外国人採用のリスクと対策を総まとめ!失敗しない準備ガイド
外国人採用を検討しはじめると、「何かトラブルが起きないか」「法律違反になったりしないか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。実際、知識がないまま採用を進めてしまうと、在留資格のミスや早期離職、労務トラブルなど思わぬリスクに直面することがあります。この記事では、外国人採用に伴うリスクを4つに整理し、それぞれの具体的な対策をわかりやすく解説します。
外国人採用のリスクと対策を一覧で把握しよう

外国人採用を安全に進めるためには、まず「どんなリスクがあるか」を全体的に把握することが大切です。リスクは大きく4種類に分けられ、それぞれに対応した事前対策を組み合わせることで、採用後のトラブルをぐっと減らせます。
主なリスクは4種類に分けられる
外国人採用に伴うリスクは、以下の4つに整理できます。
| リスクの種類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 法的リスク | 在留資格の確認ミスによる不法就労・罰則 |
| 労務リスク | 雇用契約書の不備・賃金や社会保険の手続きミス |
| 定着リスク | 言語・文化の壁による孤立・早期離職 |
| 採用プロセスのリスク | 面接での確認不足・入社後の手続き遅れ |
この4つはそれぞれ独立したリスクではなく、連鎖して起こるケースもあります。たとえば、採用プロセスでの確認不足が法的リスクや定着リスクにつながることも。全体像を把握した上で、一つひとつ対策を考えることが重要です。
事前に対策を決めておくことが失敗を防ぐ近道
外国人採用で失敗しやすいのは、「問題が起きてから対処しようとするケース」です。在留資格の期限が切れていたことに気づかなかった、雇用契約書の説明が不十分で後からトラブルになった、といった話は珍しくありません。
大切なのは、採用活動を始める前に社内のルールと対応手順を整えておくことです。リスクの種類と対策を事前にセットで理解しておくことで、いざというときに慌てずに動けます。知識があるだけで、採用活動の安心感はかなり変わります。
【法的リスク】不法就労・在留資格のミスは会社も罰せられる

外国人採用において、最も注意が必要なのが法的リスクです。在留資格の確認を怠ったり、就労できない業務に従事させてしまったりすると、会社側にも刑事罰が科される可能性があります。「知らなかった」では済まされない領域なので、基本的な確認事項をしっかり押さえておきましょう。
在留資格の確認を怠ると「不法就労助長罪」になる
外国人を採用する際、在留資格の確認は雇用主の義務です。確認を怠って就労資格のない外国人を働かせた場合、不法就労助長罪として最大5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金が科される可能性があります(入管法第73条の2)。
「本人が『働けます』と言っていたから」という理由は免責になりません。採用時には必ず在留カードの原本で在留資格の種類・在留期間を確認し、必要に応じて資格外活動許可や指定書の内容、実際の業務内容との整合性もチェックしましょう。出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」も、在留カードの真正性を確認する補助手段として活用できます。
在留期限・就労可能な業務の範囲を必ず確認する
在留資格があれば何でも働けるわけではありません。資格によって「就労できる業務の範囲」が細かく定められており、範囲外の業務をさせることも不法就労にあたります。
採用前に確認したい主なポイントは以下の通りです。
- 在留カードの「就労制限の有無」欄を確認する
- 在留期限の日付を確認し、カレンダーに更新リマインドを入れる
- 「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務」など、資格ごとの業務範囲を調べる
- 「資格外活動許可」がある場合は、週28時間以内の制限を把握する
在留期限の管理は、採用後も継続的に行う必要があります。更新手続きの失念は会社側のリスクにも直結するため、担当者を決めてリスト管理するのが安心です。
【労務リスク】外国人にも日本の労働法は同じように適用される

「外国人だから」という理由で、日本人より低い賃金を設定したり、社会保険に加入させなかったりすることは違法です。労働基準法や社会保険関連の法律は国籍を問わず適用されます。労務管理の基本を整えておかないと、後から大きなトラブルに発展しやすい領域です。
雇用契約書・労働条件通知書は母国語でも用意する
労働条件通知書の交付は日本人・外国人を問わず雇用主の義務ですが、外国人の場合は日本語だけでは内容が十分に伝わらないリスクがあります。「契約書にサインしたけど内容を理解していなかった」というのは、トラブルの典型的なパターンです。
母国語での説明が難しい場合は、厚生労働省が公開している「外国人労働者向けモデル労働条件通知書」(多言語版)を活用するといいでしょう。英語・中国語・ベトナム語など主要言語に対応しています。口頭での説明にあわせて書面を渡すことで、後からの「聞いていない」を防げます。
賃金・社会保険の手続きミスが後からトラブルになりやすい
外国人労働者も、健康保険・厚生年金・雇用保険への加入が原則必要です。「短期だから」「本人が不要と言っていたから」という理由で未加入にしておくと、後から未払い分を遡って請求されるケースもあります。
また、最低賃金を下回る賃金設定は国籍に関係なく違法です。賃金については以下の点を特に確認しましょう。
- 就業地の最低賃金(都道府県ごとに異なる)を必ず確認する
- 残業代の計算・支払いも日本人と同じルールで行う
- 賃金から天引きできるものは限られている(家賃補助等の取り扱いに注意)
手続きミスは悪意がなくても違反になります。不安な場合は社会保険労務士などの専門家に確認するのがおすすめです。
【定着リスク】採用してもすぐに辞めてしまうケースが多い理由

