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コラム

業界トレンド
2017.10.16

【2017年最新版】ラウンダー業界の傾向とは?

日本では30 年以上の歴史があるラウンダービジネスですが、近年、時代の流れにともない、求められる役割が変化してきています。今回は、最近ご相談いただく内容から見て取れるラウンダー業界の傾向について解説します。

目次

大きく分けると下記の通り3段階に分かれています。

(1)300~500名で 10,000~15,000 店舗程度をカバーしている組織(ラウンド業界で大規模組織と言われています)。
(2)50~100 名で 5,000 店舗程度をカバーしている組織
(3)数名~数十名で一部エリアや業態のみをカバーしている組織

また、企業の数としては多くはありませんが、数千名規模でラウンド組織を抱えている企業もあります。そういった企業は、圧倒的な店頭カバー力と具現化力をもっており、競合が入り込む隙を与えません。

下記の業界は、数百名のラウンダーを組織化する代表的な業界です。店頭に大きなリソースを投入しており、定期巡回のラウンダーを活用した売り場管理が当たり前となっています。
・  ビール業界
・  飲料業界
・  菓子業界
・  総合調味料業界
・  製薬業界(OTC 医薬品業界)
・  化粧品業界
・  日用雑貨業界
・  トイレタリー業界
・  ペットフード 業界
・  たばこ業界
・  総合スポーツ業界
・  育児・ベビー 業界
・  小物家電業界(商材が高額になるとヘルパー(対面販売)になるのでラウンダーは不在)

かつては、ラウンダーと言えば本部商談の具現化部隊として、メンテナンスやPOP設置などの軽作業業務を行うのがメインでした。しかし、近年ではラウンダーの業務も本部商談の内容をそのまま店舗で実現するだけでなく、店舗と交渉を行うことが増えてきています。その背景として、ラウンダーによる店頭フォローが当たり前になってきていることで各メーカーの競争が激しくなってきていることや、小売側も商圏状況にあわせて店舗ごとに売り場づくりを行うようになってきていることが影響し、本部で決まったことがそのまま店舗に展開されないケースが増えてきているためです。今やラウンダーは、依頼事項をもとに、店舗ごとの状況にあわせた発注量や展開方法を考え、提案を行い、売上を作っていく部隊に変化しつつあります。

2025年には加工食品の40%がネットで買われるようになるという予測を受け、ケロッグ社(米)が長年続けてきたフィールド業務を 2017年4月から廃止に向けて取り組んでいるという記事が2017年9月1日の日経 MJ に掲載されました。 日本と米国では市場環境が異なるため、すぐに日本のフィールドも大きく変わるとは限りません。しかし、今後、日本においても「小売」や「買われ方」に変化が起きていくのは間違いないでしょう。

(1)直接雇用スタッフのアウトソース化

2013年に施行された改正労働契約法(※1)の影響もあり、直接雇用でラウンダーを組織化しているメーカー様が組織の一部、もしくは全体のアウトソース(外注)への転換を検討している傾向がみられます。

※1 参考:改正労働契約法「5年ルール」適用に向け対応をしたい

最近ご相談いただく内容は主に下記の5点です。

・小売の店舗数減少、レジや品出しなどの店舗オペレーションの自動化が将来的に進んだ場合、ラウンダー(固定費)を抱えていることに危機感がある
・ラウンダーが支店付けになっており、運営が標準化されておらず、実績が上がらない
・同業他社が直雇用ラウンダーをアウトソースに切り替えた(もしくは、専門の子会社を作った)
・ラウンダーの退職や休職による後任者のリクルートが苦戦している
・自社のラウンド組織の在り方や投資対効果について社内で見直しが入っている

アウトソース化については、外注先のマージンや事務運営費などが加算されるため、「アウトソースはコストが高くなる」と先入観で思われがちですが、実は直接雇用のラウンダー組織と比較してもコストはほとんど変わらないケースもあります。
また、組織立って人財育成や業務管理を行うことができるため、実績の向上も見込めます。

 

例:直雇用ラウンダーで運用する場合の費用シミュレーション
10,000 件の巡回を130名のラウンダー(1日5時間で15日稼働の想定)でカバーする場合の想定費用(交通費などの諸経費はアウトソースの場合も同じ費用のため除く)

図1 直接雇用スタッフで運用する場合の費用シミュレーション

 

※1 法定福利や各種手当、福利厚生費用を含めた想定金額となります。
※2 社員様の費用を月50万(基本給30万円)と想定しています。直接雇用ラウンダーで運営した場合、6名のラウンダーに対して1名の社員様(22名)が、月の30%関わると想定しての試算となります。
※3 次年度以降は、ラウンダーの15%が毎年入れ替わると想定し、リクルート費用はNo.9×0.15としています。

直雇用のラウンダーで内製化する場合、ラウンダー1名当たりにかかる費用は一見少なく見えますが、実はラウンダー管理者である社員のコスト(管理側のコスト)もプラスでかかってきています。これらは見えないコストのため、見落とされているケースが非常に多いです。上記は、6名のラウンダーに対して1名の社員が月の30%関わると想定していますが、30%の関与度でラウンダーの教育や業務管理がどの程度できるかを考えると、1店舗当たりの月の費用・見込める効果という観点で、アウトソースの方が良いと判断されるケースが増えているようです。

(2)複数メーカーコラボ巡回

以前はメーカー専任で巡回をすることがラウンダーの基本でしたが、最近では複数メーカーの業務を1人のラウンダーが実施するケースも増えてきております。ラウンダーの仕事は、店舗とのコミュニケーションが大事なので、担当店舗を持ち、店舗の方との関係性を深め、「メーカーの顔」として訪問することが重要視されてきました。 従って、他のメーカーの仕事も一緒に行うことは禁止されることがほとんどでした。しかし、最近では、1回の訪問で複数の仕事ができれば1件あたりのコストがおさえられるという考えや、各店舗担当者様との関係性がすでにできているところに自社の商品の交渉も相乗りさせたい、といった効率を重視したニーズが増えています。

(3)交渉系ラウンダーと作業系のラウンダースタッフの配置

以前は1人のラウンダーが交渉から品出しや陳列などの作業までを行うことが多かったのですが、最近では費用対効果を高めるために、交渉系と作業系のラウンダーを別々に配置する体制がみられます。

ラウンダー業務は、「交渉業務」と「作業業務」に大別されます。ラウンダー巡回による効果(売上拡大など)に影響をするのは「交渉が決められるかどうか」ですが、店頭活動で多くの時間を要するのは交渉成立後の品出しや陳列、調査などの「作業業務」です。そこで、時間を要する作業業務を切り分け、交渉を成立させるための提案・交渉スキルを持ったラウンダーを交渉業務専任とすることで、作業業務のボリュームに関わらず、効率的に多くの店舗を巡回することが可能になります。作業業務は、提案・交渉スキルまでは必要としない、コミュニケーション能力が高いラウンダーを活用することで、コストも抑えられ、ラウンダー組織全体の費用対効果を高めることができるという考えがあります。

さらに、(2)の複数メーカーコラボ巡回との組み合わせることで更に効率を上げることも可能です。複数メーカーの作業業務を同じ作業系ラウンダーが担当するというイメージです。

 

「買い場」としてネットの存在感が増しているものの、まだまだ店頭の売上は高く、ラウンダーは必要な存在です。さらに、システムの発達(※4)やIDPOSなどの購買データの活用により、店頭における販売戦略はさらに高度化していくため、ラウンダーに求められる役割は今後さらにレベルアップしていくことでしょう。

(※4)店頭の棚の写真をもとに店頭状況をデータ化できるシステム等