棚替えとは?棚替えのコツやラウンダー活用メリットなどを専門会社が解説

棚替えは売り場の配置を見直し、顧客の目線を意識して商品を並べ替える作業です。新商品の発売や季節の変化に合わせて実施すると売上アップに効果的なので、小売業に欠かせない業務と言えます。
本記事では、棚替えの基本手順や現場で即実践できるコツ、ラウンダーを活用した効率化の方法まで、ラウンダー専門会社の知見を交えて詳しく解説します。
棚替えの基礎知識
ここでは棚替えの目的や効果、タイミングなどを整理します。基本概念を押さえることで、後続の実践手順やラウンダー活用メリットがより理解しやすくなります。
棚替えとは何か?その目的と効果
棚替えとは、ドラッグストアやスーパーマーケットなど量販店の店頭売り場の棚割を見直し、商品構成や陳列方法を最適化する施策です。売れ筋商品のフェイス拡大や新商品投入による露出強化、季節需要の取り込み、在庫回転率の改善など多岐にわたる効果が期待できます。
具体的には、①顧客導線上の視認性向上、②欠品・死に筋商品の発見と入れ替え、③競合との差別化による客単価向上が挙げられます。
棚替えの時期と頻度
棚替えは実施時期と頻度の選び方で成果が大きく変わります。年間計画に季節や新商品の投入など複数の要素を重ね最適なタイミングを押さえる方法を確認しましょう。
棚替えの主なきっかけ
新商品の導入や大型プロモーションが始まるタイミングでは商品配置を刷新すると注目を集めやすくなります(例:家電量販店ではモデルチェンジ期の直後など)。売上が伸び悩む棚でレイアウトを変えると視認性が高まり顧客の関心を引き戻せます。
季節棚替えを年2回で実施
3月には春夏商材を前面に出し9月には秋冬商材へ切り替えます。季節を先取りした演出は関連購買を促し来店動機を高めるため年2回の大規模棚替えが基本サイクルです。
高回転カテゴリー向けに月次または週次で調整
コンビニやトレンド商品が多い売り場では52週マーチャンダイジングを採用して小規模な棚替えを月次か週次で繰り返します。頻度を高める場合は棚割図を簡素化し作業負荷を抑える工夫が必要です。
売上鈍化に対応する臨時棚替え
POSデータで動きの鈍い商品を確認したらゴールデンゾーンへの再配置や関連商品のクロス展開を行います。臨時棚替えは売上回復を早める即効策として有効です。
近隣で競合店がオープン
競合店が開店すると顧客の関心が新店舗へ流れやすくなるため、レイアウトを一新して売り場に鮮度と話題性を持たせ、流出を防ぐ対策として棚替えが行われることが多いとされています。
棚替えの基本的な手順
棚替えは「事前準備」「商品の移動」「陳列」「最終確認」の四段階に分けるとスムーズに進みます。以下で順を追って具体的に見ていきましょう。
事前準備と棚割りの確認
対象店舗の棚パターンを確認し、棚割りや商品の追加品・カット品一覧などの指示書をチェックします。
また作業開始前に店長や責任者に、オリコンや荷台貸出の許可、カット品の保管場所、ごみ処理ルール、撮影許可などをまとめて確認しておくと効率的です。
商品の移動と棚の清掃
まず対象棚の商品をすべて取り下ろし、棚を空にしてから清掃します。この順序によりホコリや汚れを残さず次の商品を清潔に並べられます。複数棚がある場合は一つずつ空にする方法が効率的です。
棚割りに基づく商品陳列
棚割りのフェイス数と位置を確認し、棚割りに沿って陳列します。サイズが大きい商品は下段、小型で軽量の商品は上段といった重さと安全面のバランスにも配慮しましょう。
店舗ごとに個別の要望がある場合はそれも確認しながら作業を進めます。
POP設置と最終確認
商品陳列後に必要なPOPやプライスカードを取り付け、棚全体を点検と店舗責任者への確認を依頼します。未処理の作業がないか、商品のフェイスが均等かを入念にチェックします。
