技能実習から特定技能へ移行する条件と手続きを徹底解説
「技能実習が終わるけど、このまま雇い続けたい」——そう思っている人事・総務担当の方は多いのではないでしょうか。技能実習から特定技能への移行は、条件を満たせば試験なしで切り替えられるルートがあります。この記事では、移行の条件・手続きの流れ・注意点をまとめて解説します。自社の対応方針を決めるための参考にしてみてください。
技能実習から特定技能への移行は可能?結論を先に解説

結論から言うと、一定の条件を満たせば技能実習から特定技能1号への移行は可能です。ただし「誰でも移行できる」わけではなく、修了状況や職種の一致など、いくつかのハードルがあります。まずは全体像を把握しておきましょう。
移行時の試験免除条件を3行でまとめると
技能実習2号または3号を良好に修了していること、技能実習の職種・作業と移行先の業務区分に対応関係があること、在留期限内に申請を行うこと——この3点を満たせば、技能試験と日本語試験の両方が免除されます。なお、良好に修了していれば日本語試験は免除されますが、職種・作業と業務区分の対応関係がない場合は技能試験の合格が必要です。
在留資格変更許可申請は、出入国在留管理局(入管)に対して行います。書類の準備から申請まで、企業側にも相応の対応が求められるため、早めに準備を始めることが大切です。 h3:試験免除を受けられないケースも最初に把握しておこう 条件を満たしていても、試験免除を受けられないパターンがあります。代表的なものを挙げると、以下のとおりです。
- 技能実習を途中で切り上げた(修了していない)場合
- 技能実習中に不正行為や重大なトラブルがあった場合
- 移行先の特定技能に対応する分野が存在しない職種の場合(例:農業の一部の作業区分など)
- すでに在留期限が切れている場合
「うちの実習生は大丈夫だろう」と思っていても、職種の対応関係で移行できないケースは実際に起きています。次のセクションで条件の詳細を確認してみてください。
技能実習2号・3号から特定技能1号に移行するための条件

移行の可否を判断するには、「良好修了」「試験免除」「職種の一致」という3つの軸で確認する必要があります。それぞれ具体的に見ていきましょう。
技能実習を「良好に修了」とはどういう意味か
「良好な修了」とは、単に実習期間を終えることではありません。具体的には、技能実習を計画に従って通算2年10か月以上修了し、かつ技能検定3級またはこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格するなど、良好な修了が認められる状態を指します。
良好修了の確認は、実習実施者等が作成する評価調書や、技能検定3級または技能実習評価試験(専門級)の合格などによって行われます。技能実習から特定技能への移行を進める際には、在留資格変更許可申請において、良好修了を示す資料として評価調書等を提出するのが基本です。
技能実習1号だけの修了では対象外となる点に注意してください。試験免除で技能実習から特定技能へ移行するためには、技能実習1号を1年修了し、技能実習2号を1年10か月以上修了していることが必要です。1号のみ修了の段階で特定技能への移行を希望する場合は、試験を受けるルートを選ぶことになります。
試験が免除される人・免除されない人の違い
技能実習2号を良好に修了した人は、特定技能1号への移行時に日本語試験が免除され、さらに技能実習で修得した技能と特定技能で従事する業務に関連性が認められる場合は技能試験も免除されます。これは、技能実習から特定技能1号へ移行する際の大きなメリットの一つです。
なお、技能実習3号を修了した人についても、その前提として技能実習2号を良好に修了していれば、同様に試験免除で特定技能1号への移行が可能です。
一方、以下に該当する場合は試験免除の対象外となります。
- 技能実習1号のみ修了(2号・3号未修了)
- 技能実習を途中で終了・失踪等があった
- 技能実習2号を修了していても、特定技能1号の業務と技能実習の職種・作業に関連性がない場合(技能試験免除の対象外)
- 修了はしているが、対応する特定技能分野の試験が別途設定されているケース
試験免除が使えない場合でも、各分野の特定技能評価試験(技能試験)と、日本語能力については「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」のいずれかに合格することで、特定技能1号への移行申請は可能です。大切に育てた人材に試験の負担をかけたくないという場合は、2号修了のタイミングを見逃さないようにしましょう。
職種・分野が一致していないと移行できない
技能実習と特定技能は、対応する職種・分野が定められています。移行の要件は「職種が完全に一致すること」ではなく、技能実習で従事していた職種・作業内容と、移行先の特定技能1号の業務との関連性が認められることが基本とされています。
技能実習2号を良好に修了し、職種・作業内容と移行先の特定技能分野の業務に関連性があれば、技能試験・日本語試験が免除される場合があります。主な対応関係の例を以下に示します。
| 技能実習の職種(例) | 特定技能の分野 |
|---|---|
| 農業(施設園芸、畑作・野菜等) | 農業 |
| 食品製造(水産加工食品製造等) | 飲食料品製造業 |
| 建設(とび、鉄筋施工等) | 建設 |
| 介護 | 介護 |
| 機械・金属(機械加工等) | 工業製品製造業 |
技能実習に設定されていた職種が、特定技能のどの分野に対応して移行できるか、または対応分野が存在しないかは、分野ごとの所管省庁が定めた移行対象職種一覧で確認できます。技能実習2号の全職種が特定技能に移行できるわけではないため、まずは一覧で確認してみてください。詳細は出入国在留管理庁の特定技能ポータルサイトをご覧ください。
職種や分野名が一致しているように見えても、作業区分の細かい違いにより「無試験での移行対象」から外れることがあります。ただし、その場合でも、従事したい特定技能分野の技能試験および日本語試験に合格すれば、特定技能への在留資格変更は可能です。早めに対象職種・作業を確認しておくことをおすすめします。
移行手続きの流れをステップで確認

