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コラム

フィールド組織運営
2020.07.28

【2020年更新】ラウンダー組織で使われる主な3つの契約の基本【雇用契約・派遣契約編】

これまで「知っておきたいフィールドマーケティングの基礎」「成功事例から学ぶ。ラウンダーを外注する前に知っておくべき3つの検討要素」にて、フィールドマーケティングを成功させるためのポイントと、それを社内で内製化するか外注するかの判断基準をご紹介してきました。

さて、その後に行うべきはスタッフとの「契約形態」の検討です。

ラウンド組織で行われる主な契約形態は「雇用契約」、「派遣契約」、「業務委託契約」の3つです。3つの契約形態の基本情報と、それぞれのメリット/デメリットを説明します。

今回は、雇用契約と派遣契約について解説します。

目次

雇用契約とは正社員、期間(契約)社員、アルバイト社員、パート社員など、企業が直接雇用する契約全般を指します。
企業とスタッフ間に使用従属関係があり、直接指揮命令ができることが特徴です。

図1

①雇用主(メーカー)による直接の指揮命令が可能

法律上、雇用契約が結ばれると「支配する側」と「される側」という使用従属関係が生まれます。これにより、メーカーはスタッフに対して直接の指揮命令、つまり働く時間や場所、業務内容を命じることが可能になり、スタッフはメーカーの業務命令に原則として従わなければなりません。

業務内容が日々変化し、指示を仰ぎながら臨機応変な対応をしなくてはならない仕事は雇用契約がおすすめです。

②フルタイム人財の採用難易度が下がる

フルタイム(1日7~8時間平日フル活動)の業務で募集する場合、安定収入を希望している人や世帯の収入の柱とする人がターゲットになります。
安心感のある雇用契約(正社員契約や期間(契約)社員)を希望する人が多いため、応募が集まりやすい傾向があります。

メーカー側はスタッフを雇用することに対する責任が生じ、それによって発生するデメリットもあります。

①5年以上の契約は「無期契約」に

有期雇用契約の場合、いわゆる5年ルールというものが存在します。
2013年4月に法律が変わり、有期雇用期間が5年を超え、かつ、スタッフが希望する場合、契約期間の定めのない無期雇用に転換しなければいけないという内容です(詳細は「改正労働契約法「5年ルール」適用に向け対応をしたい」)。
5年を越える業務の場合は、5年後の形態等も想定しておく必要があります。

②管理の手間(コスト)と責任が発生

雇用主(メーカー)は、人財の採用から配置、育成、昇進・昇格、賃金、労働時間の管理や退職に至るまでの一連の流れを適正に管理する「労務管理」の義務があり、その手間(コスト)が発生します。

また、「使用者責任」が生じます。
例えば、何らかの事故の際、スタッフの過失の有無にかかわらず企業側が責任を負う必要があります。

③固定費扱いとなる

雇用する場合、固定費扱いとなるため、成果にかかわらず一定のコストが発生します。

④採用コストがかかる

採用活動はメーカーが直接行います。
求人広告費用や、見落としがちなスタッフを選考する際にかかる雇用主側の手間など、採用に関わるコストが発生します。

⑤給料プラスαのコストが発生する

雇用する場合、企業側はスタッフへの給料の支払いの他に、各種社会保険(「労災保険」「雇用保険」「厚生年金保険(※)」「健康保険(※)」など)の費用が発生するため、コストが高くなる傾向があります。

※下記条件を満たさないパート社員やアルバイト社員は、「厚生年金保険」「健康保険」に加入できません。
・1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上である場合
・1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上である場合
・従業員数501名以上であれば、1週間の労働時間20時間以上、賃金88,000円以上の場合

⑥業務に合わせて契約を終了することが困難

雇用している責任が生じるので、プロジェクトの成果に合わせてスタッフ数を柔軟に変更することができません。
例えば、プロジェクトの成果が芳しくない、もしくは業務量が減った場合でも契約を終了することができず、仕事量を担保するために店舗が忙しい時間にも活動をしたり、効率が悪くても広いエリアを担当させたりするなど、効果が薄い業務を依頼し続けることにもなりかねません。
安定していない新規プロジェクトの場合は特に注意が必要です。

企業が派遣会社と締結する契約です。

雇用契約との違いは、下記2点です。
1:スタッフのリクルートは派遣元が行うこと
2:スタッフにかかる派遣料は派遣会社に支払い、派遣会社から給料としてスタッフに支払われこと

図2

 

スタッフにとっては雇用契約とほぼ同じですが、企業側のメリット・デメリットが変わってきます。

①派遣先(メーカー)による直接の指揮命令が可能

雇用契約と同様に、派遣先による直接の指揮命令が可能です。
次回説明する業務委託契約と大きく異なる点です。

②採用の手間(コスト)削減

スタッフの採用は派遣元の派遣会社が行うため、採用にかかる手間や見えないコスト(採用業務に携わる派遣先側の費用等)を軽減できます。

ほぼ雇用契約と同じですが、若干異なるのが下記の2点です。

①同一部署で3年以上、同一派遣労働者で3年以上の契約はできない

派遣契約の場合、雇用契約の5年ルールではなく、3年ルールというものが存在します。
3年を越える可能性のあるプロジェクトの場合、あらかじめ注意が必要です。

②費用が高くなる傾向にある

スタッフは派遣会社と雇用契約を結んでいますので、スタッフへの給料の支払いの他に、各種社会保険の支払いが必要です。
多くの場合、その費用はそのまま派遣先への請求額にプラスされることになります。
また、管理コストなど派遣会社のマージンは約3割程度だと考えられます。
派遣先が目指している成果にこれらの費用が見合うものかどうか、検討する必要があります。

前述の通り、雇用契約と派遣契約では、スタッフに対して直接の指揮命令が可能です。
しかし、「業務委託契約」ではそれができないため、異なるコミュニケーション手段を行う必要があります。

 

次回は、業務委託契約がどういうものか、そのメリットとデメリットをわかりやすく説明します(業務委託編はこちら ) 。

雇用契約、派遣契約にてラウンダーの導入を検討する際には、2020年4月(※)に施行された「同一労働同一賃金」制度についても留意しておく必要があります。
※中小企業は2021年4月より施行

働き方改革関連法の成立によって、「同一労働同一賃金」に関連する法制度が改正されました。これにより、正規雇用労働者(正社員)と非正規雇用労働者の職務内容が同じであれば、同じ待遇(基本給、賞与、各種手当などのあらゆる待遇)とすることが求められます。
対象となるの非正規雇用労働者とは、パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者です。

同一労働同一賃金の導入は、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者) と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。
【引用】厚生労働省/同一労働同一賃金特集ページ

正規雇用労働者と非正規雇用労働者の職務内容が同じであれば同じ待遇が求められるため、両者の役割や権限、責任範囲を明確にしておく必要があります。

【明確にしておくポイント】
・職務内容(業務内容・責任の程度)
※責任とは、職務内容に伴う権限・業務の成果への役割・クレーム対応の有無など
・職務内容および配置の変更の範囲(人事異動・昇進昇格・転勤など)
・その他の事情(職務の成果・意欲・能力又は経験、合理的に労使間で決定した事項など)

 上記を明確にしたうえで、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の基本給・昇給・賞与制度、通勤手当や時間外手当、給食施設・休憩室の利用、慶弔休暇、病気休職等の待遇を整理し、不合理な待遇がないかを確認する必要があります。

次回は、業務委託契約がどういうものか、そのメリットとデメリットをわかりやすく説明します(業務委託編はこちら ) 。