外国人採用の年齢層傾向がまるわかり採用計画のコツ
外外国人採用を検討し始めると「どの年齢層をターゲットにすればよいのか」でつまずく人事担当者は少なくありません。なお、募集・採用では、法定の例外事由に該当する場合を除き、年齢制限や年齢を基準とした選考は原則禁止されています。本記事の年齢傾向は受入れ環境を検討する参考にとどめ、採否は職務遂行能力・経験等に基づいて判断してください。この記事では、外国人採用における年齢層の傾向を特定技能・技人国という2つの在留資格の視点から整理し、年齢が上がるにつれて変化する来日動機や、採用後に起きやすい課題、受け入れ環境の設計ポイントまでわかりやすく解説します。
日本で働く外国人は20代前半が中心|年齢層ごとの傾向まとめ

外国人採用の年齢層の傾向をつかむには、まず日本人労働者との違いを知ることが近道です。厚生労働省の統計では、日本人労働者は、40代後半から50代前半が多くを占めている一方で、外国人労働者は20代の割合が高く、若年層に偏っている傾向がうかがえます。特定技能と技人国という2つの在留資格を軸に、年齢層の全体像を確認していきましょう。
特定技能・技人国ビザで来日する外国人の年齢分布
特定技能は技能実習からの移行者が多く、20代を中心とした若年層に偏る傾向があります。厚生労働省の集計でも、外国人労働者数を年齢別にみると、いずれの年も「20〜29歳」の者が最も多いことが確認できます。一方、技人国(技術・人文知識・国際業務)は大学や専門学校を卒業してすぐに就職する人材が多く、「専門的・技術的分野の在留資格」は「30〜39歳」の者が多いとされ、特定技能よりもやや年齢層が高めです。実際、大学や日本の専門学校を卒業した「高度外国人材」のうち、約75%が「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得して日本で就職しています。同じ就労ビザでも、資格ごとに想定すべき年齢層が異なる点を押さえておきましょう。
20代前半が多い理由:ビザ(在留資格)要件・送り出し国の事情・来日動機
20代前半が多い理由の1つ目は、ビザ要件そのものにあります。技能実習からの移行ルートでは、技能実習生の年齢構成は20〜24歳の範囲が最も多く42.2%、次いで25〜29歳が25.0%となっており、この層がそのまま特定技能へ移行する流れが生まれます。2つ目は送り出し国側の事情です。ベトナムやインドネシア、フィリピンなどは若年人口の割合が高く、家族を支えるための出稼ぎ文化が根付いている地域も多くあります。3つ目は本人の動機で、母国よりも高い収入やキャリア形成の機会を求めて、社会に出たばかりの若者が日本を選ぶケースが目立ちます。この3つが重なり合うことで、20代前半という年齢層に厚みが生まれていると考えられます。
年齢が上がるにつれて来日動機はどう変わるか

外国人採用における年齢層の傾向は「若者が多い」で終わる話ではありません。来日動機はキャリア形成や送金、定住など多様であり、年齢段階そのものよりも在留資格や職種、出身国によって傾向が異なる点に留意が必要です。採用ターゲットを考えるうえで、この傾向を知っておくと計画が立てやすくなります。
長期就労や日本での長期的な生活を意識する人もいます。
20代前半:キャリアのスタートとして日本を選ぶ
20代前半の層は、社会人としての最初の一歩を日本で踏み出そうとする人が中心です。技人国ビザを持つ人材であれば、母国の大学や専門学校で学んだ専門知識を活かせる企業を探し、卒業後すぐに就職先として日本を選ぶケースが多く見られます。特定技能の場合は、技能実習で培った経験をもとに、より条件のよい環境へステップアップする動機が強くなります。いずれのケースでも「これからのキャリアを日本で築きたい」という前向きな気持ちが原動力になっている点が特徴です。企業側にとっては、成長意欲の高い人材を早い段階で迎え入れられるチャンスともいえるでしょう。
20代後半〜30代:家族の生活費・送金目的が強まる
20代後半から30代にかけては、結婚や子育てなど生活の基盤が変わる時期と重なります。母国に残した家族の生活費や、子どもの教育費を仕送りで支える必要が出てくるため、収入の安定や昇給への関心が一段と高まる傾向があります。特定技能人材にとっても、報酬額やキャリアアップの可能性に敏感になりやすいのがこの層の特徴です。給与や評価の仕組みが不透明なままだと、より条件のよい職場へ転職を検討されてしまうこともあります。生活を支える存在としての責任感が、就労継続の動機を大きく左右していると考えられます。
30代以降:日本での長期定住・キャリアアップを視野に入れる
30代以降になると、単なる出稼ぎではなく日本での長期的な生活を見据える人が増えてきます。特定技能2号への移行が実現すれば家族帯同が可能になり、将来的な永住権の取得を意識する人材も出てきます。この層は「この会社で長く働き続けたい」という定着意欲を持ちやすい一方、キャリアパスが見えないと不安を感じやすい面もあります。企業側が2号移行を見据えた役割や昇給の道筋をあらかじめ示しておくことは、優秀な人材を長く確保するうえで大きな意味を持つでしょう。
年齢層別に見る「採用後に起きやすい課題」

