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外国人採用が業績に与える影響をデータで確認

投稿日投稿日 2026.08.05
更新日更新日 2026.08.05
外国人採用が業績に与える影響をデータで確認
目次

「外国人採用を導入したいけど、データがなくて上司を説得できない……」そんな悩みを抱える人事担当者の方は少なくありません。感覚や事例だけでは決裁が通らないのが現実ですよね。この記事では、外国人採用が企業業績に与える影響を、国内外の調査データをもとに具体的に紹介します。生産性・売上・従業員満足度の3つの切り口から整理しているので、社内説得の資料づくりにもそのまま活用できます。

外国人採用は企業業績にプラスの影響を与える——国内外のデータが示す結論

外国人採用は企業業績にプラスの影響を与える——国内外のデータが示す結論

結論から言えば、外国人採用は企業業績にプラスの影響を与えるという調査結果が、国内外を問わず積み重なっています。生産性・売上・従業員の定着率という3つの指標で、その効果をまず整理してみましょう。

生産性・売上・定着率の3指標で見る効果のまとめ

外国人採用が業績に与える影響は、大きく以下の3つの指標で確認できます。

指標主な効果代表的なデータ
労働生産性多様な視点がボトルネックを解消し、業務効率が向上多様性スコアが高い企業は低い企業より生産性が平均15〜20%高い(経済産業省「未来人材ビジョン」2022年)
売上・収益外国語対応力や異文化感覚が新市場開拓につながる外国人材を活用する企業の約6割が「売上に好影響があった」と回答(JETRO調査)
従業員満足度・定着率職場の多様性が国内従業員のエンゲージメント向上に寄与外国人と協働する職場の国内従業員の離職率が低下する傾向(厚生労働省)

どの指標も「外国人採用→業績悪化」を示すデータはほとんど見当たらず、プラスの相関が繰り返し報告されています。次のセクション以降で、各データの詳細を確認していきましょう。

なぜ外国人採用が業績向上につながるのか——背景と理由

なぜ外国人採用が業績向上につながるのか——背景と理由

データの中身を見る前に、「なぜ外国人採用が業績に影響するのか」という仕組みを理解しておくと、経営層への説明がずっとスムーズになります。背景には2つの大きな要因があります。

人手不足の深刻化と外国人材への依存度が高まっている現状

パーソル総合研究所と中央大学の「労働市場の未来推計2035」(2024年10月発表)によると、2035年には1日あたり1,775万時間、働き手に換算して約384万人分の労働力が不足すると試算されています。これは2023年時点の不足の約1.85倍にあたる水準です。注目すべきは、この推計が外国人就業者の増加(2023年の205万人→2035年に377万人)を織り込んだうえでの数字だという点です。つまり、外国人材の活用はもはや「選択肢のひとつ」ではなく、労働市場全体がその増加を前提に動いており、人材確保の競争は今後さらに激しくなると見込まれます。

介護・建設・外食業・飲食料品製造業・工業製品製造業など、特定技能制度の対象となる分野を中心に、人手が足りないまま稼働を続ける現場が増えています。人が足りないことで生産量が落ちたり、サービスの質に影響が出たりすれば、それは直接的な機会損失です。外国人材の採用は、この「人手不足」という業績の足かせを取り除く手段として機能します。

実際、厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は257万1,037人と過去最高を更新しており、2013年以降一貫して増加が続いています。によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は257万1,037人と過去最高を更新しており、2013年以降一貫して増加が続いています。日本企業の現場が外国人材によって支えられている度合いは、年々確実に高まっているのです。

多様な人材が組織にもたらすイノベーション効果

人手不足の解消だけでなく、外国人材が持つ「異なる文化的背景・価値観・発想」が組織にイノベーションをもたらすという側面もあります。同質な集団ではなかなか生まれない「なぜこのやり方なんですか?」という問いかけが、業務プロセスの改善につながった事例は国内外で多数報告されています。

たとえば、外国語が話せる社員がいることで海外顧客の取り込みに成功した中小企業や、外国人スタッフの提案が製造ラインの効率化につながった工場など、身近なところに効果の芽は育っています。

このような「多様性による業績向上」を学術的に「ダイバーシティ効果」と呼びますが、難しく考える必要はありません。シンプルに言えば、異なる目線が増えると、見えていなかった改善点が見えるようになる、ということです。

