定期ラウンダー・スポットラウンダーの使い分けのコツとは?サービスの選択・組み合わせ事例もご紹介
店舗ラウンダー(店舗巡回)とは、メーカーの営業担当者に代わって店舗を巡回訪問するスタッフです。店頭での販促施策を実現する要員として、多くのメーカーの営業活動を支えています。
「店舗ラウンダー」にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。ラウンダーの種類による違いや特徴を知ることで、自社に最適なラウンダーサービスを選ぶことができます。
本記事では、ラウンダーの種類とそれぞれのサービスの概要、メリット・デメリットについて、企業様の事例も踏まえて解説します。
ラウンダーサービスの導入を検討しているご担当者様はぜひご一読ください。
店舗ラウンダーとは
店舗ラウンダー(店舗巡回)とは、メーカーの営業担当者に代わって小売店(スーパーやドラッグストアなど)を巡回訪問し、販促活動や売り場のメンテナンスを行うスタッフです。店頭プロモーションの具現化や商品陳列の最適化などが主な業務で、メーカーの営業担当者と連携して売上向上に貢献しています。
ラウンダーの種類
「店舗ラウンダー」は店舗を巡回訪問するスタッフの総称ですが、その業務内容により「定期ラウンダー」と「スポットラウンダー」の2種類に分けられます。
・定期ラウンダー:対象店舗を定期的に訪問する
・スポットラウンダー:対象店舗を単発、または短期間訪問する
定期ラウンダーもスポットラウンダーも店頭での販促活動を行う点は同じですが、繰り返し訪問するか単発で訪問するかによって特徴が異なります。
定期ラウンダーとは
定期ラウンダーとは、スタッフが対象店舗を定期的に訪問するラウンダーサービスです。
特徴は以下の通りです。
・(基本的に)同一スタッフが担当店舗を定期的に訪問
・営業担当エリア中に訪問先が多数ある場合に向いている
・当社の場合、費用形態は人日契約型(ラウンダーの活動1日あたりでの費用設定)が一般的
定期ラウンダーのメリット
定期ラウンダーを導入する主なメリットは以下のとおりです。
店舗との関係性が強化でき成果を上げられる
同じスタッフが継続的に訪問するので店舗担当者と関係構築ができます。その結果、売り場の獲得や拡大、受注などといった営業的な業務において成果を上げることが期待できます。
継続的な訪問の結果、店舗担当者がメーカーの「ファン」となることで、本部商談以上の成果を上げるスタッフも少なくありません。詳しくは「理想の買い場を実現!本部商談から各店舗の展開までを成功させる4ステップ」で解説しています。
連続性のある業務の実施ができる
連続性のある業務や完了まで日数がかかる業務を一貫して任せることができます。例えば「交渉で売り場を獲得し、後日商品が入荷したタイミングで再訪問して売り場作り」といった一連の流れがこなせるのも、定期ラウンダーならではのメリットです。
商材や業務への習熟度が高まる
活動日数が多くなるため、習熟度や専門性が高まります。そのため、高い専門性が必要な商材にも対応しやすくなります。
定期ラウンダーのデメリット
定期ラウンダーを営業活動に導入する場合は、以下の点に留意する必要があります。
長期契約が原則となる
定期ラウンダーの契約は6カ月以上の長期間が一般的であり、契約期間中は毎月一定の費用が固定費として発生します。そのため、サービスを契約する際には、継続的な費用負担を念頭に置き、自社の予算計画に合致するかを検討する必要があります。
ラウンド組織の構築に時間を要する場合がある
スタッフの確保や業務設計にある程度の期間が必要となるため、運用を開始するまでに時間がかかります。ラウンド組織を立ち上げる場合、2ヶ月前後かかるのが一般的です(エリアや組織規模によって異なります)。
効率的な巡回ルートを組むのが困難な場合もある
訪問エリア内の店舗数が少ない(密集していない)場合には、移動時間が多くなり費用対効果が落ちることもあります。ラウンダーの1日の業務量を担保するためには、最低限巡回が必要な店舗以外に、訪問エリア内のついでに巡回できる店舗も巡回対象に加える必要があります。
定期ラウンダーの事例紹介
食品メーカーA社様の事例
巡回先 | 巡回エリア | スタッフ数 |
ドラッグストア | 全国 | 約60名 |
サービス導入前の状況・課題
A社様の商品はあらゆる小売店で販売されており、主要な販売チャネルでは競合各社のラウンダー巡回が活発で、日々激しい売り場獲得競争が繰り拡げられていました。
