外国人採用を通年採用戦略で叶える人手不足解消法
新卒・中途の採用が繁忙期に偏り、人手不足に悩んでいませんか。外国人採用の分野でも、春・秋の一括採用だけに頼っていては優秀な人材との出会いを逃してしまいます。この記事では、外国人材を年間を通じて安定的に採用し続ける「通年採用」の考え方と、中小企業でもすぐに実践できる具体的な戦略をわかりやすく解説します。
外国人の通年採用とは?一括採用との違いをわかりやすく解説

外国人採用における通年採用とは、決まった時期だけに募集をかけるのではなく、年間を通じて人材を確保し続ける採用スタイルです。春・秋の一括採用だけに頼っていると、人手不足が慢性化しかねません。ここでは通年採用の基本的な考え方と、一括採用との違いを整理していきます。
通年採用とは「必要なときに必要な人材を採用し続ける仕組み」
通年採用とは、単に募集期間を延ばすことではありません。自社の事業計画や繁忙期を見据え、必要なタイミングで必要な人数の人材を計画的に採用し続ける仕組みを指します。
欠員が出てから慌てて求人を出す「場当たり的な採用」では、募集から入社までにタイムラグが生じ、現場の負担がなかなか解消されません。一方、通年採用の考え方を取り入れれば、常に候補者との接点を持ちながら、欠員が出る前に次の人材を確保する動きが取れます。
外国人採用においてこの発想は特に重要です。特定技能や技術・人文知識・国際業務といった在留資格の手続きには数週間から数か月かかるため、必要になってから動き出すのでは間に合わないケースが多いからです。
一括採用との違い:タイミング・対象・採用フローの比較
新卒一括採用と通年採用は、採用の目的も進め方も大きく異なります。両者の違いを「採用時期」「対象者の幅」「選考フロー」の3つの観点で整理すると、外国人材の採用に通年採用が向いている理由が見えてきます。
| 比較項目 | 一括採用 | 通年採用 |
|---|---|---|
| 採用時期 | 春・秋など特定の時期に集中 | 年間を通じて随時実施 |
| 対象者 | 卒業年次がそろった新卒者が中心 | 留学生・海外大学卒業者・在留外国人など幅広い層 |
| 選考フロー | 一律のスケジュールで一斉選考 | 候補者ごとに柔軟に選考を進める |
留学生や海外在住の求職者は、卒業時期や現地の就職活動スケジュールが日本の新卒採用とは異なります。一括採用の枠組みだけにこだわると、こうした人材と出会うタイミングそのものを逃してしまう可能性があるのです。
なぜ今、外国人採用を通年で行う必要があるのか

一部の業種・地域では人手不足が深刻で、中小企業を含め必要人員の確保が難しい状況があります。加えて、外国人材は在留資格や採用経路によって、日本の新卒一括採用と異なるタイミングで動くことがあります。この2つの視点から、通年採用の必要性を見ていきましょう。
日本人採用だけでは人材不足が解消できない現状
少子高齢化の影響で、日本の生産年齢人口は減少を続けています。国土交通省の資料によると、日本の生産年齢人口は2023年10月時点では7,395万人(同比59.5%)に減少している状況です。
有効求人倍率の面でも人手不足は続いています。2025年の有効求人倍率は1.22倍と、前年から0.03ポイント低下したものの、依然として求職者数より求人数が多い状態です。特に保安職業従事者や建設・掘削従事者、介護関係職種などは人手不足が構造的な問題であることが分かります。
こうした業種では、日本人採用だけに頼る従来のやり方では、必要な人員を安定的に確保するのが難しくなってきているのです。
外国人材は春・秋を待たずに動いている
日本人学生の就職活動は、春・秋に足並みをそろえて進むのが一般的です。実際に日本の就職活動は、卒業予定の学生を一括して求人し、在学期間中に採用試験を行います。多くの企業が同じスケジュールで動くため、時期がほぼ固定されています。
一方、留学生の在留資格変更手続きにも独自のタイミングがあります。出入国在留管理庁は例年、1月から3月にかけて、4月に就労を開始することを目的とした在留諸申請が多く提出されると案内しており、春に申請が集中する傾向があります。
さらに特定技能人材は日本人労働者と同じく自分の都合でいつでも退職することが可能です。転職のタイミングは季節に関係なく発生するため、春・秋の一括採用スケジュールに固執していると、優秀な人材との接点を逃してしまいます。
外国人の通年採用を成功させる3つの戦略

