店頭販促とは?基本の考え方や目的、販促効果を最大化する手法を解説
実店舗での売上向上を目指す企業様にとって、店頭販促は欠かせない戦略です。しかし、効果的な販促活動を展開するには、正しい知識と適切な手法の選択が不可欠です。
この記事では、店頭販促の基本的な考え方や目的、そして効果を最大化するための具体的な手法について詳しく解説します。
さらに、ラウンダーの活用による販促効果の最大化についても触れ、より効果的な店頭販促戦略の構築方法をご紹介します。
店頭販促とは
店頭販促は、実店舗において顧客の購買意欲を刺激し、売上増加を目指す販促活動です。具体的には、商品やサービスの魅力を効果的に伝え、来店客の購入を促すためのさまざまな取り組みを指します。
店頭では、POPやデジタルサイネージ、ポスター、のぼり旗などの視覚的なツールを活用し、商品の特徴や価格、キャンペーン情報などを分かりやすく訴求します。また、試食や実演販売、サンプリングなどの体験型プロモーションも、店頭販促の重要な要素です。
店頭販促の特徴は、顧客が実際に商品を目にし、手に取れる環境で行われることです。このため、商品の魅力を直接的に伝えやすく、購買の意思決定に大きな影響を与えることができます。
店頭販促の意義
店頭販促の最大の目的は、売上の向上です。店頭に来た顧客の目を引き、購買意欲を喚起することで、計画購買だけでなく衝動買いも促進します。店頭販促によって商品の存在感を高め、他社商品との差別化を図ることは、ブランディングの観点からも重要な意味を持ちます。
また、店頭販促は顧客との直接的なコミュニケーションの機会でもあります。POPやデモンストレーションなどを通じて商品の魅力を伝え、顧客の反応を見ることで、ニーズの把握やマーケティングに役立てることができます。
さらに、リピーターの獲得や売上の安定化にも店頭販促は貢献します。魅力的な売場づくりや販促ツールの工夫によって店舗の印象を向上させ、「また来たい」と思わせることが、継続的な来店と購入につながるのです。
店頭販促の目的とは?
店頭販促を行う目的は大きく次の3つに分けられます。これらの目的を達成することで、売上の拡大を図ることができるのです。
・集客アップ
・購入率のアップ
・客単価アップ
以降では、それぞれについて説明します。
集客アップ
店頭販促の第一の目的は、店舗への集客を増やすことです。魅力的なPOPやのぼり旗、ウィンドウディスプレイなどを用いて、通行中の人々の目を引き、興味を喚起することで、店内への誘導を図ります。
また、セールやキャンペーンの告知を効果的に行うことも重要です。これらの情報を大きく掲示することで、お得な商品を求める顧客を引き付けることができます。
集客アップの施策は、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客を作り出す効果もあります。定期的に新しい商品を紹介することで、顧客の興味を持続させることができ、繰り返しの来店を実現することができるのです。
購入率のアップ
店頭販促の第二の目的は、購入率のアップです。購入率のアップとは、来店した顧客が実際に商品を購入する割合を高めることを指します。商品の魅力や価値を効果的に伝えるPOPや、手に取りやすい陳列方法、デモンストレーション等の体験を通じて、購買意欲を喚起します。
効果的な店内レイアウトは、顧客の動線を考慮し、商品を見やすく、手に取りやすい位置に配置することから始まります。例えば、人気商品や目玉商品を入口付近や通路の突き当たり、エンド売り場に置くことで顧客の関心を引き、購買意欲を刺激します。
また、商品の特徴や利点を分かりやすく伝えるPOPの活用も、購入率アップに効果的です。価格や機能だけでなく、その商品を使用することで得られるメリットなどを具体的に示すことで、顧客の購買決定を後押しします。
商品の使い方や効果を直接顧客に示すデモンストレーションや、無料で試すことができるサンプリングは、購入率を大きく高める手法です。特に、新商品や高価格帯の商品に対しては、実際に試してもらうことで、顧客の信頼感と購買意欲を高める効果があります。
客単価アップ
店頭販促の第三の目的は、1人当たりの購入金額、つまり客単価を上げることです。関連商品の提案や、まとめ買いを促すキャンペーン、高単価商品の訴求などを行うことで、顧客の購買意欲を高め、買い上げ点数や金額の増加を図ります。
この目的を達成するには、クロスセルやアップセルの手法が効果的です。クロスセルは、顧客が購入を検討している商品に関連する商品を提案することです。例えば、パンを購入する顧客にジャムを勧めたり、シャンプーを選ぶ顧客にコンディショナーをセットで提案したりします。
これらの関連商品を適切に陳列(クロスマーチャンダイジング)し、セット購入のメリットを明確に示すPOPを活用することで、顧客の購買意欲を刺激し、結果として客単価を上げることができます。