効率的な棚替えのポイント4選
本章では、棚替え作業を効率的に行うため即実践できる4つのポイントを紹介します。
集中できる曜日や時間帯の選択する
できるだけ客数が少ない曜日や時間帯に棚替えを行うと作業を中断されにくく、商品の一時移動先も確保しやすくなります。季節移行期や大型連休の前など繁忙期は余裕を持って日程を組みましょう。
作業動線を確保する
通路を塞がないよう荷台の置き場や仮置きスペースを決めておけば往復距離が縮まり作業時間が短縮できます。開始前に資材と商品の移動順序を決めることで迷いのロスを防げます。
荷台に商品を積むときは補充順の逆順で並べる
棚替えでは荷台に載せる順番ひとつで作業効率が大きく変わります。
最初に補充する商品を荷台の最前列かつ一番上に置き、次に補充する商品ほど後方や下段へと逆順で積むと棚前での荷下ろしがスムーズです。
同じ順番で複数箱がある場合は軽い箱を上、重い箱を下にすると持ち上げる負担を抑えられます。
また通路側に先出し商品を配置しておけば回り込みが減り、お客様の動線を妨げず安全性も向上します。
搬送中や陳列中は荷台が他の買い物客の視界や歩行を遮らないようこまめに位置を調整し、荷崩れ防止のために箱同士の隙間を詰めるなど基本を徹底しましょう。
イレギュラーに備える
棚替え作業において、イレギュラーな事態は避けられないものです。棚割りに記載されていない商品が陳列されていたり、店舗から「棚何本分で調整してほしい」といった要望が出ることもあり、こうした調整に多くの時間を費やします。
こうした予期せぬ変更に対応するためには、事前に商品の優先順位を明確にし、特に重要な商品のフェイス数や配置を把握しておくことが重要です。これにより、現場での判断が迅速になり、作業の効率化が図れます。
効果的な商品陳列のコツ
棚替えは基本的に棚割り通りに商品を陳列しますが、売り場状況や店舗からの要望で棚割り通りには行かないケースも多々発生します。
ここではどんな売り場にも活用できる基本的な商品陳列のコツを3つ紹介します。
ゴールデンゾーンを意識して陳列する
垂直棚の床から85cm~150cmの高さは「ゴールデンゾーン」と呼ばれ、顧客が最も見やすい高さです。売上の90%近くが集中とも言われるため、新商品や重点商品を優先して並べると効果的です。
購買率をあげたい商品は中央もしくは右側に陳列する
売り場で購買率を高めたい場合は、商品を中央または右側に陳列すると効果が表れます。
人が棚の正面に立つと視野は左右約90~120センチに収まり、中央は端より視認率が高く売上が5%ほど上昇するといわれます。
加えて日本人の大半は右利きであり、右手で商品を取るため、右側は最も手を伸ばしやすいポジションです。
さらに視線は左上から右下へとZ状に動くため、中央から右側にある商品で視線が止まりやすく、購入確率が自然と高まるといわれています。
これらの行動特性を踏まえて重点商品を配置すれば、並べ替えるだけで売り場の説得力が向上し販促効果を強化できます。
売上の弱い商品は「サンドイッチ陳列」を活用する
売上が伸び悩む商品を改善したいときは、売れ筋商品の「となり」に置くだけでは効果が薄く、強い商品ばかりに視線が集まりがちです。注目させるコツは、弱い商品を強い商品の間に挟むか、強い商品の両側で囲む方法です。こうした並べ方は「サンドイッチ陳列」と呼ばれ、人気商品の吸引力で生まれた視線を自然に弱い商品へも誘導できます。結果として弱い商品にも手を伸ばしやすくなり、売上改善につながります。
ラウンダー活用で棚替えを効率化
ラウンダーを活用すると、計画立案から棚替え実施後のフォローまでを外部専門スタッフが担うため、自社営業社員および小売側の作業負荷が大幅に軽減されます。ここではラウンダーの役割と業務範囲、成功事例を紹介します。