年齢層ごとに来日動機が異なる傾向があるのではないかという見方もありますが、これを示す公的なデータは確認されておらず、あくまで仮説の域を出ません。一方、言語や文化の違いによるコミュニケーションの難しさ、採用時に提示された条件と実際の業務内容のギャップ、企業内での孤立感やサポート不足などは、複数の調査で離職・定着課題として指摘されています。これらの課題が年齢層やキャリア段階によって違った形で表れる可能性はありますが、その点を裏付ける年齢層別のデータは見当たらないため、あくまで推測にとどまることに留意が必要です。ここでは若年層と中堅層に分けて具体的に見ていきましょう。
若年層(20代前半):定着しにくい・すぐに転職する理由
20代前半の若年層は、単純作業への物足りなさや「思い描いていた仕事と違う」というギャップから離職につながりやすい傾向があります。ある調査では外国人労働者の入社後1年以内の離職率は28.0%とされ、さらに53%の外国人労働者が、入社後1年以内にモチベーションダウンを経験したという結果も出ています。若さゆえの決断の早さに加え、日本特有の年功序列や上下関係に戸惑いを覚えることも、転職を後押しする要因になっているようです。
中堅層(20代後半〜30代):仕事への期待と現実のギャップ
20代後半から30代の中堅層は、キャリアアップや報酬面での期待が高い分、現実とのギャップに直面しやすい層でもあります。任される役割が曖昧なままだったり、評価基準がはっきりしなかったりすると、「頑張っても報われない」という不満につながりかねません。生活を支える責任を背負っているからこそ、待遇や将来性への感度が高く、期待に応えられない職場からは離れていってしまう可能性があります。企業側には、この層特有の期待値を理解した対応が求められます。
年齢層を考慮した受け入れ環境の整え方

ここまで見てきた年齢層ごとの動機や課題を踏まえると、受け入れ環境も一律ではなく年齢層に応じて設計する必要があることがわかります。若年層と中堅層以上とでは、響くアプローチが異なるため、それぞれに合った工夫を取り入れていきましょう。
若年層には「成長実感」と「生活サポート」がカギ
20代前半の若年層を定着させるには、スキルアップを実感できる業務設計と、わかりやすい評価制度が効果的です。加えて、住居の手配や日本語学習のサポート、先輩社員が相談役になるバディ制度など、生活面での孤立を防ぐ工夫も欠かせません。特定技能人材の生活支援を登録支援機関に委託する場合、費用相場は外国人1人あたり月額2万円から4万円程度が一般的とされており、受け入れ計画を立てる際の目安になります。
中堅層以上には「役割の明確化」と「キャリアの見通し」を示す
20代後半〜30代以降の中堅層には、ジョブディスクリプションによる役割の明確化が有効です。何を任され、どう評価されるのかが明確になるだけで、納得感を持って働き続けやすくなります。あわせて、特定技能2号への移行や永住権取得も視野に入れた中長期のキャリアパスを示すことで、長く働きたいという気持ちを後押しできます。人材紹介会社を通じて中堅層を採用する場合、手数料相場は30万円から50万円程度とされており、採用予算を検討する際の参考にしてみてください。
まとめ

外国人採用における年齢層の傾向は、業種や在留資格によっては若年層が多いケースもあるといわれています。特定技能1号の取得要件には技能試験及び日本語試験の合格が必要ですが、技能実習2号を良好に修了した外国人はこれらが免除されるため、制度上技能実習2号から特定技能への移行が想定されています。技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)では、大学等を卒業した新卒者が在留資格を取得して就職するケースも見られるなど、年齢層やライフステージによって、キャリア形成・送金・定住志向など来日動機が変化する可能性も考えられます。若年層には成長実感と生活サポート、中堅層以上には役割の明確化とキャリアの見通しを示すことが、定着率を高めるポイントです。自社に合った採用計画を立てる際は、外国人採用支援サービスへの相談も検討してみてください。
外国人採用の年齢層・傾向についてよくある質問

外国人採用の年齢層・傾向についてよくある質問
Q. なぜ外国人採用では20代前半が多いのですか?
A. 特定技能では技能実習からの移行者が一定数いること、技人国では大学・専門学校卒業後すぐに就職するルートが多いことが背景として挙げられます。
Q. 年齢が高い外国人材は採用しない方がよいのでしょうか?
A. そのようなことはありません。30代以降の人材は日本での長期定住やキャリアアップを見据えているケースもあり、腰を据えて働いてくれる貴重な存在になり得ます。
Q. 年齢層によって受け入れ体制を変える必要がありますか?
A. はい。若年層には成長実感と生活サポート、中堅層以上には役割の明確化とキャリアの見通しなど、響くアプローチが異なるため、年齢層に応じた工夫が定着率の向上につながる可能性があります。
Q. 特定技能と技人国では、想定すべき年齢層は違いますか?
A. 特定技能は18歳以上で学歴要件はありませんが、技人国は大学や専門学校などの卒業等も要件となるため、技人国人材の方が若干ですが年齢層は高くなる傾向があります。
Q. 若い年齢層の外国人材はすぐに辞めてしまうのでしょうか?
A. 一定の離職リスクはありますが、業務内容と実際の仕事のギャップを減らし、成長を実感できる環境を整えることで定着率を高められる可能性があります。効果には個社差がある点にも留意してください。