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外国人の給与の決め方は在留資格別に安心の基準を確認

投稿日投稿日 2026.08.25
更新日更新日 2026.08.25
外国人の給与の決め方は在留資格別に安心の基準を確認
目次

外国人従業員を採用したものの、給与額をどう決めればよいか迷っていませんか。国籍を理由に低い金額を設定すると、労働基準法違反や在留資格の不許可につながるおそれがあります。本記事では、外国人 給与 決め方の基本原則から在留資格別の基準、実務的な設定手順まで、初めて外国人雇用を担当する方にもわかりやすく解説します。

外国人従業員の給与は「日本人と同じ基準」で決めるのが基本

外国人従業員の給与は「日本人と同じ基準」で決めるのが基本

外国人従業員の給与を決めるとき、まず押さえておきたいのが「日本人と同じ基準で決める」という大原則です。国籍を理由に給与を低く設定することは認められず、同じ仕事内容であれば日本人と同等以上の待遇が求められます。ここでは、その考え方の土台となる2つのポイントを見ていきましょう。

同等労働・同等賃金の原則とは

同一労働同一賃金とは、同じ業務内容や責任範囲で働く労働者には、同じ水準の賃金を支払うという考え方です。この原則は日本人だけでなく外国人労働者にも適用されており、外国人の給与が、同様業務を行う日本人社員と同等かそれ以上の給与条件でなければなりません。もちろん、業務内容や責任の重さ、経験年数に応じた合理的な賃金差は認められます。問題になるのは、あくまで「外国人だから」という国籍のみを理由にした差別的な取り扱いです。給与テーブルを作る際は、まず社内の職務内容を整理し、外国人と日本人の間で不合理な差が生まれていないか確認するところから始めましょう。

賃金差別が禁止されている法的根拠

外国人だからという理由で給与を低く設定する行為は、単なるマナー違反ではなく法令違反にあたります。労働者が日本人であるか外国人であるかにより、賃金や労働時間などの待遇に差をつけることは禁止されます。これは労働基準法第3条が定める均等待遇の規定によるもので、国籍を理由とした差別的取扱いを明確に禁じています。本条違反には罰則規定があり、6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金が科されます(労働基準法第119条)。「知らなかった」では済まされないルールなので、外国人採用を始める前にしっかり理解しておきましょう。

在留資格によって給与の最低ラインが変わる

在留資格によって給与の最低ラインが変わる

外国人の在留資格には複数の種類があり、それぞれ給与について求められる基準が定められています。技人国については入管法の上陸許可基準等で「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」が要件とされており、特定技能についても特定技能基準省令や関係告示で「日本人が従事する場合の報酬額と同等以上であること」が明記されています。技能実習についても同様に、技能実習計画の認定基準として「技能実習生に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること」が明記されています。つまり、いずれの在留資格でも「日本人と同等以上の報酬」が制度上の要件です。ただし、審査の視点や比較対象の考え方には在留資格ごとに違いがありますので、まずは全体像を表で確認してみましょう。

在留資格給与の基準特に注意したいポイント
技人国日本人と同等以上の報酬基本給・賞与を対象に比較し、通勤手当・住宅手当など実費弁償的な手当のみの上乗せは認められにくい
特定技能同等報酬要件(省令に明記)比較対象の日本人の設定方法、手当・賞与も同等に扱う
技能実習・育成就労日本人が同種業務に従事する場合と同等以上の報酬(かつ最低賃金以上)2027年をめざす制度移行に伴う転籍対策も必要

それぞれの詳しい基準を、次から見ていきましょう。

技人国(技術・人文知識・国際業務)の場合

技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザでは、日本人と同等以上の報酬を受けていることが在留資格の要件そのものになっています。実際の不許可事例では、同時期に採用され、同様の業務に従事する新卒の日本人社員が月額20万円の報酬を受けていることが判明し、不許可となりました。ここでいう報酬とは基本給を中心とした月額報酬の本体部分を指し、通勤手当・扶養手当・住宅手当など実費弁償の性格を持つもの(課税対象となるものを除く)は含まれません。手当だけを厚くして本体給与を低く抑える設計は認められにくいため、注意しておきましょう。

