陳列を変えれば売上も変わる!店頭から売上を上げる仕組みとは?

スーパー、ドラッグストアなどの量販店の店頭には、多種多様な商品が並んでいます。
店頭から売上を上げるには、あまたある商品の中から消費者に自社の商品を選んでもらい、購入してもらう必要があります。そのために重要となるのは売り場、陳列による工夫です。
この記事では、店頭から売上を上げる売り場の仕組みについて具体例を交えて解説していきます。
商品が売れる売り場の仕組みとは?
まずは、売上をつくる方程式を考えてみましょう。
どんなに良い商品・サービスを開発しても、消費者に手に取って購入してもらうためには、この売上の方程式を理解した上で戦略を立てる事が重要となります。
売り場では、「売上 = 客数 × 客単価」の方程式が成り立ちます。
つまり、「客数」と「客単価」を最大化することで、商品の売上アップを実現することができるのです。
さらに、「客数」と「客単価」の要素を分解して考えていきましょう。
「客数」は
「入店客数(店に来店した消費者の数)」
×
「買上率(来店した消費者が商品を購入する率)」
「客単価」は
「買上平均単価(商品を購入する消費者の一人あたりの平均購入金額)」
×
「買上平均点数(商品を購入する消費者の一人当たりの平均購入点数)」
という方程式が成り立ちます。
これらの要素の中でも「買上率」と「買上平均点数」は、売り場と密接に関係しています。
図1
商品を購入する率「買上率」
「買上率」を上げるために必要なのは以下2つの要素です。
・立寄率
来店した消費者が該当商品の売り場に立ち寄る比率。消費者の動きに沿った、自然と足を止める売り場作りが必要。
・視認率
売り場に陳列されている商品のうち、該当商品を目にした比率。目立つ場所への陳列、目を引く売り場づくりが必要。
すなわち、買上率を上げるには、消費者の目にとまり、足をとめる売り場を作ることが重要です。
図2
商品を購入する消費者の一人あたりの平均購入点数「買上平均点数」
「買上平均点数」を上げるためには、「非計画購買(衝動買い)」を促すことが重要となります。
非計画購買とは、入店前には購入計画のなかった商品を結果的に購入することです。そのためには、商品者のついで買いを促進するような仕掛けを売り場でつくる必要があります。
図3
店頭の売上拡大につながる効果的なラウンダー活動をご紹介! |
簡単陳列テクニックで買上率を伸ばす
商品の売れる仕組みはご理解いただけたかと思いますが、実際に売り場を変えただけで売上は変わるのでしょうか?
ここでは、買上率を上げる簡単な陳列テクニックをご紹介します。
陳列されている商品の位置を少し変えたところ、売れ行きが倍になった住居用洗剤があります。
何故、倍になったのでしょうか。
図4
答えは、棚の中で一番消費者が手に取りやすく、目につきやすい場所へ商品を移動させ、陳列棚の上部に販促物を設置したからです。
一般的に、棚の中で、消費者が手に取りやすく、自然と目がいく高さを、「ゴールデンゾーン」と呼びます。この「ゴールデンゾーン」に展開されている商品の購入率は、棚の中で約9割ともいわれています。
※その他の陳列手法はこちらをご参考ください。
売れる陳列を実現する6つの陳列テクニックとは?陳列法則を解説!
もう一つ例を見ていきましょう。
原料も価格も知名度もほとんど同じ2つの乳飲料商品があったとします。
同じ商品棚の隣同士にならんでいますが、一方が他方の2倍売れます。
何が違うのでしょうか。
実は、売れている方の乳飲料は、5列で陳列されており、売れていない方は2列での陳列だったのです。一般的に、視認率に売上は比例するといわれています。 たったこれだけの違いで、売れ行きが倍になっていたのです。
図5
視認率を上げる売り場作りのコツはこちらの記事をご参考ください。
インストアプロモーション(ISP)を活用し買上平均点数を伸ばす
どうすればより消費者に商品をアピールできるのか?より売れるのか?という陳列テクニックは色々ありますが、1つにインストアプロモーション(ISP)という店内プロモーション手法があります。
インストアプロモーションとは売り手の都合ではなく、消費者の視点に立って、商品プロモーションを行う手法です。
消費者にとって、今必要な商品が何かを気づかせ、その商品を購入するための理由を明らかにしてあげること。この「きっかけ」と「理由」づくりがインストアプロモーションの基本です。
インストアプロモーションが実際どのように行われているか、以下に具体例を挙げます。
「きっかけ」づくり
子どもの運動靴を探している消費者が、ある店舗を訪れました。
何度も来ているので、店内のどこに運動靴があるかはわかっています。消費者はまっすぐ靴売り場へ直行しました。上ばき、運動靴を陳列している棚にたどり着きました。
たくさんの靴が陳列されている中、鮮やかな色のハンガー什器が目に飛び込んできます。
図3
白い靴ばかりの中に、鮮やかな緑の商品が置かれているだけでかなり目立ちますので、 当然、多くの消費者の目にとまります。
什器には大きく「ひと吹きで上ばきの臭いすっきり!」の文字。
ここで消費者は気づきます。
(消費者の心の声) そういえば!下駄箱の臭いが気になっていたわ。脱いでひと吹きするだけで臭いが消えるなんて簡単ね。うちの子ども、サッカーで汗や泥がすぐついちゃうし。 |
消費者に「消臭スプレーが必要だ!」と、自然な流れで気づかせる事ができました。
次は購入を後押しするための「理由」づくりです。
「理由」づくり
消費者は消臭スプレーが必要なことに気づいていますが、それだけではすぐに購入してくれません。
消臭スプレーを「今すぐ購入するための理由」が必要なのです。
商品をよく見ると、おまけのミニボトルがついていることに気づきます。
(消費者の心の声) 期間限定でおまけがついてる!コレはお得だわ。今買っておかないと損しちゃう |
この消費者は、元々購入を予定していた運動靴と店頭で購入を決めた洗剤を購入しました。
このような購入のための「きっかけ」づくりと「理由」づくりが店頭で行われている商品を消費者は購入しているのです。
まとめ
商品を、店内のどこに、どのように陳列し、消費者にどう見せるかによって売上が変わるということをご理解いただけましたでしょうか。
貴社の商品は店頭でどのように陳列されていますか?
良い商品のはずなのに売上が上がらない、といったお悩みをお持ちなら、まず店頭を確認してみることをおすすめします。
”店頭から売上を上げたいが企画通りの売り場が作成できていない” |