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COLUMN
コラム

フィールド組織運営
2018.04.12

ラウンド組織のよくある5つの課題を解決!費用対効果を改善する『理想のラウンド組織』とは?

「ラウンダー活動の費用対効果が見えない」
「管理にばらつきがあり仕組み化ができていない」
「長年運営しているラウンダー組織の運営方法が、一般的なのか疑問を感じる」

上記のようなきっかけから自社のラウンダー組織の運営方法を見直しているメーカー様は少なくありません。これまで様々なメーカー様よりラウンド組織の運営に関する相談を受けてきました。その経験から分かったことは、ラウンド組織の課題は大きく5つに分類されるということです。
今回はお取引先企業様のご相談に応えてきた内容を基に、この5つの課題を解決して費用対効果の高いラウンド組織を実現する「理想のラウンダー組織」について解説します。

※ラウンダー、フィールドスタッフ、マーチャンダイザーなどメーカー様により呼称が異なりますが、本コラムでは「ラウンダー」という表現を活用させていただきます。

目次

効果の出ないラウンド組織の課題として次の5つがあげられます。ラウンダーを自社で内製化しているケースでも、アウトソーシングしているケースでも共通の課題となります。

①本部商談に関する課題
②ラウンダーの活動内容に関する課題
③運営方法(運営事務局)に関する課題
④キャスティングに関する課題
⑤ラウンダー育成に関する課題

課題①:本部商談に関する課題

ラウンド組織の効果は、本部商談の決定事項と連動しています。ラウンダーの主な役割は本部商談決定事項を店頭で具現化することです。本部商談がスムーズに決まらないと店頭における交渉をすべてラウンダーに任せてしまう形となり、結果費用対効果は下がってしまいます。なかには、ラウンダーに売上の責任を全て負わせているケースもみられますが、それは大きな間違い。現場任せでは、組織としての方針を徹底できず、店頭における具現率は下がり、費用対効果の低い活動になってしまいます。

ラウンド組織の費用対効果を高めるには「本部商談の決定率×店舗での具現化率×売上拡大に繋がる+αの活動」の最大化が必要なのです。

本部商談の決定率が上がらない要因として、主に以下の2点があげられます。

・自社商品のことだけを考えユーザー目線の企画になっていない
・机上論となってしまい現場の情報を活かせていない

 

課題②:ラウンダーの活動内容に関する課題

課題②-1:ラウンダー導入の目的が不明確

ラウンダーを活用すれば売上があがるだろうという漠然とした考えでラウンダーを導入しても、目標と活動内容がリンクしていなければ、当然ながらどれだけ活動しても目標を達成することはできません。その時々の販促企画や売り場づくりに対応するだけの場当たり的な活動になってしまうケースも多いようです。目標とリンクしていない活動は効果検証も困難なため、軌道修正ができず結局活動そのものがやりっぱなしで終わってしまいます。

 

課題③:運営方法(運営事務局)に関する課題

課題③-1:店頭活動に必要な情報・ツールがラウンダーに共有できていない

依頼事項の具現化率を高めるためには、ラウンダーに提供する情報や業務依頼の仕方がポイントとなります。ラウンダーへの業務依頼の精度は、ラウンド組織運営で最も重要であり、全ての基本となります。
PDCAサイクルを回すのもラウンダーの育成も、関わる人全員が同じ認識のもとで店頭活動を行った次に行うことです。店頭活動に必要な情報を事務局がツール化し、ラウンダーに提供することが必要です。

 

課題③-2:PDCAサイクルが回せていない

ラウンド組織が各支店や営業所毎に管理されていたり、運営担当者がラウンダーからあがってくる要望や、日々発生するトラブルの対応などに追われたりといった理由でラウンダー活動のPDCAサイクルが回せていないといった状況に陥っているケースも少なくありません。ラウンダーのパフォーマンスを最大化させるには、活動に対する効果検証をしっかり行い、その結果を次の活動につなげてラウンド組織を仕組化することが重要です。

 

課題④:キャスティングに関する課題

キャスティングとは「どの店舗を訪問するか」「どこにラウンダーを配置するか」「どんなラウンダーを採用するか」を指します。

課題④-1:訪問店舗の優先順位がつけられていない

どの店舗を訪問すればラウンダーの効果を最大化させられるのかが明確ではないため、効率的なラウンダー活動ができていないケースです。繁忙期に一斉に売り場を強化したいのにリソースが足りず、売上の最大化ができないといった問題も、実は優先順位を付けて訪問店舗を選定することで解決することも多くあります。

