売り場ディスプレイについて解説!売上が160%アップした事例も

売り場の担当者であれば、ディスプレイをより美しくしたいと思うものです。
装飾品やPOPなどもその工夫の一つですが、売り場改善のヒントは、もっと基本的な「形」にあるのかもしれません。あるメーカーは、売り場ディスプレイに「三角形の工夫」を行うことで、販売実績が160%に伸びたそうです。
今回ご紹介する「トライアングル陳列」で、あなたの売り場をお客様に選ばれる「買い場」へと変えていきましょう。
1.「美しさ」や「安心感」「信頼感」を抱かせる“三角形”
葛飾北斎が描いた浮世絵「富嶽三十六景」、世界有数の芸術品を貯蔵する「ルーブル美術館」、
古代エジプト王家の墓と言われる「ピラミッド」、そして日本の象徴である「富士山」。
世界中からその美しさを認められる芸術品や遺産ですが、なぜ私たちがそこに美しさを感じるかという
理由ははっきりとせず、美しいものを作り出すための方法は見当たらないどころか、これからも謎は
残されたままになっていくように感じます。
Photo by peaceful-jp-scenery– Mist Scene
「赤い色は気分を明るくする」「青い色は集中力を高める」というように、私たちは色に対して特定のイメージを持っていることが知られていますが、同じように「形」も私たちの心に特別な感情をもたらしているそうです。
特に私たちは、三角形に対して「成功」や「絶頂」というプラスのイメージを持ちやすいことが研究からわかっていて、三つの頂点が一定の方向を指し示し、上に尖った頂点はより高みに向かうことを想像させるそです。ナイキやアディダス、リーボックなど、「挑戦」や「成功」が求められるスポーツブランドで三角型ロゴマークが多く採用されているのは、こうした現象を利用したものだと言われています。
また、三角形の上から下にかけて広がる形は、バランスの良さ、安定感を象徴すると言われていて、それを逆さまにした逆三角形は、アンバランスで不安定な印象を持たせることから、道路標識や危険物マークなど、注意や警戒が必要なものに用いられています。
冒頭にあげたピラミッドや富士山、北斎の絵画に美しさを感じる理由をはっきりと示すことは難しいかも知れませんが、これらの全てには特徴的な三角形が含まれていることは明らかで、その形が私たちに「美しさ」や「安心感」「信頼感」を抱かせる要因の一つになっていることに間違いはなさそうです。
2. 売り場でいかせる三角形!「トライアングル陳列」
こうしたプラスの効果をもたらす三角形を売り場作りやディスプレイに取り入れない手はありません。
頂点を目指す山のように商品を積み上げたり、三角形をかたどってディスプレイする陳列方法は「トライアングル陳列」と呼ばれ、下から支えるような安定感のある見映えは、商品をより美しくみせ、信頼感を増す効果があることがわかっています。
また、日本の小売店では隙間なく商品が並べられることが多いため、あえてタイトな三角形の陳列を施すことで、通常は商品が詰め込まれるスペースに余白(ネガティブスペース)を生み出すことができ、ディスプレイを際立たせることが可能になります。
さらに、現在販売されている多くの商品パッケージは、積み上げて陳列されることを前提にして四角形に作られているものが多いことから、その場に「サンカク」があること自体が、差別化の効果を生み、お客様の目に止まりやすくなることも期待されます。
実際、ある丸型蛍光灯を販売するメーカーが実施し、前年同月比160%のPOS実績を出した陳列は、下のイラストのようなものでした。
このメーカーは、陳列棚を使用して山型に商品を置くことで、離れたお客様からは目にとまり、近くのお客様には安心感・信頼感をあたえるトライアングル陳列を施しました。さらに、棚の中央に蛍光灯見本を設置することで、注目が集まりやすい箇所(「集視ポイント」)を作る工夫が行ったことも、実績に貢献したようです。
図1
また、Blu-rayディスクやDVDなどディスクメディアの販売をするメーカーが行ったクリスマス用の
ディスプレイでは、ツリーに似せたトライアングル陳列が行われました。
ここでのポイントは、正面からだけではなく、上下左右、どこから見ても三角形が保たれ、どの方向にいるお客様がみても美しいトライアングルになっていたことです。
さらに、ツリーの右側にPPとしての商品ワゴンを置き、手にも取られやすい「買い場」を意識したことが、売上アップへとつながりました。
図2
広いイベントスペースではなく、エンドコーナーなど比較的限られたスペースでもトライアングル陳列は可能です。手狭なスペースで最大限の効果を発揮するためには、「どこから見ても三角形」になることが大切です。
あるメーカーが実践した陳列では、下のイラストのように、背の低い商品を手前に、その後ろに並べるように高さのある商品を配置するトライアングル陳列が行われました。
こうすることで、正面や横からはもちろん、真上から見ても三角形が維持されることになり、ただ目立つだけではなく、全ての商品が一目でわかり、お客様にとって見やすく、手に取りやすい、まさに「買い場」としてのディスプレイが実現されました。
POPを増やしたり、パッケージを改善したりすることは多くの費用がかかります。
それに対して、トライアングル陳列のような「形への工夫」は、あまりにも簡単すぎて不安にも思えますが、しっかりと陳列された三角形が、売上を大きく改善することは決して珍しくありません。
富士山のように美しいトライアングルで、ぜひあなたの売り場を「買い場」へと変えていってください。
次回は、「売上が倍!その売り場で行われた、「シンメトリー陳列」ってなんだ!?」について解説します。
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