特定技能採用の流れを7ステップで解説
「特定技能で採用したいけど、何から始めればいいかわからない」——そう感じている人事担当者の方はとても多いです。在留資格の申請から入国手続きまで、初めて見ると手順が多くて正直途方に暮れてしまいますよね。この記事では、特定技能人材の採用の流れを7つのステップに分けて整理し、各ステップの所要期間や注意点もあわせてお伝えします。全体のスケジュール感がつかめると、社内での動き方もぐっと具体的になるはずです。
特定技能の採用は7ステップ|全体の流れと期間の目安

特定技能外国人の採用は、大きく分けると「受け入れ準備 → 採用活動 → 在留資格申請 → 入国・就労開始」という流れで進みます。各ステップの内容と所要期間の目安を順番に見ていきましょう。
ステップ①:自社の受け入れ要件を確認する(1〜2週間)
まず最初にやるべきことは、自社が特定技能外国人を受け入れられる状態かどうかの確認です。特定技能には受け入れ企業側にも、事業内容が特定産業分野に該当していることに加え、分野ごとの許認可や協議会への加入、日本人と同等以上の報酬支給、労働法令・社会保険の順守、1号特定技能外国人の場合は、支援計画の策定・実施等の要件を満たす必要があります。この確認を飛ばすと後のステップで書類不備や申請却下につながることもあるので、最初にしっかり押さえておきましょう。
確認するポイントは主に3点です。
- 自社の業種が特定技能の対象分野(介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造、外食、自動車運送、鉄道、林業、木材産業の16分野)に含まれているか
- 労働基準法や社会保険の加入義務を適切に守っているか
- 1号特定技能外国人支援計画の策定・実施体制が整っているか(または登録支援機関に委託するか)
ステップ②:求人票を作成し人材を募集する(2週間〜1ヶ月)
受け入れ要件が整ったら、いよいよ求人活動です。募集方法は大きく2つあります。
- 海外在住の人材を採用する場合:送り出し機関を通じて現地で募集する方法が一般的です。現地の送り出し機関が候補者をピックアップし、企業側とマッチングを行います。
- 国内在留の人材を採用する場合:日本国内にいる技能実習修了者や特定技能転職希望者、留学生などを、求人サービスや人材紹介会社を通じて募集します。
求人票には、業務内容・給与・勤務時間・雇用形態などを正確に記載することが求められます。特定技能外国人には日本人と同等以上の報酬を支払う義務があるため、賃金の設定にも注意が必要です。マッチングまでの期間は2週間〜1ヶ月が目安ですが、職種や地域によって前後します。
ステップ③:面接・雇用契約を締結する(1〜2週間)
候補者が見つかったら、オンラインまたは対面で面接を実施します。海外在住者とのやり取りはビデオ通話が主流で、通訳を介して行うケースも多いです。
面接後に採用が決まったら、雇用条件通知書(または雇用契約書)を労働基準法に基づき書面で交付することが法的に義務づけられています。さらに、外国人労働者が内容を十分に理解できるよう、母国語など本人がわかる言語で説明や翻訳を用意したうえで締結することが必要とされています。給与・勤務時間・休日・業務内容などは必ず盛り込む項目ですし、帰国旅費の負担についても、在留資格の類型に応じて負担方法をあらかじめ取り決めておくとトラブル防止に役立ちます。
この契約内容は、後の在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請の際に提出する書類と整合している必要があります。特定技能の採用の流れにおいて、内容に漏れや矛盾があると申請に影響することがあるため、できれば社労士・行政書士など外国人雇用に詳しい専門家にチェックしてもらうのがおすすめです。
ステップ④:1号特定技能支援計画を策定する(2〜4週間)
特定技能1号の外国人を受け入れる場合、企業は支援計画を策定する義務があります。これは、外国人が日本での生活や業務にスムーズに適応できるよう、受け入れ企業がどのようにサポートするかを文書化したものです。
支援計画に盛り込む必要がある内容は以下のとおりです。
- 入国前の事前ガイダンス
- 住居の確保や生活に必要な契約(銀行・携帯など)のサポート
- 日本語学習の機会の提供
- 定期的な面談の実施(少なくとも3ヶ月に1回)
- 相談・苦情への対応体制
自社で計画を作成・実施することもできますが、要件が多く手間がかかるため、登録支援機関に委託する企業が大半です。委託すれば計画の策定から実施までサポートを受けることができ、人事担当者の負担をかなり軽減できます。
ステップ⑤:在留資格の申請をする(1〜4ヶ月)
支援計画が整ったら、いよいよ在留資格の申請です。申請方法は、候補者が国内
にいるか海外にいるかで異なります。
| 状況 | 申請の種類 | 申請先 |
|---|---|---|
| 日本国内に在留中 | 在留資格変更許可申請 | 居住地管轄の入管局 |
| 海外在住 | 在留資格認定証明書交付申請 | 受け入れ企業の所在地管轄の入管局 |
審査期間は国内変更の場合で1〜2ヶ月、海外からの場合で2〜4ヶ月が目安です。書類に不備があると審査が長引くことがあるため、提出前の確認は丁寧に行いましょう。
審査が完了すると、国内の場合は在留カードが更新され、海外の場合は「在留資格認定証明書」が交付されます。この証明書を本人に送付し、現地の日本大使館でビザを取得してもらう流れになります。
ステップ⑥:入国・就労開始の準備をする(2〜4週間)
在留資格の取得が完了したら、入国に向けた実務的な準備を進めましょう。海外から来日する場合は特に、入国前から丁寧なサポートが大切です。
主な準備内容は以下のとおりです。
- 住居の確保:物件や貸主によっては外国人名義での契約が難しい場合があるため、企業が代わりに契約するか、保証会社を活用する形が現実的でしょう。
- 生活オリエンテーションの実施:1号特定技能外国人材の支援計画における義務項目として、入国後に日常生活のルールや緊急連絡先、交通機関の使い方などを説明します。
- 社会保険・住民登録の手続き:日本で住み始めた日から14日以内に市区町村へ転入届を提出する必要があります。健康保険や年金については、勤務先を通じて健康保険・厚生年金の手続きを行うか、市区町村で国民健康保険・国民年金の手続きを進めてみてください。
国内在留者の場合はこれらの一部が省略できますが、特定技能の採用の流れとして、新しい職場での受け入れ体制を整えておくことは変わりません。
ステップ⑦:就労開始・雇用後の定期報告を行う
無事に就労が始まったら、特定技能の受け入れ企業には定期的な報告義務が発生します。就労中も継続的な管理が求められる点は、多くの在留資格よりも詳細な対応が必要なポイントです。
報告(定期届出)は、以前は四半期ごと(年4回)の提出が必要でしたが、2025年以降は原則として年1回の定期届出に変更されています。支援の実施状況や特定技能外国人の活動状況などを出入国在留管理庁に提出するかたちです。また、支援計画に基づく外国人本人との定期面談も継続して行う必要があり、その記録を残しておくことも大切です。
就労開始後も手続きが続くことを最初から見越しておくと、後で慌てずに済みます。登録支援機関に支援業務を委託している場合は、定期届出に必要な書類の一部を登録支援機関が作成・届出を行ってくれるほか、受け入れ企業が対応すべき書類についてもサポートを受けることができます。特定技能の採用の流れを把握したうえで、就労後の管理体制も事前に整えておきましょう。
採用前に確認しておくべき受け入れ要件

