ラウンダー活動の費用対効果を最大化させる4つのSTEPを徹底解説
ラウンダー活動の費用対効果を高めることは、企業の収益性向上に欠かせない課題です。この記事では、ラウンダー活動の役割や費用対効果の考え方を解説し、具体的な改善ステップや成功事例を紹介します。ラウンダー業務を最適化し、企業の売上アップに繋げるためのヒントになれば幸いです。
ラウンダーとは?
ラウンダーとは、メーカーの営業担当に代わって、主にスーパーやドラッグストアなどの小売店を定期的に巡回し、自社商品の販売促進活動を行うスタッフのことを指します。
ラウンダーの役割と重要性
ラウンダーは、店舗に定期的に訪問し、自社商品の売り場を適切に整える役割を担います。また、店舗スタッフとのコミュニケーションを図り、商品知識の提供やプロモーションの支援も行います。ラウンダーの仕事は、商品の売上に直接関わるため、企業にとって重要な活動といえます。特に競争の激しい市場においては、売り場の改善や販売促進の施策が売上に直結するため、ラウンダー業務の効率化や費用対効果の向上が求められています。
ラウンダー活動における費用対効果の考え方
ラウンダー活動における費用対効果を考える際、単にコストを抑えるだけではなく、売上への貢献度や効率を最大化することが重要です。ここでは、費用対効果の概念とそれを最大化するための考え方について解説します。
ラウンダー活動の費用対効果とは?
ラウンダー活動にかかる費用には、人件費、交通費、ラウンダーを管理する社員のなどが含まれます。一方で、得られる効果は売上の増加、ブランドの認知度向上、店舗との良好な関係の維持などが挙げられます。これらの要素をバランスよく見極め、最大限の効果を引き出すためには、コスト削減だけに目を向けるのではなく、活動そのものの質を向上させる必要があります。
費用対効果を算出する際のポイント
費用対効果を計算する際には、投入したリソースに対して得られた成果を測定することが基本です。例えば、ラウンダーが訪問した店舗数やプロモーションの実施状況、その結果得られた売上や市場シェアの拡大などを指標として活用します。これらのデータをもとに、どの活動が最も効果的であったかを分析し、今後の活動に反映させることが求められます。
この章では、具体的な算出ポイントを紹介します。
人件費と訪問頻度
ラウンダーの人件費を把握し、適切な訪問頻度を設定することが重要です。過剰な訪問はコストを上げる一方、効果が見合わない場合もあります。
売上との相関
訪問や販促活動の結果、どれだけ売上が増加したかを正確に追跡することが必要です。プロモーション活動の後、売上がどの程度変動したかをデータとして蓄積します。
時間効率
ラウンダーがどれだけ効率よく業務をこなせたかも重要です。移動時間の短縮や、同時に複数の業務をこなせるような工夫が求められます。
これらのポイントを基に、コストに対するリターンを明確にすることで、今後のラウンダー活動の最適化が可能となります。
よくある失敗例:費用対効果を下げる落とし穴
ラウンダー活動の費用対効果を低下させる要因として、非効率なルート設定や不適切なKPI設定が挙げられます。ここでは、よくある失敗例を挙げ、その対策について解説します。
KPIが適切に設定されていない
ラウンダー活動においてよく見られる失敗の一つは、KPI(主要業績評価指標)が不適切に設定されているケースです。
例えば、単に「訪問店舗数」をKPIとして設定すると、効率よりも量を重視する結果になり、質の低い訪問が増加してしまう可能性があります。
訪問店舗や訪問頻度が適切に設定されていない
また、訪問店舗や訪問頻度が適切でない場合も、費用対効果を低下させる原因となります。
特に、販促物の設置が許可されない店舗や個店交渉ができない店舗では、ラウンダーが十分な成果を上げられないことが多いです。ラウンダーの費用対効果を最大化するためには、店舗の特性を見極め、訪問店舗や訪問頻度を柔軟に見直すことが重要です。
ラウンダー活動の費用対効果を最大化する4STEP
ラウンダー活動の費用対効果を高めるためには、具体的なステップに基づいて戦略的に進めることが重要です。
ここでは、多くの企業で実績を上げている当社のラウンダー運営手法を紹介します。
STEP1:適切なKPIの設定
