採用後じゃもう遅い?スタッフがすぐに辞めてしまうのなら面接をこう変えよう
「え?もう辞めちゃうの?」
ラウンド組織の運営者の多くが早期離脱の問題に頭を悩ませています。
なぜ、大事に人財育成をしているつもりなのに、早期離脱が起こってしまうのでしょうか?
運営者や事務局の接し方に問題があるのでしょうか?
FMSの約30年の経験から言うと、主な原因の所在は採用後ではありません。
採用時の、人財と業務内容とのミスマッチに起因することが多いのです。
つまり、面接時にちょっとした工夫をするだけで、離脱率が驚異的に下がるということです。
今回は、早期離脱につながる主な原因と、定着率が上がる「面接のコツ」を紹介します。
1.早期離脱につながる主な原因
ミスマッチとは、働き始めた人財に「想像していた以上に大変な仕事だ」「思っていた仕事じゃなかった」と思われてしまうことです。
このような事態は、主に下記の2つのパターンで採用していることが多いようです。
貴社においても、思い当たることがあれば注意が必要です。
①:採用時に時間がない場合・応募者が少ない場合
余裕がない状況の時、採用者は応募者に妥協しすぎる傾向にあります。
「不安もあるがたぶん大丈夫」という思い込みや「とにかく採用してしまおう」というあせりが強いと、仕事に対するモチベーションやライフスタイル、ストレスに感じるポイントなどの性格面の確認がおろそかになります。
また、余裕がないばかりに、採用者が一方的にまくしたて、相手の話を聞けないという面接をしがちです。相手から質問が出ても、「○○さんなら大丈夫!」という、根拠のない「大丈夫」を連発してしまい、根本的な不安解決ができないまま採用に至ってしまいます。
②:応募者が申し分ない人財に見える場合
立派な履歴書を見て、面接する前から魅力的な人物だと感じ、採用者の心に油断が生じて確認不足になることがあります。
「きっとこの人なら問題ないだろう」という思い込みに「この人を逃したくない」という強い気持ちが重なると、悪気はなくても、説明が不充分だったり、都合の悪い部分をつい隠してしまったりします。
相手は人間ですので、性格面のマッチングは非常に重要です。
この2つのパターンのように、時間がない、応募者が少ないなどの自社の都合や、優秀そうだから大丈夫という思い込みに流されてしまうと、不幸な結果につながる可能性が高まります。
このパターンを「お見合い」に当てはめるとわかりやすいと思います。「誰でもいい!とにかく結婚したい!」
「ストライクゾーンど真ん中!なにがなんでも射止めたい!」
このような心理状態の時、つい、自分にも相手にも嘘をついてしまう心理が働いたり、結論を急いだりしがちなものです。
ゴールは結婚ではなく、末永く良い関係を築くことです。
そのためには嘘やあせりは禁物なのです。
2.早期離脱を防止する面接の6つのコツ
面接の時、気を付けるべきコツを厳選したのが以下の6つのポイントです。
末永く続く関係(=契約)を築ける可能性がぐっと高まります。
■早期離脱を防止する面接の6つのコツ ① 相手を好きになる |
①:相手を好きになる
「○○さんにお会いするのを楽しみにしていたんですよ!」
最初にこう切り出されて、悪い気がする人はいないものです。
貴社やその仕事のことを好きになってもらうためには、まずは採用者側が相手に興味を持ち、好きになることが大事です。
どんな人財との面接でも、例外なく「あなたにものすごく興味があります!」というスタンスで面接に臨みましょう。
②:マイナス要素は正直に話す
「きつい」「しんどい」などのマイナスポイントは巧妙に隠してもすぐにばれます。
むしろ契約前に正直にお話しすることで、採用者側の印象も誠実なものになります。
③:正直になってもらう面接前の魔法の言葉
自分が正直になるだけでなく、相手にも正直になってもらうのが面接のコツです。
面接の冒頭で、必ずこの一言を言ってみてください。
「この仕事が○○さんにマッチしているか、しっかり判断してください。わたしも正直に話しますので、○○さんも遠慮なくご質問してくださいね」
最初にこのフレーズがあるだけで、とても話しやすい雰囲気の面接になります。
④:くだけた口調で心をほぐす
「大丈夫ですか?」「できますか?」
いくら話しやすい雰囲気でも、このような質問には「大丈夫です」「できます」以外の返事がなかなかできないものです。
「やっぱり大変そうだと思いました?」「難しそうに聞こえましたよね~?」
人財の本音を聞き出すには、このようにくだけた口調をあえて使って、心をほぐしてあげるとうまくいきます。また、この例のように、あえてネガティブな視点を隠さずに質問することで、本当にどう感じたかを話してもらう工夫をしましょう。
⑤:履歴書を深掘りする
さらっと履歴書をなぞるだけの面接では、マッチングしているかどうかわかりません。
貴社の仕事で成果を出すために必要なポイントをあらかじめ洗い出しておき、履歴書の確認をする自然な流れの中で、適合しているかどうかひとつひとつ確かめてみましょう。
また、職歴については敏感になることをおすすめします。
転職時の理由について、問い詰める雰囲気を極力避けつつ、「理由」(なぜ辞めたのか)、「好み」(何が嫌だったか)、「能力」(何が苦手だったのか)の3点について聞き出せれば成功です。ストレスを感じるポイントや、困難に直面した時にどう振る舞う人なのかがわかってきます。
⑥:最後の演出「決意表明」
ひと通りの説明と質疑応答が終わった後、最後に相手の意思確認を行います。
この時、できれば「決意表明」をしてもらう、という工夫をしてみましょう。
「今回、ご縁をいただいた場合、どんなふうにご活躍いただけそうですか?」
このような問いを投げかけることで、応募者は貴社で働く自分を具体的に想像してくれ、自分の言葉で答えてくれます。もし「頑張ってみよう」と思ってくれていれば、ポジティブな表現で決意表明してくれます。自分自身の頭で想像し、それを言葉に出してもらうことで、お互いの共通認識や仲間意識が生まれた、という雰囲気になることでしょう。
もし、何らかの理由でこのような問いかけが難しい場合でも、「採用となった場合、弊社でお仕事をしていただけますか?」という質問だけはしておきましょう。
「はい」と声に出して言っていただくだけでも、決意を固めてもらうのに役に立ちます。
3.対等な立場を忘れないで!
面接では、油断をすると採用者が優位に立ってしまいがちですが、意識的に対等な立場でお話をすることが大切です。
これから長い付き合いになるのですから、採用者側の印象も良いに越したことがありませんし、正直に話してもらう必要があるからです。
もし、「早期離脱につながる主な原因」に思い当たる節があったら、今回紹介した「早期離脱を防止する6つの面接のコツ」を試してみてください。きっと、今までよりずっとよい雰囲気の中で、有意義な面接ができると思います。
次回は、採用後に問題があって離脱される場合の主な原因と防止策をお伝えする予定です。