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フィールド組織運営
2018.02.15

2018年4月から無期雇用転換が始まる!改正労働契約法をふまえてラウンダー組織のあり方を見直そう

2018年4月から無期雇用転換が始まる!改正労働契約法をふまえてラウンダー組織のあり方を見直そう

改正労働契約法が施行されてから、2018年4月で5年が経過します。有期契約社員でラウンダー組織を運用されているメーカー様は、2018年4月までに、いわゆる「無期転換ルール」への具体的な対応をしていく必要があります。
『有期契約社員が無期契約になるだけ』と安易に考えていると、のちのち問題や混乱が生じかねません。

今回は、改正労働契約法のポイントを今一度解説するとともに、自社ラウンダー(フィールドスタッフ)の無期雇用転換に対応する際に注意すべき点やリスクについてお知らせします。

目次
売上の方程式から導き出す効果的なラウンダー活動8選
弊社が創業から40年間、200社を超えるメーカー様の売り場づくりを通して得た知見をもとに考えた「…

まずは、労働契約法の改正によって何が変わるのか、今一度振り返ってみましょう。
改正労働契約法の施行により、有期労働契約についての以下の3つの新しいルールが明記されました。

Ⅰ. 無期労働契約への転換(第18条、2013年4月1日施行)
有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールです。

Ⅱ. 「雇止め法理」の法定化(第19条、2012年8月1日施行)
最高裁判例で確立した「雇止め法理」が、そのままの内容で法律に規定されました。一定の場合には、使用者=雇用主による雇止めが認められないことになるルールです。

Ⅲ. 不合理な労働条件の禁止(第20条、2013年4月1日施行)
有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルールです。

 

「無期転換ルール」の概要<Ⅰ.無期労働契約への転換>

Ⅰ.は、一般に「無期転換ルール」と呼ばれています。有期雇用契約が更新され通算の契約期間が5年を超えると、労働者が有期労働契約の期間中に「期間の定めのない(=無期)労働契約締結」の申込みをした場合、自動的に無期労働契約が成立するというものです。雇用主はこれを拒否することはできません。
この無期労働契約は、法律上は労働者の申込時に成立し、有期労働契約の期間満了日の翌日から開始します。
図1

Ⅰ.は、法律が施行された2013年4月以降の日を契約期間の初日とする契約から適用されます。したがって、無期労働契約への転換が実際に発生するのは、2018年4月1日以降ということになります

「無期転換ルール」の概要<Ⅱ.「雇止め法理」の法定化>

Ⅱ.は、「雇止め」に関するルールの制定です。
有期労働契約は「○月○日まで」と期限を決めた労働契約ですから、雇用主が契約を更新しない限り、契約期間が過ぎれば雇用関係も終了します。これが「雇止め」です。労働者保護の観点から、過去の最高裁判例を元に、一定の条件が揃っている場合は雇止めを認めない・無効とすることを新たに法律(労働契約法)で定めたことが、「雇止め法理の法定化」です。つまり、労働契約が何度も更新され、労働者が「次も契約してもらえるだろう」と期待している状況や、雇用主が更新を期待させるような言動を行っていた場合などでは、社員の解雇同様に相当の理由がなければ雇止めはできなくなった、ということなのです。

では、改正労働契約法をふまえ、どのような対応が必要となってくるでしょうか。
ここでは、
①   ラウンダーを有期雇用から無期雇用へ転換する
②   ラウンダーを5年未満の有期契約とする
③   ラウンダー業務の一部、もしくは全てを外注化する
の三つの場合について、それぞれ主な注意点と想定されるリスクを簡単にご紹介します。

①有期雇用から無期雇用へ転換する際の注意事項、想定されるリスク

無期雇用社員の解雇は正社員同様困難になる

有期契約社員であれば、契約更新を行わなければ雇用契約は終了となりますが、無期雇用転換後は経済情勢や需要が変化しても柔軟な雇用調整ができなくなります。
例えば、ある商品分野からの撤退が決定しても、担当ラウンダーが無期雇用社員であれば、すぐに雇用契約を終了することは難しいでしょう。
さらに、業績悪化等によって解雇する場合にも、労働契約法第16条により社会通念上相当の理由であると認められなければ解雇無効となるため、あらゆる対策を講じたうえでやむを得ない状態の場合など、雇用契約の終了ができる条件は限られます。
このように、ラウンダーの無期雇用化は、人件費が固定化し、利益を圧迫するというリスクをはらんでいます。

無期雇用社員の処遇を明確にしておく

無期転換後の労働条件は、原則としては、契約期間以外は有期契約時の内容と同一となります。
しかし、正社員とは分別されますので、労務制度、人事制度、教育制度、評価制度などを勘案し、無期転換社員用の規定を正社員と切り分けて作成しておく必要があります。
特に、契約期間の定めがないということは、本人が希望すれば雇用し続けることになりますので、定年制を定めておくことは重要です。
定年後の社員を嘱託社員として雇用している場合は、無期転換ルールが適用されない特例の適応となりますので、都道府県労働局長に申請し、認定を受ければ定年後の再雇用で5年経過した場合でも無期転換申込の権利は発生しません(※1)。