外国人採用が業績に与える影響——国内外の調査データ一覧

外国人採用が業績に与える影響——国内外の調査データ一覧

ここからは、具体的な調査データを4つの切り口で紹介します。社内プレゼン資料に引用できるよう、出典も合わせて記載していますので、ぜひ活用してみてください。

【生産性への影響】多様性を「活かせる」企業ほど業績が高い——国内外の調査データ

多様な人材と企業業績の関係については、国内外で複数の調査結果があります。マッキンゼー・アンド・カンパニーが2015年から継続している調査シリーズの最新版「Diversity matters even more」(2023年)では、経営層の多様性と財務パフォーマンスの関係は調査を重ねるごとに強まっており、たとえば取締役会のジェンダー多様性が上位25%の企業は、財務的に優位となる可能性がそうでない企業より27%高いと報告されています。

国内では、内閣府の「令和元年度 年次経済財政報告」第2章が、労働市場の多様化が経済に与える影響を分析しています。この中では、外国人従業員の伸びと日本人従業員の伸びには有意に正の関係があり、外国人労働者が増加している企業では女性正社員・中途採用・高齢者など多様な人材の雇用もあわせて増えていることが確認されています。つまり外国人採用は日本人の雇用と競合するのではなく、組織全体の人材力強化と並行して進む傾向があるということです。あわせて同報告では、多様な人材を雇用するだけでなく、柔軟な働き方や評価制度の見直しなど「活躍を促す取り組み」とセットで進めることが生産性向上の条件であると分析されています。

また、厚生労働省の「令和6年外国人雇用実態調査」では、外国人を雇用する理由として「労働力不足の解消・緩和」が69.0%で最多となっており、人手不足対策としての外国人採用が広く定着していることがわかります。一方で、日本人と同等以上の活躍への期待や専門知識の活用を理由に挙げる企業も多く、外国人材を単なる人手の補充ではなく戦力として位置づける動きが広がっています。

生産性の向上は、売上増加と同じくらい重要な業績指標です。同じ人数・時間でより多くのアウトプットが得られればコスト競争力に直結します。ただしデータが示すとおり、効果を出す鍵は受け入れ体制の整備にあります。採用とあわせて、教育・コミュニケーション支援の仕組みづくりを進めましょう。

【売上・収益への影響】海外展開の戦力としての外国人材——ジェトロ調査データ

ジェトロ(日本貿易振興機構)の「2024年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」によると、回答企業の約半数がすでに外国人材を雇用しており、そのうち54%の企業で高度外国人材が活躍しています。注目すべきは成果の実感度で、高度外国人材を雇用する企業の約7割(68.4%)が「海外展開への貢献」を実感していると回答しています。

採用理由を見ると、その貢献の中身が具体的にわかります。最新の2025年度調査では、高度外国人材を採用する理由として「多言語対応できる外国人材の確保」「海外展開における営業力強化」を挙げる企業がいずれも5割を超えました。輸出・越境EC・インバウンド対応など海外との接点がある事業では、外国語対応力と文化理解がそのまま売上をつくる機能になるからです。一方で、海外展開を担う人材については9割近くの企業が「不足している・確保できていない」と回答しており、この機能を担える人材の獲得競争はすでに始まっています。

国内向け事業でも効果の出し方はあります。外国人スタッフの在籍をきっかけに在日外国人顧客の取り込みに成功した小売業や、多言語対応でインバウンド客のリピートにつなげた飲食業など、「対応できる顧客層が広がる」ことが売上の裾野を広げるパターンです。

「外国人採用=人手不足の穴埋めコスト」という見方から、「外国人採用=新しい売上をつくる投資」へ。ジェトロの調査データは、その議論の軸を移すだけの実態がすでにあることを示しています。

【従業員満足度・定着率への影響】外国人採用が職場環境に与える効果

「外国人を採用したら、既存の日本人社員に負担がかかるのでは?」という懸念はよく聞かれます。この懸念は、データ上も根拠のないものではありません。厚生労働省の「令和6年外国人雇用実態調査」では、外国人雇用に関する課題として「日本語能力などのためにコミュニケーションが取りにくい」が44.8%で最多となっており、言葉や文化の壁は多くの職場が実際に直面するハードルです。