せっかく採用できた外国人材が、入社から数ヶ月で退職してしまう——こうした早期離職の問題は、外国人採用の現場でよく聞かれます。その背景には、言語・文化の違いからくる孤立感や、受け入れ体制の不十分さが大きく関係しています。
言語・文化の違いが孤立感につながる
外国人が職場で「居づらさ」を感じる原因の多くは、コミュニケーションの壁です。日本語での指示が理解できなかった、相談できる人がいなかった、職場の文化や暗黙のルールがわからなかった——こうした積み重ねが孤立感につながり、離職を後押しします。
言語だけでなく、宗教上の食事制限、休暇の取り方に対する考え方の違いなど、文化的な摩擦も軽視できません。日本では当たり前のことが、外国人スタッフにとっては戸惑いのもとになることがあります。採用前に、こうした多様性への理解を職場全体で共有しておくことが大切です。
受け入れ体制が整っていないと早期離職を招く
外国人材の定着には、採用後の「受け入れ体制」が決め手になります。たとえば以下のような取り組みが、早期離職の予防に効果的です。
- 入社時に業務マニュアルや社内ルールを整備することにより、場合によっては、助成金を受け取ることも可能です。
- 困ったときに相談できる窓口(メンターや担当者)を決めておく
- 定期的な1on1やフィードバックの機会を設ける
- 生活面のサポート(住居・銀行口座・役所手続きなど)を手厚くする
1号特定技能外国人については、受入機関が生活オリエンテーションや各種法定支援を実施する義務があります。自社だけで対応が難しい場合は、要件を満たす登録支援機関へ全部委託することもできます。
【採用プロセスのリスク】選考・面接での確認不足が後のトラブルを生む

採用プロセスの段階での見落としが、入社後の大きなトラブルに発展することがあります。面接での不適切な質問や、内定後の手続きの遅れは、取り返しのつかない問題につながりかねません。選考から入社までの流れを丁寧に設計することが、リスクを未然に防ぐポイントです。
面接時に確認すべきこと・聞いてはいけないことを把握する
外国人採用の面接では、在留資格や就労可能な業務範囲の確認は必須です。一方で、「本国に帰る予定はあるか」「宗教は何か」「結婚しているか」といった質問は、就職差別につながる恐れがあるため避けるべきとされています。
面接で確認すべき主な項目は以下の通りです。
- 在留資格の種類と有効期限
- 就労可能な業務の範囲(在留カードで確認)
- 日本語能力のレベル(業務内容との適合性)
- 前職での業務内容と経験年数
- 入社可能な時期
採用の可否は「業務遂行能力」に関係する情報のみで判断することが基本です。
内定後から入社までの手続きを事前にスケジュール化する
外国人採用では、内定から入社まで思った以上に時間がかかることがあります。在留資格の変更・更新手続きには数ヶ月かかる場合があり、スケジュールを把握していないと入社日が大幅にずれ込むことも。
内定後の主な手続きの流れは次のようになります。
選考・内定 → 雇用契約の締結 → 在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請 → 入管による審査(1〜3ヶ月程度) → 許可後に就労開始 → 外国人雇用状況届出・社会保険等の手続き
特に初めての外国人採用の場合、どの段階で何をすべきかわからなくなりがちです。あらかじめチェックリスト形式でタスクを整理しておくと、抜け漏れを防げます。
リスクを減らすための3つの実践的な対策