※1 既に無期転換申込権を行使した社員は特定の適用外となるため、2018年4月までに認定を受けておく必要があります。また、申請時には適切な雇用管理に関する計画を作成して提出する必要があります。審査には一定期間を要する上、2018年4月に向けて申請件数が増加し、認定までの期間が長くなることも予想されます。早めの申請が必要になります。
(参考:高度専門職・継続雇用の高齢者に関する 無期転換ルールの特例について

休職者の穴埋めが困難なケースが増えている

最近は、スタッフの雇用形態が有期無期に関わらず、人財不足により休職中の欠員補充がうまくいかず、訪問エリアに穴が開いたままというケースも見受けられます。

② 5年間限定の有期雇用契約とする際の注意事項、想定されるリスク

ラウンダー組織の長期計画や運用が難しく、新規雇用にかかるコストも増加

ラウンダー業務を見直した結果、無期雇用転換権の発生しない5年未満の有期雇用で運用することを決定したメーカー様もいらっしゃいます。勤続5年未満の契約社員で組織編制をしなければならないため、長期的な計画が立てづらくなります。また、ラウンダー1名につき、5年ごとにリクルートや研修のコストと手間が発生することとなります。リクルートに際しては、雇用条件が不安定であるために優良人財が集まりにくくなること、時間と費用をかけて育成した優良人財でも契約期間が5年を経過する前に手放さなければならなくなる、という問題も考えられます。

「5年で雇止め」が認められないリスク

一旦無期雇用を回避するための5年ルールで組織を運用しようとしたものの、労働組合の抗議や手続きの法的不備により撤回せざるを得ないケースも見受けられます(※2)。
運用に際しては、社会通念や法的手続き上に問題がないか、細心の注意を払う必要があるといえるでしょう。

※2  参考:「5年雇い止め」規則撤回へ 東大、無期転換に道―日本経済新

③   ラウンダー組織を外注に切り替える際の注意事項、想定されるリスク

現在雇用している契約社員の雇止めが発生する

2014年4月の労働契約法の改正によって「雇止め法理」が法定化され、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は雇止めが認められなくなりました。『無期転換申込権が発生するから』といったことは契約終了の理由としては認められません。
どのような理由であれ、できるだけ早く対象者に十分な説明を尽くすことが必要となります。

直接雇用ではないラウンダーを運用する不安

ラウンダーを外注に転換すると、メーカー様からラウンダーに対して直接的な指揮命令ができなくなり、意思疎通が十分に取れないケースも見受けられます。結果、指示したはずの売り場が作れない、急な指示変更要請や細かい指示にラウンダーが対応できないなど、運用がうまく行かずメーカー側の欲求不満につながる可能性があります。
慣れた直雇用スタッフを手放し、技量の分からない新規スタッフに任せて売上を維持できるのか、という懸念もあります。
ただし、これらの不安要素は、事前に業務設計や契約形態について検討をすることで解決できるケースもあります。以下の記事を参考にしてみて下さい。 契約形態別、および外注の有無による契約パターンを比較しています。

(参考:成功事例から学ぶ。ラウンダーを外注する前に知っておくべき3つの検討要素
(参考:5分で理解できる、目的の達成とコスト削減を同時に実現する契約形態とは?

ラウンダー業務を細分化し、一部を外注する方法も

ラウンダーといっても、売り場交渉、品出し、販促物設置、調査など、業務内容はさまざまです。ラウンダー業務を整理してみると、自社の事情に通じた直雇用のスタッフがやるべき業務と、ルーチン化・仕組み化でき、新人スタッフでもできる業務に細分化できるでしょう。そうなると、ラウンダー組織全体を一括で外注するのではなく、最低限必要なリソース量を無期雇用転換した社員で対応し、それ以外のルーチン業務や変動する業務は外注スタッフで対応する、という判断もあります。

ここまで、改正労働契約法への対応策それぞれについて、リスクや問題点をみてきました。

無期雇用転換の権利が発生するのは、早い人で2018年4月1日以降となります。直前の体制変更や契約終了はスタッフに不安を与え、混乱を生じさせるおそれがあります。どの対策を採る場合も、できるだけ早い段階で判断し、対象となる人財に丁寧に説明をしていく必要があります。

ラウンダーは店頭でメーカー様の売上を支える「人財」です。この機会にラウンダー業務の「棚卸し」を行い、貴社の売上を店頭で最大化するために最適なラウンダー組織のあり方を検討してみてはいかがでしょうか。
(参考:【2017年最新版】ラウンダー業界の傾向とは?

特に長期間運用している組織であれば、当たり前と思われていたルーチンの業務に無駄がないか・固定でリソースを割くべき業務なのか―など、組織の効率化に取り組む良い機会ともいえるでしょう。

 

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