在留資格の就労種類を比較!自社で採用できるか一目で分かる
外国人採用を検討し始めると、真っ先に迷うのが在留資格の種類と就労可否の判断ではないでしょうか。技術・人文知識・国際業務や特定技能、技能、特定活動など、就労系の在留資格は種類が多く、対象となる職種や学歴要件、在留期間もそれぞれ異なります。この記事では「在留資格 就労 種類 比較」というテーマで、人事担当者が押さえておきたいポイントを一覧表つきで整理しました。
就労できる在留資格は全部で何種類?まず結論を確認しよう

日本の在留資格は全部で29種類あり、そのうち就労が可能なものは決して少なくありません。まずは全体の分類を押さえたうえで、次の章から職種・学歴・在留期間ごとの詳しい比較に進みましょう。
就労可能な在留資格の種類一覧(早見表)
就労できる在留資格は、大きく「就労制限のない身分系」と「指定範囲内で就労できる活動系」の2つに分けられます。就労制限のない身分系在留資格(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者)の4種類と、指定範囲内で就労できる活動系在留資格(技術・人文知識・国際業務、特定技能など)の19種類があり、合計23種類の在留資格で就労が可能です。また、「特定活動」も指定された活動内容によっては就労が認められる場合があります(一部除外あり)。
| 分類 | 該当する在留資格の例 | 就労できる範囲 |
|---|---|---|
| 身分系(4種類) | 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者 | 職種の制限なし |
| 活動系(19種類) | 技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能、特定活動、高度専門職 など | 指定された職種・分野のみ |
この表がまさに「在留資格 就労 種類 比較」の出発点です。自社が採用したい人材がどちらに当てはまるのかを、まず大枠でつかんでおきましょう。
「就労できる資格」と「就労できない資格」の大きな違い
留学や家族滞在は、原則として就労が認められない在留資格です。ただし、「留学」及び「家族滞在」の在留資格をもって在留する外国人の方がアルバイト等の就労活動を行う場合には、地方入国管理局で資格外活動の許可を受けることが必要です。許可を得れば、原則として1週28時間まで就労することが可能となります。
これに対し、身分系や活動系の在留資格は、そもそも就労を目的とした資格です。「就労できない資格=資格外活動の枠内でしか働けない人材」「就労系資格=定められた職種の範囲でフルタイム就労できる人材」というイメージを持つと、採用時の判断がぐっとしやすくなります。判断を誤ると不法就労につながるおそれがあるため、必ず在留資格の種類を確認しましょう。
【比較表】主要な就労系在留資格を職種・学歴・在留期間で見比べる