移行手続きは「事前確認→書類準備→申請」の大きく3段階で進みます。各ステップで何をすべきか、順を追って確認していきましょう。
ステップ1:移行できるか事前に確認する
まず、移行の可否を確認する段階です。チェックすべき項目は以下のとおりです。
- 技能実習2号または3号を良好に修了しているか
- 技能実習の職種と特定技能の分野が対応しているか
- 在留期限まで申請に必要な時間が確保できるか
- 外国人本人が特定技能への移行を希望しているか
本人の意向確認は見落とされがちですが、とても大切なポイントです。特定技能に移行すると在留期間が最長5年(3年を超えない範囲内で個別指定による更新制)となり、家族の帯同は基本的に認められません。本人が十分に理解した上で合意していることを確認しておきましょう。
ステップ2:雇用契約と支援計画を準備する
移行が可能と判断したら、次は書類の準備です。技能実習と異なり、特定技能では受け入れ企業が外国人に対して支援計画を策定・実施する義務があります(または登録支援機関に委託する必要があります)。
主に準備が必要な書類は次のとおりです。
- 特定技能雇用契約書(報酬・労働条件を明記したもの)
- 1号特定技能外国人支援計画書
- 技能実習修了証明書
- 在留資格変更許可申請書
- 旅券(パスポート)のコピー など
雇用契約の内容は、同じ業務に従事する日本人労働者と同等以上の報酬でなければなりません。技能実習時代よりも給与水準が上がるケースが多く、事前に雇用条件を整理しておく必要があります。
ステップ3:在留資格変更許可申請を行う
書類が揃ったら、外国人本人の住居地を管轄する出入国在留管理局(入管)に在留資格変更許可申請を提出します。
申請から許可が下りるまでの標準処理期間は概ね1〜3か月です。時期や申請内容によってはさらにかかる場合もあるため、在留期限の3か月前には申請できる状態にしておくのが理想的です。
申請の方法は、窓口持参・郵送・オンライン申請(出入国在留管理庁の電子申請システム利用)の3通りがあります。書類不備があると補正が必要になり、時間がさらにかかるため、事前に入管や登録支援機関に相談しながら進めることをおすすめします。
在留期限が切れそうなときの特例措置とは
在留期限が迫っているのに申請が間に合わない——そんな状況でも、一定の救済措置があります。
在留期限が到来する前に在留資格変更許可申請を提出していれば、申請中は「特定活動」として最長6か月間、引き続き在留・就労が認められます(入管法第20条第6項)。
ただし、この特例は申請が受理されていることが前提です。書類不備などで申請が受け付けられなかった場合は適用されません。また、申請結果が不許可になった場合は、速やかに帰国または他の在留資格への変更が必要になります。
特例期間はあくまで緊急時の措置です。余裕を持ったスケジュールで動くことが、企業・本人双方にとって安心につながります。
移行時に企業側が注意すべきポイント

