知っていてよかった！ラウンド組織のよくある「うっかり違法行為」の事例と解消法

１．よくある違法行為①　「偽装請負」とは？

外注会社にフィールドマーケティングの組織運営を業務委託している場合に発生します。業務委託契約にもかかわらず、メーカーの社員様がラウンダー（フィールドスタッフ）に直接指示や命令を行うと、使用従属関係を強いているとみなされます。これを「偽装請負」と呼びます（図1）。例えば、メーカーの本部担当営業様が日常的にラウンダーに指示・命令をしている場合です。違法行為の自覚がないまま行われることが多いですが、ラウンダーが「指示された」と感じた時点で違法になります。

図1

２．「偽装請負」の解決方法

指揮命令や管理が必要な業務であれば、外注業者との派遣契約を検討しましょう。派遣契約であれば問題なくスタッフに直接指揮命令できます。また、外注ではなく直接雇用をすることでも解決することが可能です（図2）。
※「雇用契約」「派遣契約」のメリット／デメリットの詳細はこちら（参考：契約の基本【雇用契約・派遣契約編】）

図2

３．よくある違法行為②　「二重派遣」とは？

派遣契約でフィールドマーケティングの組織運営をしている場合に発生します。
店舗の改装応援や棚替え業務は、貴社の理想の売り場を実現するための重要なイベントです。しかしながら、このような現場は、蜂の巣をつついたような混沌とした忙しさです。
バタバタとした雰囲気の中では、雇用関係が無いにもかかわらず、店舗の担当者がついメーカーのスタッフに直接の指揮命令を行ってしまう場合があります。

メーカーに派遣されるラウンダーが店舗の担当者から店舗の仕事を命じられると、店舗ではなくメーカーが訴えられる可能性があります。
「二重派遣」または「多重派遣」と認定される違法行為だからです（図3）。

二重（多重）派遣が違法なのは、中間企業の労働搾取や責任の所在が不明確になることを防止するための法律（職業安定法）により、刑事罰が定められています。

図3

４．「二重派遣」の解決方法

店舗からの指示・管理を受けないとできない業務の場合は、人材紹介と派遣契約を組み合わせた手段があります。当日にならないとどのような業務になるか見当がつかない場合に有効な方法です。

これは、メーカーにスタッフを紹介し、メーカーと店舗が派遣契約を締結する手法です。
メーカーが人財を保有していない場合は、スタッフを揃えている外注企業に相談し、適したスタッフを紹介してもらいます。メーカーとそのスタッフが直接雇用契約し、メーカーと店舗が派遣契約を結びます。これによって、店舗にはメーカーから店舗（小売店）に派遣されたスタッフがいることになり、店舗から直接指揮命令をして業務を行うことが可能になります（図4）。
メーカーで人財を保有している場合は、メーカーと店舗が派遣契約を結べば店舗からの指示・管理が可能です（図5）。

あらかじめ改装応援や棚替え業務の内容をもとに、メーカーと店舗がこのように派遣契約を申し合わせておくことで、法令を遵守し、スタッフを含めて気持ちのよい関係を築くことが可能です。

但し、派遣法の適用を受ける可能性がありますので注意が必要です。

図4

図5

補足

ラウンダーが店舗やメーカーからの指示・管理を受けないという前提であれば、最初にご紹介した業務委託契約でも実行可能です。
あらかじめ具体的な陳列方法などの業務依頼書を作成し、外注先に依頼します。外注先はアルバイト雇用などの雇用契約をしたスタッフに、指示を行い、改装応援や棚替え作業を行います。

図６

今回紹介した2つの事例は、違法行為とは知らずにうっかり行ってしまいがちな代表例です。
万が一、貴社において不安があるとしたならば、これを機会に実態調査を行ってみることをおすすめします。