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コラム

フィールド組織運営
2017.03.28

ラウンダー組織で使われる主な3つの契約の基本【業務委託編】

前回は、ラウンダー組織で使われる主な契約形態「雇用契約」、「派遣契約」をご紹介しました。
今回は3つ目の契約形態、「業務委託契約」のメリット/デメリットを説明します。

業務委託契約は、導入実績のないメーカー様には馴染みのない契約形態かもしれませんが、多くのラウンダー組織で採用されています。
まだ検討したことがないメーカー様にとっては、今後の選択肢の幅が大きく広がる情報です。

目次

スタッフは個人事業主として、メーカーと対等な立場で業務の依頼を受ける契約となります。雇用契約や派遣契約との大きな違いは「直接の指揮命令」と「労務管理」ができないという点です。

使用従属関係抜きに業務を行うため、依頼したい業務を仕様書(業務依頼書)によって明確にして契約を結びます。

業務委託契約は、依頼された業務を自分の裁量で進めることができるため、働く時間帯をある程度自分でコントロールしたい人に人気があります。
例えば、子育てが落ち着き復職したい主婦層で、家事と両立をしながら仕事をしたい人などが応募したくなる契約形態です。

図1

①変動費として扱える

雇用契約や派遣契約と異なり、稼働量に応じたコストだけの変動費扱いになります。
そのため、経験の少ない市場における撤退も視野に入れた新規プロジェクトや、期間限定のイベントの場合、撤退時(またはイベント終了時)に残された固定費に悩む必要がなくなります。

②一般的に雇用契約や派遣契約よりも費用が安くなる傾向にある

業務委託契約の場合、スタッフは個人事業主ですから、各種社会保険(「国民年金保険」「国民健康保険」など)の加入はスタッフ個人で行います。
メーカーはこの費用を負担する必要がありません。

③管理の手間と責任が発生しない

労務管理は行わない(正確には行えない)ため、勤怠などの管理の手間が削減されます。
また、何らかの事故が起こった場合は、原則的に個人事業主(スタッフ)の自己責任のもとで対応しますので、企業側が責任を負う必要がありません。

④契約期間の縛りがない

前回紹介したように、雇用契約には5年ルール、派遣契約には3年ルールが存在します。
環境変化によっては悩ましい事態になりますが、業務委託契約では契約期間に関する制約がないので、柔軟に対応できます。

①委託元(メーカー)による直接の指揮命令はできない

メーカーとスタッフには、使用従属関係はなく、スタッフに対して直接の指揮命令ができません。
業務を依頼する際、メーカーは「仕様書(業務依頼書とも言います)」などのフォームを用いて具体的に業務内容を指定することが必要です。
スタッフは仕様書(業務依頼書)に従って委託された業務を行います。

以上のことから、業務委託は「ある程度標準化できている業務」に限り有効な契約と言えます。
業務委託契約組織で期待できる成果は、この「仕様書(業務依頼書)」の精度次第、と言っても過言ではありません。

②法的には時間的・空間的拘束ができない

業務委託において、始業時刻・終業時刻、就業場所を予め指定すると使用従属関係の労働契約とみなされる恐れがあります。しかし、商品が入荷するタイミングに合わせて店舗に行って、売り場を作るという業務委託は可能ですので、「●時~●時、ある指定の場所でこの仕事をしてほしい」との依頼は問題ありません。その依頼がくれぐれも「指示、命令」とならないように注意してください。
詳細は「業務委託はどこまで可能か」を参照してください。

③フルタイム人財の採用難易度が高くなる

フルタイム(1日7~8時間平日フル活動)の業務を想定している場合、業務委託契約でのリクルートは雇用契約に比べて不利です。
フルタイムの稼働を希望する人は、収入面や社会保険面や労災事故時の保障面等から、雇用契約の方に魅力を感じる傾向にあります。

ここまでの説明では、依頼側の立場では窮屈な印象を受けるかもしれません。しかし、要点を押さえれば、業務委託契約であってもラウンド組織を上手に活用することが可能です。

当社によく寄せられる質問をまとめましたので参考にしてください。

Q.時間的・空間的拘束ができないということは、訪問してほしい店舗の指定や商品入荷のタイミングに合わせて活動してもらうということはできないのか?

A.いいえ、可能です。

働く時間や場所の指示ができないからといって、スタッフ自身が訪問する店舗や訪問タイミングを全て自由に決められるわけではありません。
例えば、商品が入荷するタイミングに合わせて店舗に行き、売り場を作ってほしいという依頼は問題ありません。商品がなければ、そもそも「売り場作り」ができないので、業務を行ううえで必要な条件(指定)です。時間的・空間的な拘束とはみなされません。
この場合のポイントは、契約内容の解釈に食い違いが生じないよう、企業側が必要な条件を予め仕様書(業務依頼書)に明記することです。仕様書(業務依頼書)に「商品入荷のタイミングに合わせて売り場を作る」という依頼内容を記載しておくことが求められます。悪い例は、メーカーの営業様からスタッフへ「●月●日に商品入荷するので、△△の売り場を作りに行ってください」と電話してしまうケースです。雇用契約ではないのに指揮命令しているとみなされます。

Q.指揮命令ができないということは、依頼した業務を遂行するにあたっての確認・やりとりもしてはいけないのか?

A.いいえ、確認は可能です。

スタッフに業務内容の不明点があり、メーカーの営業担当者様に直接連絡して確認することは問題ありません(逆も同じです)。仕様書(業務依頼書)で取り交わした業務内容を履行するにあたっては、細かいコミュニケーションを取ることに制限はありません。

 

Q.時給・月給ベースでの設定はできないのか?

A.はい、できません。

業務委託契約は、「時間的・空間的拘束ができない」契約形態なので、時給、月給、残業という『時間に対する給料』という概念がありません。「委託業務に対する報酬」というのが業務委託契約なので、業務量と報酬額のバランスをどのように設定するかがポイントとなります。

例えば、什器の設置など訪問先での業務内容が明確な場合、1訪問(店舗)あたりの報酬設定をする、ということが考えられます。しかし、定期的に同じお店を訪問し、店舗担当者とのコミュニケーションを構築して、その時の状況に合わせて売り場拡大を行ったり、POP設置のみを行ったりするなどの場合、1訪問(店舗)あたりの業務量が、日や店舗により異なります。
そのような場合は1訪問当たりの報酬設定をすることが難しいため、訪問先での商品の販売促進活動業務(※)を委託するとし、1日(もしくは1ヶ月)●時間想定の業務と算出し、その業務量に応じた報酬額を設定するとよいでしょう。

(※)契約時には、仕様書にて「販促物設置」「定番売り場拡大」など細かく提示します。

業務量をどのような単位で設定するかは自由に決められます。1訪問(店舗)当たり、1日当たり、月当たりなど、事情に応じて最適なものを選択すると良いでしょう。

 

業務委託契約は、対等な立場の当事者同士が契約内容に納得した上で締結するものです。逆に言えば、条件面で折り合いがつかなければ、契約が成立しないということです。
わかりやすい契約内容を作ることが、メーカーとスタッフの幸せな関係の構築につながります。

上記以外にも、専門会社に業務委託をするという方法があります。派遣契約と同じように、採用や業務管理の手間削減というメリットがある方法です。
それについては4回目のコラム「5分で理解できる、目的の達成とコスト削減を同時に実現する契約形態とは? 」で詳しく解説します。

次回は、これまで解説した各契約形態(「雇用契約・派遣契約編」「業務委託編」)の基礎知識をもとに、過去事例を加え、目的達成に向けた適切な契約形態の選び方をご紹介します。