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外国人採用の試用期間設定で失敗しない安心ガイド

投稿日投稿日 2026.08.26
更新日更新日 2026.08.26
外国人採用の試用期間設定で失敗しない安心ガイド
目次

外国人採用が決まり、いよいよ雇用契約を結ぶ段階で「試用期間はどう設定すればいいの?」と迷っていませんか。外国人採用の試用期間設定は、日本人採用と同じ感覚で進めると在留資格や労働基準法との整合性でつまずくことがあります。この記事では、試用期間中の労働条件・在留資格との整合・本採用拒否の判断基準まで、初めて外国人材を受け入れる人事担当者さまが押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。

外国人採用の試用期間設定、まず押さえるべき3つのポイント

外国人採用の試用期間設定、まず押さえるべき3つのポイント

外国人にも日本人と同じく試用期間を設けられますが、注意すべき点が3つあります。在留資格との整合性、労働基準法の適用、本採用拒否のリスク管理です。順番に見ていきましょう。

試用期間は設けられるが「在留資格との整合」が最重要

外国人労働者にも試用期間を設定すること自体は問題ありません。ただし、試用期間中に任せる業務が在留資格で許可された範囲を超えていないか確認することが欠かせません。不法滞在の外国人を雇用している会社も本人同様に不法就労助長罪として責任が問われる場合があります。現在の罰則は3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(又は併科)ですが、2027年4月1日からは5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金(又は併科)に引き上げられます。

試用期間だからといって多様な部署をお試しで経験させると、資格外活動に該当してしまう恐れがあるため、業務内容は事前に在留カードの記載と照らし合わせておきましょう。

試用期間中も労働基準法は完全に適用される

試用期間中の外国人労働者にも、労働基準法をはじめとする労働関係法令は日本人と変わらず適用されます。外国人であっても日本国内の事業所で働く限り、労働基準法・労働契約法・最低賃金法・労働安全衛生法・労働者災害補償保険法などの労働関係の法律や、健康保険法・厚生年金保険法などの社会保険関係の法律は日本人に対するのと同じように外国人従業員にも平等に適用されます。解雇予告についても、労働基準法第21条では「試みの使用期間中の者」については、入社から14日以内であればこの解雇予告の手続きが不要とされていますが、14日を超えれば通常の解雇と同じ手続きが必要になる点は見落としがちなので注意しましょう。

試用期間は「本採用拒否のリスク管理」に直結する

試用期間は本来、採用時にはわからなかった適性を見極めるための期間です。しかし試用期間満了後の本採用拒否は、法律上「解雇」に準じて扱われます。解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする労働契約法第16条が適用されることになります。つまり「なんとなく合わなかった」という主観的な理由だけでは、本採用拒否は認められにくいということです。この点は後の見出しで詳しく解説します。

外国人採用で試用期間を設ける前に確認すべき在留資格のルール

外国人採用で試用期間を設ける前に確認すべき在留資格のルール

試用期間を設定する前に、そもそも外国人労働者が持つ在留資格でどこまでの業務・期間の就労が認められているかを確認する必要があります。ここでは在留資格の基本ルールと、実務でよく扱う資格について解説します。

在留資格ごとに就労できる業務・期間が決まっている

在留資格は大きく分けて、就労に制限がない身分系(永住者・日本人の配偶者等など)、特定の業務のみ就労できる就労系(技術・人文知識・国際業務、特定技能など)、原則就労が認められない活動制限系(留学など)に分類されます。試用期間中であっても、配置転換や業務変更によって在留資格の範囲を超える仕事をさせてしまうと違法な就労になりかねません。試用期間中の業務内容は入社前に決めた職務内容と一致しているか、都度チェックする習慣をつけましょう。

試用期間中に在留資格の期限が切れるケースに注意

試用期間の途中や満了前後に、たまたま在留期限が到来してしまうケースは珍しくありません。在留期間の更新は、6か月以上の在留期間を有する者については在留期間の満了する概ね3か月前から申請を受け付けていますので、雇用契約締結時から更新スケジュールを見込んでおくことが大切です。更新手続きを怠ると不法就労状態になり、雇用契約締結時の期間設計そのものが崩れてしまうため、試用期間の開始前に在留期限を必ず確認しておきましょう。

特定技能・技術人文知識国際業務など主要な在留資格と試用期間の関係

中小企業の採用担当者がよく扱う在留資格に「技術・人文知識・国際業務(技人国)」と「特定技能」があります。技人国ビザで外国人に働いてもらう場合、学歴(職歴)と業務の関連性が最重要です。試用期間中に予定と異なる業務を任せると、この関連性が崩れてしまうリスクがあります。一方、特定技能は、指定された特定産業分野に属する業務に限定されますが、転職は同一分野内であれば可能です。