特定技能の場合

特定技能制度には「同等報酬要件」という明確なルールがあります。特定技能基準省令では、外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であることが求められています。比較対象となる日本人労働者は、まず社内に同等の業務を担う人がいればその人を基準にし、受入れ企業がこれらの内容を満たしているか、特定技能外国人の報酬が適切であることを証明するために日本人労働者を比較対象として説明することになります。該当者がいない場合は、賃金規程や近い業務を担う日本人従業員を参考にしましょう。さらに比較対象となる日本人従業員に手当や賞与が支給されている場合は、特定技能外国人に対しても同等以上に支給しなければなりません。控除項目についても日本人と同様の扱いが求められます。

技能実習・育成就労の場合

技能実習生にも最低賃金法は当然に適用されます。例え、特定技能外国人側が同意をしたとしても、最低賃金を下回っている場合は、法律上無効となりますという考え方は、技能実習生にもそのまま当てはまります。最低賃金を下回る合意をしても法的な効力は認められないため、地域別・産業別の最低賃金を必ず確認しましょう。また技能実習制度は2027年4月から「育成就労制度」へ移行します。育成就労制度では、一定の要件を満たす場合に本人の意向による転籍が認められるため、同一地域・同一分野の他社より明らかに賃金が低い場合、外国人材が「条件の良い会社に移りたい」と考えるリスクが高まります。制度移行を見据え、いまのうちから賃金水準の見直しを進めておくと安心です。

外国人の給与を実際に決める3つのステップ

外国人の給与を実際に決める3つのステップ

これまで解説した原則や在留資格別の基準を踏まえ、実際に給与テーブルを作る手順を3つのステップに整理しました。比較対象の特定、最低賃金・同等賃金の確認、手当や控除の整理という順番で進めると、迷わず適正な給与を設定できます。

ステップ1:比較対象となる日本人従業員を特定する

最初に行うのは、比較対象となる日本人従業員の特定です。同程度の経験年数であり、同程度の業務に従事する日本人従業者がいる場合、その日本人従業員を比較対象とし、比較対象となる日本人と特定技能外国人の給与を同等以上に設定する必要があります。社内に該当者がいない場合は、次のような方法で代替できます。

  • 賃金規程がある場合は、その規程に沿って報酬額を決める
  • 特定技能外国人と近い業務に従事する日本人社員を比較対象として報酬を設定する
  • 同業他社の求人情報や業界の賃金相場データを参考にする

複数の情報を組み合わせることで、根拠のある給与額を導きやすくなります。

ステップ2:最低賃金・同等賃金の両方をチェックする

次に確認したいのが、地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の両方です。特定技能外国人の給与を決定する際、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」を比較し、高い方の最低賃金以上の給与の支払いをする必要があります。加えて、在留資格ごとに求められる同等賃金要件も同時に満たさなければなりません。特定技能外国人については、国籍に関係なく適用される賃金に関するルール(最低賃金等)と、特定技能制度のルール(同等報酬要件等)の両方が適用されます。どちらか一方をクリアするだけでは不十分で、両方の基準を満たして初めて適法な給与設定になります。

ステップ3:手当・控除・社会保険の扱いを明確にする

最後に、手当・控除・社会保険の扱いを明確にしておきましょう。基本給だけを比較して同等額に見せかけても、比較対象となる日本人従業員に手当や賞与が支給されている場合は、特定技能外国人に対しても同等以上に支給しなければなりませんので注意が必要です。総支給額ベースで同等性を判断する視点を忘れないようにしましょう。また、特定技能外国人も、健康保険法・厚生年金保険法等の加入要件を満たす場合は、社会保険への加入が必要です。控除の理由や金額は、外国人本人の母語や平易な日本語で丁寧に説明すると、入社後のトラブル防止につながります。

給与設定でよくある間違いと注意点

給与設定でよくある間違いと注意点

ここまで解説した原則やステップを踏まえても、実務では思わぬ誤りが起こりがちです。特に多いのが「外国人だから低くていい」という誤解と、比較対象の設定ミスです。順番に確認しておきましょう。

「外国人だから低くていい」は通用しない

日本語能力が発展途上だから、教育コストがかかるからという理由で賃金を下げる企業がありますが、この考え方は法的に認められません。外国籍社員だからという理由で基本給を低く設定したり昇進の機会を制限したりすることは、本条に抵触し得ます。想定されるリスクは次のとおりです。

  • 労働基準法第3条違反として罰則の対象になる可能性
  • 技人国や特定技能で在留資格が不許可・不更新になる可能性
  • 賃金への不満から離職・失踪につながる可能性