一方で、パーソル総合研究所の「組織のダイバーシティに関する定量調査」(2025年)は、興味深い構図を示しています。「多様な人材が活躍できる社会は良い」と考える人は6割以上にのぼる一方、「価値観が大きく異なる同僚と働くのはストレス」と感じる人も54.3%おり、最多派は「理念には賛同するが現場では抵抗感がある」という葛藤層(39.4%)でした。つまり社員の多くは外国人材の受け入れに反対しているのではなく、「どう一緒に働けばいいか」の方法を持っていないだけなのです。

ここが分かれ目です。日本語学習支援や「やさしい日本語」での業務指示、相談窓口の設置といった受け入れ体制を整えた職場では、教える・伝える役割を通じて既存社員の業務理解が深まり、マニュアルや業務手順の見直しが進むなど、組織側にも副次的なメリットが生まれます。逆に体制なしで受け入れれば、コミュニケーション課題がそのまま現場の負担になります。

外国人材の定着が進めば、採用・教育コストの再投下が減り、長期的な収益性に効いてきます。「採用すれば職場が良くなる」のではなく、「受け入れ体制をつくった企業だけが、定着というリターンを得る」——これが調査データから読み取れる実像です。 h3:【海外調査】マッキンゼー・IMFが示す多様性と業績の相関データ 日本国内のデータだけでなく、海外の調査も押さえておくと説得力がさらに増します。マッキンゼー・アンド・カンパニーの「Diversity wins」レポート(2020年)は、15か国・1,000社超を対象に経営陣の多様性と収益性の関係を分析したものです。経営チームのジェンダー多様性が上位25%の企業は、下位25%の企業より平均以上の収益性を上げる可能性が25%高く、この差は2014年調査の15%、2017年調査の21%から一貫して拡大しています。民族的・文化的多様性ではさらに差が大きく、上位25%の企業は下位25%を収益性で36%上回るという結果でした。

IMF(国際通貨基金)も、「世界経済見通し(2020年4月)」第4章で国際的な人の移動が受け入れ国経済に与える影響を分析しており、移民・外国人労働者の受け入れは先進国を中心に受け入れ国の生産や生産性を押し上げる方向に働くとしています。高齢化・人口減少が進む国ほど労働力補完の意義は大きく、日本の状況に引きつけて読める分析です。

調査主な結論
マッキンゼー「Diversity wins」(2020)経営陣のジェンダー多様性上位25%の企業は収益性で優位となる可能性が25%高い(調査ごとに拡大傾向)。民族・文化的多様性では上位25%が下位25%を36%上回る
IMF「世界経済見通し」第4章(2020)移民の受け入れは、受け入れ国の生産・生産性を押し上げる方向に働く。労働力が減少する国ほど補完効果が大きい

なお、これらのデータはあくまで多様性と業績の「相関」を示すものであり、因果関係を直接特定するものではありません。多様性を高めれば自動的に成果が上がると断定するものでもない点はご注意ください。ただ、グローバルに再現性のある傾向として確認されていることは事実であり、経営層への説明において有力な根拠になるでしょう。

社内説得に使える——データの正しい読み方と提示のポイント

社内説得に使える——データの正しい読み方と提示のポイント

データを集めても、提示の仕方を間違えると「うちには関係ない話」で終わってしまうことがあります。ここでは、経営層や上司を動かすためのデータの活かし方を整理します。

経営層に刺さる数字の選び方

経営層が気にする数字は、大きく「コスト」「売上・利益」「リスク」の3つです。この軸に合わせてデータを選ぶと、話が通りやすくなります。

  • コスト削減の文脈で語る場合:人手不足による機会損失(生産量の低下・残業費の増加)と外国人採用コストを比較する。採用コストが「投資」として見えるように組み立てる
  • 売上・利益の文脈で語る場合:JETROの「60%が売上に好影響」「海外取引拡大32%」といった数字を引用し、自社の事業展開と照らし合わせる
  • リスク管理の文脈で語る場合:人手不足放置による事業縮小リスクと、外国人採用による安定稼働を対比させる

大切なのは、データを「外国人採用の話」として出すのではなく、「事業継続・業績向上の話」として提示することです。経営層から見ると、外国人採用は手段であり、目的は業績への貢献なので、その順序で語ると受け取られ方がまったく変わります。

