外国人採用の求人票の書き方 伝わる工夫で応募が増える
「外国人採用の求人票、何を書けばいいのか分からない」と手が止まっていませんか。日本人向けとは違い、外国人求職者には給与・住居・日本語サポートなどを具体的に伝える工夫が欠かせません。この記事では、外国人採用 求人票 書き方の基本から、日本語が得意でない方にも伝わる表現のコツ、掲載先の選び方まで丁寧にご紹介します。
外国人採用の求人票で大切なのは「情報の多さ」より「伝わりやすさ」

初めて外国人採用を担当すると、何をどこまで書けばよいのか迷ってしまうものです。実は外国人求職者向けの求人票では、情報量を増やすことよりも、伝わりやすさを意識することが応募につながる近道になります。
日本の求人票と何が違う?外国人求職者が知りたいこと
日本の採用は、業務内容や配属を会社が決める「メンバーシップ型雇用」が主流です。一方、多くの外国人求職者が慣れ親しんでいるのは、担当業務や評価基準があらかじめ定められた「ジョブ型雇用」です。日本の採用文化の根幹にあるのが「メンバーシップ型雇用」で、求人票でも「チームでの協調性」「成長意欲」といった抽象的な表現が多く使われますが、外国人材の多くが慣れ親しんでいるのは「ジョブ型雇用」で、担当する業務・権限の範囲・目標・評価基準が明確に定められています。
この価値観の違いを理解しないまま日本人向けの求人票をそのまま使うと、外国人求職者には「何をする仕事か分からない」と受け取られてしまいます。日本人には「入社してからわかるもの」として許容される曖昧さが、外国人材にとっては「この会社は何をさせようとしているのか不明」というマイナスシグナルになります。業務内容や条件は、できるだけ具体的な言葉で書くようにしましょう。
外国人求職者が求人票で最初に確認する3つのポイント
外国人求職者は応募を判断する際、まず給与や待遇が明確かどうかをチェックします。外国人向けの求人は、業務内容や給与の額などを明確に書くことが大切で、外国では物事をはっきりと伝えることが一般的です。次に注目されるのが業務内容の具体性です。外国人の求職者は就職活動において求人票に目を通す際、「仕事内容」をまず最初に確認する人が多いと想定されます。
そして3つ目が日本語レベルの条件です。必須なのか歓迎なのかが曖昧だと、応募をためらう原因になってしまいます。この3点を押さえることが、外国人求職者に届く求人票づくりの土台になります。次の章では、この3つを含めた「必ず書くべき項目」を具体的に見ていきましょう。
外国人求職者に伝わる求人票に必ず書くべき項目

外国人求職者に安心して応募してもらうためには、給与・住居支援・日本語レベル・在留資格サポートといった項目を、求人票で重要になりやすい項目として漏れなく、かつ具体的に書くとよいでしょう。ここからは、それぞれの項目をどのように書けばよいのか、順番に解説していきます。
給与は「月給・年収・手取り目安」の3つをセットで書く
給与欄は基本給だけでなく、月給・年収・手取り額の目安までセットで記載しましょう。生活のイメージが湧きやすくなり、応募のハードルが下がります。例えば「基本給18万円、固定残業代3万円(20時間分。時間外労働の有無にかかわらず支給し、超過分は別途支給)」のように、基本給と固定残業代の額・対応時間・超過時の扱いが分かる書き方にしましょう。毎月の給与や手当、社会保険、雇用保険や税金天引き後にいくら残るか?具体的にしましょうという視点も参考になります。また給与レンジを開示している求人は、未記載の求人と比べて応募数が約15%多い傾向がありますというデータもあり、給与情報の開示は応募数に直結する重要な要素だといえるでしょう。賞与やモデル年収を併記すると、より安心感を与えられます。
住居支援・生活サポートは具体的に書くほど応募が増える
来日して間もない外国人求職者にとって、住まいの確保は大きな不安材料です。寮の有無や住宅手当の金額、初期費用の補助などを具体的に書くことで、生活面の不安を和らげられます。日本で働く際、住まいについて不安を感じる外国人もいますので、寮や住宅手当などがある場合は、寮の設備や費用、住宅手当額なども具体的に記載しておくと日本での生活についてイメージしてもらいやすくなります。
生活サポートについても、日本語での役所手続きの補助、母国語対応の相談窓口、通勤手段の案内など、実際に受けられる支援をできるだけ具体的に書いておきましょう。「サポートあり」とだけ書くよりも、内容が伝わることで応募者の安心感がぐっと高まります。
日本語レベルの条件は「目安」を添えて明示する
日本語レベルの条件は、感覚的な表現だけでなく客観的な指標を添えて書くのがポイントです。「ネイティブレベル」「ビジネスレベル」「日常会話レベル」、もしくは「日本語能力試験(JLPT)N〇以上」等、具体的な言語レベルを記載することで面接前のミスマッチを防ぐことができます。近年はCEFR(欧州言語共通参照枠)を併記する企業も増えているようです。
さらに大切なのが、必須条件(MUST)なのか歓迎条件(WANT)なのかを明確にすることです。日本語力は、業務上どうしても必要な場合を除き、歓迎スキルとして記載することをおすすめします。そのうえで補足説明を加えることで、応募のハードルを下げつつ、どの程度の日本語力があれば活躍できるのかを伝えることができます。この工夫だけで応募数が変わってくる場合もあります。
在留資格のサポート有無を明記する
就労ビザ(在留資格)の申請・更新をどこまで会社がサポートしてくれるかは、外国人求職者が非常に気にするポイントです。対応可能な在留資格の種類や、申請書類の準備をどの程度手伝ってくれるのかを求人票に明記しておくと、応募者は安心して検討できます。
専門的な手続きに不安がある場合は、行政書士や登録支援機関に相談するのも一つの方法です。登録支援機関への委託費用は、外国人1人あたり月額2〜4万円程度が一般的な相場とされており、費用感を把握したうえで検討するとよいでしょう。人材紹介会社を利用する場合、紹介手数料の相場は30万〜50万円程度です。自社だけで対応が難しいと感じたら、外国人採用支援サービスなど専門家の力を借りることも検討してみてください。
日本語が得意でない求職者にも伝わる書き方のコツ