ラウンダーとは?その役割とメリット
ラウンダーは複数店舗を巡回し、売り場づくり・販促物設置・売り場メンテナンスを代行するスタッフのことです。
マンパワー不足が解消
ラウンダーを活用すれば繁忙期だけ人員を増強でき、固定人件費を抑えながら必要なときに十分な作業量を確保できます。アウトソーシングにより労務管理や教育コストも外部化できるため、営業社員は交渉や分析などのコア業務に集中でき、費用対効果が向上します。
全国・広域の一斉対応が可能
自社社員や自社ラウンダーだけでは難しい複数エリア同時展開も、外部ラウンダーを使えば一斉に棚替えができ、新商品発売日やキャンペーン開始日に合わせた展開が実現します。
小売側の負担を減らし、関係性構築と提案採用率を向上
ラウンダーが棚替えを代行することで、店舗スタッフの負担が軽減されます。これにより、店舗担当者はメーカーを「頼れるパートナー」と認識し、信頼関係が深まります。
その結果、メーカーからの提案が前向きに検討されやすくなり、売り場拡大や受注増につながることが期待されます。
イレギュラー対応も可能
棚替え作業では、予定通りに進まない「イレギュラー」が頻繁に発生します。例えば、棚割りにない商品が陳列されていたり、店舗から棚数の調整を求められるなど、現場での対応が必要となるケースが多々あります。
こうした状況において、経験豊富なラウンダーは柔軟に対応し、作業を完遂することが可能です。事前に商品の優先順位を設定し、最低限確保すべきフェイス数を明確にしておくことで、現場での調整がスムーズに行えます。
ラウンダーの現場対応力は、棚替え作業の成功において重要な要素となります。店舗スタッフとの信頼関係を築きながら、柔軟かつ迅速に対応することで、売り場の最適化と販売機会の最大化を実現します。
ラウンダー活用による棚替え支援の成功事例
ある消費財メーカー様では、全国5,000店舗以上をカバーするラウンダー体制を構築していましたが、特定のドラッグストアチェーンは巡回対象外となっていました。このチェーンではチェーン独自の棚割りかつ個店ごとの棚割りも採用されており、棚割り通りの売り場になっていないことからクライアント商品の販売機会損失が懸念されていました。
この課題を解決するため、メーカーは他主要取引先と連携し、店舗ごとの棚割り変更を共同で実施することを検討しました。具体的には、ラウンダーを活用して棚替え作業を代行し、店舗スタッフの負担を軽減することで、メーカー提案の採用率を高める戦略を採用しました。
約1か月の期間で、全国約200店舗をラウンダーが棚替えを実施しました。1店舗あたり平均6時間半ほどかかる棚替え作業を外部ラウンダーにアウトソーシングしたことで、メーカー・小売側の手間を削減し、効率的に作業を進めることができました。
クライアントからは下記のお声をいただけております。
「大きなクレームもなく、イレギュラーにもフレキシブルに対応してくれて助かった。」
「事前の棚割り表と現場が食い違う場合でも店舗と調整し完了させるなど、店頭作業に長けたラウンダーが多く心強かった。」こうしたラウンダーによる棚替え支援は、小売側の負担を軽減しながら棚割りの実現率を高めることで、メーカーと小売の信頼関係を深めるほか、陳列最適化による売上向上や商品露出拡大などの効果も期待できます。
まとめ:効果的な棚替えで売上アップを目指そう
棚替えは年間計画や新商品・季節商材の投入に合わせて売り場の鮮度と視認性を高め、購買意欲を刺激する基本施策です。ただし多店舗同時実施や人手確保が課題となるため、外部ラウンダーに棚替えを委託すれば作業時間を大幅に短縮し、店舗負担を減らしつつ信頼関係を強化でき、メーカー提案の採用率や売上向上も期待できます。
棚替え実施時の人手確保でお悩みの際は、是非FMSまでご相談ください。