略しても大丈夫ですか?
どちらか一方では確認として不十分です。在留カード等読取アプリケーションと失効情報照会の併用が、券面の偽変造の有無を確認する方法として推奨されています。両方をセットで行う運用を社内ルールにしておくと安心です。