そのような中でも、A社様は主要販売チャネルにおいてトップシェアを誇っており、今後の売上拡大のためには、新たな販売チャネルの開拓が求められていました。
導入したサービスの概要
全国に60名のラウンダーを配置。商品の発注促進・受注活動を主業務とし、その他新商品の案内、販促物設置、店頭メンテナンスを実施しています。
サービス導入後の効果
ラウンダー導入前と導入後の同月比で120%を達成。
数か月単位で新商品が発売され、棚の商品入れ替えが激しいカテゴリーですが、ラウンダーを導入して1年間、主要商品の採用店舗数を維持することができました。
その他、
・取扱いアイテム数120~150%を達成
・アウト展開数120%を達成
と高い成果を生み出しています。
家電消耗品メーカーB社様の事例
巡回先 | 巡回エリア | スタッフ数 |
家電量販店:約1,400店舗 | 全国 | 約60名 |
サービス導入前の状況・課題
B社様の営業社員様が店舗への営業も実施していましたが以下課題を抱えていました。
・営業マンパワーの不足
メーカーの商材が多く、営業社員様は売上アップのために単価の高い商品には注力しているが、家電消耗品という低単価商品まではフォローできずにいました。
・売り場は競合に押されシェアが奪われる状態
導入したサービスの概要
全国に約60名の定期ラウンダーを配置し、本部決定事項に基づく店頭化交渉、店頭状況に応じた売り場づくりの提案・交渉、多箇所展開・クロスMDの提案、フェイス好位置の確保、販促資材の設置、品出し・売場クリンネス等の店頭メンテナンス活動を実施しました。
サービス導入後の効果
ある家電量販店の店舗を売り場面積でランク分けし、ラウンダー巡回店と非巡回店の平均売上金額を比較した結果、全体でみると約2倍の差となり、ラウンダーによる巡回効果を実感していただきました。
スポットラウンダーとは
スポットラウンダーとは、短期間・単発でラウンダースタッフが店舗を訪問する場合のラウンダーサービスです。
・例外はあるが基本は1回限りの訪問となる
・1回限り、または短期間で完了する作業や調査に向いている
・費用形態は、訪問契約型(1店舗1訪問あたりでの費用設定)が一般的
スポットラウンダーのメリット
スポットラウンダーを活用する主なメリットは以下のとおりです。
必要な時に・必要な場所へ・必要な店舗だけ投入できる
ラウンダー活動を行うタイミングや必要な店舗をピンポイントで設定できる柔軟性は、スポットラウンダーの一番のメリットです。
迅速な売り場立ち上げや短期集中型のプロモーションの展開など、一時的にマンパワーが必要な業務での活用が効果的です。
単発・短期の利用でコストを抑えることができる
必要な時だけ要員を確保するので、ラウンダーが不要な時期の費用がかからずコストを抑えて利用できます。
契約後短期間で実施できる
一般的にスポットラウンダーは簡易作業が中心となり、研修に要する時間があまりかからないため、定期ラウンダーと比較すると、短期間で稼働開始ができます。準備が整ったエリアから随時訪問スタート、といったスピード感のある運用も可能です。
スポットラウンダーのデメリット
ピンポイントで活用できる便利なスポットラウンダーですが、導入に際しては以下の点に留意する必要があります。
難易度が高い業務は難しい
スポットラウンダーは、事前の教育研修は最低限となります。そのため、業務や商品の知識が薄くなるのは避けられません。事前に教育研修を行わないと扱えない商材や難易度が高い業務は困難です。
※必要に応じて業務開始前に集合研修を行うことも可能です。
店舗とのコミュニケーション強化はできない
単発・短期間の訪問で終わるため、店舗とのコミュニケーション強化や関係構築は難しいでしょう。そのため、交渉業務においては、定期ラウンダーと比較すると実現率が下がるケースが多いです。
スポットラウンダーの事例紹介
家電メーカーC社様の事例
巡回先 | 巡回エリア | スタッフ数 |
家電量販店:約140店舗 | 全国 | 約60名 |
サービス導入前の状況・課題
発売に合わせてテレビCMが流れるので、そのタイミングで商品及び販促物を確実に設置したい
導入したサービスの概要
約8日間の間に、事前に送り込まれた新しい販促物、カタログが指示通りに設置されているかを確認し、未設置だった場合は展開場所を交渉のうえ設置、また新旧販促物の入れ替えなどを実施しました。
サービス導入後の効果
訪問の結果、新しい資材が活用されている店舗は全体の14%であったが、ラウンダーが設置交渉・作業を実施し、結果97%の店舗で新しい販促物の設置が完了。
