店舗ラウンダー・店舗巡回のFMS field markting system 株式会社フィールドマーケティングシステムズ
陳列・VMD
2023.12.05

売れる陳列を実現する6つの陳列テクニックとは?売れるディスプレイのコツも解説

売れる陳列を実現する6つの陳列テクニックとは?売れるディスプレイのコツも解説

自社商品を扱うスーパーやドラッグストア等の量販店において、営業で訪れた際に売り場づくりを行う機会もあるでしょう。しかし、店舗毎に売り場や陳列スペースが異なり、どのように商品を陳列したらよいか悩んでしまったことはありませんか?
商品が手に取りやすく売れる商品陳列の方法やディスプレイには、複数のポイントがあります。この記事では、基本の陳列テクニックや売れるディスプレイの陳列パターン、売り場作りの基本の考え方などを解説します。

目次
これ1冊でわかる 陳列・VMDハンドブック
コラムで人気の陳列・VMD記事。 数ある記事の中から各記事のポイントを抜粋して、ハンドブックにま…

消費者の購買行動は、店頭での商品陳列に大きく影響されます。1980年の流研大槻調査によれば、消費者が店舗の売り場で購入を決める割合は87%にも上り、この傾向は今日でも変わらず指摘されています。これは、商品の陳列方法が消費者の購入意志に直結していることを示しています。

お客様に商品を手に取ってもらうには、まずたくさんの商品の中からその商品を認識してもらわなければなりません。そのためには、商品の陳列方法やディスプレイの工夫が非常に重要な要素となるのです。

陳列の前段階として、各売り場の特徴や売り場獲得のコツについては「売り場作りのコツとは?売り場の名称やメーカーが行うべきポイントをご紹介」をご参考ください。

これから具体的な陳列手法を紹介しますが、事前準備として商品ごとに以下の要素で分類をしておきましょう。

・価格
・カテゴリ
・重さ
・売りたい優先度

その後は以下で紹介する「6つの陳列テクニック」にしたがって陳列を行います。この法則を意識しておくと、売り場に合わせた最適な売れる陳列が実現できます。
では、それぞれの法則について、詳しくみていきましょう。

1.売りたい商品の陳列面(フェイス)を増やす

商品の視認率が上がるほど、売上も比例して上がるといわれます。
視認率を高めるためには、商品の陳列面(フェイス)を増やすことが有効です。
商品が目に止まりやすくなり、買い上げ率の上昇が見込めます。

図1
フェイス拡大を行った陳列図商品の陳列面(フェイス)の拡大は、極端に拡大すればよいわけではありません。
300
坪前後の広さの店舗では3~5フェイス、600坪前後では5~7フェイスまでの増加が売上に影響するというデータがあります。陳列面の拡大は、十分な商品量を陳列できるため、在庫切れのリスクも減らすことができます。

2.売りたい商品を「ゴールデンライン」に陳列する

商品がもっとも見やすく手に取りやすい高さの陳列のことを「ゴールデンライン」といいます。垂直型ゴンドラでは、85cm~150cmの高さが「ゴールデンライン」とされ、売上の9割近くが集中します。
一方、下部陳列部が広くなっている張り出し型のゴンドラでは、最下段が最も見やすく、売上の約半数がこのスペースから発生します。

したがって、売り場の陳列を考えるには、売りたい商品をこのゴールデンラインの位置に陳列することが効果的です。他社製品と一緒に陳列する際には、いかにこの場所に自社製品を並べることができるかが、売上アップの鍵となります。

ゴールデンラインは男性、女性、子供によっても高さが異なります。その商品のターゲットとなる人物像を想定して、ゴールデンラインを意識してください。

図2
陳列棚におけるゴールデンゾーンの紹介

3.重さあるいは価格帯で陳列の上下位置を決定する

商品陳列を決める際には、売りたいかどうか以外にも、重さや商品の価格を基準として考える方法もあります。重さが軽いものを上、重いものを下、あるいは高価格帯のものを上、低価格帯のものを下に陳列するというものです。
重い商品を下にし、軽い商品を上に陳列するのは、安全性を確保するという役割もあります。

図3
価格帯や商品の重さによる適した陳列箇所の紹介図

4.購買率をあげたい商品は中央もしくは右側に陳列する

①左側 ②中央 ③右側という陳列場所があったとします。この場合、購買率が高い商品は②の中央もしくは③右側です。これには次のような3つの理由があります。

図4
購買率をあげたい商品は中央か右側に陳列する図

中央の視認率は両端よりも高い

棚の正面に立った時には、中央(②)の視認率が高くなります。一般に陳列棚の正面に立った時、視認できるエリアは、左右90cm~120cmほどといわれており 、棚の端の方の商品は見落としてしまうこともあります。左端と中央の陳列では売上が5%の差がでます。