一方、アップセルは、顧客により高価格帯の商品を提案する手法です。例えば、基本モデルの電化製品を検討している顧客に、より高機能な上位モデルの利点を説明し、価格差以上の価値があることを伝えます。この際、商品の比較表や使用シーンを具体的に示すPOPを活用することで、顧客の理解を深め、高額商品への移行を促すことができます。
また、期間限定の特別セットや、数量限定の特典付き商品などを用意することも、客単価アップに効果的です。これらの商品を目立つ位置に陳列し、魅力的なPOPで訴求することで、顧客の購買意欲を高め、より高額な買い物につなげることができるのです。
代表的な店頭販促の種類
店頭販促にはさまざまな手法がありますが、その中でも代表的なものとして以下の6つがあります。それぞれの特徴を理解し、商品や店舗の特性に合わせて効果的に活用しましょう。
・POP広告
・陳列(ディスプレイ)
・販促什器
・デジタルサイネージ
・デモンストレーション
・サンプル配布
以下では、それぞれの種類について解説します。
POP広告
POP広告は、Point of Purchase(購買時点)広告の略称で、店頭での購買を促進するための重要なツールです。具体的には、プライスカードや「New」などのステッカー、シェルフトーカー、ポスター、トップボードなどがあげられます。これらは主に商品の近くに配置され、顧客の注目を集めて購買意欲を刺激する役割を果たします。
効果的なPOP広告は、商品の特徴や価値を簡潔かつ魅力的に伝えることができます。例えば、「30%オフ」といった割引を強調するポップを配置することで、顧客の目を引き、「買ってみようかな」という気持ちを喚起することができます。
以下の記事でもPOP広告について解説していますので是非ご参考になさってください。
ついつい手が伸びてしまう売り場の条件!4種のPOPで、「買い場」になる!
陳列(ディスプレイ)
陳列(ディスプレイ)は、商品を魅力的に見せるための重要な販促手法です。魅力的な売り場を作るための陳列手法は多数ありますが、ここでは代表的なグルーピング(くくり)、フェイシング、シーズナルディスプレイの手法をご紹介します。
グルーピング(くくり)とは、商品を種類や色、スタイルなどでグループ分けして陳列する方法です。同じカテゴリや関連する商品をまとめて配置することで、顧客が商品を見つけやすくなり、ついで買いを促進する効果があります。具体的には「水平くくり」、「垂直くくり」、「ブロックくくり」の3つの種類があります。
フェイシングとは、「フェイス」、つまり商品パッケージの正面を揃えて配置する方法です。フェイシングによって、商品のパッケージデザインやブランド名が顧客の目に入りやすくなり、視覚的なインパクトが強まります。
シーズナルディスプレイは、季節やイベントに合わせたディスプレイ手法です。クリスマスやバレンタインデー、ハロウィンなどの季節ごとのテーマに合わせた装飾や陳列を行うことで、季節感を演出し、顧客の購買意欲を高めます。
以下の記事でも陳列・ディスプレイ手法を多数ご紹介していますので、是非ご参考になさってください。
売れる陳列を実現する6つの陳列テクニックとは?売れるディスプレイのコツも解説
売り場規模を問わず応用可能!短時間でできるエンド陳列の手順とコツ
これらの手法を適切に組み合わせることで、顧客にとって見やすく、選びやすい売り場を作り出し、購買につなげることができます。
販促什器
什器は、量販店で日常的に使用される用具を指します。ラックや棚、ワゴンなどの基本的な什器に加え、メーカーが自社商品を展示するために制作する販促什器を活用することで、商品の魅力を最大限に引き出し、販促効果を高めることが可能です。
具体的にはカウンター什器、ハンガー什器(吊り下げ什器)、フロア什器などがあります。
メーカーが用意するこれらの販促什器は、特定の商品やブランドに特化したデザインや機能を持っており、商品を効果的にアピールできます。また、これらの什器を適切に活用することで、店舗の売り場スペースには限りがある中でも、既存の売り場以外の場所にも商品を陳列することができ、商品の魅力を最大限に引き出すことができます。顧客の目に留まりやすくなることで、購買意欲を高める効果も期待できます。
デジタルサイネージ
デジタルサイネージは電子看板のことで、ディスプレイやタブレットなどを利用して、商品をプロモーションするための映像を表示する電子機器です。紙のPOP広告やポスターと異なり、どこにでも設置できるわけではありませんが、映像で商品のポイントを見せられるため、訴求力が高い点が魅力といえます。シーズンものやCM連動の商品の販促に効果的で、来店客の目や耳に留まり、商品の特徴を伝えやすいというメリットがあります。
デモンストレーション
デモンストレーションは、試食や実演販売など、店内で商品の使い方や特徴を紹介し、商品の魅力を体験してもらう販促手法です。