ラウンダー活動を成功させるための第一歩は、明確なKPI(主要業績評価指標)を設定することです。企業が達成したい目標に応じて、KPIを売上だけでなく、店頭の状態も測定できるように設計することが望まれます。
当社では「活動KPI」と「店舗状態KPI」の2つを設定しています。
「活動KPI」は、ラウンダーが店頭で実施する業務の成果を測る指標です。例えば、業務依頼を達成できた割合や、訪問した店舗数などが含まれます。
一方、「店舗状態KPI」は、店舗が理想的な売り場状況を維持できているかを測定する指標です。具体的には、自社商品の売り場個所数や、競合他社に対するシェア率などが該当します。これらのKPIを併用することで、単にラウンダーの活動量だけでなく、店舗が最適な状態を維持できているかも評価することが可能です。
この2軸のKPI設定が重要なポイントです。多くの企業がラウンダー活動KPIのみを設定しがちですが、活動KPIは活動時のみの”一時的な達成度合い”でしかなく、店舗の売り場状況をチェックすることで、継続的な目標達成がなされているかを測ることができます。
表1 活動KPIと店舗状態KPIについて
項目 | 活動KPI | 店舗状態KPI |
---|---|---|
定義 | ラウンダーが店頭で実施する業務の成果を測る指標 | 店舗が理想的な売り場状況を維持できているかを測る指標 |
目的 | ラウンダーの活動量と実行度合いを評価 | 店舗の売り場環境が継続的に最適化されているかを評価 |
具体例 | 訪問回数、業務依頼事項の実現率など | 売り場個所数、競合他社に対するシェア率など |
短期/長期 | 主に短期的な活動成果を測定 | 長期的な売り場改善への寄与度を測定 |
評価対象 | ラウンダーの店舗訪問や業務実行の頻度と成果 | 店舗全体の売り場状態や商品陳列の質 |
達成頻度 | 活動ごとに評価 | 定期的な調査や売り場の観察によって評価 |
具体的なKPI設定のステップは以下の通りです。
KPI設定のステップ
1.目標達成に必要な理想的な売り場の状態を定義する
2.その売り場を実現するために、必要なラウンダーの店頭活動を明確化する
3.活動状況を可視化するための報告項目を設定し、「活動KPI」として定量的に管理する(例:業務依頼事項実現率、コール達成率など)
4.店頭の理想状態に近づけるための指標(例:売り場個所数、店頭シェア率など)を「店舗状態KPI」として設定する。
SETP2:定期的な活動レビュー
次に、設定したKPIを基に、定期的な活動レビューを行います。活動日数や訪問数といった基本活動量や、先に設定したKPI達成率の推移を分析し、全体的な傾向を把握します。
SETP3:訪問店舗と頻度の見直し
KPIの達成状況に基づき、訪問する店舗や訪問頻度の見直しを行います。訪問店舗の選定や頻度は、単に店舗の売上規模などで判断しがちですが、店頭状態KPIや店舗との関係性も考慮する必要があります。
訪問店舗の最適化は、売上、チェーン特性、ラウンダー業務の実現率、売り場維持率の4つの指標を掛け合わせて判断します。このように多角的な視点で最適化を行うことで、効果的な訪問計画が実現できます。
図2 訪問店舗の最適化指標の例
SETP4:改善アクションの立案
最後に、レビュー結果を基に、チェーンごとや店舗ごとの改善アクションを策定します。例えば、店頭活動のポテンシャルが高い店舗では活動量を増やし、逆に効果が出づらい店舗は非訪問とするなど、柔軟な調整が必要です。また、ラウンダーのスキル不足など、店舗外での課題がある場合も、次回アクションに組み込むことで、活動全体の質を向上させることができます。
このプロセスを繰り返すことで、コストを抑えながらも質の高いラウンダー活動を実現し、費用対効果の最大化を図ることが可能です。
ラウンダー活動の費用対効果を高めた成功事例
ここでは食品メーカーA社様がラウンダー活動を通じて費用対効果を最大化し、売上向上を達成した成功例を紹介します。チェーンごとに異なる店舗の特性に対応し、最適なラウンダー活動を実現するための取り組みについて解説します。
課題:パフォーマンスの最大化
食品メーカーA社様では、ラウンダーの活動効果がチェーンや店舗ごとに異なり、一定のパフォーマンスを維持できないという問題に直面していました。特に、ラウンダーが訪問しても、効果が限定的な店舗やチェーンが存在することがネックとなっていました。
取り組み内容
次の施策を実施し、課題解決を図りました。
1.KPIの再設定