ここからは、採用担当者が実務で接する機会の多い「技術・人文知識・国際業務」「特定技能1号・2号」「技能」「特定活動」「身分系」の5つを、職種・学歴要件・在留期間の3軸で比較していきます。まずは全体像を一覧で確認しましょう。
技術・人文知識・国際業務(いわゆる「技人国」)
技人国は、エンジニアや通訳、経理、マーケティングなど、専門知識やスキルを活かすオフィスワーク系の職種で採用されることの多い在留資格です。人文知識とは法学や経済学など主に文系分野を専攻した人向けの業務を指し、国際業務は外国人ならではの強みや感性を生かした業務のことで、たとえば民間の語学教師や通訳・翻訳などが典型例とされています。
学歴要件は、原則として大学卒業(または同等の教育)や、業務内容と関連する分野を専攻した専門学校卒業が基準です。学歴要件を満たさない場合でも、「技術・人文知識」の仕事に就く場合は10年以上、「国際業務」の仕事なら3年以上の実務経験を証明することで、技人国の申請が可能となります。
在留期間は、5年、3年、1年または3月のいずれかで決定され、更新回数に上限はありません。ただし、単純労働への従事は認められないため、業務内容と学歴・職歴との関連性が厳しく審査される点に注意しましょう。
特定技能1号・2号
特定技能は、人手不足が深刻な特定産業分野で即戦力人材を受け入れるための在留資格です。特定技能1号は「即戦力の外国人材の受入れ」を目的とした在留資格で、同一分野内での転職が可能とされており、対象となる産業分野は幅広く定められています。
在留期間は1号と2号で大きく異なります。特定技能1号は、1回の許可で法務大臣が指定する3年以内の期間が付与され、通算在留期間は原則5年が上限です。一方、特定技能2号は1度で最長3年間の在留が認められるうえに、更新し続ければ日本に無制限に在留可能です。また、特定技能2号では、要件を満たしていれば、配偶者と子を本国から呼び寄せることが可能です。
企業側の負担にも違いがあります。1号では受入れ企業に支援計画の策定・実施義務がありますが、特定技能2号では、支援計画の策定および実施は不要となります。1号の支援業務を外部に任せる場合、登録支援機関への委託費用は外国人1人あたり月額2〜4万円程度が一般的な相場とされているため、内製化するか委託するかは事前に比較検討しておくと安心です。
技能
在留資格「技能」は、外国料理の調理師や貴金属加工職人など、熟練した技能を要する特殊な分野の職種を対象とした在留資格です。調理師の場合、料理の調理又は食品の製造に係る技能で、外国において考案され我が国において特殊なものについて10年以上の実務経験を有する者であることが基準とされ、タイ人調理師については5年の実務経験で可能です。
技人国とは異なり大学卒業などの学歴要件はなく、あくまで実務経験の年数と技能の水準が審査の中心です。一方で、業務範囲は調理や製造といった専門業務に限られ、ホールでの接客など単純労働との兼務は認められません。特定技能(外食業など)が接客まで含めて幅広く業務を任せられるのに対し、技能はより専門特化した人材向けの資格といえるでしょう。
特定活動
特定活動は、あらかじめ定められた活動類型ではなく、個々のケースに応じて法務大臣が活動内容を指定する在留資格です。そのため、同じ「特定活動」でも就労できるかどうかは指定書の内容次第で大きく異なります。
採用場面でよく接するのが、留学生の卒業後の就職を支援する特定活動46号(本邦大学等卒業者)です。令和6年の告示改正により、本邦大学・大学院等に加え、一定の要件を満たす短期大学・高等専門学校・専門学校の卒業者等までが「特定活動46号」の学歴要件として認められました。技人国と異なり、レジ打ち、接客、商品の陳列、食器洗い、清掃、洗濯など単純労働に分類される業務が、要件を満たした場合に認められる点も特徴です。
このほかワーキングホリデーなども特定活動に含まれますが、いずれも指定書での確認が欠かせません。
身分系(永住者・定住者・日本人の配偶者など)
身分系の在留資格には、永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者の4種類があります。これらの在留資格をもって在留する外国人の方は就労活動に制限はありません。職種を問わず、技人国や特定技能の対象外となる単純労働の職種でも採用できるのが最大の特徴です。
在留期間は資格によって異なり、永住者は無期限である一方、日本人の配偶者等や定住者などは一定期間ごとの更新が必要です。ただし、離婚や死別などにより身分が変動すると在留資格の変更が必要になる場合があるため、採用後も状況の変化には注意しておきましょう。
在留資格ごとの要件を詳しく確認する

比較表で全体像をつかんだところで、ここからは実務で確認すべきポイントを「職種」「学歴・職歴・試験」「在留期間」の3つの観点からさらに掘り下げていきます。採用判断の最終チェックに活用してください。
どんな職種・業務に就けるか
技人国はエンジニアや通訳、経理、マーケティングなど専門知識を活かす職種、特定技能は介護・外食・建設・農業など人手不足が深刻な分野の現場業務、技能は外国料理の調理師や貴金属加工などの熟練職が中心です。
身分系は職種の制限がないため、工場でのライン作業や接客業など、他の在留資格では認められにくい単純労働も含めて幅広く任せられます。特定活動は指定書に記載された活動内容がすべてであり、同じ「特定活動」でも人によって従事できる業務が異なる点に注意が必要です。自社の業務内容が単純作業中心なのか専門性が求められるのかを整理すると、選ぶべき在留資格が見えてきます。
学歴・職歴・試験などの要件
技人国は大学・専門学校卒業などの学歴、または「技術・人文知識」の仕事に就く場合は10年以上、「国際業務」の仕事なら3年以上の実務経験が基準です。特定技能は学歴要件がない代わりに、分野ごとの技能試験と日本語試験が必要になります(技能実習2号を良好に修了した人は日本語試験が原則免除され、技能試験は修了した職種・作業に対応する業務区分へ移行する場合に免除されます)。
技能(調理師)は10年以上の実務経験が原則で、学歴は問われません。特定活動46号は日本の大学・大学院等の卒業と高い日本語能力が要件です。求める人材の学歴やキャリアを整理し、どの在留資格の要件に当てはまるかを一つずつ確認していきましょう。
在留期間と更新・変更のルール
技人国は5年、3年、1年または3月で更新回数の上限はありません。特定技能は1号が通算5年、2号は更新し続ければ無制限という大きな違いがあります。身分系のうち永住者は無期限、その他は数年ごとの更新が必要です。
在留期間は、同一の在留資格のまま延長する「更新」と、活動内容が変わる際に必要な「変更」の2つの手続きに分かれます。特に転職や業務内容の変更を伴う場合は、更新ではなく変更手続きが必要になるケースがあるため、採用のたびに手続き区分を確認する習慣をつけておくと安心です。
自社の採用ケース別「使える在留資格」の選び方

