特定技能1号取得までのステップを完全ガイド試験から入国まで
海外にいる外国人材が特定技能1号を取得し、日本で働き始めるまでには、日本語試験や技能評価試験の合格、雇用先探し、在留資格の申請など、いくつものステップを順番にクリアする必要があります。本記事では、特定技能1号 取得 ステップを本人視点で整理し、試験合格から入国までの流れを分かりやすく解説します。外国人採用を検討する企業の人事担当者が、候補者へ説明する際の資料としてもお役立てください。
特定技能1号を取得して日本で働くまでの全体ステップ(まず結論)

海外にいる外国人が特定技能1号を取得して来日するまでには、いくつかの手続きを順番にクリアする必要があります。ここではまず、取得までの流れを5つのステップとして一覧化し、記事全体の地図としてご紹介します。
ステップ1:日本語試験に合格する
特定技能1号を取得する第一歩は、日本語試験に合格することです。日本での生活や職場でのコミュニケーションに必要な基礎的な日本語能力を持っているかを確認するステップで、これに合格しなければ次に進むことはできません。試験にはJFT-BasicとJLPTの2種類があり、それぞれ試験内容や実施頻度、結果が分かるまでのスピードが異なります。海外での実施状況も試験によって差があるため、まずは自分の母国で受験できる試験を確認するところから始めましょう。
ステップ2:技能評価試験に合格する
日本語試験に合格したら、次は希望する分野の技能評価試験に合格する必要があります。特定技能1号には16の分野があり、分野ごとに試験の内容や実施団体、出題形式が異なるのが特徴です。介護分野であれば介護の基礎知識、宿泊分野であればフロント業務の知識など、実務に直結した内容が問われます。受験の申し込み方法や海外での受験可否も分野によって異なるため、希望する仕事の分野を早い段階で決め、試験要領を確認しておくことが大切です。
ステップ3:雇用先(受け入れ企業)を見つける
2つの試験に合格したら、いよいよ日本で働く受け入れ企業を探すステップです。求人媒体や送り出し機関などを通じて企業とマッチングし、特定技能雇用契約を結びます。契約前には、報酬や労働条件が日本人と同等以上であるか、契約内容を本人が理解できる言語で説明されているかを必ず確認しましょう。また、多くの企業は支援業務を登録支援機関に委託しているため、その役割も知っておくと安心です。
ステップ4:在留資格認定証明書の交付申請をする
雇用契約が結ばれたら、受け入れ企業が申請人に代わって地方出入国在留管理局へ在留資格認定証明書の交付申請を行います。この証明書は、海外在住の外国人が来日する際に必要となる重要な書類で、申請人本人の書類と所属機関の書類の両方をそろえる必要があります。審査には一定の期間がかかるため、来日希望時期から逆算して早めに準備を進めることが欠かせません。
ステップ5:ビザ(査証)を取得して入国する
在留資格認定証明書を受け取ったら、本人が母国にある日本大使館・領事館で査証(ビザ)の申請を行います。査証が発給されたら、いよいよ日本への入国です。ただし、在留資格認定証明書の有効期限は原則3か月と決まっているため、この期間内に入国できるようスケジュールを組む必要があります。入国後は空港などで在留カードを受け取り、新しい生活と仕事がスタートします。
各ステップをくわしく解説