図5

中央の商品は左端と比べると5%売上がアップする

 

商品を手に取るのは右手のことが多い

日本人は右利きの人が多く、商品を右手で取ることが多いです。棚の中央に立った場合、右よりにある商品が最も取りやすい位置にということになります。

視線の移動は左から右に行われる

人間の目が物を見る時、左上から始まり、Z字を描いて最終的に右下で止まります。

図6
人間の目線はZ状に動く

もちろん左上の商品も目につくのですが、商品を探す際には無意識に更に良いものを探したいという心理が働きます。このため、視線が止まりやすいのは、中央や右端にある商品ということになります。

5.売上の弱い商品は強い商品の間もしくは両サイドに陳列する

自社の商品で、売上が十分でない商品に対してはどのように対策したらよいでしょうか。単純に、強い商品の隣に並べるだけでは、お客様の目はその強い商品にしか止まらないでしょう。
弱い商品に目を向けさせるには強い商品の間に弱い商品を挟む、あるいは強い商品の両隣を弱い商品で囲むことが有効です。これをサンドイッチ陳列といいます。

図7
強い商品の間に弱い商品を挟み込む

強い2つの商品の間に挟むことで、認識される確率を上げます。また、強い商品の両隣に弱い商品を配置することで、両端の商品の認識率を上げます。

図8
強い商品の両端に弱い商品を配置し視認率を上げる

6.集視ポイントをつくる

商品が買われるためには、視認率が大切です(参考:商品が売れる売り場の仕組みとは?)。

つまり、売りたい商品は単調な陳列を行うのではなく、目が行くように集視ポイントを作り誘導することが必要です。そのためには、ターゲットとなる商品に対して販促物などを付け、視認率を高めると同時に、陳列にメリハリを持たせることが有効です。

図9
集視ポイントをつくる

POPに関しては「ついつい手が伸びてしまう売り場の条件!4種のPOPで「買い場」になる!」も参考になさってください。

店舗で売れる陳列の法則を実践するには

以上の6つのテクニックを理解しておけば、陳列の場や対象商品が変わっても、応用できるようになります。
例えば、重い商品だが売り込みたい商品はどのように陳列すればよいのでしょうか?垂直型ゴンドラの場合、ゴールデンゾーンへの陳列は、安全面を考えると適していません。

このケースでは、下段に陳列を行いながら、商品の高さを十分に取り(【法則1】売りたい商品の陳列面(フェイス)を増やすと【法則3】重さが軽く高価な商品は上段に、重く安価な商品は下段に陳列の組み合わせ) 、視認率を確保していく方法が最適です。

図9
各陳列テクニックの応用

ここからは、商品陳列の基本的な考えを実践し「売れるディスプレイ」作りに欠かせない陳列パターンを3つご紹介します。
陳列方法によって特徴や効果は異なるため、商品の特性や陳列場所の広さといった条件に合わせて最適な方法を選ぶことが重要です。

陳列手法をマスターして、お客様の目を引き購買につながるディスプレイを完成させましょう。

陳列に立体感が出る「トライアングル陳列」

トライアングル陳列とは、ピラミッドのように商品を積み上げたり、三角形をかたどるように並べる陳列手法です。

三角形は人が普遍的に美しいと感じる形状で、また、「安定」や「成功」といった良い印象を与えることで知られています。トライアングル陳列はその三角形の効果を活かし、商品をより魅力的に見せることができます。

また、三角形の周囲に生じる余白(ネガティブスペース)も、売り場で商品を際立たせる効果があります。

図10 トライアングル陳列の例

トライアングル陳列については、「売り場ディスプレイについて解説!売上が160%アップした事例も」もご参照ください。

安定感のある「シンメトリー陳列」

人に美しさや心地良さを感じさせる左右対称の効果を取り入れた陳列手法が、シンメトリー陳列です。多くのアイテムを並べても雑多な印象にならず、すっきりまとまった印象のディスプレイになります。
狭いスペースではコンパクトに、ワイドなスペースでダイナミックにと、陳列スペースの広さに応じて展開できます。

