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業界トレンド
2021.10.06

[医療]調剤薬局を新たな販路に!開拓前に知っておくべき6つの特徴

医療制度改革による調剤薬局の変化について過去の記事で述べてきましたが、新しい販路として開拓を検討しているものの、既存の販路であるドラッグストアなどの一般的な量販店とは機能や特徴が大きく異なるため、足踏みをしているメーカー様も多いと思います。
そこで今回は、全国延べ9,000軒の調剤薬局を巡回してきた当社だからこそ知り得た情報を織り交ぜながら、『ドラッグストアとの違いも踏まえた調剤薬局の特徴』や『効果的なアプローチ方法(巡回・活動のコツ)』をご紹介いたします。

これから調剤薬局を新規の販売チャネルとしてお考えのメーカー様は必読です。

目次

調剤薬局とは:

調剤薬局というのは通称で、法律上の正式な名称は「保険薬局」といいます。健康保険の適用を受けられるのはこの保険薬局だけです(以下、当コラムでは調剤薬局と表記)。
薬剤師が在籍していなければならず、また施設は国が定める構造や設備の基準を満たしていなければなりません。調剤薬局だけが、処方箋がなければ購入できない医薬品(医療用医薬品や薬局製造販売医薬品)を取り扱うことができます。
最近では、医療制度の変化なども影響し、医療用医薬品だけではなく一般用医薬品(OTC医薬品)、一般雑貨、健康食品などの物販も行っている(関心を持たれている)調剤薬局も増えております。

ドラッグストアとは:

一般用医薬品をはじめ、健康・美容に関する商品や日用品、食品を販売している小売業態です。調剤薬局を併設している(調剤薬局としての許可を保有し、薬剤師が駐在している間のみ調剤や医療用医薬品などの取扱が可能)店舗もあります。

調剤薬局は軒数ではドラッグストアを凌駕しているものの、上位10社のシェアは全体の約14%、さらに約7割が個人経営と、寡占化が進んでいない業界です。最近では、薬価引き下げやコロナ禍で患者の来客数そのものが減るなど、経営環境が悪化し、チェーン企業の傘下に入る個人薬局も増えつつありますが、それでも大半がドラッグストアのように本部商談で決まれば各店舗に一括で導入になるような体制ではありません。

表1 調剤薬局とドラッグストア 軒数・売上占有率比較

  軒数 上位10社の売上占有率
調剤薬局 約58,000軒 約18.8%
ドラッグストア 約18,000軒 約70%

出典:MACアドバイザリー株式会社「薬局業界の最新動向」

【活動時のコツ】調剤薬局に商品を導入するためには?

上記のような体制となっているため商品を導入するためには、現状効率的な方法はなく、個店での交渉が必須です。そのため、多くの人財リソースを投入し面でカバーする体制を構築する必要があります。自社社員での訪問が難しい場合は、ラウンダー(フィールドスタッフ)による巡回を検討するのもおすすめです。
それでも全国くまなくカバーするには限界があるので、物販に積極的な調剤薬局やカウンタースペースや冷蔵ケースがある調剤薬局など、アプローチの対象を絞って効率的に巡回することも一つです。
実際、当社の巡回経験でもカウンタースペースがある調剤薬局には、商品が採用されやすいという実績もでています。

2016年4月より「かかりつけ薬剤師制度」がスタートしました。
「かかりつけ薬剤師」とは、24時間いつでも薬の服用・管理をはじめとする健康全般の相談ができる体制と技能を有する薬剤師のことです。
(参考:[医療]国の医療制度が新しい買い場を生み出す?メーカーに求められる販売戦略とは

ドラッグストアと比較して、個人薬局1軒あたりで期待できる販売量はさほど見込めない可能性もあります。しかし、上記のような国の政策により在宅医療における地域の薬局の果たす役割への期待が高まる中、今後ますます増えるであろう在宅患者への情報発信の有効なチャネルとして薬局をとらえて販売戦略を検討することも、また重要なポイントであると考えられます。

【活動時のコツ】商品情報を健康指導に活用していただく!

上記のような制度改革により、多くの薬剤師の間で一般用医薬品や健康食品についての情報や知識への関心が高まっています。患者さんから健康相談を受けた時に活用できる情報(体調や食事の管理など健康全般)や、健康改善に役立つ製品のサンプルの提供を積極的に行いましょう。

ドラッグストアの場合、商品導入における交渉は対象カテゴリの本部バイヤーに提案します。また、個店交渉であれば、対象カテゴリの責任者と交渉をするのが一般的です。
調剤薬局には薬剤師が常駐していますが、中規模、大規模の調剤薬局となれば複数の薬剤師が在籍しています。それでは、誰にめがけて訪問をするのがベストでしょうか。
それはズバリ、「管理薬剤師」(※1)です。なぜなら、医薬品に限らず物販などの取り扱いについても、基本的には管理薬剤師が権限を握っていることが多いからです。

※1 管理薬剤師:薬局にある薬剤やその他物品の管理、また、従業員の業務内容の管理を任されている薬剤師のこと

【活動時のコツ】面会前に管理薬剤師の氏名を確認しよう!