求人票の内容がどれだけ充実していても、日本語が読み取れなければ意味がありません。ここでは、やさしい日本語・多言語併記・ビジュアル活用という3つの工夫を順にご紹介します。
難しい日本語・専門用語は使わない
「やさしい日本語」とは、難しい漢字や専門用語を避け、簡単な単語と短い文で伝える工夫のことです。「やさしい日本語」が生まれたきっかけは、地震大国日本の災害対策にあり、日本語が分からない外国人にも情報が伝わるようにという考え方から広まりました。現在ではこの考え方が、求人票の作成にも活用されています。
具体的には、二重否定や曖昧な言い回しを避け、一文を短く区切ることが大切です。外国人材が理解しやすいように、難しい漢字や複雑な文章を避け、ルビをふったり簡潔な表現にするなど、やさしい日本語で記載することが重要です。作成後は、外国人スタッフや日本語教師にチェックしてもらうと、より伝わりやすい表現に仕上がります。
英語・多言語での併記を検討しよう
日本語だけでなく、英語や求職者の母国語を併記することで、日本語の読み書きに自信がない層にも情報が届きやすくなります。日本に住んでいる大半の外国人はJLPT日本語能力試験のN1レベルには至っていませんという実情もあり、英語での記載は理解を助ける有効な手段です。
なお、特定技能などの在留資格で採用する場合は、母国語での表記がより望ましいとされる場面もあります。翻訳の精度に不安がある場合は、翻訳ツールに頼るのはあまりおすすめしません。翻訳ツールをおすすめしない最大の理由は、対訳時に細かいニュアンスが訳しきれないことですという指摘もあるため、重要な条件部分は翻訳会社や専門家に確認してもらうと安心です。
写真・図を使って職場環境をビジュアルで伝える
文字だけの求人票では、職場の雰囲気や住居環境がなかなか伝わりません。写真や図解、動画を活用すると、求職者は入社後の生活をより具体的にイメージできるようになります。求人票では文字しか表現ができませんので、簡潔に記載しましょう。写真や動画を別途活用するのもいいでしょうという工夫が参考になります。
すでに働いている外国人スタッフの様子を写真や動画で紹介するのも効果的です。社内に既に外国籍の従業員が在籍している場合は、外国人社員の仕事、実績についても触れておきたいものです。外国人受け入れ体制が整っていることが伝われば、外国人求職者の方に安心感を感じてもらいやすくなるでしょう。実際に働く姿を見せることは、言葉以上の説得力を持ちます。
外国人求職者に読まれる求人票の掲載先はどこか

どれだけ工夫を凝らした求人票を作っても、求職者の目に留まらなければ応募にはつながりません。ここからは、代表的な掲載先として、外国人向け求人媒体とSNSの特徴を見ていきましょう。
外国人向け求人媒体の特徴と選び方
外国人採用に特化した求人サイトや人材紹介サービスは、多言語対応や在留資格に関する知識を持っている点が強みです。在留資格の知識があり採用効率が高いことから、専門人材採用でよく利用されています。募集する職種や雇用形態、ターゲットとする国籍によって、適した媒体は変わってきます。
専門媒体のほかにも、日本人向けの求人サイトでも外国人採用が可能で、Indeed・リクナビ・マイナビといった媒体も外国人求職者に利用されています。自社が求める人材像に合わせて、複数の媒体を組み合わせて活用するのも一つの方法です。人材紹介サービスを利用する場合は、前述のとおり紹介手数料の相場(30万〜50万円程度)も踏まえて予算を検討しましょう。
SNSを活用した求人情報の発信方法
求人媒体だけでは届かない層にアプローチできるのが、SNSを使った発信の強みです。在留外国人へのアンケート調査では、外国人を採用したい場合に求人広告の出稿にもっとも適したSNSはFacebookで、2位のInstagramに3倍以上の差をつけて1位となりましたという結果も出ています。
Facebookはグループ機能を通じて求職者に直接アプローチできる点も特徴です。Facebookのグループで「日本 仕」や「Japan Job」などのキーワードを検索すると日本で働きたい外国人求職者のFacebookグループを見つけられます。専門人材を狙う場合はLinkedIn、職場の雰囲気を視覚的に伝えたい場合はInstagramなど、目的に応じて使い分けるとよいでしょう。ただし、SNS採用は成果が出るまでに時間がかかりやすいため、長期的な視点で取り組むことが大切です。
やってしまいがちなNG表現と注意点