また、形状などが似ていれば人の目にはシンメトリーに見えるため、品目が多い場合でも取り入れやすい陳列手法です。

前述の「売りたい商品は中央か右側に」のテクニックを取り入れ、メインの商品を中央に置く、売れ筋商品を左右に置くなど、さまざまなパターンでアレンジしてみましょう。

図11 シンメトリー陳列の例

シンメトリー陳列については、「売上が倍!その売り場で行われた「シンメトリー陳列」とは」こちらの記事もご参照ください。

商品の存在感を増す「リピテーション陳列」

リピテーション陳列とは、同じ商品を規則正しく繰り返し並べることで生まれる「面の効果」を利用し、存在感をアップさせる陳列方法です。

商品を目立たせる効果が高いことから、店頭マーケティングに長けた海外の大手スーパーや専門店の商品陳列では積極的に取り入れられています。

図12 リピテーション陳列の例

リピテーション陳列を行う場合、同一の商品を多く並べれば並べるほどインパクトがあり注目を集めやすいです。また、別の商品であっても形や色、サイズなどの共通要素があればリピテーション=繰り返しの効果が得られます。

同じ(要素を持つ)商品を並べるだけで注目を集めることができ、手軽に試せて効果の高い陳列方法です。

リピテーション陳列については、「ヒット商品の陳列ワザ!注目は「くり返す」ことで集める」もご参照ください。

ここでは、売り場のディスプレイを作る上で忘れてはならない基本の考え方をご紹介します。
商品陳列のテクニックや手法を駆使した素晴らしいディスプレイも、基本がおろそかでは効果を十分に発揮できないおそれがあります。

ディスプレイの検討を始める前に、以下の2つの考え方を今一度確認してみましょう。

常にお客様の視点に立って考える

ディスプレイや売り場を作る際は、常にお客様の視点に立って考えることが重要です。
以下のチェックポイントを確認し、お客様視点に立った売り場作りができているか確認してみましょう。

お客様ニーズのリサーチからスタート

商品のターゲットとなる層のニーズにマッチしていることが売り場作りの鉄則です。

・商品のターゲットとなるのはどんなお客様か

・商品のターゲット層はどんなことに興味があるのか

・商品のどんな点がお客様のニーズにマッチしているのか

などを、具体的な売り場作りを始める前にリサーチしておきましょう。

事前にこれらを調査することで、ターゲットが明確になり、お客様に伝えたい情報も絞られます。

メーカーや店舗の独りよがりになっていないか?

より目立たせたい、もっとアピールしたいと思うあまり、売り場や陳列が押し売り状態になっていないでしょうか。

・売り場のおすすめがわかりやすい

・お客様が商品を探しやすい

など、お客様にとって買いやすい売り場・陳列になっているかチェックしてみましょう。

ディスプレイのメンテナンスは行き届いているか?

お客様がいつ売り場に来られても、ディスプレイを完成させた時と同じ状態でお迎えできているでしょうか。どんなに手の込んだディスプレイも、商品が売れた後に補充もされていないようでは台無しです。

ディスプレイはこまめに手を入れないと乱れが目立ち、お客様にむしろ悪い印象を与えることを覚えておきましょう。

「お客様の目に留まる売り場」作りに重要な要素

商品が売れるためには、まずお客様の目に留まることが重要な要素です。しかし、陳列テクニックだけで十分な注目を集められるとはいえません。

商品の売上につながる買上率(来店した消費者が商品を購入する率)を上げる2つの要素を意識して売り場作りを行いましょう。

立寄率

来店者が売り場に立ち寄る比率です。来店者が足を運ばない場所でディスプレイに力を入れても売上は見込めません。来店者の動線を考慮し、最適な場所に売り場を作る必要があります。

動線に関しては、「売り場作りのコツとは?各売り場の特徴やメーカーが行うべきポイントをご紹介」でも解説しています。

視認率

売り場に陳列されている商品を来店者が目にした(認知した)比率です。POPをはじめとする宣伝物も活用して、来店者の注目を集めるディスプレイや売り場を完成させましょう。

売上につながるディスプレイを完成させるためには、陳列方法以外にもいくつかのポイントがあります。

この章では、売れるディスプレイ作りで押さえておくべき要素をご紹介します。

売り場のテーマ設定

売り場作りにあたっては、まずテーマを設定し、そのテーマに沿ってディスプレイを作成することが重要です。どんなに手間やコストをかけても、商品を漠然と並べるだけでは統一感や商品アピール力は弱く、お客様にメッセージが伝わりません。商品を手に取ってもらえる可能性も下がってしまいます。

売り場作りに取り掛かる前には、

・商品のターゲットとなる客層のニーズ

・店舗の客層

・季節やイベント

といった複数の要素を考慮してテーマを設定します。

また、決定したテーマを売り場製作に落とし込む際には、「何を売りたい場所なのか」がはっきりわかりやすくなっていることも重要です。お客様がぱっと見ただけでおすすめ商品が伝わる売り場作りを心がけましょう。