ここまで4種類のリスクを見てきましたが、すべてに共通する対策のポイントは「事前の準備」と「適切な分担」です。ここでは、実際に取り組みやすい3つの対策を紹介します。
対策①社内ルールと担当者を決めておく
外国人採用に関するルールが社内に整備されていないと、担当者が変わるたびに対応がブレてしまいます。まずは以下の項目について、社内のルールと担当者を明確にしましょう。
- 在留カードの確認・コピー保管・期限管理の方法
- 雇用契約書・労働条件通知書のテンプレートと交付手順
- 外国人スタッフの相談窓口(メンター担当者)の設置
- 在留資格更新の申請タイミングと社内申請フロー
担当者が一人に集中しすぎると、その人が異動・退職した際にノウハウが引き継がれないリスクがあります。マニュアル化しておくことが、組織全体での安定した採用につながります。
対策②専門の登録支援機関・行政書士に委託する
在留資格の申請や更新、特定技能外国人の法定支援業務など、専門知識が求められる手続きは、無理に自社で対応しようとせず、専門家に任せるのが賢明な選択です。
主な委託先としては以下が挙げられます。
- 登録支援機関:特定技能外国人の法定支援(生活オリエンテーション・定期面談など)を代行。受け入れ企業の負担を大幅に軽減できます。
- 申請取次行政書士等:在留資格申請書類の作成および、所定の要件を満たす場合の申請取次に対応。
- 社会保険労務士:労働条件の整備・社会保険手続きのサポートを依頼できます。
FMS(フィールドマーケティングシステムズ)では行政書士や社労士とも連携しており、特定技能人材の採用から定着まで一気通貫で支援するBPOサービスを提供しています。手続きの煩雑さに不安を感じている方は、ぜひ一度相談してみてください。
対策③採用後のフォロー体制まで設計しておく
外国人採用のリスク対策は、採用が決まって終わりではありません。入社後のフォロー体制まであらかじめ設計しておくことが、定着率の向上とコンプライアンス維持の両方に効いてきます。
具体的なフォロー体制として検討したいのは、以下のような取り組みです。
- 入社後1〜3ヶ月の定期面談で不満・不安を早めにキャッチする
- 日本語学習の機会(業務時間内の学習時間確保や費用補助)を設ける
- 生活面の困りごと(住居・行政手続きなど)を相談できる窓口を維持する
- 在留期限の更新を忘れずに管理する仕組みを組み込む
採用から定着まで一連のプロセスとして捉えることで、外国人採用のリスクは大きく下げられます。
まとめ

外国人採用のリスクは、①法的リスク(在留資格・不法就労)、②労務リスク(雇用契約・社会保険)、③定着リスク(言語・文化・受け入れ体制)、④採用プロセスのリスク(面接・手続き管理)の4種類に整理できます。
どれも「知っていれば防げるリスク」ばかりです。社内ルールの整備、専門機関への委託、採用後のフォロー体制の設計という3つの対策を組み合わせることで、安心して外国人採用を進められます。
「何から始めればいいかわからない」という方は、まず今回紹介したチェックポイントを一つずつ確認するところから始めてみてください。
外国人採用 リスク 対策についてよくある質問

外国人を採用する際、在留資格の確認はどうやってすればいいですか?
在留カードの原本を必ず確認し、「就労制限の有無」欄と在留期限を確認しましょう。在留カードに記載されている在留資格の種類ごとに就労できる業務範囲が異なります。出入国在留管理庁の公式サイトでも資格ごとの詳細を確認できます。
外国人スタッフに日本の最低賃金は適用されますか?
はい、国籍に関わらず日本の労働基準法・最低賃金法が同様に適用されます。加えて、就労系の在留資格では「日本人と同等額以上の報酬」が許可要件となっているため、最低賃金を下回る賃金設定では入管での許可自体が下りず、そもそも採用が成立しません。就業地の都道府県別最低賃金を必ず確認したうえで、日本人スタッフとの賃金バランスも意識して設定してください。
特定技能の外国人を採用する場合、登録支援機関への委託は義務ですか?
法定支援をすべて自社で実施できる体制がある場合、登録支援機関への委託は義務ではありません。ただし、生活オリエンテーションや定期面談など10項目の支援を適切に行う必要があり、対応が難しい場合は登録支援機関への委託が現実的です。
外国人採用で早期離職が多い原因は何ですか?
主な原因は、言語や文化の違いによる孤立感、相談できる窓口がないこと、業務内容・労働条件の認識ズレなどです。採用前に受け入れ体制を整え、入社後も定期的にコミュニケーションを取ることが定着率向上につながります。
外国人採用に関する手続きを外部に委託できますか?
できます。在留資格の申請・変更は行政書士、労務管理・社会保険手続きは社会保険労務士、特定技能の法定支援は登録支援機関にそれぞれ委託できます。専門機関を活用することで、手続きの抜け漏れやコンプライアンス違反のリスクを下げられます。