良かれと思って書いた表現が、実は法律違反や求職者の不安につながってしまうケースがあります。ここでは、国籍条件に関するNGと、曖昧な表現に関するNGについて具体的に解説します。
国籍・出身地を条件にするのは法律違反になる場合がある
求人票に国籍のみを理由とする募集条件を設けることは、職業安定法第3条で禁止されている差別的取扱いに該当するおそれがあります。同条では人種・国籍・信条・性別などを理由とした差別が禁止されています。求人票では、国籍ではなく業務上必要な言語力、在留資格、就労可否などの客観的な要件で記載しましょう。
具体的には、「〇〇人のみ」「△△国籍の人は応募不可」など、国籍で応募対象を限定・排除する表現は禁じられています。一見問題なさそうに思える表現にも注意が必要です。「○○人歓迎」や「国籍不問」といった表現も、国籍に基づく差別的な取り扱いを意味する可能性があるため、求人広告では基本的には国籍に触れないようにすることが重要です。必要な能力は言語力や業務経験として記載しましょう。違反した場合は、厚生労働大臣による指導・助言・改善命令・公表措置の対象となりますので、求人票を作成したら必ず内容をダブルチェックしましょう。
曖昧な表現・日本特有の慣習表現は避ける
「アットホームな職場です」「頑張り次第で評価します」といった表現は、日本人にはニュアンスが伝わっても、外国人求職者には具体的なイメージが湧きにくい表現です。こうした慣習的な言い回しは、数値や事実に基づいた表現に置き換えることをおすすめします。
例えば「アットホーム」ではなく「月1回の懇親会あり、社員の平均年齢30歳」のように具体化する、「頑張り次第で評価」ではなく「半期に一度、成果に応じた昇給あり」のように基準を示すと伝わりやすくなります。外国人の場合は、コミュニケーションの内容を額面通りに受け取ります。見方を変えれば、求人票に記載されている内容が全てといえます。曖昧さを残さない書き方こそが、入社後のトラブル防止にもつながります。
まとめ

外国人採用 求人票 書き方のポイントは、外国人求職者にとって重要な項目として、給与・住居・生活支援・日本語サポートを具体的に示すことが望ましい点にあります。さらに、やさしい日本語や多言語併記、写真・図解などのビジュアル活用は、日本語が得意でない求職者にも情報が正しく伝わる有効な工夫といえます。
加えて、国籍を理由にした差別的な扱いは法令上問題となるため注意が必要です。曖昧な慣習表現も避け、事実ベースの言葉に置き換えましょう。求人媒体やSNSなど掲載先を工夫することで、外国人求職者からの応募機会の拡大が期待できます。
外国人採用 求人票 書き方についてよくある質問

求人票は日本語のみで作成しても問題ありませんか?
日本語のみでも法律上の問題はありませんが、日本語が得意でない求職者には情報が伝わりにくくなります。英語や母国語の併記、やさしい日本語での記載を組み合わせると、応募数の増加が期待できます。
在留資格の確認は採用前・採用後どちらのタイミングで行うべきですか?
選考段階での在留カードの提示要求は国籍などを把握することにつながるおそれがあるため、口頭確認にとどめ、内定後に在留カードの提示を求める方法が推奨されています。
外国人の給与は日本人と差をつけてもよいのでしょうか?
合理的な理由なく外国人の給与を日本人より低く設定することは、労働基準法や在留資格の要件上問題となる場合があります。同じ業務であれば同等の報酬を設定しましょう。
「日本語不問」と書いても大丈夫でしょうか?
業務上、日本語が必要な場面が想定される場合は、「日本語不問」と書くと入社後にミスマッチが生じる可能性があります。実際に求められる日本語レベルを目安とともに正直に記載することが大切です。
求人票の作成に自信がない場合、誰に相談すればよいですか?
行政書士や登録支援機関、外国人採用支援サービスなどの専門家に相談することで、法令面や在留資格の要件を踏まえた求人票作成のサポートを受けられます。