商品導入や販促物設置交渉の際のキーマンとなりますので、訪問の際には、まず「管理薬剤師の在籍有無」を確認し、面会を求めるようにしましょう。
調剤薬局によっては管理薬剤師の氏名が張り出されていることも多いので、それを見れば名前が把握できます。また、各地方の厚生局ホームページにおいても、薬局の開設者と薬局管理者(管理薬剤師)の氏名が公開されています。

ドラッグストアでは、陳列の仕方や販促物の設置が購買に影響しますが、調剤薬局での購買に大きく影響するのは「薬剤師からの推奨」です。
調剤薬局への商品導入が成功し、店内に商品を置いてもらったとしても、それだけでは、なかなか売れないことも多いです。一般的には同じ商品がドラッグストアやスーパーなどで安く売っており、そちらで買われるケースが多いことも理由と思われます。
そこで必要になってくるのは、薬剤師からの推奨の声かけです。

(薬剤師から患者さんへの声かけの例)
『夏バテで食欲がない方にお奨めの商品です。サンプルを差し上げますので試しに飲んでみてはどうですか?』
『この商品、○○でお悩みの方に最近売れているんですよ』

医療従事者である薬剤師からの「推奨」のひとことは、購買行動に大きく影響します。自分の服薬状況や健康状態をよく知っている「かかりつけ薬剤師」であれば、「推奨」の影響力はさらに大きいでしょう。在宅患者への訪問薬剤指導(※2)を行っている薬局であれば、処方薬を届けるついでに製品サンプルを患者さんに渡してもらえる可能性もあります。

※2  訪問薬剤指導:通院が困難な患者さんに対し、担当医師の指示に基づき、薬剤師が自宅や施設に訪問して服薬指導や薬剤管理を行うサービス

 

【活動時のコツ①】商品を必要としている患者さんのイメージをつかんでもらう!

薬剤師から患者さんに商品を「推奨」してもらうには、薬剤師へ商品紹介を行う際のトークがカギとなります。商品そのものの説明に加え、おすすめするべき具体的な患者さん像をイメージしてもらうのです。

(薬剤師に商品紹介をする際のトーク例)
『最近食欲がなくてお困りの患者さんはいらっしゃいませんか?』

購買者像を具体的に明示することで、商品の必要性を認識してもらえると共に、該当する患者さんへの推奨がスムーズになります。逆に、薬剤師から患者さんに推奨するイメージがつきにくい商品は調剤薬局への導入は難しいと言えます。調剤薬局と患者さん双方にメリットのある商品かどうかを考えることが重要です。薬剤師に商品のことを良く知っていただき、ファンになってもらうために、薬剤師や薬局のスタッフの皆さんに試食・試飲してもらうのも効果的です。

 

【活動時のコツ②】店内POPもひと工夫!

薬剤師と患者さんとのコミュニケーションを喚起するためには、POPの文言にも工夫が必要です。「ご自由にお取りください」ではなく、「薬剤師にお声掛けください」とすれば、POPで薬剤師と患者さんとのコミュニケーションを喚起することができます。

図2

「医師からの推奨」があれば購買行動への影響はさらに大きくなる

薬剤師からの推奨に加え、薬局近隣のクリニックの医師からの推奨も重要です。
診察時に医師から推奨された商品が、処方薬をもらうために入店した薬局で販売されており、さらに薬剤師からも推奨される・・・という仕組みです。
(参考:[医療]調剤薬局の配荷・売上アップに成功!<医師への紹介活動による売れる仕組みを構築

一般的に調剤薬局では、既にドラッグストアで流通している商品の取り扱いには消極的です。ドラッグストアと違い定価での販売が基本のため 、価格で比較されると売上が見込めないためです。

【活動時のコツ】ドラッグストアで苦戦する商品こそ売れる可能性あり!

逆にいえば、ドラッグストアではなかなか定番に入らない商品が調剤薬局では採用される可能性があります(例:高付加価値商品のように、店頭陳列だけでは一般的な商品との価格差に納得してもらうことが難しい商品など)。
薬剤師への商品紹介時には、「この商品はドラッグストアでは取り扱っていません!」というトークも有効でしょう。
商品に関するデータやエビデンスがある場合は、一般的に薬剤師が重要視する傾向にありありますので、資料として準備し、積極的に説明することで、更に商品導入の可能性が高まります。

物販の必要性は感じながらも、積極的に取り組めない調剤薬局も多く存在します。
元々医薬品以外の物販スペースを設けていない場合も多く、利幅の大きい医薬品の販売を優先し、物販スペースの確保が難しいためです。また、在庫や賞味期限などの管理業務が発生してしまうのも調剤薬局が懸念するポイントです。

【活動時のコツ】サンプルや販促物の提案で客注を促進!

こういった場合は、客注の活用をおすすめします(客注はお客様からの注文を受け付けてから発注すること)。いきなり商品を導入していただくのが難しければ、まずは商品のサンプルを置かせてもらい、患者さんに気に入ってもらえれば客注をとってもらう。それを導入の足掛かりとすることがお勧めです。

 

医療制度が変わり、調剤薬局の意識も変わりつつある今は販路拡大の好機です。これからアプローチを検討されるメーカー様だけでなく、過去に調剤薬局への拡販を試したものの上手くいかなかったというメーカー様も、再度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。