移行手続きと並行して、受け入れ企業側にも対応が必要な変化があります。技能実習と特定技能では制度の仕組みが異なるため、事前にしっかり把握しておきましょう。
技能実習と特定技能では受け入れのルールが変わる
技能実習と特定技能は、制度の目的が根本的に異なります。技能実習は「技術移転・国際貢献」を目的とした制度であるのに対し、特定技能は「人手不足分野への即戦力確保」を目的とした制度です。そのため、受け入れ側のルールも変わります。
主な違いを整理すると以下のようになります。
| 項目 | 技能実習 | 特定技能1号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 最長5年(1号〜3号) | 最長5年(更新制) |
| 転職の可否 | 原則不可 | 同一分野内なら可能 |
| 支援義務 | 監理団体が担う | 企業または登録支援機関が担う |
| 家族帯同 | 不可 | 不可(特定技能2号は可) |
| 受け入れ人数枠 | 常勤従業員数に応じた上限あり | 介護・建設以外は上限なし |
特定技能では転職が可能になります。育てた人材が他社に移るリスクがある一方、本人のキャリアの自由度が上がるため、働きがいのある環境づくりが定着の鍵になります。
登録支援機関への依頼が必要になるケースとは
特定技能では、受け入れ企業が外国人に対して支援計画に基づく10項目の支援を実施する義務があります。具体的には、生活オリエンテーション・住居確保支援・日本語学習の機会提供・定期面談などが含まれます。
これらを自社で対応できる体制がない場合、登録支援機関に委託することが認められています。実態として、多くの中小企業は登録支援機関を活用しています。
登録支援機関に委託することで、書類作成や定期的な面談対応、行政機関との連絡窓口なども任せられるため、担当者の負担を大きく減らせます。委託費用の相場は月額2〜5万円程度(外国人1人あたり)ですが、機関によって異なります。
FMS(フィールドマーケティングシステムズ)では、特定技能外国人の受け入れに特化した登録支援機関として、申請サポートから定着支援まで一括でお手伝いしています。初めて特定技能を受け入れる企業様もお気軽にご相談ください。
まとめ

技能実習から特定技能1号への移行は、条件を満たせば試験なしで実現できます。ポイントをおさらいしておきましょう。
- 技能実習2号または3号を良好に修了していること
- 移行先の特定技能分野と職種・作業区分が一致していること
- 在留期限内に在留資格変更許可申請を行うこと
- 特定技能では企業側が支援計画の実施義務を負うこと
手続きは複雑に感じるかもしれませんが、順番に確認していけば着実に進められます。「うちの実習生は移行できるのか」「書類の準備が不安」という場合は、登録支援機関や行政書士に早めに相談するのがおすすめです。育てた人材と長く働き続けるために、ぜひ早めの行動を心がけてみてください。
技能実習 特定技能 移行についてよくある質問

技能実習2号を修了していれば、必ず特定技能1号に移行できますか?
技能実習2号の良好な修了は移行の大前提ですが、それだけで自動的に移行できるわけではありません。移行先の特定技能分野と職種が対応していること、在留期限内に申請することなど、複数の条件を同時に満たす必要があります。
技能実習3号を修了した場合も試験免除になりますか?
はい、なります。技能実習3号の良好修了者も、技能試験・日本語試験の両方が免除されます。2号・3号どちらの修了者も同様の免除措置が適用されます。
実習生が実習期間中にトラブルを起こした場合、移行に影響しますか?
技能実習計画の重大な違反や不正行為があった場合は、「良好な修了」とみなされず、試験免除が使えなくなる可能性があります。また、受け入れ企業側(実習実施者)に不正行為があった場合も、移行に支障をきたすことがあります。
申請中に在留期限が来てしまった場合、就労はできますか?
在留期限前に在留資格変更許可申請が受理されていれば、特例期間として最長2か月間は引き続き在留・就労が可能です。ただし、書類不備による受理前の期限到来は特例の対象外となるため、早めの申請が重要です。
特定技能に移行後、別の会社に転職することは可能ですか?
特定技能では、同一分野内であれば転職が認められています。技能実習では原則として転職できませんでしたが、特定技能ではこの制限がなくなります。定着を図るためには、働きやすい環境や待遇の整備が大切です。