売れる売り場・売れない売り場の違いは?VMDを評価する「店舗診断」を活用しよう【チェックシートダウンロード付き】

売れる売り場と売れない売り場の違いがよくわからない、といった声をよく聞きますが、もしそのような課題をお持ちであれば、それぞれの売り場状況がどのように違うか、チェックすることをおすすめします。
そこで今回は、売り場のVMDの成功ポイントや課題を認識し、陳列方法の改善に活用できる店舗診断について解説します。
1.店舗診断の目的は売り場の状況を客観的に評価すること
お客様に商品を購入していただくには、最終的に商品を手に取ってもらうことが必要なので、売り場でいかにその商品にお客様を引き付けられるかが重要となります。これがVMDの基本であり、目的です。
たとえば、
・お客様に商品の陳列に気づいてもらえる売り場であるか
・歩いているお客様に、商品のある場所で立ち止まってもらえるか
・商品を手にとってもらえるような魅力的なアピールが行われているか
といったポイントによって、商品の売上には大きな差がでてくるでしょう。
(参考記事:量販店でも、VMD!あなたの売り場は、” 買い場 ”になる!)
売れている売り場では、お客様に商品を手に取ってもらうためのVMDのポイントが押さえられています。しかし、思ったように売上が伸びていない売り場では、実践されていないポイントが存在する可能性も高いです。
店舗診断を行うことで「売り場状況を可視化し、客観的に評価すること」ができます。売り場ごとの状況の違いを可視化することで、売れている売り場と売れていない売り場の差分が明らかになり、成功の横展開や課題の改善も容易になります。
2.店舗診断のポイントは「定量化した数値」と「売り場写真」
店舗診断は、VP、PP、IP、POPなどの項目ごとにチェックポイントを作成し、採点していきます。VMDが適切に行われているかを数値化することで、客観的に売り場の優れている点、改善点を評価することができます。また他店舗との比較も容易になるでしょう。
ここでVP、PP、IPについておさらいをしましょう。
■VPとは
売り場から離れたお客様に気付いてもらうためのディスプレイです。店舗全体におけるVPは一般的に入口付近やショーウィンドウのディスプレイを指します(VPがない売り場もあります)。
※陳列棚のみをチェックする場合、VPはありません。
■PPとは
商品がある場所まで誘導し、その前で足を止めさせるためのディスプレイです。売り場内に陳列されている商品からピックアップし、その商品の使用シーンが連想されるようなディスプレイのことを指します。
※陳列棚のみをチェックする場合、棚上部にある商品を連想させるようなディスプレイがそれにあたります。
■IPとは
商品自体の陳列のことを指します。
今回は、基本的な以下の項目が診断できるチェックシートをご用意しました。
・VP
・PP
・IP
・売り場の見通しの良さ
・POPの内容
・POPの配置
店舗診断の際には各項目を数値化するだけでなく、写真撮影も行っておきましょう。そうすることで、来店客の目線から売り場を客観的に判断することができ、店舗診断の結果を関係者内で共有する際にも役立ちます。
撮影のポイントは、来店されているお客様の目線に立って、導線を意識することです。遠目で自社商品の売り場がどのように見えるか、近くを通ってどのように見えるかといった視点から撮影を行います。
撮影しておくべき店舗写真は以下の5種類です。
①遠距離から見たVP・・・売り場から離れた主通路などからVP全体を撮影します。
②近距離から見たVP・・・対象のVPをアップで撮影します。これはVPのつくりを詳細に確認するためです。使われている展示用品や装飾用品の詳細までわかるように撮影します。
③遠距離から見たPP・IP・・・対象商品が陳列されている売り場(棚)を、主通路から見た場合と副通路から見た場合など導線を意識してひきで撮影しましょう。陳列棚1本をチェックする場合は、遠くからでも目を引く装飾がなされているかどうかという視点もあわせて確認しましょう。
図1 遠距離から見たVP
※赤枠で囲った売り場をチェック対象とする場合
④中距離から見たPP・IP・・・対象商品が陳列されている売り場(棚)全体がちょうど納まるように撮影します。
図2 中距離から見たPP・IP
⑤近距離から見たPP・IP・・・対象商品のPPとIPをそれぞれアップで撮影します。使われているPOPの詳細までわかるように撮影しましょう。
図3 近距離から見たPP
図4 近距離から見たIP
3.店舗診断の結果は今後の売り場展開に活用する
店舗診断の結果は、確認だけに終わらず、今後の売り場展開に活用していくことが大切です。評価は一定の基準で点数化されているため、VMDの効果測定はもちろん、その店舗での展開方法の強み・弱みがわかります。
店舗診断の結果で点数の高く、かつ高い売上が維持できている店舗は、好事例として他の店舗の売り場にも横展開することで、さらに効率的な販促が望めます。
また、点数の低い部分は改善を行いましょう。診断結果によって、具体的に売り場のどこを見直して商品を展開していけばよいかを明らかにすることができます。
たとえば、VP・PPの項目の点数が低かったとしましょう。
その場合には、
・ディスプレイ構成(トライアングル、リピテーション、シンメトリーなど)を使い、ディスプレイにメリハリをつける
・テーマを設定し、商品の魅力を伝える
・PPはIPと連動させる
といった改善方法をとることができます。
「VMDチェックシート」を活用していただき、貴社の売り場の改善に是非お役立てください。
『VMD店舗診断チェックシート』のダウンロードはこちら