ここまでの比較や要件を踏まえ、実際の採用場面でどの在留資格が使えるかを判断する実践的な方法をご紹介します。職種から絞り込む方法と、候補者側の経歴から絞り込む方法の2つのアプローチを押さえておきましょう。
採用したい職種から資格を絞り込む方法
自社が採用したい職種を起点に考えると、選ぶべき在留資格が絞り込みやすくなります。エンジニアや通訳など専門職であれば技人国、介護・製造業・外食業など人手不足が深刻な分野の現場業務であれば特定技能が候補です。熟練した外国料理の調理師を採用したい場合は技能を検討しましょう。
職種によっては複数の在留資格が候補になることもあります。たとえば飲食店の調理担当なら、技能と特定技能(外食業)のどちらでも要件を満たせる場合があるため、業務範囲(調理専従か、接客も含むか)に応じて選び分けることが大切です。
候補者の経歴・学歴から資格を絞り込む方法
候補者側の学歴や経歴を起点に考える方法もあります。日本の大学・大学院を卒業した留学生であれば技人国や特定活動46号、実務経験が10年以上ある熟練職の人材であれば技能、特定技能試験に合格している人材であれば特定技能というように、保有する資格や経歴から適した在留資格を判断できます。
候補者本人がどの在留資格の取得要件を満たしているかは、履歴書や卒業証明書、実務経験を証明する書類などから確認しましょう。応募者と話す前に、想定される在留資格の候補をいくつか整理しておくと、面接時の質問もスムーズになります。
迷ったときに確認すべきチェックポイント
判断に迷ったときは、まず在留カードを確認しましょう。確認すべき項目は「在留資格」「在留期限」「就労制限の有無」「資格外活動許可」の4点です。特定活動の場合は、在留カードだけでなくパスポートに添付された指定書の内容まで確認する必要があります。
また、業務内容と在留資格の整合性も重要な確認ポイントです。許可された範囲を超えて働かせてしまうと、不法就労助長罪(2026年7月現在は3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はこれらの併科。5年以下・500万円以下への引上げは2027年4月1日施行予定)に問われるおそれがあります。次のような点を採用前後で必ずチェックしましょう。
- 在留カードの原本で本人確認・在留期限・就労制限の有無を確認する
- 特定活動の場合は指定書で活動内容・勤務先を確認する
- 実際に任せる業務内容が在留資格の範囲内かを整理する
- 転職者の場合は前職の業務内容と変更点を確認する
- 少しでも不安があれば専門家や人材紹介会社に相談する
自社だけでの判断が難しい場合は、行政書士などの専門家や外国人採用支援サービスに相談するのも一つの方法です。人材紹介を利用する場合、紹介手数料の相場は30万〜50万円程度とされているため、あわせて確認しておくとよいでしょう。
まとめ

在留資格 就労 種類 比較というテーマで、技人国・特定技能1号2号・技能・特定活動・身分系の主な就労系在留資格を、職種・学歴要件・在留期間の3つの観点から整理してきました。それぞれの資格で対象となる職種や求められる要件、在留できる期間が異なるため、自社が採用したい人材に合った資格を見極めることが採用成功の鍵になります。
採用時には在留カードでの確認を徹底し、業務内容と在留資格の整合性を必ずチェックしましょう。判断に迷う場合は、専門家や外国人採用支援サービスへの相談も有効な選択肢です。
在留資格 就労 種類 比較についてよくある質問
最後に、外国人採用を検討する人事担当者からよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。記事の内容をおさらいしながら、実務への橋渡しとしてご活用ください。
就労系の在留資格は何種類ありますか?
就労制限のない身分系4種類と、指定範囲内で就労できる活動系19種類をあわせて、合計23種類の在留資格で就労が可能とされています。自社の採用職種がどちらに当てはまるかをまず確認しましょう。
技人国と特定技能はどちらを選ぶべきですか?
専門知識を活かすオフィスワーク系の職種なら技人国、介護や外食、建設など人手不足分野の現場業務を含む職種なら特定技能が候補です。業務内容が単純労働を含むかどうかで選び分けるとよいでしょう。
在留カードで就労可否をどう確認すればよいですか?
在留カードの「在留資格」「在留期限」「就労制限の有無」の欄に加え、裏面の「資格外活動許可」の記載を確認します。特定活動の場合はパスポートの指定書もあわせて確認しましょう。
留学生を正社員として採用したい場合、どの在留資格が使えますか?
業務内容が専攻分野と関連していれば技人国、単純労働を含む幅広い業務を任せたい場合は特定活動46号(本邦大学等卒業者)が候補になります。いずれも在留資格変更許可申請が必要です。
在留資格の確認に不安がある場合はどうすればよいですか?
行政書士などの専門家や、外国人採用支援サービス・登録支援機関に相談するのがおすすめです。書類の真正性の確認や申請手続きのサポートを受けられます。