この手法は、特に新商品や機能が豊富な商品、高価格帯の商品において効果的です。デモンストレーションを通じて、顧客は商品の魅力や価値を実感することができ、購買意欲を高めることができます。
サンプル配布(サンプリング)
サンプル配布は、商品の試供品を無料で提供する販促活動です。顧客に商品を実際に試してもらうことで、購入へのハードルを下げることができます。
特に新商品の導入時や、ブランドの認知度向上を目的とする場合に有効です。サンプルの配布は、口コミの促進にもつながり、商品の魅力を広く伝える効果が期待できます。
店舗販促を成功に導くポイント
店舗販促を効果的に実施し、成功へと導くためには、以下のポイントを押さえることが不可欠です。これらのポイントを意識して施策を展開することで、顧客の購買意欲を高め、売上向上につなげることができます。
・顧客の動線を考慮する
・魅力的なデザインと内容
・効果測定を欠かさない
以下では、店舗販促を成功させるための主要なポイントについて詳しく解説していきます。
顧客の動線を考慮する
店舗販促を成功させるには、顧客の動線を意識することが非常に重要です。顧客がどのように店舗内を移動するかを考慮し、その動線に沿って目立つ場所に商品やプロモーションを配置します。
顧客の購買体験を具体的に想定することで、商品の配置や販促物の選択も自然と効果的なものを選べるようになります。例えば、顧客が足を止めるポイントに合わせて効果的な販促を置くことができれば、その効果をより高められるでしょう。
一般的な量販店における売り場の名称や特徴は記事「売り場作りのコツとは?各売り場の特徴やメーカーが行うべきポイントをご紹介」でも解説しています。
魅力的なデザインと内容
店頭販促ツールのデザインと内容は、顧客の興味を引き付け、購買意欲を喚起する上で非常に重要な要素です。ターゲットとなる顧客層に合わせたデザインを採用し、商品の魅力を分かりやすく伝えることが求められます。
まず視覚的に魅力的であることが重要です。色彩や装飾などを工夫することで、商品の魅力を最大限に引き出すことができます。例えば、シーズンごとのテーマに合わせたディスプレイを作成することで、季節感を演出し、顧客の興味を引くことができます。また、ブランドイメージに沿ったデザインを取り入れることで、統一感を持たせ、顧客に強い印象を与えることができます。
さらに、プロモーションやキャンペーンのメッセージは、シンプルでわかりやすく伝えることが大切です。POP広告やデジタルサイネージなどのツールを活用して、商品の特徴やメリット、期間限定のオファーなどを明確に伝えることで、顧客に対して具体的な購買動機を提供します。視覚的な要素と明確なメッセージを組み合わせることで、店頭販促の効果を最大化することが可能です。
効果測定を欠かさない
店頭販促の効果を最大化するためには、施策の効果測定を欠かさないことが重要です。販促ツールを導入する前後の売上データを比較し、その効果を定量的に分析します。どのプロモーションが最も効果的だったか、どのエリアで顧客の反応が良かったかを把握し、それを基に改善点を特定します。定期的に分析を行い、販促活動を継続的に最適化していくことが求められます。
ラウンダーの活用で店頭販促効果を最大化
ここまで各店頭販促手法の特徴や店頭販促を成功に導くポイントを紹介しましたが、店頭販促の効果を最大化させるにはラウンダーの活用がおすすめです。
ラウンダーとは、メーカーの営業担当者に代わって店頭を定期的に巡回訪問し、店舗内で商品陳列や補充、販促ツールの設置・管理を行う専門スタッフのことです。
ラウンダーを活用することで、店頭販促にどのようなメリットがもたらされるかを紹介します。
商品の適切な陳列と補充ができる
ラウンダーは、店舗内の商品陳列や補充を定期的に行います。これにより、常に整然とした商品棚が維持され、顧客が商品を見つけやすくなります。また、在庫の確認と補充を適時に行うことで、欠品を防ぎ、売上機会の損失を最小限に抑えることができます。
販促ツールの設置と管理ができる
ラウンダーはPOP広告などの販促ツールを適切な場所に確実に設置し、定期的に管理することが可能です。これにより、販促ツールが常に効果的に機能し、顧客の購買意欲を高めることができます。
販促ツールを店舗に送り込んだが、実際の売り場に設置されていなかったというケースは多数報告されています。ラウンダーがいることで、販促ツールが確実に設置され、販促効果が発揮されるのです。
売上データや店舗からの声が収集できる
ラウンダーは、各店舗のPOSデータや他社を含む売れ行き情報、店舗担当者の声などを収集し、フィードバックすることができます。これらの情報をもとに、販促活動の効果を評価し、さらに効果的な戦略を立案することが可能です。
ラウンダーを活用した店頭販促の成功例
ラウンダーを活用したことで店頭販促を成功させることができた事例を2つ紹介します。
