個店交渉の決定率アップ!クロージングでつかえる3つのテクニック

店舗担当者様に承諾をいただけるように導くことをクロージングと言いますが、提案の全てがスムーズに承諾されるワケではありません。今回は、個店交渉で店舗担当者様から最終的にイエスを引き出す、クロージングでつかえる3つのテクニックをご紹介します。
1.大きな提案から始める!ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」とは、初めに大きなお願いをして、わざと相手に断らせ、その直後に本来の小さなお願いをすることで承諾に導くテクニックです。これは、相手の譲歩に対して、自分も譲歩しなければならないという心理(返報性の法則)を利用したものです。
相手に「仕方ないな」と思っていただくこと、これが『ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック』です。
【例】
①まず大きな条件を提示します。
スタッフ:「エンド1本いただけないでしょうか?」
②相手が拒否します。
店舗担当者様:「今は空いている場所がないよ。」
③小さな提案(本当の提案)をします。
スタッフ:「でしたら、隙間で使えるハンガー什器は設置してもよろしいでしょうか?」
④承諾がもらいやすくなります。
店舗担当者様:「それなら大丈夫だよ。」
上記のように条件交渉をする場面で有効です。
あまりにも突拍子のない要求をしすぎると、かえって逆効果となってしまったり、また、何が適切な量なのかが分からなかったりというデメリットもあるので、使い方には注意が必要です。
2.小さな承認から始める!フット・イン・ザ・ドア・テクニック
「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」は相手の承諾を得たいときに単純に依頼するよりも、まず小さな依頼をし、その後大きな依頼(本来の要求)をするほうが承諾を得やすくなる、という交渉テクニックです。
これは、自分の言葉や意志、態度、行動に対して一貫性を貫こうとするという「一貫性の法則」という心理を用いています。
【例】
スタッフ:「貴社は環境保全に取り組まれているようですね?」
店舗担当者様:「そうですよ。」
①小さな提案をします。
スタッフ:「当社も環境保全に取り組んでおりまして、環境保全に関する販促物をつけさせていただけないでしょうか?」
②承諾をもらう
店舗担当者様:「いいですよ。」
③次に大きなお願いをする。
スタッフ:「最近、環境にやさしい新商品が出たのですがご採用いただけないでしょうか?」
④最初の小さなお願いを承諾したのでその後の大きなお願いを断ることは「一貫性のない行動」になると感じ、承諾しやすくなる
店舗担当者様:「そうだね、いいですよ。」
このテクニックは単に小さな依頼をして承諾をもらえばいいというわけではありません。上記の例では、「環境保全」の取り組みへのプライドを刺激した後、環境保全に関わる商品の提案をしています。
3.小さなYESを積み重ねる!イエス・セット法
「イエス・セット法」は質問に「イエス」と答え続けているうちに、肯定しやすい雰囲気が芽生え、通常なら拒否することも受け入れてしまうテクニックです。これも、一貫性の原理に基づく心理テクニックだと言われ、自分が一度行った考え方や行動に固執して、同じ態度を貫こうという心理を利用しています。
単に、雑談で「イエス」と言わせれば、提案にも「イエス」と答えてくれるという単純なものではありません。一つの話の流れから、「イエス」を繰り返し発言させ、最終的に同意せざるを得なくすることがポイントです。
【例】
スタッフ:「こちらの商品、先日テレビに取り上げられてすごく売れているんですよ。」
店舗担当者様:「そうみたいですね。」
スタッフ:「御社のチェーン全体でも売れているみたいですね。」
店舗担当者様:「そうですね。」
スタッフ:「○○店でも取り扱っていただけないですか?」
店舗担当者様:「そうですね、いいですよ。」
上記の例では、イエスという言葉を引き出すように導き、イエスを繰り返させることで、商品導入にまでつなげています。
今回のクロージングのテクニックをプラスして身につけることで、ラウンダー(フィールドスタッフ)としてのセールストークのレベルが向上し、個店交渉の決定率が高まるはずです。今一度ご覧いただくと、難しいことはなく、誰にでも実施できるものばかりのはずです。
今回が、セールストーク編の最終版となります。商談決定率向上にお役に立てましたら幸いです。
第一回 提案を承諾に導く心理テクニック!店舗担当者様ファーストでの商談の進め方
第二回 説得力が43%もアップ?!説得力を高めるセールストーク6つのポイントとは?
第三回 店舗担当者様の断り文句に負けない!切り返しトークテクニック
第四回 店舗担当者様の心配や不安を取り除き商談決定率を上げるREADY法