ここからは、先ほど示した5つのステップを一つずつ詳しく見ていきます。本人が実際に何を準備し、企業側がどのようにサポートできるのかを具体的に解説しますので、採用候補者への説明にもお役立てください。
ステップ1:日本語試験に合格する
日本語試験の合格は特定技能1号取得の出発点です。ここでは、受験できる試験の種類と、母国で受験できる場所について詳しく見ていきましょう。試験選びを誤ると準備のやり直しにつながるため、最初にしっかり整理しておくことが大切です。
受験できる試験の種類(JFT-BasicとJLPT)
特定技能1号に必要な日本語能力を証明する試験には、JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)とJLPT(日本語能力試験)の2種類があります。なお、介護分野ではこれらに加えて介護日本語評価試験への合格も必要です。JLPTは、日本語を母語としない人の日本語能力を測定し、認定することを目的としています。試験はN1からN5の5つのレベルに分かれており、特定技能に必要な日本語能力はN4以上とされています。一方、JFT-BasicにおいてA2レベルと判断される200点という点数は、JLPTでのN4レベルと同等程度の日本語能力とされています。実施方法にも違いがあり、JLPTはマークシート方式で、日本と海外(約80の国と地域)で年に2回実施されるのに対し、JFT-BasicはCBT方式で、海外(アジア地域)と日本で年に6回実施されます。結果通知のスピードも異なり、JLPTでは受験日から約2か月後にオンラインで結果がわかるのに対し、JFT-Basicでは受験当日に結果がわかり、受験日から5営業日以内に判定結果通知書が発行されます。早く手続きを進めたい候補者には、JFT-Basicを選ぶ人が多い傾向にあります。
試験はどこで受けられる?海外の受験地一覧
JFT-BasicとJLPTは、それぞれ受験できる国や地域が異なります。JFT-Basicは日本を含めた12の国で実施されています。一方で、JLPTは日本と約80の国・地域で行われているため、様々な国で受験可能です。そのため、母国でJFT-Basicが実施されていない場合は、JLPTでの受験を検討する必要があります。反対にJLPTは実施国が多いものの、JFT-Basicは海外(アジア地域)と日本で年に6回、国ごとに設定されるテスト期間に実施されます。採用担当者は、候補者の母国でどちらの試験が受けられるかを早めに確認しておくと、採用スケジュールの見通しが立てやすくなります。
ステップ2:技能評価試験に合格する
日本語試験に続く関門が、分野ごとの技能評価試験です。ここでは、分野によって試験内容が異なる点と、申し込み方法・受験場所について詳しく解説します。希望する仕事に合わせた試験の把握が欠かせません。
分野ごとに試験が異なる点に注意
特定技能1号には介護、ビルクリーニング、建設、宿泊、外食業などの特定技能1号・16分野があり、分野ごとに技能評価試験の実施団体や試験内容、出題形式が異なります。たとえば建設分野では、「技能検定3級」または建設技能人材機構(JAC)が実施する技能検定3級の水準に相当する試験に合格することが必要です。介護分野では介護の基礎知識、宿泊分野ではフロント業務や接客の知識といったように、それぞれの仕事に直結した内容が問われるのが特徴です。候補者は、希望する分野の運用要領や試験要領を事前によく確認し、自分が受けるべき試験を正しく把握しておく必要があります。
試験の申し込み方法と受験場所
技能評価試験の多くは、プロメトリック社のウェブサイトを通じて申し込みを行います。試験結果はプロメトリックWebサイトで結果通知書を確認できます。合格証は分野ごとのアプリやマイページで受け取る仕組みになっています。ただし、海外での受験可能地域は分野によって限られているため、特定技能試験を受けられる会場が限られるので、雇用する外国人が特定技能試験を母国で受験可能かを、採用面接の際に確認をする必要があります。母国で受験できない場合は、近隣国での受験や来日後の受験も選択肢に入れて検討しましょう。
ステップ3:雇用先(受け入れ企業)を見つける
試験に合格したら、次は日本で働く受け入れ企業を探すステップです。ここでは、雇用契約を結ぶ前に確認しておきたいポイントと、支援業務を担う登録支援機関の役割について解説します。
雇用契約を結ぶ前に確認すること
特定技能雇用契約を結ぶ前に、候補者自身が必ず確認しておきたいポイントがあります。まず報酬面では、特定技能外国人の報酬額については、日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上であることが求められます。また、契約書や労働条件の説明が、本人が十分に理解できる言語で行われているかどうかも重要な確認事項です。加えて、送り出し機関などへの手数料の有無や金額、内容についても事前にしっかり把握し、納得したうえで契約を交わすことがトラブル防止につながります。わからない点はそのままにせず、企業や仲介者に確認する姿勢を持ちましょう。
登録支援機関とは何か
受け入れ企業には、特定技能1号の外国人が安定して働き、生活できるよう支援計画を実施する義務があります。1号特定技能外国人支援計画の実施は、受入れ機関が行うほか、登録支援機関に委託して実施することもできます。登録支援機関は、事前ガイダンスや住居確保のサポート、定期的な面談など、法律に基づき10項目の「義務的支援」を行う専門機関です。委託する場合の費用は、外国人1人あたり月額2万円から4万円程度が一般的な相場とされています。企業が自社で対応するか登録支援機関に委託するかを選べる制度なので、候補者としても、自分の受け入れ企業がどちらの形で支援を行うのかを知っておくと安心でしょう。
ステップ4:在留資格認定証明書の交付申請をする
雇用契約が決まったら、いよいよ在留資格認定証明書の交付申請です。ここでは必要書類の内容と、申請から交付までにかかる期間の目安について解説します。海外在住者にとって特に重要な手続きとなります。
申請に必要な主な書類
在留資格認定証明書交付申請の必要書類は大きく3つに分けられます。必要書類は「申請人に関する書類」「雇用企業に関する書類」「産業分野別の追加書類」の3種類に大別されます。申請人本人に関する書類には、技能評価試験や日本語試験の合格証明書、健康診断個人票などが含まれます。所属機関に関する書類には、雇用条件書の写しや1号特定技能外国人支援計画書などが必要です。さらに分野によっては協議会への加入証明や追加書類が求められる場合もあるため、本人と企業がそれぞれ分担して早めに準備を進めることが大切です。
申請から交付までにかかる期間の目安
在留資格認定証明書交付申請の標準処理期間は1か月から3か月とされています。実際の審査日数について出入国在留管理庁が公表しているデータを見ると、特定技能1号の在留資格認定証明書交付までにかかった日数は、62.1日でした。ただし、この期間はあくまで目安であり、申請時期や書類の内容によって前後することがあります。来日希望時期が決まっている場合は、審査期間に加えてビザ申請の期間も考慮し、余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。
ステップ5:ビザを取得して入国する
最後のステップは、在外公館でのビザ申請と入国です。ここでは申請の流れと、入国後にやるべき手続きについて解説します。来日直前・直後の大切な手続きなので、しっかり確認しておきましょう。
在外公館でのビザ申請の流れ
在留資格認定証明書を受け取ったら、本人が居住する国にある日本大使館・領事館へ、証明書と必要書類を提出してビザ(査証)の発給を申請します。発給までの日数は、早ければ数日から1週間程度で発給されますし、長ければ2週間ほどかかる場合もあります。ここで注意したいのが有効期限で、ビザと在留資格認定証明書はどちらも有効期間が3カ月であり、上陸審査の時点で有効である必要があります。証明書の交付日から逆算して、余裕を持ってビザ申請の手続きを進めることが大切です。
入国後にやること(在留カードの受け取りなど)
ビザが発給されたら、いよいよ日本への入国です。現在、在留カードを空港で交付しているのは、新千歳・仙台・成田・羽田・中部・関西・神戸・広島・福岡・那覇の10空港です。これらの空港から入国した場合は、その場で在留カードが交付されます。それ以外の空港から入国した場合は、パスポートに「在留カード後日交付」と記載され、後日郵送で受け取ることになります。入国後は居住地の決定から14日以内に、市区町村役場へ転入届を提出して住民登録の手続きを行う必要があり、これを怠った場合は在留資格の取り消し事由に該当するため、忘れずに済ませましょう。ここまで完了して、特定技能1号としての新しい生活と仕事がスタートします。
特定技能1号の取得に必要な2つの試験を免除できるケース