通年採用を機能させるためには、思いつきの求人活動ではなく、仕組みとして回し続ける工夫が欠かせません。ここでは「選ばれる職場づくり」「エージェントとの継続連携」「社内受け入れ体制の整備」という3つの戦略を紹介します。
戦略①:特定技能人材に『ここを紹介したい』と思わせる職場をつくる
特定技能で働く外国人材は、在留資格の範囲内であれば転職が可能です。待遇や職場環境に不満があれば、より良い条件を求めて他社に移ってしまったり、母国の仲間やエージェントに自社を紹介してもらえなくなったりする可能性があります。
『選ばれる職場』をつくるためには、日本人と同等以上の待遇を明示することはもちろん、昇給やキャリアパスの見通しを具体的に示すことが大切です。加えて、住居のあっせんや生活面の相談窓口など、生活支援の充実度も職場選びの決め手になります。
外国人材にとって働きやすい環境は、口コミやコミュニティを通じて広がっていきます。既存の人材からの紹介は、通年採用における有力な採用チャネルのひとつになるでしょう。
戦略②:専門エージェントと継続的に連携する
特定技能や技術・人文知識・国際業務など、外国人採用に強い人材紹介会社や登録支援機関とのつながりを、単発の依頼で終わらせないことも重要な戦略です。繁忙期だけの利用ではなく、年間を通じて候補者情報を共有してもらえる関係を築くことで、必要なときにすぐ紹介を受けられる体制が整います。
エージェントを選ぶ際は、対応している在留資格の種類や実績、母国語での支援体制などを確認しましょう。費用面では、人材紹介手数料は30万〜50万円程度、登録支援機関への委託費用は外国人1人あたり月額2万〜4万円程度が一般的な相場とされています。
複数のエージェントと関係を維持しておくと、特定の会社に依存せず、通年で候補者との接点を確保しやすくなります。外国人採用支援サービスのような専門会社に相談しながら、自社に合ったパートナーを見つけるのもひとつの方法です。
戦略③:社内の受け入れ・定着支援体制を整える
どれだけ良い人材を採用できても、受け入れ体制が整っていなければ早期離職につながってしまいます。在留資格の範囲と実際の業務内容が合っているか、事前にしっかり確認しておくことが欠かせません。
入社後は、日本語でのコミュニケーション支援や、先輩社員がサポート役となるメンター制度があると、外国人材が安心して働き続けやすくなります。役所の手続きや住居探しといった生活面のサポートも、定着率を左右する大切な要素です。
社内体制の整備は一度作って終わりではなく、通年採用を継続的に回していくための土台です。採用と定着支援をセットで考えることで、離職による欠員の再発を防ぎやすくなります。
通年採用を仕組み化するための実践ステップ

3つの戦略を実際の採用業務に落とし込むには、具体的な手順に分解することが近道です。ここでは、中小企業の人事担当者がすぐに着手できる4つの実践ステップを紹介します。
ステップ1:採用ニーズと採用チャネルを整理する
まずは自社の繁忙期や欠員が出やすい時期を年間カレンダーに落とし込み、いつ・どの部署で・何人の人材が必要になるかを可視化しましょう。あわせて、特定技能や技術・人文知識・国際業務など、業務内容に合った在留資格別の人材像も整理しておきます。
そのうえで、人材紹介会社、外国人材向け求人媒体、自社の採用サイトなど、複数の採用チャネルを組み合わせる計画を立てます。ひとつのチャネルに依存すると繁忙期に候補者が集まらないリスクがあるため、複数の窓口を並行して育てておくことが安定的な採用につながります。
ステップ2:データベースより関係性——候補者と継続的につながり続ける仕組みをつくる
過去に応募してくれた候補者や、エージェントから紹介を受けた人材の情報は、単なる名簿として保管するだけではもったいないものです。タレントプールという考え方を取り入れ、定期的に自社の近況や求人情報を発信し、関係性を維持していきましょう。
メールやSNSでのちょっとした情報発信を続けることで、候補者側にも自社への親しみが生まれます。必要なタイミングで声をかけたときにスムーズに検討してもらいやすくなるのです。データを蓄積するだけでなく、関係性を育てる視点を持つことが、通年採用を支える土台になります。
ステップ3:選考フローを標準化して対応スピードを上げる
優秀な外国人材ほど、複数の企業やエージェントから声がかかりやすいものです。選考基準や面接の進め方をあらかじめ標準化しておくことで、判断のスピードを上げ、他社に先を越される前に内定を出せる体制を整えられます。
標準化するフローには、在留資格の種類や有効期限、日本語レベルの確認といった外国人材特有のチェック項目も組み込んでおきましょう。募集要項に記載する業務内容や労働条件は、実態と一致させることが大切です。内容を変更した際は、掲載情報もあわせて必ず更新しましょう。
ステップ4:入社後の定着支援まで一体的に設計する
採用はゴールではなく、通年採用のサイクルを支えるスタートラインです。入社後のオンボーディング研修や、母国語で相談できる窓口、生活面のサポートまでを採用計画の一部として組み込んでおきましょう。
こうした受け入れ体制をあらかじめ設計しておくことで、早期離職による欠員の再発を防ぎやすくなります。採用から定着までを一つの流れとして捉えることが、通年採用を無理なく続けていくための鍵になります。
通年採用で注意したい失敗パターンと対策