特定技能外国人を受け入れるには、企業側と外国人本人の両方が一定の要件を満たしている必要があります。採用活動を始める前に、それぞれの条件を確認しておきましょう。
受け入れ企業が満たすべき3つの条件
受け入れ企業(特定技能所属機関)には、主に次の3つの条件が求められます。
- 対象分野の事業者であること:特定技能は、介護・外食・建設・製造・農業など、特定の16分野に限られています。自社の業種がこの中に含まれているかを最初に確認しましょう。
- 適正な労務管理ができていること:労働保険・社会保険への適切な加入、最低賃金の遵守、就業規則の整備などが求められます。過去に労働関連法令の違反があると、受け入れが認められないこともあります。
- 支援計画の実施体制があること:自社で計画を実施するには、専任の担当者や相談対応体制が必要です。体制が整っていない場合は、登録支援機関への委託が現実的な選択肢です。
特定技能外国人が満たすべき要件
採用する外国人本人も、在留資格「特定技能1号」を取得するために一定の要件をクリアしている必要があります。
- 技能試験への合格:対象分野ごとに実施される技能評価試験に合格していること(技能実習2号を良好に修了した人は免除される場合もあります)。
- 日本語能力の証明:「日本語能力試験(JLPT)N4以上」または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」への合格が必要です。介護分野では追加で介護分野の日本語試験も必要です。
- 18歳以上であること:年齢要件として18歳以上が条件となっています。
- 退去強制・在留拒否の対象でないこと:過去に入管法違反などの問題がないこと。
技能実習2号からの移行は比較的スムーズで、試験免除の恩恵もあるため、採用候補として技能実習修了者を視野に入れるのも一つの方法です。
在留資格申請で必要になる主な書類一覧