課題④-2:ラウンダーとしてどのような人財を採用するべきか明確ではない

経験者を採用したのに業務とのミスマッチでラウンダーが定着しないというケースです。採用時に同業界の経験値だけで採用を決めることもありますが、他メーカーで優秀なラウンダーだからといって自社組織でも活躍できるとは限りません。

 

課題⑤:ラウンダー育成に関する課題

課題⑤-1:スキルの標準化ができていない

新人ラウンダーが受け持つ店舗では依頼事項の具現化率が低いというケースをよく聞きます。依頼事項の具現化率を高めるためにも、ラウンダーのスキルを一定基準に保つことは重要課題といえます。しかし、メーカー様社内で研修に割けるリソースが無い、もしくは、画一的な研修を実施して終わっているケースもあります。研修を実施することがゴールになってしまっていて、目標達成のために何が課題で、そのための必要なスキルを習得できたのか、といった確認が疎かになっています。

課題⑤-2:ラウンダーのモチベーションが低い

長年業務を行っているベテランラウンダーのモチベーションの維持・向上に課題を抱えているメーカー様は少なくありません。モチベーションを上げる1つの要素に金額面の報酬がありますが、それだけに頼りすぎると常に報酬を上げ続けなければならなくなり、利益圧迫にもつながりかねません。また、報酬は公平な評価ができないと、一部のラウンダーに不平不満を引き起こし、逆にモチベーションを下げる要因にもなってしまいます。

更に、モチベーションを上げることだけに着目しがちですが、下がる場合は理由があります。

ラウンド組織によくある5つの課題に着目し、1つずつ見直すことこそ理想的な運営を実現するステップとなります。

まず着目すべきは本部商談です。店頭の売上拡大には、「本部商談×店舗での具現化×売上拡大に繋がる+αの活動」の組み合わせが不可欠です。そのために重要なのが、本部商談における早めの企画決定です。本部商談で企画を決めるためには、自社商品だけでなく小売店全体の利益を考えた提案をすることが本部商談を成功させるポイントです。

自社商品が小売店の売上にどう影響するのか?

自社商品が対象カテゴリの売上アップにどう貢献するのか?

こういった小売店のメリットを前提としたうえで来店客層を想定し、小売店の売上をあげるための最適な提案をすることが本部商談の成功率を高めるカギとなります。
ラウンダーをうまく活用することで業界トップを走る某メーカー様は店頭展開日の90日前には本部商談を確実に決めることで、ラウンダーに具体的な依頼を落とし込めているといいます。

本部商談の見直しはラウンド組織の運営面のみの問題としてではなく、営業活動との連携が重要です。

参考記事:理想の買い場を実現!本部商談から各店舗の展開までを成功させる4ステップ

本部商談を成功させるにはラウンダーから得られる店頭情報も非常に重要となります。

店頭情報を活かすことで、机上論ではない現場に即した現実的な提案をすることができます。さらに、店頭情報から対象チェーンの品揃えや売り方の傾向をつかむことができ、企業の特性を理解した提案にもつながります。
また、売上が上がった売り場の企画はすぐにバイヤーに戻すことで、商談の説得力を高めるができるでしょう。

某メーカー様では対象カテゴリの売り場(陳列方法)の特徴を考慮したうえで商品のデザインを決めています。これにより小売側にも受け入れられ、買い物客への訴求にも成功しているといいます。
このようにラウンダーが入手した店頭情報を営業部門や商品開発部門で生かす取り組みが必要です。

参考記事:店頭情報を活用した本部商談事例(今後公開予定の記事となります)

「なんとなく巡回をする」のではなく、ラウンダー活動によって成し遂げたい目的・目標を明確にすることが重要です。その目標からブレークダウンした活動内容を設定することで、活動を遂行することが目標達成に近づくという『効果の見える化』につながります。