項目技術・人文知識・国際業務特定技能
学歴・専攻の関連性重視される求められない(技能試験等が中心)
就労可能な業務専門的なホワイトカラー業務指定された特定産業分野の業務
転籍のしやすさ学歴・職歴との関連が条件同一分野内であれば比較的可能

試用期間中の配置や業務指示は、この表の違いを踏まえて設計すると安心です。

試用期間中の労働条件で外国人採用特有の注意点

試用期間中の労働条件で外国人採用特有の注意点

試用期間中の労働条件は、外国人労働者を採用する際に実務上とくに重視すべきポイントとして見直しが必要です。賃金・待遇の同等性、契約内容の理解確保、社会保険の加入義務という3つの観点は、いずれも日本人を含む全労働者に共通して適用される一般的な法的義務ですが、外国人採用にあたっては在留資格審査や言語・理解面でより慎重な対応が求められるため、確認しましょう。

試用期間中の賃金・待遇は日本人と同等にする必要がある

試用期間中であっても最低賃金法は適用され、外国人だからという理由で不当に低い賃金を設定することはできません。在留資格の審査でも、給与が同種の業務に従事する日本人と同等以上であることが求められます。試用期間中の給与を本採用時より下げる場合は、その理由と金額差を雇用契約書に明記し、日本人従業員との待遇差が不当な差別にあたらないよう配慮することが大切です。賃金差別が発覚すると、在留資格の更新審査や労務トラブルの両面でリスクを抱えることになります。

雇用契約書は母国語併記が望ましい理由

日本語での理解が十分でない外国人労働者に日本語のみの契約書を渡すと、内容の誤解からトラブルに発展しやすくなります。厚生労働省は13の外国語によるモデル労働条件通知書を提供しています(日本語を含めると14言語版)。特定技能では、本人が十分に理解できる言語で雇用条件等を明示・説明する必要があります。なお、育成就労制度の運用開始は2027年4月1日です。試用期間中の条件を含め、本人が理解できる言語を併記した契約書を用意することが在留資格審査での説明対応にも役立ちます。

社会保険・雇用保険の加入義務は試用期間初日から発生する

試用期間中だからといって、社会保険や雇用保険への加入を先送りできるわけではありません。加入要件を満たしていれば、入社初日から加入義務が発生します。これは外国人労働者であっても日本人と同様であり、健康保険法・厚生年金保険法などの社会保険関係の法律は日本人に対するのと同じように外国人従業員にも平等に適用されます。未加入のまま試用期間を過ごさせてしまうと罰則の対象になるだけでなく、後日の在留資格更新審査でも不利に働く可能性があるため、入社日と同時に手続きを済ませておきましょう。

試用期間後の本採用判断基準と本採用拒否の注意点

試用期間後の本採用判断基準と本採用拒否の注意点

試用期間満了後の本採用拒否は、法律上「解約権留保付労働契約」に基づく解雇として扱われ、解雇と同様に客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。ここでは判断基準・注意点・記録方法を詳しく見ていきましょう。

本採用拒否には「客観的・合理的な理由」が必要

本採用拒否をめぐる代表的な判例が三菱樹脂事件の最高裁判決です。この判決では、試用期間中の本採用拒否についても、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合には有効であるとされました。また、会社が採否決定の当初は知ることができず、又は知ることが期待できないような事実を、採用決定後の調査や観察によって知ることとなった場合に限り、留保解約権を行使できるとされています。採用面接の時点でわかっていたはずの事情を後から持ち出しても、本採用拒否の理由としては認められにくいので注意しましょう。

文化・言語の壁を理由にした拒否は認められないケースがある

外国人採用ならではの論点として、日本語能力の不足や文化的な違いだけを理由にした本採用拒否があります。しかし裁判例では、試用期間中の従業員に対して十分な指導や改善機会を与えずに解雇した場合、会社の指導不足であるとして解雇は無効であると判断されることが多いとされています。外国人労働者に対しても同じ基準が当てはまるため、「言葉が通じにくいから」「文化が違うから」というだけで安易に本採用を拒否すると、無効と判断されるリスクがあります。指導や教育の機会を十分に与えたうえで判断することが求められます。

本採用判断のために試用期間中に記録しておくべきこと

本採用拒否が後日争われた場合、企業側の主張を裏付ける客観的な資料の有無が結果を大きく左右します。実務では、業務指示と結果をメールや業務日報で記録し、指導・面談の内容を面談記録書として残し、本人にも確認させることが重要です。外国人労働者との間では言語や文化の違いから「言った・言わない」の水掛け論になりやすいため、日々の記録を書面で残しておくことが、トラブル防止にもつながります。