在留資格の申請に必要な書類は、国内在留者と海外在住者で異なります。書類の準備は時間がかかるため、早めに確認して揃えておくことが大切です。それぞれのケースを確認してみましょう。
国内在留者(在留資格変更)の場合
すでに日本に在留している外国人(技能実習修了者・留学生など)が特定技能に変更する際に必要な主な書類は以下のとおりです。
| 書類カテゴリ | 主な書類 |
|---|---|
| 申請者本人の書類 | 在留資格変更許可申請書、パスポート・在留カードの写し、証明写真、技能試験・日本語試験の合格証明書 |
| 雇用に関する書類 | 雇用条件通知書(日本語・母国語の両方)、雇用契約書の写し |
| 企業に関する書類 | 登記事項証明書、納税証明書、社会保険加入証明書、決算書の写し |
| 支援に関する書類 | 1号特定技能外国人支援計画書、支援委託契約書(登録支援機関に委託する場合) |
書類の様式は出入国在留管理庁の公式サイトからダウンロードできます。記載内容に矛盾がないよう、各書類を作成後に全体を通じて確認することをおすすめします。
海外在住者(在留資格認定)の場合
海外から新たに招へいする場合は「在留資格認定証明書交付申請」を行います。基本的な書類は国内変更の場合と共通しているものも多いですが、追加で以下の書類が必要になります。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 返信用封筒(証明書の郵送に使用)※電子交付・オンライン申請では不要
- 渡航予定を確認できる書類(必要に応じて)
申請は受け入れ企業が日本の入管局に行う形になります。証明書が交付された後、本人が現地の日本大使館・領事館でビザ申請を行い、日本への入国が可能になる流れです。
海外在住者の場合、申請から入国まで最長で半年近くかかることもあります。採用決定後はできるだけ早く申請手続きに入ることが、スケジュール通りに採用を進めるコツです。
採用後に継続して必要な手続き

特定技能は採用して終わりではなく、就労期間中も継続的な手続きと報告が必要です。「採用後に何が必要か」を事前に把握しておくと、担当者の負担が軽くなります。
雇用開始時に必要な届け出
就労を開始したタイミングで、いくつかの届け出を速やかに行う必要があります。
- ハローワークへの外国人雇用状況届出:外国人を雇い入れた場合、事業主はハローワークに外国人雇用状況を届け出る義務があります。雇用保険の被保険者となる場合は、雇用保険被保険者資格取得届に必要事項を記載して、雇入れ日の属する月の翌月10日までに提出します。この資格取得届の提出により、外国人雇用状況の届出を行ったものとみなされます。雇用保険の被保険者とならない場合は、外国人雇用状況届出書を、雇入れ日の属する月の翌月末日までに提出します。
- 住民登録のサポート:入国後14日以内に市区町村の窓口で住民登録を行う必要があります。初めての来日では場所や手続きがわからないことも多いため、企業として一緒に窓口に同行するとスムーズです。
- 社会保険の加入手続き:健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入手続きを、就労開始から速やかに行いましょう。
これらは日本人の採用時と基本的に同じ内容ですが、外国人の場合は言葉の壁もあるため、企業側が積極的にサポートする姿勢が大切です。
就労中に定期的に必要な報告
就労期間中は、出入国在留管理庁への定期的な報告が義務づけられています。主な報告の種類は以下のとおりです。
| 報告の種類 | 頻度 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 定時届出 | 年1回(雇用開始から1年ごと) | 受け入れ状況の全般的な報告 |
| 随時届出 | 変更・問題発生時 | 離職・失踪・支援計画の変更など |
また、外国人本人との3ヶ月に1回以上の定期面談も支援計画の実施義務として定められています。面談では、業務や生活上の困りごとがないかをヒアリングし、必要に応じて相談機関につなぐ対応も求められます。
登録支援機関に委託している場合は、これらの報告や面談も含めてサポートしてもらえます。自社対応と委託のどちらが自社に合っているかは、人員体制と業務量を考慮して判断しましょう。
特定技能の採用を登録支援機関に任せるメリット