・対象店舗のほとんどが他社様の業務で定期的に訪問している家電量販店であり、家電量販店での活動に慣れたスタッフが対応したこと
・本部商談の内容(商品採用の位置づけ)が良かった
といった複合的な理由により、高い成果が上げられました。
食品メーカーD社様の事例
巡回先 | 巡回エリア | スタッフ数 |
スーパー:約600店舗 | 全国 | 約70名 |
サービス導入前の状況・課題
春秋の年2回、季節のプッシュ商品への販促物設置が必要。営業社員様だけでは訪問しきれないエリアがあるため他社ラウンダーを利用していたが、品質に問題があり、リプレイスとしてテスト導入を経て、正式に依頼をしていただきました。
導入したサービスの概要
約1か月間中に対象店舗を訪問し、対象商品への販促物の設置、売場メンテナンス、未導入商品の発注促進、店舗様へのヒアリング内容報告を実施しました。
サービス導入後の効果
約1か月で580店舗を訪問完了し、97%の店舗で販促物設置が完了しました。
定期ラウンダーとスポットラウンダーの使い分けのコツ
定期ラウンダーとスポットラウンダーの特徴を踏まえて、使い分けのコツをご紹介します。解決すべき課題によって選ぶべきラウンダーサービスも異なるので、ぜひご確認ください。
定期ラウンダーの活用が最適なケース
定期ラウンダーの導入が適しているのは、以下の場合です。
訪問頻度:定期的
訪問先:訪問したいエリア内に密集
業務内容:簡易業務から交渉業務、店舗担当者との関係構築まで可
定期ラウンダーの活用で解決できる課題
・営業社員の業務を効率化したい
営業社員が店舗作業までを担当している場合、業務から作業的なルーティーン業務を切り離し、本部商談などより売上貢献度の高い業務に専念してほしい場合に効果的です。
・売上の維持・向上のための人手がほしい
既存店フォローを行う人手が足りないために、既存店で売り損じが生じていないでしょうか。定期ラウンダーを導入すれば、社員の増員など経営負担の大きい手段を取らずに既存店フォローを充実させることができます。
・店頭でのシェアアップを目指したい
売り場を拡大するためには「定期的な訪問で信頼関係を築く・継続的に交渉する・売り場拡大のタイミングやチャンスを逃さない」ことがポイントとなります。定期ラウンダーの特徴はこれらのポイントとマッチしており、売り場拡大に最適な手法といえます。
スポットラウンダーの活用が最適なケース
スポットラウンダーの利用が適しているのは以下の場合です。
訪問頻度:単発
訪問先:点在していても可、一時的に増加も可
業務内容:簡易業務や作業など、知識や技術をあまり必要としない業務
スポットラウンダーの活用で解決できる課題
・新製品の立ち上げを一斉に行いたい、キャンペーンや広告の効果を上げたい
新発売やCM広告・キャンペーン展開時の販促活動など「スピードと量」が要求される業務は、タイミングを逸すると効果が激減します。ここぞ、というタイミングで欲しいだけの人手を確保できるスポットラウンダーは最適な解決策といえます。販促物の設置、売り場状況の確認、商品陳列などがスピーディに行えます。
・繁忙期、季節商材、棚替え、改装、新店応援など、一時的にマンパワーが必要
一時的な業務への対応に社員や通常のラウンダースタッフで人手が足りない場合、スポットラウンダーでマンパワーを補うことができます。社員やラウンダーの通常業務に影響を及ぼさない点も、ご利用いただいている企業様に好評です。
『訪問契約型ラウンダーによる定期訪問』という仕組み
ここまで「定期ラウンダー」と「スポットラウンダー」、2種類の特徴や使い分けについてご紹介しました。
しかし、自社の状況がこの2つにぴったり当てはまらないと感じる方もいるのではないでしょうか。そのような場合には、訪問契約型のラウンダースタッフが定期的に訪問巡回を行うという仕組みをご提案することがあります。
解決できる課題
広いエリアに店舗が点在しているが、定期的に店舗をフォローしたい
メリット
・移動にかかるコストを抑えられる
訪問店舗が密集していないエリアでは、訪問件数が少なく交通費も増えるため、移動効率が悪くなり、定期ラウンダーの契約形態(1日の活動費+交通費)では費用対効果が悪くなります。訪問契約型ラウンダーであれば、1件訪問あたりの契約で交通費も基本的に含まれるため、移動時間や費用の無駄を抑えることができます。また、訪問先付近に在住するスタッフを採用するため、広い範囲に訪問先が点在している場合でも移動時間のロスを最小限に抑えられます。
・立ち上げまで比較的時間がかからない
スポットラウンダーに近い業務内容であれば、定期よりも短時間で立ち上げを行うことができます。