試用期間を活用して外国人採用リスクを下げる実践的な手順

試用期間を活用して外国人採用リスクを下げる実践的な手順

ここまでの注意点を踏まえ、採用前・試用期間中・試用期間終了時という時系列で実践すべき対応をまとめます。外国人採用支援サービスの活用も含め、すぐに行動に移せる手順として押さえておきましょう。

採用前:雇用契約書に試用期間の条件を明記する

雇用契約を締結する段階で、試用期間の長さ・試用期間中の労働条件・在留資格取得を条件とする旨を明記しておくことが大切です。万一在留資格が取得できなかった場合には契約が成立しない旨の条項を入れておくと、双方にとって認識のずれを防げます。求人票を掲載する際も、試用期間の有無や条件を正確に記載し、内容を変更した場合は速やかに更新することが職業安定法上求められる点も忘れないようにしましょう。

外国人採用支援サービスや登録支援機関に手続きを委託する場合、費用の目安を把握しておくと予算計画が立てやすくなります。

  • 登録支援機関への委託費用:外国人1人あたり月額2万〜4万円程度が一般的な相場
  • 人材紹介会社を利用する場合の紹介手数料:30万〜50万円程度が相場

こうした費用も踏まえて、試用期間中のサポート体制を検討してみてください。

試用期間中:定期的な面談でミスマッチを早期に発見する

試用期間中は、月1回程度など定期的な面談の場を設け、業務理解度や職場への適応状況を早めに把握しましょう。言語や文化の違いによる誤解は、放置すると大きなミスマッチに発展しがちです。面談の中で気になる点があれば、その都度指導や改善の機会を与えることで、本人の成長を後押しできるだけでなく、後の本採用拒否リスクを下げることにもつながります。面談内容は簡単なメモでもよいので、必ず記録として残しておきましょう。

試用期間終了時:本採用の可否を書面で通知する

試用期間の終了時には、本採用の可否を口頭だけでなく必ず書面でも通知しましょう。入社から14日を超えて雇用された場合は、本採用拒否であっても通常の解雇予告の手続きが必要になりますので、30日前の予告または解雇予告手当の支払いを忘れないようにしてください。また、本人から請求があった場合には解雇理由証明書を交付する義務もあります。書面での通知を徹底することが、外国人採用特有のトラブルを防ぐ最後の砦になります。

まとめ

まとめ

外国人採用でも試用期間の設定は可能ですが、日本人採用とは異なる注意点があります。試用期間中も労働基準法をはじめとする労働関係法令は完全に適用され、業務内容は在留資格の範囲内に収める必要があります。また、本採用拒否は解雇に準じて扱われるため、客観的・合理的な理由と十分な指導記録が欠かせません。外国人採用 試用期間 設定に少しでも不安がある場合は、社労士や外国人採用支援サービスなど専門家への相談も検討してみてください。

外国人採用 試用期間 設定についてよくある質問

外国人採用 試用期間 設定についてよくある質問

外国人採用の試用期間設定について、実務担当者から寄せられることが多い疑問をまとめました。契約書作成前の最終確認としてお役立てください。

試用期間中に在留資格が不許可だった場合はどうなりますか?

在留資格が取得できなければ、そもそも日本で就労させることができません。雇用契約書に「在留資格取得を条件とする」旨を明記しておけば、不許可の場合に契約が成立しない、または解除できる扱いにしやすくなります。事前にこの条項を入れておくことをおすすめします。

試用期間は延長できますか?

合理的な理由があり、社会通念上相当と認められれば延長は可能です。ただし、就業規則や雇用契約書に延長の可能性についての記載がない場合、本人の合意なく延長することはできません。あらかじめ延長条項を盛り込んでおきましょう。

本採用拒否の際に帰国費用は負担すべきですか?

法律上、企業に帰国費用の負担が一律に義務付けられているわけではありません。ただし、特定技能などの一部の在留資格では、契約上の取り決めや支援計画の内容によって負担が求められる場合があります。契約時に取り決めを確認しておくと安心です。

試用期間中の外国人労働者にも有給休暇は付与されますか?

労働基準法上の要件(雇入れから6か月継続勤務、全労働日の8割以上出勤)を満たせば、外国人労働者にも日本人と同様に年次有給休暇が発生します。試用期間中かどうかは付与の可否に影響しません。

試用期間中の業務内容を変更しても問題ありませんか?

変更後の業務内容が在留資格で認められた範囲を超える場合は問題になります。特に技術・人文知識・国際業務のように学歴との関連性が求められる在留資格では、業務変更によって資格外活動とみなされるリスクがあるため、変更前に範囲を確認しましょう。

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