信頼関係の構築で提案を了承に導くペーシング~3つの心理テクニック~

店舗担当者様に提案を受け入れてもらうには、信頼関係が必要です。信頼関係を築くのは簡単ではありませんが、実は信頼関係を構築するために効果的な方法があります。カウンセリングやコーチングでも使われる “ペーシング”という心理テクニックです。ペーシングを活用し、店舗担当者様に提案を受け入れてもらえるための信頼関係を深めていきましょう。
1.人は似ている人を好きになる
イギリスで最も古いタブロイド紙のDailyMailは、上司と同じような服装にすると出世しやすくなると報道しました。これは、同じ態度の人には好意を抱きやすいという”態度の類似性”と呼ばれる心理傾向が影響しているのです。
店舗担当者様と信頼関係を築くためのヒントになるのが、自分と似ている人を好きになる“態度の類似性”です。
2.信頼性を深める ペーシングとは
人は自分と異なるものに対して違和感を抱くので、相手に合わせたコミュニケーションをとる必要があります。
相手のペースに自分のペースを合わせることをペーシングといいます。意識的に店舗担当者様とペースを合わせることで、信頼関係を築くことができるのです。
3.ペーシングの3つの心理テクニック
ペーシングを行うための3つの心理テクニックをご紹介します。
ミラーリング:外的表現を合わせること
チューニング:感情や気分などを合わせること
マッチング:話し方を合わせること
ミラーリング
相手とボディランゲージ(仕草や態度)を合わせると、態度の類似性が働き、好感をもたれます。相手と同じ動作や仕草でリズムを合わせましょう。
【具体例】
相手が資料を見たら自分も資料を見る
相手がお茶を飲んだら自分もお茶を飲む
相手とボディランゲージを合わせることが重要ですが、あまり大げさにミラーリングをすると、逆に不快感を与えることになります。さりげなく相手の動きに合わせるのがコツです。
チューニング
チューニングとは、感情や気分の状態、フィーリング、思考方法やムードといった心の周波数を合わせることです。簡単な方法としては、相手がポジティブな話をしている時には、笑顔で対応し、ネガティブな話をしている時には、困った顔・気の毒な顔で対応することです。また、怒っている人に冷静に対応してはいけません。相応に慌てて、感情のレベルを合わせることが重要です。
具体的な会話例で見ていきましょう。
店舗担当者様 「この前発注した商品が届いていないじゃないか!」 (相手のテンション90℃)ラウンダー 「はい、承知しました。調べてみます。」 (相手をなだめようとしてテンション30℃で応対) ⇒相手とのテンション・感情レベルに差があります。相手の感情にあわせ、以下のように応対しましょう。ラウンダー 「えっ、それはおかしいですね。大変申し訳ございません。大至急調べてご連絡します!」 (相手のテンションに合わせて90℃で応対) |
マッチング
マッチングとは相手と話し方を合わせるペーシング方法です。
相手の話し方のスピード、高低、口調に合わせることがポイントです。子供に話をするとき、「どうちたんでちゅか?」というように、子供の用語を使ってゆっくり喋ることはマッチングの典型例です。相手がゆっくり話す場合は、こちらもゆっくりと話し、声のトーンが高いときはこちらも高い声で話をするようにします。
また、相手が発した言葉と同じ言葉を繰り返した方がマッチングの効果は高まります。
【具体例】
×「今日は寒いですね」→「そうですね」
○「今日は寒いですね」→「えぇ、今日は本当に寒いですね」
商談に際し、自分の「受注をとりたい、数字を上げたい」という気持ちと、店舗担当者様の「納得して物を買いたい」という気持ちの間にはギャップがあります。これがペーシングの妨げになります。まず、自分の思いは引っ込めて、一途にペーシングにより好感を持ってもらえるように心がけましょう。数字は後からついてきます。
4.その他のペーシングのポイント
それ以外に下記の項目もペーシングの重要なポイントです。
・視線を軽く合わせる
・同じ速さ、同じトーンで話す
・相手の話を途中でさえぎらない
・相手の言葉をオウム返しに繰り返す
以上のように、ペーシングを利用することで、好感度がアップし、信頼関係を構築することができます。
これまで全6回のコラムで店舗担当者様に好意を持ってもらい、良好な関係を築くためのテクニックをご紹介してきました。
第一回 繰り返しの面談が好意を生む!良好なコミュニケーションの築き方
第二回 店舗担当者に良い印象を持ってもらうには第一印象が重要
第三回 店舗担当者様に好印象を与える!プラス思考になるための思考転換テクニック
第四回 情報と信頼を獲得する!「質問力」をアップさせるには
第五回 店舗担当者様に「もっと話したい」と思わせる!アクティブ・リスニングをマスターしよう
次回からは、商談の決定率をあげるためにセールストークで使えるテクニックをご紹介します!