技能実習2号を良好に修了した外国人には、特定技能1号取得に必要な試験の免除という特例があります。技能実習2号を「良好に修了」したというためには、技能実習を2年10か月以上修了し、技能検定3級又は技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格していること、又は実習実施者が作成した評価調書により出勤状況や技能等の修得状況、生活態度等が良好であると認められることが必要です。この条件を満たせば、原則として技能評価試験・日本語試験の両方が免除され、試験に合格することなく特定技能1号へ移行できます。
ただし、免除の範囲には分野の関連性が大きく関わってきます。技能実習2号を良好に修了した場合、特定技能1号への移行時に一般の日本語試験(JLPT・JFT-Basic)は免除されます。ただし、介護分野では一般の日本語試験とは別に介護日本語評価試験が必要であり、介護以外の技能実習から介護分野へ移行する場合はこの試験への合格が求められます。技能試験は、実習の職種・作業と移行先の業務区分に対応関係がある場合に免除されます。つまり、技能実習で経験した仕事と異なる分野の特定技能に進みたい場合は、日本語試験は引き続き免除されるものの、技能評価試験は改めて受験・合格する必要があるということです。
この特例は、実習生として日本で一定期間働いてきた経験を評価する仕組みでもあります。企業の人事担当者は、候補者が技能実習経験者かどうか、またその実習内容が希望する特定技能分野と関連しているかを早い段階で確認しておくと、試験対策や採用スケジュールの見通しが立てやすくなるでしょう。
まとめ

ここまで、海外在住の外国人が特定技能1号を取得して日本で働き始めるまでの5つのステップを解説してきました。日本語試験と技能評価試験の合格から始まり、雇用先探し、在留資格認定証明書の交付申請、そして査証取得・入国という順序を守ることが、スムーズな来日の鍵となります。技能実習2号を良好に修了していれば試験が免除されるケースもあるため、候補者の経歴を確認することも大切です。手続きは書類も多く複雑なため、行政書士や登録支援機関、外国人採用支援サービスなど専門家のサポートをうまく活用しながら、計画的に準備を進めていきましょう。
特定技能1号 取得 ステップについてよくある質問

日本語試験や技能評価試験に不合格だった場合、再受験はできますか?
多くの試験で再受験が可能です。ただしJFT-BasicはJLPTとの大きな違いとして、45日間の再受験禁止期間を除けば年に複数回受験することが可能です。試験ごとの規定を公式サイトで確認しましょう。
雇用契約は試験合格前でも結べますか?
内定という形での意思確認は試験合格前に行われることもありますが、正式な特定技能雇用契約は、通常2つの試験に合格したあとに締結されます。契約時期については受け入れ企業に確認しておくと安心です。
在留資格認定証明書の有効期限はどのくらいですか?
在留資格認定証明書の有効期間は3カ月であり、上陸審査の時点で有効である必要があります。期限内に入国できるよう、ビザ申請のスケジュールを逆算して組みましょう。
申請から入国までは、全体でどのくらいの期間を見ておけばよいですか?
スムーズに進んだとしても、採用活動を開始してから実際に働き始めるまでに最低でも3か月程度はかかり、場合によっては半年ほどかかることもあります。余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが大切です。
技能実習2号を修了していれば、必ず試験は免除されますか?
分野の関連性によって扱いが異なります。日本語試験はどの業種でも免除されますが、技能試験は技能実習と同じ分野に移行する場合のみ免除されます。異なる分野に進む場合は、技能評価試験の受験・合格が必要です。