成功事例から学ぶ。ラウンダーを外注する前に知っておくべき3つの検討要素(後編)

前回は、お取引先様からヒアリングした内容を基に、外部委託を決める際の判断基準について解説しました。
今回は、実際に外注することを決められたメーカー様の事例をご紹介します。
1.外注に踏み切るパターンと成功事例
弊社に外注を決められたメーカー様には下記の3パターンがあります。
1.内製化していた事業を委託する場合
2.新規事業を委託する場合
3.別会社にて運営していた事業を委託する場合
この中の1、2に関する事例を4つ紹介します。
1.直雇用スタッフを雇い止めして外部委託に変更
全国で70名ほどの直接雇用スタッフ(有期契約)が病院巡回を行っていたが、スタッフの早期離脱と属人的な知識により、見えないコストが増えていることに課題がありました。
最大の懸念点は、「培ってきたノウハウを再現できるか?」でした。
「属人的になっていたスタッフの業務を可視化・最適化し、全体の業務フロー設計をFMSが支援することで、総人件費の削減が実現できる」ことを理由に外注することが決まりました。大きな業務改革だったため、まずは一部のエリアのみで試験的に導入しました。その結果、再現可能なノウハウだと認められ、翌年に全国展開しました。
2.既存の直雇用組織とは別に新企画を外部委託でスタート
全国で既に250名以上の直接雇用(有期契約)スタッフでラウンド組織を展開しているメーカーが、新しい業態で売上の柱を構築するため、ゼロベースで組織化を検討。
メーカー内では、既存の組織を増強するか、外注によるメリットを求めるかで意見が分かれましたが、「外部のノウハウを活かすことでスピードを速め、クオリティーを高められる」ことを理由に外注することが決まりました。
3.分業できる業務を外部委託でスタート
年収が非常に高い有資格者が営業活動を行う業界の業務改革例です。
営業活動の業務フローを細分化し、有資格者の社員でなければ対応できない業務と無資格専任スタッフで対応できる業務に「分業化」しました。
業界でも初の試みだったため、まずは数名の人財派遣スタッフにてパイロット展開した後、業務委託による専任スタッフの全国組織を構築することが決定されました。
4.新しい販促手法を外部委託でスタート
ある業界の最大手企業が、初の試みとして対面プロモーションの大型販促キャンペーンを企画。
抜群の知名度があるものの、対面プロモーション企画のノウハウがなかったため、専門会社への外部委託を検討されていました。
当初は直雇用スタッフだけで実施する案も浮上しましたが、「ノウハウ不足により組織化にいたるまでのスピードが間に合わない」ことを理由に外注することが決まりました。
長年にわたって培われた販促手法の大改革だったため、組織立ち上げ時はクライアント企業から多数の社員による支援体制が敷かれましたが、ほどなく業務フローが安定化してその支援も必要なくなり、全国一元の事務局だけで運営できるようにスリム化されました。
現在、実施店舗ごとの投資対効果(ROI)をモニタリングできる仕組みを構築し、そのデータを基に最適な資源配分を助言、実行しています。
2.外注と比べるべきなのは「ノウハウ」「時間」「社員の見えないコスト」
直雇用と外注どちらで行うにせよ、目的達成に向けた「ノウハウの有無」「時間の有無」「社員の見えないコスト」に対して、貴社の検証が充分であれば、成功の確率が飛躍的に高まります。
これは一般論ですが、メーカー社員の人件費を基準に見えないコストを試算して、外注で同じ業務を行う場合の事務局運用費用と比べると、外注費用の方が圧倒的に安価になることが多いようです。
また、期間限定のイベントや、経験が少なく結果が読めないプロジェクトの場合、外注によって変動費化しておくと、終了時(あるいは撤退時)に残された固定費に悩む必要がなくなります。
外注先である専門会社のFMSがおすすめするのも変ですが、これらの視点が全て明確であり、社内で実行可能ならば、外注に踏み切らず直接雇用で目的を達成することができるはずです。
図2:
今回は「直接雇用か外注か」という内容でお送りいたしましたが、この他にも留意すべき検討要素はたくさんあります。
例えば、ラウンダー(フィールドスタッフ)の契約は、直接雇用(正社員や有期雇用など)、派遣契約、業務委託契約という複数の選択肢があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
次回以降も引き続き、このような有益な情報を提供していこうと考えています。
是非、貴社の業務改革にお役立てください。