教育コストへの配慮が必要な場合は、賃金そのものを下げるのではなく、試用期間の設定や研修制度の充実といった別の方法で対応するのが望ましいでしょう。

比較対象の日本人を誤ると在留資格の審査に影響する

給与の同等性を説明する際、比較対象の選び方を誤ると審査に悪影響を及ぼします。単に社内の平均賃金や別部署の従業員を基準に設定すると「同等」とは認められません。業務内容や責任の程度がかけ離れた従業員と比較してしまうと、不当に低い給与を正当化しているとみなされかねません。比較対象者の勤務条件を具体的に示し、書面で記録しておくことが実務上も審査上も有効です。日頃から職務内容や経験年数を整理し、誰と比較するかを明確にしておく体制づくりが大切です。

まとめ

まとめ

外国人の給与は、国籍にかかわらず日本人と同等以上の水準で決めるのが原則です。技人国・特定技能・技能実習(育成就労)といった在留資格ごとに求められる基準は異なりますが、いずれも「同じ仕事をする日本人と比べて不当に低くしない」という考え方が土台になっています。比較対象となる日本人従業員を特定し、最低賃金と同等賃金の両方を満たしたうえで、手当や賞与を含めた給与テーブルを作成しましょう。法令に沿った適正な給与設計は、外国人材の定着と企業の信頼につながる大切な取り組みです。

外国人 給与 決め方についてよくある質問

外国人 給与 決め方についてよくある質問

外国人の給与に関して、現場担当者からよく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。給与テーブル作成の最終確認としてご活用ください。

日本人より外国人の給与を高く設定してもよいですか?

問題ありません。入管法上、特定技能などの就労系在留資格では「同じ業務に従事する日本人と同等以上の報酬」であることが要件とされていますが、これは日本人より高い給与を禁止する趣旨ではなく、高く設定しても直ちに違法ではありません。労働基準法第3条は国籍を理由とする差別的取扱いを禁止していますが、職務内容・責任・技能・経験などの合理的な違いに基づく処遇差は認められており、その範囲で日本人より高い給与を設定することも可能です。優秀な人材を確保するために、日本人より高い給与を設定する企業も増えています。

賞与や昇給は外国人にも必ず行う必要がありますか?

賞与や昇給の実施そのものは法律上の義務ではなく、就業規則や労働契約に基づき企業ごとに制度設計されるものです。ただし、これらを支給する場合には、労働基準法第3条により国籍を理由とした差別的取扱いは禁止されており、比較対象となる日本人と職務内容・能力等が同じであれば、国籍のみを理由に不利な差を設けず、均等・均衡を意識した支給が求められます。制度として設ける場合は、対象者や条件を就業規則等で明確にしておきましょう。

在留資格を変更するとき、給与の再確認は必要ですか?

必要です。在留資格の変更・更新の申請時には、その時点での職務内容と報酬額を含めて審査されます。審査の内容や頻度は在留資格の種類によって異なりますが、昇進や異動で職務内容が変わった場合は、比較対象の日本人や報酬額を見直しておきましょう。

最低賃金を下回る条件に外国人本人が同意していれば問題ありませんか?

認められません。最低賃金法は国籍を問わず全ての労働者に適用され、同法第4条により、最低賃金額を下回る賃金の定めは無効となり、本人が同意していても法律上有効な合意とはなりません。地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の両方について適用の有無を確認し、適用される方のうち高い水準を満たすようにしてください。

外国人採用を進める際、給与以外にどのくらい費用がかかりますか?

人材紹介を利用する場合、紹介手数料は入社者の年収に応じた成功報酬型(年収の20〜35%程度が目安とされることがあります)で設定されるケースが多く、金額は年収や職種、事業者によって数十万円〜百万円超まで幅があります。外国人採用に特化したサービスの中には30万〜50万円程度のパッケージ料金を提示する事業者の事例もありますが、あくまで一例・目安として捉えてください。また、特定技能で登録支援機関に支援を委託する場合の委託費用は、支援内容や職種・地域によって幅があり、1人あたり月額数万円程度(2万〜5万円程度の例など)が目安とされることもありますが、具体的な金額は各機関の料金体系によって異なります。採用計画を立てる際は、給与に加えてこうした費用も踏まえて予算を検討しましょう。

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