参考記事:【ラウンダー組織運営ガイドvol.1】ラウンダーの活動内容設定方法

目標からブレークダウンして設定した活動内容はあくまで仮説であるため、実施したラウンダー活動を追跡し、検証、改善を行っていく必要があります。そのために必要なのがラウンダー活動の効果検証に適した報告項目を設定することです。報告項目を設定するポイントは以下の3点です。
① 報告項目は必要な情報ごとに報告欄を分ける。
② 報告は定性データでなく、定量データで集める。
③ 目標達成のためのPDCAを意識した項目設定にする。

参考記事:
【ラウンダー組織運営ガイドvol.2】報告項目の設定方法
依頼事項の達成率に影響する店舗との関係性の可視化方法(今後公開予定の記事となります)

ラウンダー活動の効果を最大化するには、「目標を達成するために設定した活動内容は正しかったのか?」「目標達成に影響を与えている活動内容は何か?」を検証する仕組みの構築が必要です。目標達成に影響している活動があるなら、その活動の優先順位をあげる必要があります。

こういった検証を繰り返すことで、より費用対効果の高い活動へと変えることができます。

参考記事:【ラウンダー組織運営ガイドvol.3】効果検証の手順

ラウンダー活動の効果を最大化するためには、ラウンド組織の運営を仕組み化する必要があります。具体的には次のような手法をとります。

ラウンダーへの依頼の仕方と情報共有

ラウンダーへの依頼の仕方一つで依頼事項の達成率は大きく変わってしまいます。

ラウンダーへ依頼する「業務依頼書」をフォーマット化しておけば、時間をかけずに的確な依頼をすることができます。「業務依頼書」を作成するポイントは以下の3つです。

①5W1Hでの記載をする
②活動の優先順位が明確にする
③1チェーン1枚で作成する

また、ラウンダーが現場で適切な活動をするための伝えるべき必要な情報は決まっています。これらの情報を用途別にツールに落とし込み用意します。

参考記事:【ラウンダー組織運営ガイドvol.4】店頭活動に必要な情報と業務依頼書の書き方

運営事務局の設置

優秀な人財(ラウンダー)が集まっているから大丈夫と過信している組織は、そのラウンダーが辞めた時のダメージが大きく、活動する人によって効果が変動する組織になってしまいます。人に依存せず、ラウンド組織のパフォーマンスを高めるためには、ラウンダー活動のPDCAサイクルを回し、活動に必要なツールを整備する運営事務局の役割が重要となります。
営業所毎に自由にラウンダー活動をしていたのでは、活動内容にばらつきが出て、ノウハウも蓄積されません。運営事務局がラウンダー活動の業務設計を行い、ラウンダーからあがってくる報告をとりまとめ、情報や改善策などを周知しサポートすることで、ラウンダーのパフォーマンスを最大化することができます。

参考記事:【ラウンダー組織運営ガイド】PDCAを構築する事務局運営の方法(今後公開予定の記事となります)

ラウンド組織の運営フローの確立

PDCAサイクルを高速化させるためには、日々の運営業務のフローを事前に可視化しておきます。

必要業務を洗い出し、誰が、いつ、どのように行うのかといったフローを確立してルーチン化します。特に、ラウンド組織の立ち上げ当初は、予期せぬ問題が発生するなどで目標達成のための活動に時間を割けないといった事態に陥りがちなため、スムーズに運営を行うためには運営フローの確立が必要不可欠です。

参考記事:【ラウンダー組織運営ガイドvol.5】ラウンダー運営フローの作成方法

会議運営

PDCAサイクルを回すためには会議の運営方法もポイントになります。

会議では成功事例の共有だけではなく、できていないことの共有となぜできていないのかという課題を解消することが必要です。できていない理由が明らかになり、課題が解消できれば、ラウンダーの思考もクリアになり活動の改善が望めます。

参考記事:【ラウンダー組織運営ガイド】ラウンド組織の会議運営の方法(今後公開予定の記事となります)

個店交渉用ツール

ラウンダーの個店交渉力を高めるためには、武器となる視覚的なツールや情報をそろえることが重要です。

ベテランラウンダーと新人ラウンダーによる交渉成約率の違いが課題にあげられることもありますが、ラウンダー各自のスキルに依存した交渉では、安定した成果を得ることはできません。上から順に説明するだけで誰でもスムーズに提案ができるようなツールを活用すれば、交渉力を最大化できるでしょう。また、本部商談と同様、個店においても自社商品の提案だけでなく、小売側のメリットを訴求できるかという観点で作成することも重要です。