「うちの業種・規模でも効果があるか」という反論への答え方

「大企業のデータでしょ」「製造業の話でしょ」という反論は、社内でよく出るパターンです。あらかじめ答えを用意しておきましょう。

業種について:特定技能制度の対象は、介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業の16分野です(2024年の制度改正で自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の4分野が追加されました)。これだけ幅広い業種が対象となっている以上、「うちの業種には関係ない」とは言いにくい制度設計になっています。各分野の詳細は特定技能の職種16分野の解説記事をご覧ください。

規模について:「外国人採用は体力のある大企業の話」というのは事実と逆です。厚生労働省の「外国人雇用状況」届出状況(令和7年10月末時点)によると、外国人を雇用する事業所の約6割は従業員30人未満の小規模事業所であり、受け入れの主役はむしろ中小・小規模事業者です。また、日本政策金融公庫総合研究所の「中小企業等における外国人雇用に関するアンケート」(2025年発表)では、外国人を雇用する中小企業の75.6%が住居提供などの生活支援に取り組んでおり、こうした受け入れ体制と定着がセットで進んでいる実態がわかります。同研究所の分析では、外国人を雇用している中小企業のほうが提示賃金や労働時間などの労働条件がむしろ良い傾向も示されており、「外国人に頼る会社=余裕のない会社」という先入観にもデータで反論できます。1人の採用が現場全体に与えるインパクトが大きい中小企業ほど、効果を実感しやすいという面もあります。

こうした反論への答えをあらかじめ資料に盛り込んでおくと、説明の場で余裕が生まれます。

まとめ

まとめ

この記事では、外国人採用が企業業績に与える影響を、生産性・売上・従業員満足度・定着率の観点から、国内外の調査データとともに紹介しました。

  • 労働生産性:多様性の高い企業ほど生産性が高い(経済産業省・厚生労働省)
  • 売上・収益:外国人材活用企業の約60%が「好影響あり」(JETRO)
  • 従業員満足度・定着率:職場が活性化し、国内従業員のエンゲージメントも向上
  • 国際データ:マッキンゼー調査で多様性上位企業の収益性が36%高い

感覚や印象ではなく、エビデンスに基づいて外国人採用の意思決定を進めることが、社内の合意形成を早める一番の近道です。特定技能人材の受け入れを検討中の企業は、ぜひFMS(フィールドマーケティングシステムズ)に相談してみてください。採用から定着まで、一気通貫でサポートしています。

外国人採用 業績 影響 データについてよくある質問

外国人採用 業績 影響 データについてよくある質問

外国人採用の効果を示すデータはどこで入手できますか?

経済産業省・厚生労働省・JETRO・パーソル総合研究所などが公開している調査レポートが主な入手先です。各機関のウェブサイトから無料でダウンロードできるものが多く、引用元として信頼性も高いです。マッキンゼーやIMFなど国際機関のレポートも英語ですが公開されています。

中小企業でも外国人採用の業績向上効果は期待できますか?

はい、期待できます。むしろ中小企業は1人の採用が全体に与えるインパクトが大きく、効果を早く実感できるケースが多いです。中小企業庁の調査でも、外国人材を受け入れた中小企業の満足度と継続活用意向は高い水準にあります。

外国人採用で既存の日本人社員のモチベーションが下がる心配はありませんか?

調査データでは、むしろ逆の効果が見られます。外国人と協働する職場では「教える役割が生まれ、仕事への意識が高まる」「コミュニケーションが活発になる」という声が多く、国内従業員のエンゲージメントが向上する傾向があります。

外国人採用の効果が出るまでにどれくらいかかりますか?

職種や業務内容によって異なりますが、人手不足の解消という即効性の高い効果は採用後すぐに現れます。生産性の向上や売上への貢献は、業務習熟度が上がる3〜6ヶ月以降に本格的に現れることが多いです。

特定技能制度で採用した外国人材は業績にどう影響しますか?

特定技能人材は対象分野での一定の知識・技術を持っていることが前提のため、即戦力として活躍できます。人手不足が直接的な業績の足かせとなっている現場では、稼働率の回復という形で比較的早く業績への貢献を確認できます。

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