量販店でも、VMD！あなたの売り場は” 買い場 ”になる！
量販店の店頭でも聞かれるようになった売場作りの基本、「VMD」。
「売り場を装飾すること」、これもたしかにVMDに違いありませんが、売上が出なければ結局だたの飾りでしかありません。
あるメーカーは、VMDによって売上を3倍に伸ばしたと言います。
このメーカーが行ったこととは、いったい何だったのでしょうか？
１．VMD（ビジュアルマーチャンダイジング）とは？
現代のエジソン、Appleの創設者スティーヴ・ジョブスは、iPhoneやMacなど商品の革新性にこだわるだけでなく、売り場デザインに関しても深く携わっていました。
アップル・ストア店内にそびえるガラス製の階段、売り場に並ぶシックな木製テーブル、その上には商品を規則的に並べるための展示台など、その多くに特許が認められていることはあまり知られていません。彼が商品だけでなく、売り場にまで強いこだわりを持っていたことは、ディスプレイや陳列が、セールスに大きく影響することを知っていたからなのかもしれません。
アップル・ストアのような特別な店舗でなくても、売り場が販売成績に影響することは珍しくありません。
家庭用の芳香剤を扱うある国内メーカーは、量販店の展示コーナーを改善することで、売上を3倍に増やすことに成功しました。
売り場が、お客様のための”買い場”へと変わり、売上も実に3倍になったその展示方法には、様々なアイデアが詰め込まれていました。その展示をブランド名を伏せた上でイラストにしたものがこちらです。
この展示で最も重視されていたのが「お客様の目線を誘導する」ということです。
「ＶＭＤ（Visual MerchanDising：ビジュアルマーチャンダイジング）」の目的である、「視覚で商品を売り込む」ために意識されたのが、
①ＶＰ（ビジュアル・プレゼンテーション）：「気付かせ、興味を持たせる」
②ＰＰ（ポイント・プレゼンテーション）： 「足を止めさせる」
③ＩＰ（アイテム・プレゼンテーション）： 「手に取らせる」
という、3つのポイントでした。
２．ＶＭＤの基本！ＶＰ・ＰＰ・ＩＰとは？
①「気付かせる」ワザ：ＶＰ（ビジュアル・プレゼンテーション）
VPと呼ばれる展示の目的は、商品陳列とは別に大きく大胆な展示スペースを設け、売り場から離れたお客様に気付いてもらうことにあります。
もちろん気付いてもらえば良いという訳ではなく、「もっと商品を近くで見てみたい！」という興味を起こさせるものでなければなりません。
量販店の場合、スペースに限界があり、「気付かせる」ためだけにスペースを設けることが難しいこともしばしばです。
この芳香剤メーカーの場合、売り場コーナー自体に大胆な装飾を施し、次に説明するPPに、VPの役割をも持たせる工夫が行われていました。
②「足を止めさせる」ワザ：ＰＰ（ポイント・プレゼンテーション）
売り場に気付いてくれたとしても、そこに来てもらえなければ意味がありません。
PPの役割は、商品がある場所まで誘導し、その前で足を止めさせることです。
芳香剤の売り場コーナーでは、展示台の中央に商品サンプルを余裕を持たせてディスプレイし、周囲を黒いモール（装飾品）で囲むことによって、周囲から浮き立たせる工夫が行われました。
陳列スペースにあえて商品を置かない「ネガティブスペース」を活用した手法によって、遠くからも目立つVPの役割と、近くにきて思わず立ち止まってしまうPPの2つの役割が持たされていたのが、量販店という売り場特性を考え抜いたこのコーナーの特徴でした。
③「手に取らせる」ワザ：ＩＰ（アイテム・プレゼンテーション）
VPによって商品に気付き、PPで商品の前で立ち止まったお客様に望む次のアクションは、目の前の商品を手に取ってもらうことです。
IPは、「アイテム」という文字通り、商品自体の陳列を指しますが、ただ並べるだけでは意味がなく、必ずPPの目線の先に陳列したり、芳香剤メーカーが行ったように、色やサイズなどの規則性を持たせて並べるなどの様々な陳列手法を用いることで、商品をより魅力的に見せ、思わず手にとってしまうよう工夫することが必要です。
売上が3倍にも伸びることは稀だとしても、ちょっとした工夫で商品が1つでも多く購入してもらえるのであれば、やってみない手はありません。
次回以降、VP、PP、IPはVMDの基礎で、具体的な手法を紹介していきます。それらは間違いなく、あなたの売り場、売上にプラスの効果をもたらしてくれるはずです。
次回は「売上が１６０％もアップ！魅せる売り場の秘密は、サンカク（△）にあった！」について解説します。