参考記事:【ラウンダー組織運営ガイド】店舗交渉用ツールの作成方法(今後公開予定の記事となります)

理想的なラウンド組織を実現するためには、誰がどの店舗を訪問するのか、どこにラウンダーを配置するのか、どんな人財を採用すればいいのかといったキャスティング面の課題を見過ごすわけにはいきません。訪問店舗の適切な選定とそのための必要な人財確保はラウンド組織において重要な課題といえるでしょう。

訪問先の選定

ラウンダー活動は「質=活動内容」と「量=巡回店舗数・頻度」のバランスによって結果が大きく左右されます。したがって、訪問する店舗の取捨選択はとても重要な問題です。

一見、売上上位店に注力するべきと考えがちですが、必ずしもそうとは限りません。売上上位の店舗はすでに売れる仕組みができていて、逆に伸びしろがない可能性もあります。むしろ売上が伸びる余地のある店舗を見つけ出し、そこに注力したほうが売上を大きく伸ばすことができるかもしれません。
また、小売りチェーン様が「本部主導型」か「個店裁量型」かも一つの重要な判断材料です。3カ月程ラウンダー活動を行えば、売上伸長が期待できるポテンシャルのある店舗がわかってきます。巡回店舗数や店舗にかける時間を定期的に見直すことで、費用対効果の高いラウンダー活動が実現できます。

参考記事:【ラウンダー組織運営ガイド】訪問先選定の方法(今後公開予定の記事となります)

ラウンダー採用

ラウンダーの離職率が高い場合、採用の仕方を見直す必要があるかもしれません。

ラウンダーの過去の経歴や経験値だけを評価して採用しても、その人財が必ず戦力になってくれるとは限りません。後から身に付けることができる業務知識や交渉力ではなく、育てることが難しいヒューマンスキルや業務へのモチベーションを採用基準にすることを推奨します。
貴社プロジェクトに合わせて、人財の要件定義を設定したうえで採用活動に臨めば、本当に必要な人財を採用することができるはずです。

参考記事:
採用後じゃもう遅い?スタッフがすぐに辞めてしまうのなら面接をこう変えよう
【ラウンダー組織運営ガイド】人財要件定義の作り方(今後公開予定の記事となります)

ラウンダー活動で成果を出し続けるためには、ラウンダーの継続的な育成が必要です。
しかし、研修を実施することが目的になってしまっているケースもあるので注意が必要です。ラウンダーの育成もまた、理想のラウンド運営を実現するのに欠かせないテーマといえます。

ラウンダーのスキルアップ

ラウンダーのスキルアップには継続的な研修が必要ですが、やみくもにただ研修を行ってもなかなか結果には結びつきません。スキルアップ研修で成果を出すには、業務に必要なスキルを整理し、そのスキルをどのレベルまで上げるのかという基準を定めた「スキル指標」の作成が必要です。必要なスキルの基準を定めたうえで、ラウンダーの現状スキルをチェックし、足りないスキルを明確にしておけば、より的確な研修を実施することができます。

一般的に研修には机上研修とOJTがありますが、スキルアップのためには「知っている」とともに「使える」ことが重要になってくるので、机上研修とOJTを使い分けることが望ましいでしょう。

参考記事:
課題はスキル?モチベーション?具現化率を高める『ラウンダー育成』のポイント
【店頭活動の裏技動画】店舗担当者様と信頼関係を構築する『ミラーリング』

ラウンダーのモチベーションアップ

人のモチベーションをアップさせるものは次の3つの要素のバランスが重要と考えています。

「モチベーション=働きやすい環境×ファン化×報酬」

報酬には、“金銭面”と“金銭面以外”の報酬があり、この“金銭面の報酬”以外のバランスを意識したマネジメントをすることがラウンダーのモチベーションアップにつながるのです。
また、モチベーションを上げることばかりに注目しがちですが、下がる場合には理由があります。

 

ラウンド組織は様々な要素が絡み合ってくるため、自社の現状がわからない、なにから取り組むべきか判断がつかないといった状況になりがちです。ラウンド組織の要素を分解し、客観的に分析することで、課題が抽出でき、改善策が見えてきます。ラウンダーの効果に疑問を感じているなら、自社のラウンド組織を分解し、俯瞰してみてはいかがでしょうか。きっと次の手が見えてくるはずです。