ヘアケアメーカー様の事例
■導入の目的
全国展開のドラッグストアチェーンにてアウト展開の本部企画が決定。期間内に全国の対象店舗で売り場づくり・販促物設置を行う必要があるため、当社にてスポットラウンダーを導入。
■実施内容
対象店舗にラウンダーが訪問し、本部企画の実施状況を確認。未展開の場合はその場で展開交渉と売り場づくりを実施し、本部企画を店頭で具現化。
■成果
①本部企画の具現化率が6.5ポイントアップ
ラウンダー訪問前の展開実施率は63.5%だったが、ラウンダーによる個店交渉の結果、訪問後のアウト展開実施率を70.0%まで伸すことができた。
②巡回後の納品実績の伸びを巡回店舗と非巡回店舗で比較。巡回店舗が16ポイント上回る
活動実施から3か月間、スポットラウンダーの巡回した店舗と非巡回店舗にて対象商品の納品実績の伸び率を比較。実施から3か月後には、非巡回店舗では107%、巡回店舗では123%とプラス16ポイントとなり、スポットラウンダー巡回の効果を実感していただけた。
加工食品メーカー様の事例
■導入の目的
クライアント商品と青果商品とのレシピ提案を行うクロスMD(関連陳列)企画を立案。スーパーマーケット本部と商談を進める中、その企画を店頭で実現するための人的リソースが必要となり、スポットラウンダーを導入。
■実施内容
対象店舗にラウンダーが訪問し、クライアント商品である加工食品を青果売り場にクロスMD展開し、販促物を設置(クロスMDを実現するには、自カテゴリの売り場担当者のほかに、展開先の売り場担当者へも展開許可をいただくことが必要)
■成果
①クロスMD実施率は90%越え
スーパーマーケット3社の各対象店舗で実施をしたところ、全体の92%でクロスMD展開を実施することができた
②企画実施後、売上が2倍になった企業も
スーパーマーケット3社のうち1社では企画を実施した店舗では昨年比で約2倍の売上増加を達成。一方、企画を実施していない店舗では売上が昨年と変わらず、実施した店舗と実施していない店舗の間に顕著な差が見られた。
まとめ
店頭販促は、実店舗の売上向上に不可欠な戦略です。効果的な販促活動を展開するには、各店頭販促手法の理解と選択が重要です。また、顧客の動線を考慮した配置や魅力的なデザイン、定期的な効果測定販促活動を最適化することが求められます。
さらに、ラウンダーの活用は販促活動の強力な支援となります。ラウンダーは商品の陳列や補充、販促ツールの設置・管理、データ収集と分析を通じて、常に効果的な販促活動をサポートします。これにより、販促ツールが確実に設置され、適切に管理されるため、販促効果が一層高まります。
店頭販促とラウンダーの活用を組み合わせることで、店舗販促の効果を最大化し、売上の向上を実現することができます。
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Q店頭販促とは何ですか?
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A
店頭販促とは、実店舗で顧客の購買意欲を高め、売上を増加させるための販促活動です。POP広告やデジタルサイネージ、試食や実演販売など、さまざまな手法を活用して、顧客に商品やサービスの魅力を伝えることを目的としています。
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Q店頭販促の主な目的は何ですか?
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A
店頭販促の主な目的は、①店舗への集客アップ、②購入率アップ、③客単価アップの3つです。これにより売上を拡大し、顧客の購買体験を向上させることができます。
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Q店頭販促の代表的な種類は何ですか?
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A
店頭販促の代表的な種類には、POP広告、陳列(ディスプレイ)、販促什器、デジタルサイネージ、デモンストレーション、サンプル配布があります。それぞれ異なる方法で顧客の購買意欲を刺激します。
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Q店頭販促を成功させるための重要なポイントは何ですか?
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A
店頭販促を成功させるためには、①顧客の動線を考慮した配置、②魅力的なデザインと内容、③定期的な効果測定が重要です。これらを組み合わせることで、顧客の購買意欲を最大限に引き出し、売上を向上させることができます。