通年採用を進めるなかで、中小企業が陥りやすい失敗パターンにはいくつかの共通点があります。あらかじめ押さえておくことで、余計なトラブルを避けやすくなります。
- 在留資格と業務内容のミスマッチ:申請時に想定していた業務と実際の仕事内容がずれてしまうと、資格外活動とみなされるおそれがあります。配属前に業務内容を在留資格の範囲内でしっかりすり合わせておきましょう。
- 文化・コミュニケーションギャップの放置:言葉や習慣の違いを『そのうち慣れるだろう』と放置すると、誤解が積み重なり離職につながります。定期的な面談の場を設け、小さな違和感を早めに拾い上げることが大切です。
- 労働条件説明の不徹底:業務内容や賃金、労働時間などを曖昧なまま伝えると、入社後のミスマッチや信頼低下を招きます。求人広告や雇用契約書には、試用期間や固定残業代の有無も含めて正確に記載し、募集要項を変更した際は掲載内容も速やかに更新しましょう。
- エージェント任せにしすぎる:紹介を依頼したきり自社側の受け入れ準備を怠ると、せっかくの候補者を活かしきれません。エージェントとの情報共有を密にし、自社でも受け入れ準備を並行して進めることが欠かせません。
これらの失敗パターンは、いずれも『事前の確認不足』と『情報共有の不足』から生まれます。ひとつずつ丁寧に潰していくことが、通年採用を長く続けるコツです。
まとめ

外国人採用における通年採用を軌道に乗せる鍵は、年間の採用計画づくり、専門エージェントとの継続的な連携、特定技能人材に選ばれる職場づくり、社内の受け入れ体制整備、そして採用広報の見直しを止めずに回し続けることです。
一括採用だけに頼らず、こうした仕組みを少しずつ整えていけば、季節や時期に左右されずに外国人材を確保しやすくなります。まずは自社の採用ニーズの整理から、できるところから始めてみてください。
外国人採用 通年採用 戦略についてよくある質問

外国人採用における通年採用や戦略について、中小企業の人事担当者からよく寄せられる質問にお答えします。
Q. 通年採用と一括採用は併用できますか?
A. 併用できます。新卒の一括採用で若手人材を確保しつつ、外国人材や中途採用については通年の採用チャネルを別に持っておくことで、それぞれの良さを活かせます。
Q. 中小企業でも通年採用は可能ですか?
A. 可能です。むしろ採用担当者の人数が少ない中小企業ほど、エージェントとの継続連携やタレントプールの活用など、仕組み化による効率化の効果を感じやすいでしょう。
Q. エージェントは何社と契約すべきですか?
A. 決まった正解はありませんが、対応する在留資格や職種の異なる2〜3社と関係を持っておくと、候補者の紹介が途切れにくくなります。
Q. 特定技能人材の定着率を上げるにはどうすればよいですか?
A. 日本人と同等以上の待遇に加え、キャリアパスの明示や生活支援の充実が効果的です。定期的な面談で不安や不満を早めに拾い上げることも大切です。
Q. 通年採用を始めるにはまず何から着手すればよいですか?
A. 自社の繁忙期や欠員傾向を年間で可視化し、必要な人材像とチャネルを整理することから始めましょう。あわせて外国人採用支援サービスへの相談も検討してみてください。