すでにラウンダー活動KPIは設定されていましたが、クライアントと当社が協議し、理想的な売り場状態を明確に定義しました。その上で、店舗状態KPIを新たに設定し、売り場状況を定量的に把握できる体制を整えました。
2.定期的な店舗調査
店舗状態KPIを正確に測定するために、年4回の定期的な店舗調査を実施しました。この調査により、各店舗の売り場状況が適切に維持されているかを確認し、実態に基づいたデータを収集しました。
3.調査結果に基づく改善アクション
調査結果をクライアントと当社で共有し、ラウンダー活動の効果が低いチェーンや店舗に対しては、訪問頻度の変更(減らす)や訪問中止としました。そして、頻度変更や訪問を中止した店舗に割り当てていたリソースは、活動ポテンシャルの高いチェーンや店舗へ再配分しました。
結果
訪問店舗や訪問頻度の見直しにより、リソースを活動ポテンシャルの高いチェーンに再配分しました。この取り組みによって、ラウンダーは各店舗で個店交渉による発注促進活動で大きく成果を上げることができました。
その結果、取扱アイテム数や売り場展開箇所数が増加し、前年と同額のラウンダー予算を維持しながらも、売上の向上に成功しました。
リソースの最適化とKPIに基づいた継続的な改善サイクルの実行が、費用対効果の向上に大きく貢献しました。
まとめ
ラウンダー活動の費用対効果を最大化するためには、適切なKPIの設定や定期的な活動レビュー、訪問店舗や頻度の見直し、改善アクションの立案といった、戦略的なアプローチが重要です。データに基づいた対応を行うことで、限られたリソースを最大限に活用し、売上の向上と持続的な成果を得ることが可能となります。
もし、ラウンダー活動の費用対効果についてお悩みでしたら、ぜひ当社までご相談ください。ニーズに合わせた最適なラウンダー戦略をご提案いたします。
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Qラウンダー活動の費用対効果を高めるためには何が重要ですか?
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A
費用対効果を高めるためには、コスト削減だけでなく、売上への貢献度や活動の効率を最大化することが重要です。具体的には、適切なKPIの設定、活動状況の定期的なレビュー、訪問店舗や頻度の見直し、そして改善アクションの立案といった戦略的なアプローチが必要です。
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Qラウンダー活動のKPIはどのように設定すれば良いですか?
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A
ラウンダー活動のKPIは、売上以外にも店頭状態を測定する指標を設定することが望ましいです。当社では「活動KPI」と「店舗状態KPI」の2つを設定しています。活動KPIはラウンダーが実施する業務の成果を、店舗状態KPIは売り場の維持状態を測定する指標です。これにより、ラウンダーの活動量と店舗の売り場維持状況の両方を評価できます。
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Qラウンダー活動のよくある失敗例にはどのようなものがありますか?
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A
よくある失敗例には、非効率なルート設定や不適切なKPI設定があります。例えば、「訪問店舗数」だけをKPIに設定すると、量を重視してしまい、質の低い訪問が増えてしまいます。また、販促物の設置ができない店舗や個店交渉が不可能な店舗に訪問し続けると、費用対効果が下がる可能性があります。
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Qラウンダー活動の費用対効果に課題がある場合、どこに相談すればよいですか?
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A
ラウンダー活動の費用対効果についてお悩みの際は、当社にご相談ください。企業のニーズに合わせた最適なラウンダー戦略をご提案し、効率的かつ効果的な活動を実現いたします。