デメリット
・習熟度・専門性の向上は比較的ゆるやか
定期ラウンダーほど頻回に訪問しないため定期ラウンダーと比較すると担当店舗が少ないため、業務に慣れるまでに時間がかかる場合があります。
・スタッフの固定が難しい場合もある
担当店舗が少ないため、スタッフは副業として業務を行っていることがほとんどです。単発業務が毎月発生するイメージなので、スタッフの固定が難しいケースもあります。
ラウンダーサービスの組み合わせ事例の紹介
定期ラウンダーとスポットラウンダーそれぞれの特徴を生かし、両方を組み合わせて運用することで成果を上げた事例をご紹介します。
定期ラウンダーとスポットラウンダーの組み合わせ事例
ヘアケアメーカーE社様の事例
巡回先 | 巡回エリア | スタッフ数 |
ドラッグストア:約200店舗 | 全国 | 約30名 |
サービス導入前の状況・課題
当社で定期ラウンダーを導入し、店舗フォローを実施していますが、定期巡回をしていないドラッグストアチェーンにてアウト展開の本部企画が決定。期間内に全国の対象店舗で売り場づくり・販促物設置を行うには定期ラウンダーだけではリソースが不足するため、追加でスポットラウンダーを導入されました。
導入したサービスの概要
約1か月間中に対象店舗を訪問し、本部企画の売り場展開確認を実施。未展開の場合はその場で展開交渉と売り場づくりを実施しました。さらに、巡回の費用対効果を高めるため、定番売り場の販促物設置も併せて実施しました。
サービス導入後の効果
・訪問の結果、本部企画の実施率は63.5%だったが、スポットラウンダーによる個店交渉の結果、アウト展開実施率を70.0%まで伸すことができました。
・活動実施から3か月間、スポットラウンダーの巡回した店舗と非巡回店舗にて対象商品の納品実績の伸び率を比較。実施から3か月後には、非巡回店舗では107%、巡回店舗では123%とプラス16ポイントという結果となりました。
人日契約型ラウンダーと訪問契約型ラウンダーの組み合わせ事例
日用品卸F社様の事例
巡回先 | 巡回エリア | スタッフ数 |
スーパー:約50店舗 | 関東 | 定期2名、スポット10名 |
サービス導入前の状況・課題
営業社員様が店頭フォローを実施。今後、商品の導入店舗を増やしていきたいが、店舗増に対するフォロー人員がいないため、ラウンダーの活用を決定しました。
F社様が小売店との本部商談を並行して行いながら、導入決定店舗には迅速にラウンダーを配置できるよう、店舗が密集するエリアには人日契約型ラウンダーを配置し、店舗が点在しているエリアには訪問契約型ラウンダーを配置という体制を採用しています。
導入したサービスの概要
毎月対象店舗を訪問し、売り場確認、発注促進、メンテナンス、担当者とのコミュニケーション、またサイドネット什器内の商品の入れ替え業務を実施しています。
サービス導入後の効果
人日契約型ラウンダーと訪問契約型ラウンダーのハイブリット型体制とした結果、導入店舗決定からラウンダー稼働開始までスピーディに行うことができており、現状依頼店舗に対し100%のスタッフ手配率となっています。
自社にとっての最適プランは?シミュレーションで確認
「ラウンダー」と一括りにしても、自社に最適なプランは商材や訪問先などの特性によっても変わります。また、どの程度の費用がかかるかも気になるところでしょう。
最適なラウンドプランを設計するなら、まずはラウンダー会社にシミュレーションをしてもらうことをおすすめします。
当社にシミュレーションをご依頼していただく場合に必要な情報は、以下の3つです。
・住所入りの訪問先(店舗)リスト
・訪問先1件あたりの訪問頻度、または訪問ランクのリスト
・訪問先での業務内容
これらの情報から、最適なサービスメニューやご支援体制、必要なスタッフ数、費用シミュレーションを作成します。ラウンダー会社のノウハウにより、最適なラウンドプランが立てられると共に、具体的な費用感がつかめるので、お気軽にお問い合わせください。
シミュレーションの前にまずは基本料金をお知りになりたい方は以下資料をご参考になさってください。
まとめ
ラウンダーの業務内容や訪問先、訪問頻度は企業によってさまざまです。自社にマッチしているのは定期ラウンダーなのか、スポットラウンダーなのか、見極めて選ぶことが重要です。
自社に合うラウンドプランの選定に迷った場合には、プロであるラウンダー会社にシミュレーションを依頼しましょう。最適なプランや予算案を提案してもらえます。
ラウンダー組織の新設やラウンダー業務の外注をお考えなら、FMSにご相談ください。