特定技能1号外国人の採用・受け入れでは、在留資格に関する手続きに加え、受け入れ後も支援計画に基づく各種支援を継続して実施する必要があります。初めて受け入れる企業にとっては、社内体制の整備や支援業務の運用が大きな負担となることもあります。
こうした場合に活用できるのが、「登録支援機関」への支援業務の委託です。
登録支援機関とは、出入国在留管理庁長官の登録を受け、受け入れ企業との委託契約に基づいて、1号特定技能外国人支援計画に定められた支援の全部または一部を実施する機関です。
支援計画を作成し、その適正な実施を確保する責任は受け入れ企業にありますが、支援の全部を登録支援機関に委託した場合、受け入れ企業は支援体制に関する基準を満たしたものとみなされます。
登録支援機関に委託する主なメリットは、次のとおりです。
- 支援業務の負担を軽減できる:事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談・苦情への対応、定期面談など、支援計画に定められた業務の全部または一部を委託できます。
- 支援の実施漏れを防ぎやすくなる:制度上求められる支援内容や実施時期に沿って運用することで、社内対応だけでは見落としやすい支援業務を管理しやすくなります。
- 外国人材の生活・就労上の課題を把握しやすくなる:継続的な相談対応や3か月に1回以上の定期面談を通じて、生活や職場における問題の早期把握につなげられます。
なお、在留資格申請書類の作成や申請取次は、登録支援機関として行う支援業務とは別の業務です。登録支援機関であれば一律に対応できるものではないため、行政書士等の有資格者の関与や、申請等取次者としての承認の有無など、委託先の対応範囲を事前に確認する必要があります。
FMS(フィールドマーケティングシステムズ)では、特定技能人材の採用支援から定着まで、一気通貫でサポートする登録支援機関サービスを提供しています。「何から手を付ければいいかわからない」という段階からでも、丁寧にご対応しますので、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ

特定技能外国人の採用は、①受け入れ要件の確認 → ②求人・募集 → ③面接・契約 → ④支援計画の策定 → ⑤在留資格申請 → ⑥入国準備 → ⑦就労開始・報告 という7つのステップで進みます。全体で3〜6ヶ月程度の期間がかかるため、採用時期から逆算してスケジュールを組むことが大切です。
初めての受け入れでは、書類の準備や支援計画の作成など、専門的な知識が必要な場面が多く出てきます。自社だけで対応しようとすると思わぬところでつまずくことも少なくないため、登録支援機関の活用も積極的に検討してみてください。この記事が、特定技能採用の第一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。
特定技能 採用 流れについてよくある質問

特定技能外国人を採用するまでにかかる期間はどのくらいですか?
海外在住者を採用する場合、全体で3〜6ヶ月程度が目安です。在留資格認定証明書の審査に1~3ヶ月かかることが多いため、採用を決めたらできるだけ早く申請手続きに入ることが重要です。国内在留者(技能実習修了者など)の場合は、在留資格変更の審査が1〜2ヶ月程度なので、比較的短期間で採用できます。
特定技能2号と1号の違いは何ですか?採用の流れに違いはありますか?
特定技能1号は「相当程度の知識・経験が必要な業務」を担う在留資格で、通算5年まで就労可能です。特定技能2号はより高度な技能が求められ、在留期間の更新上限がなく、家族帯同も認められています。採用の基本的な流れは1号と大きく変わりませんが、2号は対象分野や試験の内容が異なります。現状では1号での採用が主流です。
技能実習生を特定技能に移行させることはできますか?
できます。技能実習2号を良好に修了した人材は、技能試験と日本語試験が免除されるため、特定技能1号への移行がスムーズです。同じ企業で継続して雇用する場合は、在留資格変更の申請を行うことで引き続き就労してもらえます。職場環境や業務内容をすでに把握している人材なので、新規採用に比べて定着率も高い傾向があります。
登録支援機関への委託は必須ですか?費用はどのくらいかかりますか?
委託は必須ではありませんが、支援計画を自社で実施するには人員体制や相談対応窓口の整備が必要です。多くの中小企業では対応が難しいため、登録支援機関に委託するケースが一般的です。費用は機関によって異なりますが、月額2〜4万円程度が相場のひとつの目安です。サービス内容や対応分野を比較して選ぶようにしましょう。
特定技能外国人を採用する際に、日本語能力はどの程度必要ですか?
特定技能1号の取得には、「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)N4以上」への合格が必要です。N4は「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる」レベルで、職場での基本的なコミュニケーションは可能です。ただし、業務内容によっては入社後も継続的な日本語学習のサポートが効果的です。