来店者ニーズや商品特性にマッチするテーマを持つ売り場をディスプレイや陳列手法で目立たせれば、その成果は必ず売上となって現れることでしょう。

商品の陳列方法

来店者の購買意欲は商品の陳列方法によって大きく左右されます。
先述した陳列テクニックやディスプレイパターンに加えて、以下の陳列方法の基本も参考にしてください。

売りたい商品はパッケージを見せる

陳列方法や装飾に気を取られて、肝心の商品パッケージが隠れることがないようにしましょう。陳列の際はパッケージが見えるようにし、POPなどの販促物は商品の邪魔にならない大きさや位置を工夫しましょう。

商品のフェイスの見せ方について、「フェイシングで差別化!陳列のコツとくくりの効果【売り場づくり】」でも詳しく解説しています。

同一ブランド、同一系統の商品で売り場をまとめる

売り場のテーマを設定すると、陳列すべき商品のブランドやアイテムは絞られます。その中でも、同じブランド(メーカー)や同じ系統の商品をまとめるのが陳列の基本です。同じ系統の商品をまとめることで、お客様が商品を選びやすくなります。

商品の陳列量

商品の陳列量も、売り場作りの重要な要素です。商品の陳列時には以下の点に注意しましょう。

棚板や台が見えないように商品で埋めるのが大前提

陳列棚に商品を並べる際には、棚板が見えない量の商品で棚を埋めることが鉄則です。
お客様の目には、売り場に大量に並んでいる商品は売れている商品と映ります。
陳列棚・台を商品で埋めて、お客様に「ここに人気商品がありますよ」とアピールをしましょう。そのためには、売れたら補充するといったこまめなメンテナンスも重要です。

陳列量を調整する「スペーシング」も重要

「棚や台を商品で埋める」基本を踏まえて、陳列量を変えて商品間のスペースを調整する「スペーシング」も取り入れてみましょう。

ぎっしりと商品が並んだ棚や台は、前述のとおり売れている・人気商品と思わせると共に、にぎやかで親近感を感じさせます。一方で、アイテム数や量が多いと選びにくい・雑然としている、といった印象にもなります。
スペーシングで陳列する商品やアイテムの量を減らしスペースを作ると、贅沢で高級なイメージを作ることができます。売り場の陳列量や売り場の余白をコントロールし、商品特性や売り場のテーマに合う陳列を実現しましょう。

スペーシングについては「スペースを活かしてイメージを作る!定量を見極めて魅せる陳列術」で詳しく解説しています。

POPや販促ツールの設置方法

販促ツールは、以下のポイントに注意して設置します。
商品を目立たせ特徴をアピールする販促ツールを活用することで、ディスプレイや商品への注目度が上がり、売上に貢献します。

店内の動線やお客様の視線を意識した場所に設置する

お客様が通らない場所や目線が来ない場所にPOPやトップボードを設置しても意味がありません。店内の動線やお客様の目線が来る場所に設置しましょう。

商品や店舗のターゲットに合わせて戦略を考える

販促ツール単体でデザインするのではなく、売り場やディスプレイ作りの基本となるテーマに合わせ、実際に売り場に設置した状態をイメージして準備することが重要です。

メンテナンスも重要

設置した販促ツールは、設置から日が経つと共に汚れたり、破損したりします。目立つものだからこそ汚れや破損も目立つので、定期的にメンテナンスして良い状態を保つことも重要です。

最新の販促ツールを取り入れる

電子機器の小型化や省電力化に伴い、電子POPを導入する店舗やメーカーが増えています。例えばお鍋がぐつぐつ煮える様子やビールをグラスに注ぐ様子など、電子POPなら「しずる感」をより強くアピールし来店者の目を引くことができます。

陳列の仕方次第で商品の売上は増減します。

商品陳列のポイントや効果的な陳列手法を「売れる売り場」作りに活用しましょう。ただし、店舗の客層や商品の特性に合わせたテーマをまず設定し、そのテーマに従って売り場を作ることが重要です。POPなども活用して、ぜひ魅力的な売り場を実現してください。

売り場作りや売り場のメンテナンスのお悩みがあるメーカー様は、FMSにご相談ください。

ダウンロードアイコン
価格表やサービス詳細資料を配布中
お役立ち資料を
無料ダウンロード
キャンペーン申し込みアイコン
お得なキャンペーンを定期的に実施中
キャンペーン・セミナー
申し込み
無料見積もり・問い合わせ
CONTACT
無料見積もり・問い合わせ

ラウンダー導入や、営業力強化・効率化に
お悩みの方は、お気軽にご相談ください